男の娘注意報 男の娘、メス男子、メス堕ち 読み切り短編集。 作:楽々ラクーン
蝉の死骸が、アスファルトに張り付く匂いがする。
いや、それは気のせかだ。ここは都会のコンクリートの森ではない。祖母の家の前の、砂利を敷いた細い路地だ。それでも、夏休みの里帰りという出来事が、優斗の感覚をどこか麻痺させているらしい。
電車を乗り継ぎ、バスに揺られ、ようやく辿り着いたこの村は、時間が止まったように静かだった。優斗は自分の腕をさすった。
薄い肌の下に浮かぶ青い血管が、やけに頼りなく見える。十四歳にして、同級生の男子のようには骨も肉もつかないこの体。鏡を見るたびに、そこにあるのは中性的な、どちらかといえば少女のそれに近い顔立ちだった。「可愛いね」と言われるたびに、胃の腑に鉛のような重さが沈殿していくのを感じていた。
熱帯夜
蝉の声が、脳髄を劈くようだ。
優斗は自分の華奢な腕をさすった。都会の学校では「女みたい」とからかわれるその体つきが、夏休みの間だけは、この田舎の湿った空気の中に溶け込んでいくような気がした。祖母の家の古い木造の匂い、縁側から見える深い緑、そして何より、誰の目も気にしなくていいという開放感。
夕食後、祖母に「近くにいい温泉があるよ」と教えられ、優斗は一人で外に出た。山道を歩くこと十五分。鄙びた一軒宿の裏手にある混浴の露天風呂だ。時間は既に九時を回っている。この時間なら誰もいないだろうと踏んでいた。
脱衣所の古びた鏡に、自分の姿が映る。肩幅は窄く、腰は細い。胸板などないに等しく、首元から鎖骨にかけてのラインは、どう見ても少年のものとは思えない柔らかさを持っていた。ため息をつき、バスタオルを体に巻き付けて湯場へ向かう。
木の扉を開けた瞬間、濃密な湯気が顔を打った。
硫黄の匂いが鼻腔を満たす。夜風が頬を撫でるが、すぐに熱気に負けて消えていく。
期待通り、広い岩風呂には誰もいない。湯面が揺れる音だけが響いていた。
優斗は安堵し、湯に足を入れた。熱い。けれど、冷え切っていた体の芯まで染み渡るようだ。肩まで浸かり、空を見上げる。都会では決して見られない星空が、湯気の向こうで瞬いていた。
ふと、水音が聞こえた。
ただの波音ではない。もっと規則的な、粘着質な水音。
優斗は息を呑んだ。湯気の向こう、岩場の陰に二つの人影があった。
逃げようとした足が、動かない。目が捉えてしまったからだ。
一人の男が、岩に背を預けるようにして座っている。がっしりとした体躯、胸元の筋肉の隆起。
その男の上に、もう一人の男が跨っていた。背中越しに見えるその体はしなやかで、首筋から肩にかけての線は美しい彫刻のようだった。
二人の結合部は湯気に隠れてよく見えない。それでも、互いの手が相手の体を這い回り、唇が荒い呼吸と共に求め合っているのがわかる。湿った水音と、短く切迫した吐息だけが、湯気の中に響いていた。
これは、夢か? 悪い冗談だろう?
優斗はそう思いながらも、目が逸らせなかった。彼らがやっていることは、明らかに性行為だ。男女のそれとは違う、獣じみた、それでいて奇妙な神聖ささえ感じる行為。男同士、だからこそ剥き出しになっている欲情。その熱量に当てられて、優斗自身の体の芯もまた、じわりと疼き始めた。タオル越しに自分の中心が硬くなり始めていることに気づき、愕然とする。見られているわけでもないのに、羞恥に身が縮こまる。なのに、目が離せない。男たちの動きが徐々に速くなっていく。滑らかな肌が汗で濡れ、月明かりもないはずなのに、湯気の中でぬらりと光る。筋肉が収縮し、雄叫びのような呻き声が漏れた瞬間、跨っていた方の男の体が大きく仰け反り、白濁した液体が湯面に散った。遅れて、下になっていた男が低い唸り声をあげて全身を震わせる。
一瞬の静寂。それから、再び激しい水音。
行為はまだ続いていた。その光景を目に焼き付けながら、優斗の頭の中は真っ白になった。体中の血液が一点に集まっていく感覚。腹の底から湧き上がる、今まで感じたことのない強烈な渇望。自分も触れたい。誰かにこの疼きを鎮めてほしい。
この人たちみたいになりたい――いや、違う、自分は……「違う!」
咄嗟に出てきた否定の言葉は、自分に対するものなのか、目の前の光景に対するものなのかもわからない。混乱のまま、優斗は勢いよく湯船から上がった。冷たい夜気が、熱った体に容赦なく吹きつける。タオルで雑に体を拭い、服を引っ掴んで脱衣所に駆け込む。心臓が暴れ狂っていた。
脱衣所の隅に蹲り、激しく喘ぐ。耳にはまだ、あの水音と喘ぎ声が残響のように残っている。そして、自分の体の異変。中心の熱さは収まるどころか、鮮明なイメージを送り込まれるたびに脈打ち、硬度を増していた。優斗は震える手で、タオルの上から自身を押さえつけた。「うっ……」
抑圧された声が漏れる。見てはいけないものを見た。知ってはいけない快感を知ってしまった。それなのに、体は飢えていた。あの男たちのように、激しく求め合いたい。そして、自分自身もまた、あの肉の奔流の中で貫かれたいという、昏い衝動が頭をもたげる。女の子のような顔をした自分が、男に抱かれる姿。その背徳的な妄想が、思考を焼き尽くしていく。
優斗は耐えきれず、タオルの中に手を滑り込ませた。
汗と湯気で湿った掌が、熱を帯びた自身を包み込む。「あぁ……っ」
背筋が震えた。目を閉じれば、湯気の向こうの男たちが蘇る。筋肉の躍動、荒い息遣い、交わる肉体。それらと重なるように、自分が誰かに押し付けられる幻想が浮かぶ。強い力で腰を掴まれ、容赦なく奥まで突き上げられる。
「んっ、くっ……」
手が速くなる。羞恥も罪悪感も、もうどうでもよかった。ただ、この疼きを鎮めたい。あの熱量に、ほんの少しでも触れていたい。
優斗の呼吸が乱れ、足先が痙攣する。
腹の底から熱いものがせり上がってくる感覚。「いくっ……!」
短い絶叫と共に、優斗はタオルの中に吐精した。
力が抜け、冷たい床に横たわる。
天井の木目が、涙で滲んで見えた。手についた白濁した痕を眺めながら、優斗は深く息を吐いた。
外では、相変わらず虫たちが狂ったように鳴いていた。
あの露天風呂で感じた熱。男たちの肌の匂い。それらが、優斗の内側に、二度と消えることのない烙印として刻み込まれていた。
自分はこれからどう生きていけばいいのだろう。男でも女でもない、中途半端な自分。でも、今夜の出来事が教えてくれたのは、その中途半端さの中にこそ、自分だけの快楽があるかもしれないということだった。
答えなど見つからないまま、優斗は夜空を見上げた。星が、酷く遠く見えた。
夏の沈殿
蝉の死骸が、アスファルトに張り付く匂いがする。
いや、それは気のせいかだ。ここは都会のコンクリートの森ではない。祖母の家の前の、砂利を敷いた細い路地だ。それでも、夏休みの里帰りという出来事が、優斗の感覚をどこか麻痺させているらしい。
蝉の声が、空気を震わせている。
縁側の古い板張りは、陽射しを吸い込んで微かに体温を帯びていた。優斗は膝を抱え、うとうととしていた。都会では決して味わえない、田舎の昼下がりの平和。
その安らぎは、唐突に断ち切られた。
「おばさん、いるかね?」
低く、よく通る声。優斗の肩が跳ねた。
目を開けると、縁側に影を落とす二人の男がいた。一瞬、心臓が止まるかと思った。昨夜、湯気の向こうで絡み合っていた、あの男たちだ。昼間の光の下で見ると、彼らはもっと肉感的で、圧倒的な存在感を放っていた。一人は大柄で骨格が太く、もう一人は引き締まった長身。どちらも、優斗の華奢な体とは対極の肉体を持っていた。
祖母が出てきて、嬉しそうに挨拶を交わす。彼らは祖母の知り合いだという。だが、彼らの視線は、時折優斗に向けられ、そこには他人行儀なものとは違う、粘着質な熱が混じっていた。優斗は目を伏せ、逃げ出したい衝動を必死に抑えた。
「坊主も一緒に行かんか? 川へ魚釣りに」
大柄な男が、屈むようにして言った。その声は、昨夜湯気越しに聞いた荒い息遣いを思い出させ、背筋に悪寒が走る。
「え……僕、釣りなんて……」
「大丈夫だ、教えてやるよ」
もう一人の男が、白い歯を見せて笑う。その笑顔の奥にある意味を察せずにはいられなかった。彼らは知っているのだ。優斗が昨夜、彼らの行為を目撃したことを。それを黙って誘っているのだ。
断る隙も与えられず、優斗は彼らの後についていくしかなかった。
川原への道中、男たちの背中がやけに大きく見えた。汗の匂い。草を踏む足音。昨夜の記憶が、歩くたびにフラッシュバックする。筋肉の収縮、荒い息遣い、そして白濁した飛沫。それらが目の前の背中と重なり、優斗の足取りを重くした。
川原に着くと、三人は適当な石に腰を下ろした。清流の冷たさが、熱を持った頬を少しだけ冷やしてくれる気がした。竿を出してみるものの、手が震えてうまく餌がつけられない。男たちはそんな優斗を横目に、器用に準備を整えながら、何食わぬ顔で話し始めた。
「昨夜は蒸し暑かったなぁ」
大柄な男が言った。
「ああ、おかげで寝苦しくてね。夜中に目が覚めちまったよ」
長身の男が受ける。
優斗の手が止まった。
川の音が遠のき、鼓動の音だけが耳に響く。
「優斗くんは、よく眠れたかい?」
唐突に名前を呼ばれ、体が強張る。
「……はい」
掠れた声しか出なかった。
「そいつはよかった。田舎の夜は静かすぎて、変な音が聞こえたりするからね」
男は意味深に言葉を濁し、ニヤリと笑った。「湯加減も、熱すぎずちょうどよかったかい?」
その問いかけに、優斗は返す言葉を持たなかった。彼らは知っている。あの露天風呂で、岩陰から覗いていた小さな影に気づいていたのだ。そして今、それを楽しんでいる。
返答に窮し、俯く優斗の左右から、ふっと気配が近づいた。
二人の男が、いつの間にか優斗のすぐ隣に座っていた。彼らの体温が、川風よりも濃く伝わってくる。
「釣りは、じっと待つのが肝心だ」
大柄な男が囁くように言い、その大きな手がのろのろと伸びてきた。優斗の太ももの上に、熱を帯びた掌が置かれる。
「!」
電流が走ったようだった。昨夜の疼きが、蘇る。
「魚が食いつく瞬間の手応え……わくわくするだろ?」
もう一方からも、長身の男の手が伸びてくる。今度は腰回り。薄いシャツ越しに、硬くて長い指が脇腹を這う。
「っ……や…」
声にならない悲鳴が漏れる。川原には他にも釣り人がいるかもしれない。そんな理性が働くはずもなく、ただ彼らの手の動きだけに意識が支配される。太ももの内側を揉みしだく力強い手。脇腹から背中へと滑り上がるしなやかな指。二つの異なる感触が、優斗の「女の子のような」体を弄ぶ。
昨夜、覗き見た背徳の光景。そして今、その当事者達に触れられているという現実。
恐怖と恥辱。そして、抗えない興奮。
優斗は竿を握る手に力を込めた。指先が白くなるほどに。逃げなければ。そう思うのに、体は石のようにそこに縫い止められていた。彼らの手が、優斗の体を器用に、そして執拗に探り始める。魚が餌に食いつくように、彼らの欲望が、優斗の無防備な肉体へと食らいついていく。
川面を照らす太陽が、やけに眩しかった。
優斗の視界の端で、水面がキラキラと揺れていた。まるで自分の揺らぐ心のように。
「さあ、食いついたぞ」
誰の声だったか。耳元で囁かれたその言葉と共に、太ももの手がさらに奥へと潜り込み、腰の手が胸を探った。
優斗は短く息を呑み、固く目を閉じた。
陽炎の向こうで、蝉が一斉に鳴き始めた。
川原の石は、日差しを吸い込んでまだらに熱を持っていた。
その熱さが、剥き出しになった優斗の背中を焼く。
「いや……やめて……」
か細い抵抗は、蝉時雨にかき消された。男たちの手は、器用かつ容赦なく優斗の服を剥ぎ取っていく。薄いTシャツが頭から抜かれ、ショーツまで引き下ろされるのに、そう時間はかからなかった。あっけなく、優斗は生まれたままの姿を晒された。
「ほら、綺麗な肌だ」
大柄な男が感嘆するように囁く。その視線が、優斗の中性的な体を舐めるように走る。
華奢な肩、肋骨の浮き出た胸、平坦な腹、そして未発達な腰回り。それは男たちの隆起した筋肉とは対照的な、白く脆い造形だった。恥ずかしさに顔を背け、体を縮こめようとするが、男たちが左右からそれを許さない。
「こんなに小さいのに、いい形してるね」
長身の男の手が、優斗の胸に添えられた。
女性のような膨らみはない。だが、男の大きな掌はその平坦さを愛おしむように包み込み、親指で中心にある小さな突起を捉えた。
「んっ……!」
電撃が走ったような感覚。優斗の体がビクリと跳ねた。
「ああ、ここか。ここが弱いんだね?」
男は意地悪く笑い、乳首を指先で摘み上げた。転がすように、時折強く捏ねるように。刺激を受けた乳首はみるみるうちに充血し、赤く硬く屹立していく。
「やっ……そこ……触るな……っ」
優斗は首を振った。女のおっぱいを触られているような錯覚。女にされているような屈辱。けれど、背骨を駆け上がってくる痺れは止められない。乳首から直接快感が注ぎ込まれ、下半身が熱く疼き始めた。
「嘘つけ。こんなに硬くなってるじゃないか」
もう一人の男が、反対側の乳首に唇を寄せた。熱い吐息がかかったかと思うと、湿った舌先がちろりと舐め上げた。
「ひぁっ!?」
悲鳴にも似た喘ぎ声が漏れる。舌のざらつきと唾液のぬめりが、指とは違う生々しい快感をもたらす。吸い上げられ、転がされるたびに、腰が浮いてしまいそうになる。優斗は自分の手で口を覆った。こんな声を出しているのは自分じゃないと思いたかった。
「さて、次はこっちもご挨拶しないとね」
胸を責める手が止んだかと思うと、大柄な男が自身のショーツを下ろした。男の象徴が、鎌首をもたげて露わになる。怒張し、血管が浮き出たその大きさに、優斗は息を呑んだ。昨夜湯気越しに見たそれとは違い、至近距離で見るそれは暴力的なまでの迫力を持っていた。
「嫌だ……そんなの……無理だよ……」
優斗は逃げようと身をよじったが、男は強引に優斗の顎を掴み、口を開かせた。
「昨夜は見てただけだからね。今日は参加してもらうよ」
そう言うと、男は躊躇なく自身を優斗の口内にねじ込んだ。
「んぐっ……!? うっ……」
異物感。苦味。そして圧倒的な質量。
喉奥を突き上げられ、嘔吐感が込み上げる。息ができない。
目尻から生理的な涙がこぼれ落ちた。
「歯を当てるんじゃないよ。優しく扱っておくれ」
頭を固定され、前後に揺さぶられる。口の中を犯される屈辱。鼻腔を満たす男の匂い。苦しい。嫌だ。早く離してほしい。そう思いながらも、頬の内側で男のモノが脈打つのを感じると、腹の底に粘着質な熱が溜まっていくのを感じていた。
口に出されているだけでなく、自分が男に奉仕しているという事実。
その倒錯した優越感と背徳感が、抵抗する力を削いでいく。
優斗は震える手で男の太腿にすがりついた。逃げるためではなく、支えるために。
そして、無意識のうちに舌を蠢かせ始めたのだ。
「そうそう、いい子だ」
男が満足げに声を漏らす。
その声がまた、優斗の中の何かを刺激した。
嫌悪と快楽がないまぜになった濁流の中で、優斗はただ、与えられるものに溺れていくしかなかった。
川面を反射する太陽の光が、閉じた瞼の裏で明滅する。
遠くで聞こえる蝉の声だけが、冷酷にこの夏の日を刻んでいた。
口の中に残る苦味と粘つき。
男が自身を引き抜くと、優斗は咳き込みながら荒い息をついた。
しかし、与えられた安息は束の間だった。
「次はこっちだ」
大柄な男が、優斗の体を乱暴に反転させた。石ころだらけの川原に手をつき、四つん這いになるしかない。無防備に晒された臀部に、熱い視線が突き刺さる。
「いい尻だねぇ。使われてないのはもったいない」
長身の男が背後から近づき、白い双丘を両手で掴んだ。
「ひっ……!?」
バターのように割り開かれ、秘められた窄まりが露わになる。
太陽の光と男たちの視線が、そこに集中する羞恥心。穴が収縮し、拒絶するように震えた。
「そんなに締め付けなくてもいいよ。すぐに気持ちよくなるからね」
男は唾液を指に絡め、硬く閉ざされた入口に触れた。冷たい指先が入り込もうとする異物感に、優斗は身を強張らせた。
「いやだ……入れるな……! こんなこと……」
「嘘つき。ここはもっと奥に入れてほしがってるよ」
指が第一関節まで侵入する。息苦しさと異物の圧迫感。指が内壁をなぞるたび、胃の中がかき回されるような不快感が走る。しかし、男は的確に、奥の方にある一点を探り当てた。
「あっ……!? な、なんだこれ……!?」
体の中で火花が散ったような衝撃。今まで感じたことのない鋭い快感が、脊髄を駆け抜けた。
「ほら、見つけた」
男は執拗にそこを擦り上げた。
「やめっ……あぁっ! 変だ……頭が変になるっ……!」
指の動きに合わせて、優斗の腰が無意識に揺れ始める。痛みは消えなかったが、それを凌駕するほどの快楽が押し寄せていた。
自分の体の中にあるはずのない場所。そこを刺激されると、全身の力が抜け、ただ喘ぐことしかできない。優斗の目からは生理的な涙が止めどなく溢れ出し、口からは甘い吐息が漏れ続けた。
「もう準備はいいだろう」
大柄な男が待ちきれないと言ったように、指を引き抜いた。
空虚感に安堵したのも束の間、代わりに熱い塊があてがわれる。
「いくよ」
容赦ない突き上げ。
「ぐあぁぁっ!!」
裂けるような激痛。内臓をかき回されるような圧迫感。優斗は背中を反らし、声にならない悲鳴を上げた。
男の象徴は容赦なく腸内を侵略し、深々と根元まで埋まった。
「きついねぇ……でも、これでお前は俺のモンだ」
男は腰を引いては打ち付けた。激しいピストン運動。そのたびに優斗の体は石の上で揺さぶられ、擦れ合う肌が湿った音を立てた。
痛みは次第に麻痺し、代わりに先ほど指で開発された場所への刺激が支配し始めた。
「あっ……あっ……あぁっ……!」
声が変わっていく。悲鳴から、媚びた喘ぎ声へ。
頭の中が真っ白になり、思考能力が融解していく。
男に突かれるたびに、体の中の敏感なポイントを掠め取られ、電流のような快感が四肢末端まで駆け巡る。自分は男だ。けれど、今この瞬間、突かれているこの穴は「メス」そのものだった。精を搾り取るためだけに作られた、淫らな穴。
「いい締り具合だ。もう離せないね」
男が低く唸り、さらに激しく腰を振る。
「僕も……僕も入れたいよ」
長身の男が目の前に立ち上がり、再び硬くなった自身を差し出した。
優斗は虚ろな目でそれを見上げた。拒絶する理由など既になかった。口を開き、自らそれを迎え入れる。
前も後ろも塞がれ、二つの男に貫かれる。
川原の石の熱さも、太陽の眩しさももう感じない。あるのは、肉と肉がぶつかる音と、限界まで満たされる背徳の快感だけ。
「あぁっ……もっと……もっと奥まで……!」
優斗は自ら腰を振り始めた。男のリズムに合わせて、もっと深く突かれたいとねだるように。
もはや彼の中に理性はなかった。
ただ快楽の坩堝の中で溺れるだけの存在。
「くっ……でるぞ!」
大柄な男が一際大きく腰を打ち付け、深々と埋まったまま全身を震わせた。
熱い飛沫が腸内に注ぎ込まれる感覚。それが決定打となり、優斗もまた白濁した液体を放った。
同時に口の中にも苦い液体が注ぎ込まれ、喉を鳴らして嚥下する。
三人が重なり合ったまま、荒い息遣いだけが響く。
蝉の声はまだ続いていた。
汗と体液にまみれた優斗の体は、白濁に塗れていた。
彼は虚ろな目で空を見上げた。青空がひどく遠い。
もう、元には戻れない。
体の中に刻み込まれた快楽は、二度と消えることがないだろう。
彼は自らの手で自分の尻を押さえ、溢れ出る男の痕跡を感じながら、微かに笑った。
それは少年の顔を持った、淫らなメスの顔だった。
エピローグ
翌朝、鏡に映った自分の顔を見て、優斗は驚いた。
昨夜の情事の余韻で少し赤らんだ顔、潤んだ瞳。それは以前の中性的な可愛さではなく、色気を含んだ淫らな顔つきになっていた。
体はあちこちが痛むのに、心は奇妙なほど満たされていた。
祖母には「友達の家に遊びに行く」と嘘をついた。
それは嘘ではなかった。彼らは確かに友達であり、そしてもうそれ以上の存在だった。
山道を抜け、少し開けた場所にある古い民家。それが彼らの家だった。
縁側から声をかける必要はなかった。勝手口の扉は開いていて、二人の男が優斗が来るのを待っていたかのように、茶を飲んでいたのだ。
「来たか」
大柄な男が満足そうに笑う。
「待ってたよ」
長身の男が手招きする。
優斗は黙って靴を脱ぎ、薄暗い土間から板の間へと上がった。言葉はいらなかった。彼らの目を見れば、何をしに来たのかは明白だったからだ。
奥の六畳間。古い畳の匂いと、押し入れから漂う樟脳の匂い。
そこに敷かれた布団は、まだしまわれていなかった。
優斗はそのまま布団の上に膝をついた。
「昨日は……外だったからね」
長身の男が囁きながら、優斗の服を脱がし始める。今度は乱暴ではなく、一枚一枚、慈しむように。
大柄な男も反対側から手を伸ばし、優斗の肌に唇を寄せる。
「あっ……んっ……」
布団の柔らかさに包まれながら、二人の男に挟まれる。
昨日とは違う。あの時は恐怖と痛みが先に立った。けれど今は、全身が彼らに触れられることを待ち望んでいるのがわかった。
男たちはゆっくりと時間をかけて優斗を愛撫した。首筋、鎖骨、脇の下、内腿。舌が這うたびに、優斗の体は甘く震え、蜜を溢れさせた。
「優斗、お前の体は本当にいいよ」
大柄な男が耳元で囁く。その声だけで腰が砕けそうになる。
「俺たちのお嫁さんになれそうだ」
その言葉に、優斗は抗わなかった。むしろ、胸が熱くなった。
仰向けにされ、足を大きく開かされる。
昨日開発されたばかりの秘裂は、既に濡れて震えていた。
「見てみろよ。こんなに喜んでる」
長身の男が指を滑り込ませると、優斗は甘い声を上げて自ら腰を押し付けた。
「あぁっ……もっと……触って……」
自分からねだる。そんなこと、昨日までの優斗には考えられなかった。けれど、今は自然だった。
指でほぐされながら、前立腺を刺激され、優斗は背中を反らして喘いだ。
「頭がおかしくなりそう……気持ちいい……っ」
「じゃあ、もっといいものをやるよ」
大柄な男が腰を据え、熱く猛った楔をあてがう。
昨日の痛みはもうない。代わりに、体内が満たされていく圧倒的な充足感。
「んぁぁぁっ!!」
根元まで飲み込み、優斗は男の首に腕を巻きつけた。
深く、激しく突かれるたびに、脳髄が蕩けるような快感が波のように押し寄せる。
「いい……すごくいい……! もっと奥まで……!」
長身の男はそんな二人の結合部を見つめながら、自身を優斗の口に含ませ、手で優斗自身を扱いた。
前も後ろも、上も下も。全身が快楽に支配される。
優斗は思考することをやめた。
自分は男だ。けれど、今この瞬間、突かれ、精を搾り取られている自分は完全に「メス」だ。
その事実が、たまらなく愛おしかった。女の子のような顔をし、女の子のような華奢な体をして生まれてきたのは、この瞬間のためだったのだと納得できた。
彼らの子宮になりたい。彼らの精液で孕みたい。そんな妄想すら抱きながら、優斗は何度も絶頂へと押し上げられた。
「一緒にいこう……!」
男たちが同時に果て、優斗の中に熱い飛沫を放った時、優斗もまた白濁を撒き散らして達した。
事後の静寂。
汗と体液でぐしゃぐしゃになった布団の中で、三人は身を寄せ合っていた。
優斗は男たちの胸に頭をもたせかけ、荒い息をついていた。
体の芯にはまだ彼らの熱が残っている。
「俺さ……」
優斗がぽつりと言った。
「学校、卒業したら……ここに来る」
二人の男が動きを止めた。
「都会にはもう戻らない。ここで……あんたたちと暮らす」
それは衝動的な決断ではなかった。自分の中の「メス」を受け入れた瞬間、もう普通の生活には戻れないと悟っていたからだ。この田舎で、二人の男に抱かれながら生きていく。それだけが、自分に与えられた運命のように思えたのだ。
「……本当か?」
大柄な男が聞いた。
「うん」
優斗は力強く頷いた。
「僕は……あんたたちの女だから」
男たちは微笑み合い、優斗を強く抱きしめた。
外では相変わらず蝉が鳴いていたが、その声はもう遠い世界の出来事のように響いていた。
優斗は目を閉じ、彼らの鼓動に耳を傾けた。
これから訪れるであろう淫靡で幸福な日々を予感しながら。
夏休みはまだ始まったばかりだ。