男の娘注意報 男の娘、メス男子、メス堕ち 読み切り短編集。 作:楽々ラクーン
健太と裕樹の傷だらけの青春グラフィティ
窓際で風鈴が揺れる音だけが響く部屋。畳の匂いに混ざった汗と制汗剤の香りが、俺――都延(とのは) 裕樹(ゆうき)の胸を締め付けた。ベッドの上には健太が無防備に寝転び、スマホをいじっている。画面の中では巨乳の女優が喘いでいた。
「お前、こういうの好きなんだな」
背中越しに声をかけると、健太は一瞬動きを止め、照れくさそうに笑った。「まあ、普通じゃね? 考えてみれば、健全な男子だろ」
「そっか……」
俺はふっと微笑んだ。俺たち、普通じゃないよな。口には出せない本心が喉奥で泡立つ。だって、俺は今からこいつを騙すんだから。
出会いは幼稚園だった。あのころの健太は泣き虫で、俺より背も低かった。転んで膝を擦りむけば真っ先に俺のところへ駆けてきて、「痛いよぉ」と涙ぐんだ。それが可愛くて、庇護欲が湧いて――気づけばずっと守り続けた。中学に入ってから身長差は逆転したけれど、変わらないのは俺が抱えるこの想いだけ。
「男なんて好きになっちゃいけない」
何度もそう言い聞かせた夜があった。鏡に映る自分の身体を見て、泣いたこともあった。それでも目線はどうしても健太を追いかける。彼の制服の袖がほつれてるのに気づいたら縫ってあげたくなるし、雨の日には傘を持たずに帰ろうとするから「一緒に入ろうぜ」って腕を組みたくなる。
「なあ、これ見てみろよ!」
昼休みの教室で、健太がスマホの画面を見せてきた。そこに映っていたのはアダルトサイトの広告バナー。
反射的に顔が熱くなる。
「うわっ……エロいな」
平静を装いながらそう答えたけど、本当は違う。
俺はそういう動画を見るとき、男優の体を健太に重ねている。そして何度も後悔する。「なんで俺、こんなこと考えてるんだろう」
それでも抑えられない。この感情はもう、歯止めが効かないほど大きくなっていた。
夕暮れ時。誰もいない校庭の片隅で、健太がランドセルを下ろしながら言った。
「今日、俺んち来る?」
「行く行く! なんかゲームでも持ってくる」
小学生の頃の会話が頭の中でリフレインする。あの頃は何の不安もなく「行こう」と言えたのに、今は違う。「行ってもいい?」と言えない自分が嫌になる。
(こんなこと考えるなんて、やっぱり俺はおかしいんだ)
そんな自己嫌悪さえ、どこか甘美だと思ってしまうほどに病的だった。
中2になった五月、学校帰りに寄った公園で健太がぽつりと呟いた。
「裕樹さ、最近何か悩みある?」
突然の問いに心臓が跳ねる。咄嗟に出たのは嘘だった。
「いや、別に何もないけど」
「そっか……ならいいんだけどさ」
俯き加減で立ち去る健太の背中を見送りながら思った。
(知ってほしい。でも知られたらきっと終わる)
矛盾だらけの心を引きずり、俺は一人で駅までの道を歩いた。
決意を固めたのは梅雨入り間近のある午後だった。自室のクローゼットから取り出した姉の制服。去年まで使っていたそれは丈が少し短いけど、着られなくはない。
(こんなの見たら引かれるかな……それとも喜ぶ?)
答えの出ない問答を繰り返しながら制服を羽織ると、まるで別人になったような気がした。
胸元のリボンを結び直し、姿見の前に立つ。
「……似合ってるじゃん、俺」
我ながら皮肉めいた独り言だった。
その日の放課後、俺は思い切って言った。
「うち来ない? 暇だし、マンガとかあるしさ」
健太は快諾してくれた。
玄関ドアを開けた途端、俺の心臓は早鐘を打つ。リビングに通し、冷蔵庫から麦茶を出してテーブルに置く。
「ゆっくりしてって。今、ちょっと片づけてくる」
二階の自室に戻り、制服姿で深呼吸。戸棚から見つけた化粧品を手に取り、リップグロスをそっと塗った。
「……完璧だ」
震える手でドアノブを回す。階段を下りると、ソファでぼんやりしている健太が視界に入った。
「お待たせ〜」
わざと明るい声で呼びかけながら、横目で反応を確認する。
(大丈夫……バレてない)
十数分後、ついにその時が来た。
「なあ、健太。ちょっと面白いもの見せてやるよ」
俺はポケットからUSBメモリーを取り出し、テレビにつないだ。映し出されたのは同人誌即売会で密かに入手したカップリング作品動画だ。
「うわっ……なんだこれ」
驚愕の表情を浮かべる健太に向かって、努めて冷静に言う。
「ネットで拾ったやつだけどさ、意外と悪くないだろ?」
沈黙。流れるBGMだけが空気を満たす。
数十秒経過してから、ようやく彼が口を開いた。
「……男同士って、こういうこともあるのか」
核心に触れそうな質問に息が詰まる。俺は咄嗟に冗談っぽく返した。
「どうだろうな。まあ少なくとも法律違反ではないらしいし」
さらりと言ってのけたつもりだったが、内心は緊張していた。
(ここで否定されるのが怖い)
次の言葉次第で運命が変わる予感があった。
ところが意外にも健太は柔軟だった。
「確かに面白いな……もっと他のも観てみたいかも」
期待通りの返事に安堵しつつ、胸の奥がジワッと疼く。(これでまた一つ近づけた)
その後しばらく二人並んで画面に見入った。
肩が触れる度、鼓動が伝わってしまうのではないかとヒヤヒヤした。
気づけば外は暗くなり始めており、時計の針は午後4時半を指していた。
「そろそろ帰るわ」
立ち上がる健太を引き留めるように、俺は自然な流れを作るための演出を仕掛ける。
「ちょっと待ってくれ、トイレ行ってくる」
リビングを出て洗面所に向かい、鏡の前で唇を濡らす。
洗面所の蛍光灯が、鏡の中の女装姿を冷酷に映し出す。リップグロスの艶が、妙に俗っぽく見えた。でも戻れない。一度踏み出したら、もう引き返せない。
階段を下りる足が震える。リビングの明かりが、妙に遠く感じられた。
「お待たせ」
ソファに戻ると、健太がこちらを見た。その瞬間、彼の表情に何かが走った。最初は困惑か、あるいは——。
「なあ、裕樹」
「ん?」
「その格好、なんで……?」
訊ね方は控えめなのに、目は欲望に滲んでいる。俺は小さく笑う。
「さっきの続き、見たいだろ?」
リモコンを操作して、隠し持っていた別の動画ファイルを選択する。それは単なるカップリングではなく——女装した男性同士の密着動画だった。
「やば……」健太の喉仏が上下する。「こんなの……マジかよ」
「興味ある?」俺はソファの距離を詰め、肘掛けに座る健太の脛に足を絡ませる。
「裕樹……」
彼の瞳孔が開いている。明らかに性的な興奮だ。
男同士という禁忌を飛び越えて、ただ異常な状況への好奇心なのか、それとも——。
「俺のこと、お前の玩具にしていいんだぜ」
低い声で囁くと、健太の肩が大きく震えた。
「お前、こんな……おかしいぞ」
「おかしいって?」俺は鼻で笑いながら、彼の膝に乗る。「俺はいつもおかしかったよ。お前を守ってきたつもりが、結局はこんな——」
リップグロスをつけた唇で、彼の首筋に触れかけたところで止まった。寸止めの美学だ。
焦らせないと意味がない。
「裕樹……」健太は息を荒げながらも、眉間に皺を寄せていた。「お前、ホントにそれでいいのか? 自己犠牲のつもりなら、やめろよ」
「自己犠牲?」思わず吹き出す。「そんな高尚なもんじゃない。俺はただ——欲しいだけなんだ。お前が」
窓の外で風鈴の音が鳴る。それは俺達二人の境界を測る秒針の音にも聞こえた。
「正直、混乱してる」健太は髪を掻き上げながら呟いた。「でも……嫌じゃない」
その一言で、凍っていた何かが溶け出した。
「そう言ってくれるなら」俺はゆっくりと身を乗り出す。「受け止めてくれよ、倒錯した俺の全部を」
今夜はまだ長い。倫理も道徳も、この部屋だけは通用しない。俺たちは秘密と背徳で遊ぶ子供であり、同時に大人になりつつある獣でもあるのだ。
この歪んだ冒険が始まる予感とともに、俺は彼の瞳の奥にある渦を覗き込んだ。
「裕樹!」健太のたくましい体が俺を抱きしめ、唇が重なる。
舌が押し入り、歯列をこじ開ける。「んぅ……」互いの吐息が交わり、唾液が糸を引く。「健太……」名前を呼ぶたびに理性が崩れ落ちていく。「
窓辺で揺れるカーテンに月明かりが射し込み、俺たちの影を壁一面に踊らせる。「もっと強く……激しく……」本能の赴くまま身体を触り合うと互いの熱量が高まり続けるにつれ室内温度までも上昇していくような錯覚さえ覚える。
「健太のモノ、気持ち良くしてやるよ」俺は健太のブリーフからボッキしたイチモツを取り出す。かおるオスの体臭にくらくらしながら俺はしゃぶりついた。。
「あああ、裕樹が俺の、、しゃぶって」
「んっ……むぷぷ……くちゃぁぁぁ」卑猥な水音を立てて舐めたり吸ったりするうちに大きくなっていく。「おいおい、これじゃ収まらねぇぞ?」
「だったらこっちに入れてもいいんだぜ♡」挑発的な台詞と共にスカートを捲り上げ尻を見せる。パンツも姉のパンティに履き替えてある。
「裕樹いいのか?」硬くなったそれを股間に当ててくる。「そんなに入れたいのか?」わざとらしく腰を振ると健太のペニスが反応してしまう。「あっ……」思わず漏れた甘い声に調子に乗って、俺はパンティを半脱ぎしてローションを入れたアナルに健太のモノを受け入れた。メリメリと健太のものは俺のアナルを拡張させて埋没していった。俺が健太の腕を掴みキスを求めた。そしてお互い貪るように舌を絡ませていった。「むっぷぱっ……」「んんッ……!」喘ぎ声と共に唾液が垂れ落ちる。
健太が上になって動くたび結合部からは湿った音が聞こえてきた。
「裕樹!」健太のたくましい体が俺を抱きしめ、唇が重なる。
舌が押し入り、歯列をこじ開ける。「んぅ……」互いの吐息が交わり、唾液が糸を引く。「健太……」名前を呼ぶたびに理性が崩れ落ちていく。
「もっと強く…突いて…激しく……」俺は女のように尻を振った。。
健太が上になって動くたび結合部からは湿った音が聞こえてきた。「うぅっ……くっ……」痛みと快感が入り混じった未知の感覚に戸惑う暇もなく腰を使われてしまう。あまりの刺激に意識が飛びそうになり必死に耐えた。
しかしそれでもなお続く執拗な責めによって限界を迎えそうになる。
「ダメェ!!もうイクゥー!!」悲鳴にも似た健太の叫びとともに絶頂を迎えるとほぼ同時に俺の腸内に大量の精液を注ぎ込まれるのを感じた。
アナルからは白濁色の液体が溢れ出しておりシーツに大きな染みを作った。
俺たちはまだつながったまま。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」息遣いだけが響く静寂。
健太のものが俺の中で硬さを取り戻していく。そしてズンッと突き上げた!
「ああああ、、健太、俺、イクゥ❤️」
俺のイチモツがまるで失禁するように射精した。精液は、俺と健太の胸元に飛散していた。
「もっと激しく突いて、壊してくれ!」「好きだ!」
健太が抱きしめながらキスしてきた。お互いの舌を吸い合い口腔を蹂躙し合うような濃厚な接吻だった。
その間にもピストン運動は続き徐々に加速していく。
俺は限界を迎えていた。「ダメ……イク……!」しかし容赦なく打ち付けられる杭により強制的に昂ぶらされてしまう。
「ひぃ……だめぇえええ!」
全身を痙攣させ絶頂を迎えた瞬間、今までに経験したことのない圧倒的な幸福感に包まれるのを感じた。そしてベッドの中で俺は嬉しさに泣いた。しかし健太は別の勘違いをしたようだ。
「裕樹、、俺、責任取るから、」
「え?」
健太の声が、夏の夕暮れのように俺の耳朶に染み込んだ。心臓が、一瞬、止まった。
「……なに、責任って」
掠れた声で訊ねると、健太は照れたように視線を逸らした。まだ、俺の中に彼の熱が残っている。動くたび、微かに音を立てて揺れた。
「だから、その……」健太は咳払いをして、天井を見上げた。「一生、面倒見るっていうか、そういうの」
俺は呆然としていた。まさか、そんなことを言われるとは思わなかった。俺はただ、健太を騙して、ただ、自分を汚して、ただ、終わりにするつもりだった。なのに、健太は、まるで俺を救い上げるみたいに、当たり前のような顔をしている。
「……バカ」思わず零れた言葉は、自分でも信じられないくらい優しかった。「責任とか、そんなの必要ないんだよ。俺は、お前に──」
「好きだからだよ」
健太が遮った。真っ直ぐに、俺を見ていた。欲情とは違う、穏やかな光が宿っていた。
「裕樹、お前のこと、ずっと好きだったんだ。でも、どう伝えればいいか分からなくて、でも、今日──いや、今までのお前を見てきたから、分かるんだ。お前がどんな想いで俺を見てたか。どんな想いで、ここまで来てくれたか」
「……違う」
「違わないよ」
健太は優しく微笑んで、俺の額に唇を押し当てた。キスと言うには控えめすぎた。でも、その温もりは、俺が欲しかった全てだった。
発展場
そして、その日から、俺と健太は密かに付き合い始めた。
今までと変わらぬ友人として戯れ合いながら人目のないところでは、まるで男と女のように睦あった。そして俺たちは自分たちの身のきどころを探した。
他の友人たちとは、自分たちが別の世界にいると言う自覚があった。そして健太の提案で、戯れに俺たちは地元の発展場に端を運んだのだ。
俺たちと同じように、男同士で愛し合っている人たちの姿を見てみたかったんだ。
夜の公園のトイレには様々なカップルがいた。ボディービルダー同士のたくましいカップル、俺と健太のように相方が中性的な雰囲気のカップル。
そして、俺らは公園のトイレ周辺の森や室内でつながっていたのだった。
トイレの扉を開けた瞬間、異様な熱気が裕樹の頬を撫でた。蛍光灯の下で、何組もの男たちが絡み合っていた。汗と精液と、何とも言えない雄の匂いが混ざり合い、廊下の先まで立ち込めている。
「ここが……」
俺の言葉を遮るように、背後から大きな手が伸びてきた。ドアが閉められ、鍵がかかる音がした。
「へえ、可愛いのが迷い込んできたな」
振り返ると、30歳くらいの大柄な男が裕樹を値踏みするように眺めていた。シャツは汗で透け、腹筋が見える。その周りに、同じように隆起した体躯の男たちが集まってきた。
「君たちカップル? 友達と一緒に来るなんて珍しいな」
男たちの声は静かだが威圧的だった。俺は恐怖よりも奇妙な好奇心に支配されていた。これが『発展場』というものか。現実離れした光景に、足が竦む。
「あ、あの……」
俺が声を絞り出そうとした刹那、目の前が真っ暗になった。サムライパンツが剥ぎ取られ、ワイシャツが裂かれた。抵抗しようとしても、複数の腕が体を押さえつけて離さない。
「やめ……っ!」
「ガキがこんなところに来ていいと思っているのか?」
「冷やかしだろ?思い知らせてやれ」
必死に暴れると、頬に平手打ちが炸裂した。唇が切れ、鉄の味が口の中に広がる。すると背中に灼けるような痛みが走った。誰かがタバコを押し当てたのだ。意識が遠のきかけたところで、
「裕樹!」
健太の絶叫が響いた。
見れば、健太も後ろ手に捕らえられている。力任せに抗おうとしているが、二対の腕に簡単に封じられている。
「離せ! この野郎!」
拳を握りしめた健太が吼えるが、蹴り上げた足も宙を切り、代わりに腹部に重い蹴りを受けた。呻き声と共に地面に伏す。
「健太……」
俺の目に涙が浮かんだ。それは恐怖よりも絶望の涙だった。あんなに純粋だった関係が、こうして踏みにじられていくことに耐えられなかった。
「さてと」
俺の上で馬乗りになった男が舌なめずりをする。「久しぶりに若々しい肌だ」
シャツが完全に剥ぎ取られ、露出した胸にねっとりと這う舌。鳥肌が立つ。両脚は左右に割られ、背後に回った別の男の指がろローションを塗り肛門を強引に押し広げる。
「あああっ! 痛い! やめて!」
潤滑油も何も使わず、乾いた指が乱暴に入り込む。激痛で視界が白く染まる。初めての健太との時にはあった優しさなど欠片もない。ただの玩具のように扱われる屈辱。
「おい、見ろよ。ケツがめくれてるぜ」
嘲る声と共に三人目の男が現れ、俺の前に屹立したものを押しつけた。裕樹は必死で顔を背けたが、髪をつかまれ強引に口内へ。喉を潰すほどの質量に噎せ返る。
一方、健太も苦境に陥っていた。床に組み敷かれ、上着は剥がされている。脚の間に割り込んだ男がベルトを外しズボンを引き下げた。露わになった若々しい尻たぶに、生温かい涎が滴る。
「健太……助けて……」
俺の掠れた懇願は届かない。健太自身もまた、二人がかりで抑え込まれており、身動きできないまま衣服を奪われていく。
「裕樹……!」
血走った目で必死に体を捻るが無駄だった。ついには四つん這いの恰好で尻穴に男根をあてがわれる。恐怖で体が強張る瞬間、それが勢いよく貫かれた。
「うがああっ!」
悲鳴と共に涙があふれた。今までの健太とのセックスとは比べ物にならない痛み。悲鳴を聞きながらも第二の男が再び俺の口を塞ぐ。
抵抗すれば髪を引っ張られ頭蓋骨が軋む。
「健太……ごめん……」
朦朧とする意識の中で謝罪の言葉だけが脳裏を巡る。健太のほうでも絶叫が上がった。体内を抉る衝撃に喉が裂けそうだ。
「ああっ……あああ!」
裕樹は嗚咽と共に身を捩る。しかし四方八方から押さえつけられ逃げることもできない。男たちの獣欲は衰えることなく、交互に侵入を繰り返す。裕樹の体は蹂躙され続けた。
どれほどの時間が経ったのか判然としなかった。体中の穴は弄ばれ尽くし、粘膜は赤く腫れている。床には二人の吐瀉物と精液が点々と散っていた。
最後の一陣の波が去り、男たちは服を整えると嘲笑と共に去って行った。鍵の音だけが虚しく響く。
俺は力なく四肢を投げ出し仰向けに横たわっていた。天井の汚れを虚ろな瞳で見つめる。健太は傍らで同じように倒れ込んでいた。
「……終わった……?」
俺がか細い声で尋ねる。健太は頷くこともできず浅く呼吸を繰り返すだけだった。互いの傷痕と精液が付着した肌を見て言葉を失う。
「大丈夫……?」
俺が掠れた声で訊ねる。健太は弱々しく笑った。
「裕樹こそ……酷い目に遭わせて……ごめん……」
二人はふらつきながら寄り添った。体は汚れているが温もりだけは確かだった。
「……一緒に帰ろう」
裕樹の提案に健太は辛うじて頷いた。そしてお互いを支え合いながら立ち上がる。トイレを出た先には闇と蝉の鳴き声が広がっていた。
これからどうやって生きていけばいいのか分からない。しかし今の二人にとって重要なのは、ただ抱きしめ合うことだけだった。
「一生……離れんなよ」
裕樹が呟くと、健太はしっかりと抱き返した。
「もちろん……離さない」
汗と涙と精液の匂いが残る中でも確かに感じる愛しさがあった。
「さあ……帰ろう」
俺が健太の肩を貸りながらゆっくりと歩き出した。暗い路地を進みながら時折互いに視線を合わせた。
俺たちは新たな人生へ向かう旅路を始めたばかりなんだ。
堕ちていく二人 第三者視点
健太 寝取らせに目覚め、裕樹の犯される姿に興奮するようになる。そして、家に読んでは、クラスメートの男たちに裕樹とセックスさせるようになった。そんな健太の嗜好にも裕樹は付き合っていた。いつまでも側にいることを誓った以上、健太の性癖を咎めるわけにはいかなかった。
健太に促されて、裕樹は体育館の倉庫に忍び込んだ。
そこで行われるのは、ただの練習ではない。
「裕樹、本当に……大丈夫?」
健太の声には、どこか遠慮がちな響きがあった。けれど、その瞳の奥に宿る光は、隠しようもなく妖しく燃えていた。
「平気……だよ」
裕樹はそう答えて、薄く笑った。だがその笑顔はすぐに消え、重苦しい沈黙が落ちる。
倉庫の扉が開き、ひとりの男子生徒が入ってきた。三年生の澤村。バスケ部のキャプテンで、チームのエース。普段の爽やかさからは想像もつかない、欲情を隠そうともしない眼差しで裕樹を見下ろしていた。
「健太から聞いたよ。面白い遊びをしてくれるって」
低く囁かれた言葉が、背筋を粟立たせる。澤村は裕樹を壁に追い詰めると、肩を掴んで耳元に口を寄せた。
「お前、健太のことが好きなんだって? なのに、こんなところに来るんだ」
裕樹は目を伏せた。答えられない。答えてしまえば、何かが決定的に壊れてしまいそうだった。
「なあ、健太」
澤村が振り向いて、壁際に立つ健太に笑いかける。
「お前の恋人、こんなに簡単に俺に落とされるぜ?」
その言葉に、健太の表情がぴくりと動いた。怒りではない。むしろ、悦びの色が浮かんでいた。
「いいだろ? 見せてくれよ、裕樹が他の男に抱かれるところ……ちゃんと撮っておくから」
健太がスマートフォンを取り出し、カメラを構えた。その動作が、全ての合図になった。
澤村は裕樹のベルトに手をかける。抵抗しようとした腕は容易く押さえつけられた。ユニフォームのシャツが乱暴に脱がされ、裸の肩があらわになる。
「結構、綺麗な体してんじゃん」
からかうような声と共に、澤村の指が胸の突起を弄った。電流のような感覚が走り、裕樹の喉から掠れた声が漏れる。
「んっ……やめ……っ」
「やめてほしい? 本当に?」
澤村の唇が首筋を辿り、舌先で汗を舐め取る。ぞわりとした感触に裕樹の体が震えた。
「健太、ちゃんと見てる? ほら、お前の好きな奴が、俺に感じてるぞ」
スマートフォンのレンズが、息を乱す裕樹の顔を捉えている。視線を向ければ、健太が真剣な眼差しでこちらを見ていた。その目は欲望に濡れている。
「もっと……もっとだよ、裕樹……」
健太の呟きが、倉庫の中に響いた。
澤村の手が、裕樹のズボンを引き下ろす。抵抗の声は、壁に当たって砕け散った。ひんやりとしたコンクリートの感触が背中を伝う。
「やめ……! ああっ!」
澤村の指が裕樹の秘部をまさぐり始める。潤滑油などない。乾いた痛みが走り、裕樹は思わず身を捩った。
「感じてるフリなんてしなくていいよ。お前が本当に欲しがってるのは、健太だろう?」
その言葉に、裕樹の胸がきしんだ。健太は、それを聞いてさらに興奮を深めている。まるで、自分を裏切ることで、唯一繋がれるような錯覚に酔っているかのようだった。
「ひっ……あ…健太……っ」
思わず漏れた名前を、澤村が遮る。
「今は、俺の番だろ?」
そう囁いたかと思うと、澤村は自身のズボンを下ろし、硬く勃起したものを露わにした。健太のよりも一回り大きいそれは、確かな存在感をもって裕樹の前に突きつけられる。
「口でしてくれよ」
命令の形をした言葉に、裕樹は唇を震わせる。拒否すれば、健太の期待を裏切ることになる。受け入れれば、自分をさらに汚すことになる。
「……わかったよ」
裕樹は諦めたように口を開いた。澤村のものを咥える。金属のような味と、汗の匂いが口中に広がる。吐き気に襲われながらも、必死に舌を動かした。
「いい子だ」
澤村が頭を掴み、腰を動かし始める。喉奥を突かれるたびに、呼吸が詰まる。苦しさに涙が滲むが、その姿を見ている健太の目には、愉悦の色が浮かんでいた。
「すごい……裕樹、そんな顔するんだ……」
健太のスマートフォンが、細かく振動する。レンズが裕樹の表情を逃さないように動いている。
「健太、もっと近くで見ろよ」
澤村が裕樹の口から引き抜くと、健太に向かって突きつけた。そこには、唾液と涙に濡れた裕樹の顔があった。
「ほら、お前の恋人がこんなになってる」
健太は喉を鳴らし、一歩近づいた。裕樹は目を閉じた。健太の視線が、肌を刺すように感じられる。
「もう……我慢できない……」
健太が呟き、澤村が笑う。
「なら、お楽しみの時間だ」
澤村が裕樹の腰を掴み、壁に手をつかせる。露わになった臀部に、澤村のものが押し当てられた。
「やめ……っ!」
抵抗の声は、悲鳴に変わった。押し入ってくる質量が、内側を引き裂くように広げていく。
「ああっ! 健太……!」
痛みと快感がないまぜになった衝撃が体を貫く。その姿を、健太が食い入るように見つめている。
「最高だ……裕樹……もっと……」
健太の興奮が頂点に達したとき、澤村がさらに激しく突き上げる。
「出すぞ……裕樹、飲み込めよ」
どくどくと注ぎ込まれる熱を感じながら、裕樹は健太の名を呼び続けた。
行為が終わり、澤村が去ったあと、裕樹は床に崩れ落ちた。健太が近づいてくる。その手には、まだスマートフォンが握られていた。
「ごめん……裕樹。でも、これで……俺たちはもっと深く繋がれた気がする」
健太の言葉に、裕樹はただ苦笑した。もはや、彼を拒む術はない。その歪んだ愛情を受け入れることでしか、自分たちの関係を保てないのだと理解していた。
「……ああ。それでいいよ、健太」
そう答えた声は、ひどく空虚だった。
倉庫を出た夜道、二人は黙って歩いた。街灯の光が、ふたりの影を長く引き伸ばしている。
「明日、また……付き合ってもらうかもしれない」
健太が呟いた。裕樹は小さく頷いた。
「いいよ。健太が望むなら……なんでも」
その言葉に、健太は微笑んだ。しかし、その笑顔には、どこか狂気めいたものが漂っていた。
そして、裕樹もまた、その狂気に溺れることを選ぶしかないのだと、心の底で悟っていた。
翌週の火曜日、雨上がりのグラウンドはぬかるんでいた。健太は自宅で裕樹を待ちながら、インターネットでゲイ向けの掲示板を巡回していた。昨晩の一件が、彼の好奇心と欲望をさらに煽っていたのだ。
「もっと過激に……もっと滅茶苦茶に……」
画面に表示された無数の投稿を目で追いながら、健太は小さく息を荒くする。そして、ある書き込みを見つけた。
健太は、唇の端を吊り上げた。自分の通う高校の名前と、具体的な場所が記載されている。偶然か必然か、いずれにせよこれは好機だった。彼は早速返信を書き込む。
すぐに返事がきた。
健太は笑いを堪えきれなかった。これで、裕樹はさらに深い地獄へ堕ちていくだろう。そう思うと、興奮で体が熱くなるのを感じた。
その日の授業中、健太は落ち着きなく窓の外を眺めていた。雨雲の切れ間から、青空が覗いている。裕樹は隣の席で教科書を開いていたが、どこか上の空のようだった。彼は昨晩の出来事を思い出しているのだろう。
昼休みになると、健太は裕樹を屋上に連れ出した。誰もいないコンクリートの床に並んで腰を下ろし、缶コーヒーを飲む。
「昨日は……大丈夫だった?」
裕樹が小さく尋ねる。健太は曖昧に頷いた。
「ああ、悪くなかったよ」
実際、映像としても、体験としても、健太にとっては最高のものだった。裕樹が他人に犯され、それに耐える姿は、何物にも代え難い悦楽を与えてくれた。
「……次は、もっと凄いことになるかもしれない」
健太はそう告げた。裕樹の表情が僅かに強張る。
「どういうこと?」
「夜になってから説明するよ。とにかく、今夜また、学校に来てほしい」
健樹はしばらく黙っていたが、やがて静かに頷いた。
「わかった。健太がそうしたいなら……」
その従順さが、健太の歪んだ支配欲を満たしていく。彼は裕樹の肩に手を回し、唇を重ねた。短く、激しいキス。裕樹の体が震えるのを感じながら、健太は満足そうに笑った。
放課後、二人はそれぞれ帰宅した。夜の約束のために、心身共に準備が必要だった。
健太は家に帰るとすぐに、買ってきたばかりのデジタルカメラと三脚を用意した。スマートフォンのカメラでは不十分だと判断したのだ。今回は、より鮮明に、より克明に、裕樹の姿を記録しなければならない。
一方裕樹は、自分の部屋で、昨晩の傷跡に目を落としていた。臀部の鈍痛はまだ消えていない。彼は鏡の前で、自分の体を見つめた。ここ数ヶ月で、明らかに変わってしまった肉体。それは健太の好みに沿うように、徐々に作り変えられてきている。
「俺は……どこまでいけるんだろう」
そう呟きながら、裕樹はベッドに横たわった。夕闇が窓の外を覆っていく。もうすぐ夜が来る。そして、また新しい闇が訪れるのだ。
時刻は八時半を過ぎていた。健太は先に体育館裏で待機していた。裕樹が到着すると、健太は黒いレインコートを手渡した。
「これを着て。中は何も着るな」
裕樹は無言で服を脱ぎ始めた。抵抗の意思は、すでに枯れ果てている。レインコート一枚を羽織り、二人で倉庫へ向かう。
倉庫の扉は既に開いていた。中から低い笑い声が漏れ聞こえる。健太が先に入ると、そこには複数の人影があった。暗がりの中、携帯電話の明かりがちらちらと蠢いている。
「よう、来たな」
昨晩の澤村とは別の声が響いた。前方に立つのは、金髪を短く刈り込んだ男だった。年齢は二十代半ばといったところか。腕には刺青が覗いている。
「紹介するよ。こいつが、俺の……恋人だ」
健太が裕樹の肩を抱きながら言った。男はニヤリと笑う。
「へえ、いい顔してるじゃねえか。可愛い声で泣きそうだな」
その言葉に、後ろにいた数人の男たちもくすくすと笑った。倉庫の隅に、三脚に固定されたカメラが据えられている。健太がセッティングしたものだ。
「ルールは簡単だ。お前は、今夜ここにいる全員に抱かれる。その間、健太は撮影係だ」
金髪の男が宣言した。裕樹は唇を噛み締めた。昨晩よりも、遥かに過酷な状況。しかし、健太の恍惚とした表情を見れば、これが彼の望んだものだと理解できる。
「始めようか」
男が裕樹に近づく。レインコートの襟に手をかけ、ゆっくりと引き裂いていく。布地が裂ける音と共に、裕樹の裸体が露わになった。
「いい体だな。相当鍛えてるだろ」
男が裕樹の胸に指を這わせる。裕樹の体がびくりと跳ねた。
「感じやすいタイプだな。気に入ったぜ」
男はそう言いながら、自分のベルトに手をかけた。他の男たちも、徐々に近づいてくる。
健太はカメラ越しに、その光景を眺めていた。被写体となった裕樹の顔が、恥辱と恐怖で歪む様子。それに興奮する自分自身の姿。
「最高だよ、裕樹……もっと、もっと壊れて……」
健太の呟きが、倉庫の中に響いた。そして、夜の饗宴が始まった。
男たちが裕樹の体を押し倒す。複数の手が肌を這い回り、口とアナルを同時に塞ぐ。苦悶の声が上がるたび、健太はシャッターを切った。フィルムの中で、裕樹は完全に破壊されていく。
「ああっ! やめ……ああ!」
裕樹の悲鳴が木霊する。しかし、その声も次第にかすれ、最終的には喘ぎだけが残った。
金髪の男が裕樹の内部に侵入する。昨晩の澤村よりも、さらに凶悪な質量。裕樹は目を見開き、喉を反らした。
「どうだ? これが本物の快感だろ?」
男が腰を動かすたび、裕樹の体が痙攣する。その様子を、健太は食い入るように見つめた。
「もっと……もっとだ……」
健太の指がカメラのダイヤルを回す。連続してフラッシュが焚かれ、倉庫の中が一瞬明るくなった。そこに写るのは、欲望に溺れる獣たちの群れだった。
第二の男が加わる。裕樹の口が塞がれ、後ろからは金髪の男が攻め立てる。前後の穴を同時に穿たれ、裕樹は白目を剥いた。
「健太……っ! 健太ぁ!」
必死に名を呼ぶ声も、やがて聞こえなくなる。男たちの欲望の奔流に、裕樹の意識は押し流されていった。
夜が更けても、倉庫での宴は続いた。男たちは交代で裕樹を犯し続け、裕樹も何度も男たちの前で射精した。
その姿を健太は徹底的に記録し続けた。フィルムが尽きるまで、この凌辱劇は終わらない。
やがて明け方近くになって、ようやく男たちは満足して去っていった。倉庫に残されたのは、全身を汚された裕樹と、興奮で震える健太だけだった。
「素晴らしかったよ……裕樹」
健太がカメラを置いて、裕樹に近づく。裕樹は床に横たわったまま、か細く息をしていた。
「……もう……」
その言葉は、途中で途切れた。健太は裕樹の頭を撫でながら、優しく囁いた。
「大丈夫。明日には忘れられるよ。それに……またやりたいなら、いつでも付き合ってあげる」
裕樹は返事をしなかった。ただ、虚空を見つめているだけだった。その瞳には、もはや感情の色すら宿っていない。
健太は満足げに微笑むと、裕樹を抱き起こした。朝日が窓から差し込み始める中、二人は倉庫を後にした。
これでまた一歩、彼らの関係は深まったのだ。それが、どんなに歪んだ形であったとしても。
裕樹は泥のように眠った。健太のベッドの上で、制服も着替えず、ただ横たわっていた。喉の渇きを感じながらも起き上がることができない。体中の痛みと疲労が重くのしかかっている。
夢の中でさえ、昨日の光景が甦る。男たちの荒い息遣い。皮革の擦れる音。カメラのシャッター音。すべてが現実感を伴って襲いかかる。
目が覚めたのは昼過ぎだった。部屋のカーテンは閉ざされ、薄暗い光が隙間から漏れている。健太は机に向かって座り、昨日撮影したデータを整理していた。ヘッドホンをかけて、画面に集中している。
「起きた?」
振り向いた健太の顔は、なぜか清々しいほど晴れやかだった。裕樹は体を起こそうとして、激痛に襲われた。腰から下半身全体が軋む。
「無理すんなよ。今日は一日安静にしてろ」
健太が近づいてきて、水のペットボトルを手渡す。裕樹は震える手で受け取り、少しずつ口に含んだ。喉を伝う冷水が、胃に落ちていく。
「……昨日のことは」
裕樹が小さく切り出した。健太は椅子に戻りながら、
「最高だったよ」と即答した。「あれを見てたら、俺、なんか生まれ変わったみたいな気がした」
その言葉に、裕樹の背筋が冷たくなる。健太の変貌は日に日に深刻化している。もはや常軌を逸していると言ってもいい。
「……もう、やめよう」
裕樹が言った。健太は驚いたように目を丸くする。
「何を?」
「こういうこと。昨日みたいなのは……もう嫌だ」
裕樹の声は震えていた。健太はしばらく黙っていたが、やがて静かに笑い出した。
「裕樹、お前こそ何言ってんだ? 昨日、あんなに感じてたくせに」
「違う!」
裕樹は必死に否定した。しかし、健太は聞く耳を持たない。
「いいや、嘘つけないよ。お前の顔、カメラに全部写ってるんだから。見てみる?」
健太が画面を向ける。そこには、昨日の裕樹の姿が再生されていた。ちんぽ勃起させ、精液を垂れ流し、苦悶と快楽が入り混じった表情。声にならない喘ぎ。それらすべてが、残酷なまでに鮮明に記録されている。
「見たくない……!」
裕樹が顔を背ける。健太はため息をついた。
「わかったよ。ちょっと休憩しようか」
健太はパソコンを閉じ、裕樹の横に座った。そして、そっと額に唇を押し当てる。
「怒らないでくれよ。俺だって、裕樹が嫌なことはしたくないんだ」
その優しい口調に、裕樹は少し安心した。しかし、すぐに健太の手が裕樹の胸に伸びる。
「だけど、我慢できないんだ。お前が他の男に犯されるのを見るのが、どうしても止められない」
健太の指が、裕樹の乳首を摘む。昨日の名残で敏感になっているそこは、僅かな刺激だけで反応してしまった。
「あっ……やめ……」
「ほら、やっぱり感じてるじゃないか」
健太が嬉しそうに笑う。そして、さらに深く体を弄り始める。裕樹は抵抗しようとしたが、体に力が入らない。
「だめだよ健太……今は……」
「大丈夫、優しくするから」
健太は裕樹の服をゆっくりと脱がせた。全身に残された痣や傷跡を見て、満足げに微笑む。
「きれいだよ……裕樹。俺だけのものだ」
そう囁きながら、健太は裕樹の体に口づけを落としていく。首筋、鎖骨、胸、腹部へと移動するたびに、小さな印が刻まれていった。
「ああ……健太……」
裕樹の声が、次第に艶を帯びてくる。健太はさらに深く愛撫を続けた。昨日の凌辱の記憶と、健太からの愛情表現が交錯する。矛盾した感情が、裕樹の中で渦巻いていた。
「お前が俺だけのものだって証拠を、もっともっと作らないとな」
健太が裕樹の股間に顔を埋める。裕樹は思わず健太の頭を掴んだ。
「だめ……だめだよ……」
しかし、健太は容赦なく責め立てる。舌と指を使って、昨日とは違う優しい快感を与え続ける。裕樹の体は、否応なしに反応していった。
「ああっ! 健太……健太ぁ!」
裕樹の声が高くなる。健太は嬉しそうに顔を上げると、今度は自分のものを取り出した。
「入れるよ」
そう言って、ゆっくりと裕樹の中に入っていく。昨日とは違う、じっくりとした挿入。裕樹は健太の首に手を回した。
「ああ……健太……」
二人は深く交わった。健太の動きは穏やかだったが、確実に裕樹の弱点を突いてくる。快感が全身を駆け巡り、裕樹は激しく喘いだ。
「愛してるよ……裕樹……」
健太の言葉が、耳元で響く。裕樹はもう、何も考えられなくなっていた。ただ、与えられる快楽に身を任せるだけ。
「僕も……愛してる……」
そう呟いた瞬間、健太の動きが激しくなった。二人は同時に果てた。大量の精液が、裕樹の内部に注ぎ込まれる。
荒い息をつきながら、二人は抱き合った。窓の外では、夕暮れが近づいていた。
「な? やっぱり良かったじゃないか」
健太が裕樹の髪を撫でながら言う。裕樹は小さく頷いた。健太は満足そうに微笑むと、
「じゃあ、また明日ね」と囁いた。
「……明日も?」
「ああ。次の予定も決まってるから」
健太の目が妖しく光る。裕樹は絶望的な気持ちになりながらも、健太を拒むことができなかった。ただ、静かに頷くしかなかったのだ。
夕陽が、二人の影を赤く染めている。歪んだ愛情に囚われた彼らの関係は、どこまでも深く、暗い淵へと落ちていくばかりだった。