ベテランとルーキーの彼女らは、
安全な妖怪姦を提供する……退魔巫女の保養所で出会います。
彼女らは強妖、鵺との婚姻契約を結んで?
Skebにてご依頼を受け、執筆した作品です。
お楽しみいただければ幸いです!
勇と沙耶、鵺と交わり仔獣を産む
「はぁぁあッ!」
研ぎ澄まされた玉鋼が巨蟲を断つ。オオグモの外骨格は強固だが、退魔巫女の一閃はそれを上回った。
妖気が四散し、妖怪の身体も崩れていく。新堂勇は今日も調伏を果たした。しかし彼女の勝利は薄氷の上のものだった。
(あ、あぶなかった……!)
吐きだす息はいまだ荒く、残心をする余裕もない。
勇の実力なら苦戦するはずのない相手だった。しかし白衣は粘糸でずり落とされ、形のよい乳房が露出している。緋袴も毒牙でボロボロだ。一歩でも間違っていたら、その下の秘花も食いあらされていたことだろう。
(淫の気が溜まっているのか……)
呼吸を整えて納刀してから、勇はそう自己分析した。彼女はベテランだ。己の不調の原因を正確に把握できていた。
ほとんどの退魔巫女は任務中に妖怪に犯され、望まぬ快楽を叩きこまれることとなる。その体験は淫気の埋め火となり、少女のナカで燻りつづける。
勇のそれはすでに焔となっている。ゆえに先ほどもつけこまれ、苦戦を演じてしまった。これを解消するには欲求を叶える……すなわち、妖怪に犯される必要がある。
しかし人を守ることが使命の退魔巫女なれば、わざと負けることなどできない。懊悩する勇はとある施設を思いだした。山中に建つ妖怪の研究所だ。
(だが、そこの本当の目的は……)
その顔は表向きのものに過ぎない。妖怪との交歓に魅せられた退魔巫女に、安全に異種姦を提供する……保養所としての役割が主だという。
普段ならけしからんと切りすてるところだ。しかしそんな余裕はすでにないことが身に染みている。
「…………」
勇は結局、件の施設を訪ねることに決めた。
◇
小高い山の中腹にその建物はあった。連ねた山々はまるごと、研究所の敷地だという。
悪徳が詰まったような場所であるが、木々が茂る山道の空気はとても清浄だった。清められた霊地であることがわかる。
「新堂勇さんですね。お待ちしておりました」
「う、うむ」
研究所の受付は一流企業のロビーさながらだった。広々として、清掃も行きとどいている。
すでに連絡は済ませてある。巫女装束の上にドクターコートを羽織る職員に案内され、応接室まで通された。
そこにはすでに、ひとりの少女が座っていた。
長い銀髪が後ろで一本にまとめられている。背筋をぴんと伸ばしており、初々しい雰囲気が色濃い。退魔業に就いてまだ日が浅いのだと勇は直感した。
「あっ……こ、こんにちは!」
彼女は勇の姿を認めると、勢いよく立ちあがった。白衣の下からでも主張する巨乳がたゆんと揺れる。
「わたしは東雲沙耶っていいます。よろしくお願いします」
「某は新堂勇と申す。よろしくな」
古風すぎる勇の言葉に面食らったようだが……沙耶は笑顔を返してくれた。
職員が辞した後、ふたりは雑談をはじめる。
「沙耶はどうしてここに? ……あぁっ、言いたくなければ別に……!」
「いえ、大丈夫です。えっと、実は……」
ここに来ることになった経緯を沙耶は話してくれた。
勇の見立てどおり、沙耶は新米退魔巫女である。いつもは妹とコンビを組んでいるのだが、その時は彼女ひとりだった。それでも単身で調伏に向かった結果……妖怪から何度も陵辱を受けてしまったという。
淫の気が溜まった沙耶はそれを解消するため、ここを紹介されたというのだ。
「紗月を待てば良かったんだろうけど……。村の人たちを放っておけなかったから」
沙耶の言葉に勇は感心する。実力はまだまだだろうが、退魔巫女としての心構えが素晴らしい。
しかしそれが原因でここに来ることになってしまったのだから、皮肉という他ない。
「某もなんとか我慢してきたのだが……もう限界でな」
「え。普通に戦ってても、淫の気って溜まっちゃうんですか?」
新人の疑問は素朴だった。ゆえに勇の頬がぱっと赤くなる。
「う、うむ……。長く退魔巫女をやっているとどうしても、昔のことを思いだして……。決して某が好色なわけでは……!」
「は、はい! わかってます!」
まくしたてるような勇の言葉に、沙耶は何度も頷く。
そんな会話の終わりにちょうど、担当の職員が部屋を訪れた。眼鏡をかけた彼女はファイルを開くと、退魔巫女たちに慰安のプランを提案する。
「おふたりとも、相当に淫の気が溜まっているので……。大妖との夫婦契約をおすすめします」
「夫婦契約……?」
「はい」
沙耶の疑問に職員は答える。
退魔巫女に安全な妖怪姦を提供する。これは大妖の協力があって成立している。
強力な彼らは肉欲もまた強い。そこで思う存分に種付けを行えるよう……退魔巫女と、二~三か月ほどの夫婦契約を結ぶプランがあるとのことだ。
「今回のお相手はかなり欲を溜めているので、おふたりにお願いします」
「承知した」
勇の即答に少し遅れ、沙耶も頷いて肯定を示す。黒髪の退魔巫女はさらに言葉を続けた。
「それで、相手というのは?」
「鵺です」
「ぬ、鵺……?」
沙耶がぽつりと発した声に、勇は震えを感じとった。
サルの頭に、トラの胴体と四肢。さらに尾はヘビでできている。様々な動物が合成した妖獣だ。
退治譚も現在まで伝えられている、紛れもない強豪である。確かにこれはふたりでかからねば、その欲を受けとめきれないかもしれない。
「今回は検証も兼ねています。霊力の違う退魔巫女からは、違う傾向の仔が産まれるのか調べたいので……少なくとも二、三匹はお願いしますね」
「で、でも、妖怪の仔をたくさん産むと、妖怪になっちゃうって……」
出産を前提にした話に、沙耶は頬を染めながら疑問を投げかけた。
その答えはこの場所に用意されていた。ここは清められた霊地である。ゆえにいくら異種出産を行っても、妖気が巫女の身体を侵すことはない。
それどころか淫の気を晴らすため、できるだけ多くの仔を産んだ方が良いというのだ。
(妖怪の仔を孕むのか……)
異種姦の経験はあれど勇もまだ、異種出産は経験したことがない。凛々しい彼女も未知の邪蝕を前に、つい及び腰になってしまう。
「そうだ。このケースでは、半妖が産まれる可能性もあって……」
「は、半妖……?」
妖怪に孕まされると通常、その妖怪のそのものの仔を産む。しかしどんな巡りあわせか。人間の特徴を備えるものが産まれることがある。
妖怪でも人間でもないもの。それを胎で育て、膣から通し、世に送りだす。それは……どんな心持ちがするものなのだろうか?
被虐の悦熱が早くも、退魔巫女の心身を震わせた。
「それでは、こちらの書類に署名をお願いします」
「う、うむ……」
「…………」
快楽への昂りをなにものよりも優先してしまった。ふたりは差しだされたペンを受けとると、婚姻契約の書類に署名をする。
◇
鵺と婚姻を結び、その仔を産む。ふたりの退魔巫女はこれから、そんな退廃的な日々が待っている。
しかしこの期間は勇が沙耶の指導と教育をしていた……と記録されるらしい。
「それではこちらで少々お待ちください」
研究所から徒歩で十分ほど。勇と沙耶は小屋に案内された。彼女らを中に入れると、職員巫女は来た道を引きかえしていく。
小屋といっても立派な平屋である。玄関は広いリビングに直結し、バスルームも設えられている。もちろん電気と水道も敷かれていた。期間中、とても快適に暮らせそうである。
「勇さん……」
「うむ……」
そんな中にあって明らかに異常な一角があった。リビングの半分以上に、藁が敷かれているのだ。
大型の犬畜……いや。それ以上の体躯を持つ禽獣との共同生活を想定しているようだった。
「……!」
勇は思わず沙耶を後ろに下がらせた。ここが退魔巫女の保養所であることも忘れていた。それほどまでに濃密な妖気が扉の隙間から忍びこんでくる。
これまでに感じた中でも間違いなく、最上位に位置するほどの気配である。
ギィィィ……ッ。
押し戸がゆっくりと開かれてゆく。同時に凄まじい獣臭が顔を叩いた。勇はますます瞳を尖らせ、妖気の源を見つめる。
まずはサルの顔が入りこんだ。続いて黒と黄で彩られたトラの体躯がのっそりと現れる。
全身を小屋に入れた後、尻尾のヘビが扉をばたりと閉めた。
「…………」
「い、勇さんっ……」
ふたりがこれから番うことになる……鵺が現れた。
勇は鵺を調伏したこともある。しかしかつて対峙したことのあるものより、優にひと回りは大きい。それだけ強力であることがわかる。
「ヒョォー! ヒョォオーーーッ!!」
耳をつんざく甲高い鳴き声に、背後の沙耶がびくりと反応した。サルの口から発せられたのは怪鳥の叫びのごとき、不快極まりない音波だった。
しかし今から自分たちは、この妖魅とまぐわうのだ。それだけでない。孕まされ、妖獣の仔を何度も産むことになる。
それを思いだすと……。
「はぁ、はぁっ……」
心拍は高鳴り、淫血が全身を巡る。興奮していることを勇は自覚した。そして白衣から袖を抜く。
「勇さんっ?! なにを……」
「沙耶……お主も、某と同じようにするのだ」
新米は驚くが、すぐに言うとおり、勇の行動を真似しはじめる。
退魔巫女たちは衣服を全て落とした。己の白肌をあますところなく晒す。寸鉄すら帯びていないという、徹底的な非武装の証である。
しかし妖物に対する降伏宣言は、これではまだ足りない。
「…………」
床に正座した勇は、自らが脱ぎすてた衣服を丁寧に畳みはじめた。戸惑いながらも、沙耶もこれに続く。
退魔巫女がまとう装束も一種の武装である。これを整然と折りたたむことは、もうこれを身につける意思がないことを表す。
そして最後に頭を垂れる。額が床にしっかりと接した。
「こ、これから某らを……そなたの妻に、してくれないだろうか……?」
「わ……、わたしからもお願いします……!」
一糸まとわぬ女体を晒し、二度と衣服を着ぬことを告げ、三指をつき深々と平伏する。この全裸土下座こそが、退魔巫女の正式な降伏の作法であった。
牙なき人のため退魔巫女は戦う。共存派でも殲滅派でも、その教えはまず一番に授かる。
しかし実力が及ばず、己の生命を優先すべき時もある。その際は経戦の意思がないことを、言葉を用いず示さねばならない。
よってこの降伏の作法は、ベテランほどしっかりと身についている。
「ホッホッ……ヒョォッ!」
鵺の眼前には素晴らしい光景が広がっているはずだ。
平伏しても脇から巨房を隠せぬ沙耶。日々の鍛錬により引き締まった小尻を掲げる勇。どちらも孕ませ甲斐のある女体といえる。
彼女らは完全降伏を示している。すなわち、もうなにをしても妖物の自由ということだ。
ずんっ!
「あ゛……! あぁぁっ……!」
「い、勇さん!」
まず鵺が選んだのは、勇の方だった。霊力が高い退魔巫女を優先したのか、はたまた……。黒髪がより好みだった、というだけの話かもしれない。
ともかく妖怪との交歓は、ついに始まった。
(な、なんだ、この魔羅はっ……)
勇が感じるものは快楽ではなかった。柳眉が寄り、冷汗が流れる。苛烈な痛苦が敏感な内腔から伝えられる。
女体に全く準備が出来ていないから。それも原因のひとつだ。最も大きな理由は鵺の性器にあった。
トラの胴体を持つ彼奴は、生殖器もネコ科の肉食獣のものである。その根元には鋭い肉棘が、幹竿を囲うようにびっしりと生えている。それが勇に性虐を加えたのだった。
ざりりっ! ずりっ! ざりっ!
「あぁっ! あ゛! い、いたい……ッ!」
引きぬかれても押しこまれても、鋭い痛苦と悦楽を刺しこまれる。性粘膜という決して鍛えられる箇所を責められ、歴戦の退魔巫女は成す術もなく鳴かされた。
勇は首を反らして悩乱を示す。艶やかな黒髪が舞いおどった。しかし彼女はそれを気にする余裕もない。陵辱で涙を流す様は、ただの少女のようでもあった。
ずぶっ! ずぢっ、ずずりぃっ!
「あはぁ……! あ、あぁぁ……!」
しかし頑健な退魔巫女は早くも、妖獣の牡根がもたらす邪悦に魅入られつつあった。
肉棘はGスポットを捕らえ、しつこく掻きむしる。逞しい腰つきにより、勢いよく子宮口を叩かれる。
獣の交尾により、勇は淫蕩な商売女のような媚態を示す。眉間によったシワも、今は痛苦の表れではない。性感の深さがそこに現れていた。
「ホヒョッ、ホォォッ!」
締めつけを強めていく牝肉洞に、鵺も吠え声をあげる。奥まで突きこんだ瞬間、無数の肉棘が逆立った。膣浅の部分に食いこみ、鈴口と子宮口との密着をしっかりと固定する。
刺痛と邪悦のあまりの鋭さに、勇は喉を詰まらせた。その間もなく放胤が始まる。
どくんっ! どくんっ! どく、どくんっ……どぴゅンッ!
「あひっ、は……! あ、あぁぁぁあッ!」
強妖は射精もまた凄まじい。胎中を占領せんばかりの量を注ぎこまれる。下に向けた腹がどんどん膨らんでいくのは、決して勇の錯覚などではない。
同時に、熱さが子宮内壁を灼き焦がす。鵺が放った胤の活発さをそのまま表していた。肉棘の快楽で排卵は促されている。無防備な卵子がこの白種波を免れる可能性は、万にひとつもなかった。
◇
「あ、あぁ……あへ……」
「いっ……勇さん……っ」
剛妖と退魔巫女との交尾を、沙耶は特等席で見届けてしまった。
勇とはついさっき出会ったばかりだ。しかし誠実で一本気な性格と……なにより実力の高さははっきりとわかっていた。
しかしそんな彼女は妖獣に組みふせられると随喜の涙を流し……体液を注がれきった。長く艶やかな黒髪は乱れに乱れ、鼻からも口からも体液を垂らす。凛々しい瞳はひっくり返りきっていた。
「ひっ」
歴戦の退魔巫女を狂態に追いこんだ鵺は当然、次は沙耶を標的にする。サルの顔がこちらを向いた。獣の小さな瞳にはまだまだ、好色な光が宿っている。
身を竦ませた沙耶は逃げるどころか動くすらできない。ゆえに鵺は悠々と、彼女の背後に身を移す。
ずっ、ずずずずっ!
「あっ……あぁッ!」
そしてトラの性器で、沙耶の女孔を一気に満たした。触手や亜人の挿入にはなかった強烈なざらつきを感じ、思わず嬌声が迸る。
勇を泣かせに泣かせた、肉棘の淫虐が沙耶にも課される。しかし新人退魔巫女が味わうものは痛苦ではなかった。
「あっ、あ……?」
確かに抵抗は感じる。しかしそれは強い快楽につながっていた。
勇の愛蜜と鵺の精液。その混合物は肉棘をローションのごとく包み、少女の膣腔を守ってくれたのだ。
そして原因は牡ばかりにない。合成妖種と退魔巫女との交わりを間近で見た沙耶は、濃厚な淫気に中てられてしまった。
ずん! ずちゅっ! ずちゅんっ!
「はぁっ、あぁっ! あっ!」
ゆえに沙耶のナカも充分に潤い、準備が整っている。それも性感を助長していた。巨獣の抽送と嗜虐的な牡根から、しっかりと悦楽を受けとることができる。
一人と一頭との結合部からは早くも水音が鳴りだした。淫らに奏でられるそれはますます高く、小屋に反響しだす。
(こ、これ……すごいぃ……!)
触手に巻きつかれるのとも、亜人に苛められるのともまた違う。獣がぶつけてくる肉欲と肉弾は本能が剥きだしで真っすぐだ。鵺との交歓に沙耶は酔いしれはじめる。
ゆえに妖獣が別の動きをしたことに、もちろん気づくことはない。
チクッ!
「いッ……!?」
突如として刺しこまれた痛みに沙耶は目を剥いた。左の太腿の皮フが、なにか鋭いものに破かれていた。
咄嗟に振り向く。沙耶を襲ったもの。それは毒牙だった。鵺の尾部を構成するヘビが少女の柔肌に痕を残していた。それを理解した瞬間、沙耶の全身がかっと熱くなる。
「あぁっ?! あっ、あっ……!」
血の巡りが速くなり、汗が噴きだしはじめた。心臓は高い脈を刻みだす。身体は異常の信号を発していた。しかしそれよりも強いのはもちろん……快楽だ。
急な変化にはもちろん理由がある。妖獣の一部であるヘビは、沙耶に毒を打ちこんでいた。もちろん致命の毒ではない。女体を無理やり沸かせる、淫毒である。
「はぁっ! あぁっ! ……お、お゛ぉ……! ほぉっ、お゛ッ!」
その効果は強力きわまりなかった。沙耶の瞳は濁りだし、Oの字に開いた桃唇からはサルのような嬌声があがる。いつの間にか鼻血すら出ていた。しかし妖怪に昂らされた退魔巫女は、そんなことを気にしない。
沙耶の上には依然として四足獣が覆いかぶさり、盛んに腰をぶつける。少女はそれに、喉が張りさけんばかりの媚態を返す。ケダモノの交尾となんら変わりがなかった。
どくっ! どくっ! どくんっ!
「あぉっ……! あ、あ……! お、おぉぉ……ッ」
ゆえにクライマックスも早かった。鵺はひときわ強く逸物を突きいれると、沙耶のナカにも胤汁をぶち撒ける。
新人の退魔巫女は初めての単独調伏で、何度も妖怪に犯された。年経りて妖怪となった人面樹にも精を注がれたが……この鵺の種付けは、その比ではなかった。
どくっ、どくっ……どくんっ! どくっ!
「おぉっ、あっ、おぁぁ……ッ!」
獣から注ぎこまれる種汁は灼けるように熱い。子宮の内壁を爛れさせながら、遺伝子を深く深く刻みこんでいく。欠片ほど残された人間らしい思考が、そんな連想を導いた。
(こ、こんなの……)
林の中で幾度なく妖怪に犯された。そんな時でも閃くことのなかった直感が、沙耶の全身を強く貫く。
ついさっき出会ったばかりの鵺に……この強雄に今ここで孕ませられた。それがはっきりとわかった。
◇
退魔巫女たちと妖物の共同生活が始まり、早くも一か月が経った。ふたりの日常は全て、獣によって決められている。
「はぁっ、あぁっ、あぁぁッ!」
この小屋の主は今、銀髪の退魔巫女を犯していた。沙耶は腹を天井に向け、その上を鵺が占領している。人と獣は正常位の形で結ばれていた。
ずちゅっ、ずぢゅっ、ぐちゅっ! どぢゅっ!
無防備な腹を晒すのは野生において降伏の証だ。強獣である鵺とつながるのに適切な体位といえる。
しかしそれ以上に、沙耶が床を背負う理由があった。抽送はますます激しさを増し、少女はたまらず妖怪に訴えかける。
「!? だめぇっ……! あ、あかちゃんが……!」
新米退魔巫女の腹は大きく膨らんでいた。それは鵺に孕まされた証に他ならない。そして驚くべきことに……彼女がこの小屋で妊婦となるのは、これが初めてではなかった。
鵺の胎児は非常に成長が早かった。わずか二週間ほどで月が満ち、沙耶は五頭の出産を経験した。
早産で、しかも多産。強妖の剛は繁殖においても発揮された。鵺の種は退魔巫女の胎を利用しきっている。
ぐぐっ……!
「あっ……! うぅぅっ!」
メスの口答えが癇に障ったのか。トラの前脚が沙耶の腹を圧迫した。少女は痛々しい呻きをあげる。
重さを追加された骨盤も苦し気に喘ぎだす。身体を内側から粉砕されそうで、沙耶の花貌が青ざめていく。
ぐぢゅっ! どちゅっ! どむっ、ずぢゅぅうっ!
「あはぁ……! あ、あッ!」
しかし我が仔が潰される懸念も、自分が壊される恐怖も肉棘がもたらす快楽が全てを曖昧にしてしまった。虎棒は膣壁を引っかき、荒しまわっていく。それは尋常ならざる邪悦に通じていた。
「あぁぁっ……! う! うぅぅうーーッ!」
沙耶は首を反らす。藁敷の床に後頭部を擦りつけ、震える喉元を鵺に見せつけた。腹以上の急所を鵺に差しだしながら、ますます妖怪姦にのめりこんでいく。
そして黒髪の巫女も、獣悦から逃れることはできていなかった。
◇
「くぅぅっ……! お主たち、もうすこし、加減を……! あぁぁっ!」
勇も沙耶と同じく、すでに異種出産を果たしていた。そして彼女はその続き……すなわち仔育ての真っ最中である。
「はぁっ、はぁっ! ……うぅっ……」
厳しい鍛錬で引きしまっていた腹は破裂しそうなほど膨らんでいた。そのナカにはもちろん、複数の妖物の仔が宿されている。
鵺に征服された胎は重い背を床に縫いつけられたがごとく、勇は動けない。しかし先に産まれた仔たちは容赦なかった。
「ふぅっ、うぅっ……! あっ!」
妊娠と出産を経験したからか。勇の胸もだらしなく肥大化し、ミルクが染みでるようになっている。サル顔の赤仔は唇を窄ませ、乳首に強く吸いつく。
妖物の母となったとはいえ、勇は人間である。乳房はふたつしかない。多頭で産まれた仔獣には、白養からあぶれたものがいた。
「ヒョォッ! ヒョッ! オォォオッ!」
鵺の幼仔は飢えに怒りを露わにしている。しかし畜生道に生きるものどもは譲りあいなどしない。それどころかポジションを奪われぬよう、ますます強く勇の乳首に吸いつく。
母は啜悦に艶叫をあげるばかりだ。業を煮やした彼奴は、別の箇所に取りつきだす。
じゅるっ! ぢゅぞぞっ!
「な!? そこはっ! や、やめろぉ……、あッ!」
愛液を滴らせる、母の淫処だった。二弁の華を舌で舐めあげ、蜜穴に舌をねじこむ。妖獣にとってはそこも滋養となるようで、仔鵺は顔を突っ込んでむしゃぶりつく。
動物らしいざらざらの舌が性粘膜を研磨する。それだけでない。
(そ、某が、こんな……!)
自分が腹を痛めて産んだ仔にも嬲られる。獣姦と近親相姦という、ヒトの倫理とはかけ離れた行いである。
己を厳しく律する勇には想像もできなかった世界だ。背徳感を煽られ、さらに深く熱い邪悦に耽溺していく。
びくんッ!
「うぅっ……!?」
勇の身体が震えた。乳首や淫裂からではない、体奥から訪れた震えだった。
次なる仔どもが今まさに誕生しようとしている。何の準備もないまま出産に臨まされる母は、群がる我が仔に向かって声を張りあげる。
「は、はなれろ、おぬしたち……っ! もう、うまれて……!」
しかしまるで言うことを聞かない。
彼奴らは勇の腹から出てきたが……彼女を母と認識していない。ゆえに平気で無体な行いを課す。乳首や陰核にも歯を立て、さらに体液を搾りとろうとする。
ぐぐっ……!
「ひぁっ!? あ、あ!」
それは今も子宮にいる弟たちも同じだった。
強妖の血を引く彼奴らは、早く外界を見たい。そして自分たちも父や兄と同じように、獲物を蹂躙したくてたまらないのだ。
大きく膨らんだ勇の腹が蠢く。胎動は外から見てもわかるほどだった。今回、勇に宿った仔鵺は四匹だった。その全てが我先にと膣口へ殺到する。
「かっ、あ゛っ、あ……あ……」
デリケートな性粘膜は限界まで引きのばされ、今にも破れそうだ。勇はもはやものも言えない。熱病に罹ったように痙攣し、口端からは泡を噴く。産悦と授汁の快感が脳を灼きつくしていた。
退魔巫女が意識を失う、まさに次の瞬間だった。
ぶぢゅっ! ぢゅちゅっ! ぶじゅぅうッ!
「あが……っ! あ゛あ゛っ、がッ……!」
妖獣どもは秘門を強引に突破した。四仔はまるで一塊のように転がり出て、勇の愛液を啜っていた個体を弾きとばした。
しかし兄弟たちは喧嘩をすることはない。細かく震える内腿の間……自分たちが出てきた蜜孔に群がり、滋養のある汁を啜りだす。
「あっ、あ……、あぁ……」
勇は黒瞳を裏返し、呻きとも喘ぎとも取れぬ声をあげる。その隙間からぴちゃぴちゃという音が響きだした。
賑やかな分娩とともに、小屋の中に住まうものがまた増えることとなった。
◇
ふたりの退魔巫女が鵺とともに生活するようになり、もうすぐ二か月が経つ。
広いリビングの半分は藁敷きとなっていた。そこが鵺の寝床だと定められていたのだが、なんてことはない。強妖獣は己のテリトリーをこの小屋全体と勝手に決めた。
もちろんそれに異を唱えるものはない。ゆえにここの主は藁布団に悠々と背を預け、片足を大きく上げる。
「い、勇さん……」
「うむ……。やるぞ、沙耶」
ふたりはその意をしかと読みとった。ふたりの腹はまた、大きく膨らまされている。しかし退魔巫女たちはかしずくように頭を垂れた。床に腹と乳房を擦りながら、四つん這いで鵺の傍へ寄る。
その様はまるで、彼女らも四足獣に堕ちたようであった。
「むっ、んむぅっ……」
そして主がそそり立たせた肉棒に接吻を贈る。
快楽と精液をもたらし、産悦さえも与えてくれた。そんな獣根にふたりは奉仕を捧げる。
先端は沙耶が挑んだ。小さな口を目いっぱいに広げて、大振りな亀頭を飲みこむ。敏感な露茎部と裏筋にフェラチオを集中させると、さしもの鵺も声を低くした。
「んくっ、むぉ……っ、んくっ……」
我慢汁が沙耶の口腔に溢れてくる。さらさらとしたそれはとにかく大量だった。喉を鳴らして飲みこみつづけないと、あっという間に溺れてしまうだろう。
ここに至って沙耶は、吐きだすという選択肢が初めから自分になかったことに気がつく。赤面した退魔巫女は己をごまかすように、また熱心に口淫に励んだ。
「ちゅっ、ちゅ、ちゅるっ、ちゅぅ……」
根元を担当するのは勇だ。びっしりと生えた肉棘に刺されながらも、精臭を放つ白滓を舌で舐めとっていく。
小屋にはバスルームも用意されているが、鵺が湯浴みすることなどもちろんない。そこは常に淫穢をまとっている。
「はぁっ、はっ、はっ……」
それを舌上に乗せると、凄まじい獣臭が鼻腔を満たす。口での呼吸を強いられ、唇端からだらだらと涎を垂らしてしまう。
常に凛々しい勇とは思えぬ有様だ。しかし彼女にもはや恥じらいも戸惑いもない。
退魔巫女たちはすっかり、鵺の番いとして振る舞っている。そしてそれは彼女たち自身に留まらない。
丁寧に畳んでおいた巫女装束は今、仔鵺どもの寝床になっていた。毛を擦りつけられ、尿を引っかけられ……。退魔巫女の象徴ともいえる衣服は、妖怪に汚されてきっている。
そこから一頭の鵺が、のっそりと起きあがった。
ずぶっ!
「むぅっ!?」
勇の動きが急に止まった。鵺はそれを咎めるよう、甲高い鳴き声を発する。黒髪の退魔巫女は慌てて清掃に戻った。しかし。
ぶちゅっ、ずちゅっ、ぶちゅっ!
「うぅぅ……! はっ、あ゛!」
すぐさま口を離してしまう。四つん這いになった彼女の背後には、腹を痛めて産んだ仔が陣取っていた。彼奴はペニスをいきり立たせ、母の胎内を容赦なく擦りたてる。
大きさや太さはもちろん父には及ばない。しかし若い肉棘はぴんぴんと尖り、それが性粘膜を突きさしてくる。
「い、勇さ……んんっ!? あぁぁっ……!」
もちろん、隣の沙耶も仔鵺の標的となった。しかし彼女が狙われたのは膣口ではない。放射状のシワを寄せあつめた菊門が、強引に突破されていた。
「はっ、はッ……! あ゛、あぁーーッ!」
少女の狂乱は只事ではない。沙耶は白い首を反らし、まとめた銀髪を激しく振りみだす。
その理由は彼女の秘密にある。雉杜神社で修行中、沙耶は師匠と慕う巫女の自慰を目撃したことがあった。
憧れの先輩の、淫らな痴態。相反する光景に衝撃を受け、沙耶もアブノーマルの部位……すなわちアヌスで自分を慰める癖がついてしまった。
ずぽっ、ずぼっ、ずにゅっ!
「はぁっ、あぁっ、は……、あ、あぁぁあ゛ッ!」
他ならぬ自身の手によって、彼女の後孔は快楽を集められるようになっている。開発の成果が今まさに発揮されていた。
粘膜の孔縁が何度も何度も擦りたてられる。抽送の度に下腹が蕩けおちるような快楽が沙耶を襲った。
獣悦がその身全てに行きわたったからだろうか。
どくんっ!
「あぁ!? あ……ッ!」
胎中で眠っていたはずのものも蠢きだした。勇より早く沙耶は産気づく。四足獣のごとき体位で、退魔巫女は出産に臨むこととなった。
こんな状態ではもちろん、奉仕を捧ぐことなどできない。震えながら頭を伏せる沙耶に対し、それでも小屋の主は牙を剥きだしにした。
「ま、待てっ! 某が、代わりにやるから……!」
勇は鵺の怒りを必死に押しとどめる。もちろん行動を伴っていた。己の桃唇で鈴口を塞ぎ、しなやかな手指で肉竿を擦りたてる。
シャープな輪郭を描く頬は今、滑稽なまでにへこんでいる。亀頭への吸いつきで少しでも、沙耶への関心を薄れさせようとしていた。
退魔の剣を握りつづけていた手指は今、妖魔に媚びを売るものでしかなかった。肉棘に刺されることも厭わず、大きなストロークで快摩を送りこむ。
「いさみさんっ……あ、あ゛、あぁぁッ!」
自分をかばう先輩に礼を述べる暇もない。少女は激しい産悦に襲われた。今回も胎児どもは譲りあいなどせず、我先にと出口へ向かう。
鵺の出産はすでに何度も行っている。膣口もすでに緩み、すぐにでも誕生させられるはずだった。
しかし。
(で、でてこないっ……?!)
分娩は遅々として進まなかった。その理由は沙耶の後ろに取りついた仔鵺にある。
彼奴は沙耶の直腸に性器が突きこんでいる。それがすぐ隣にある産道を狭めていた。しかし少女から出ようとするのは、剛妖の仔である。
ずずずずっ!
「あっ、ま、まってっ!」
内圧がどんどん高まっていく。いやな予感が全身を突きぬけた。母の菊孔を勝手に使って快楽を得る兄と同様。弟どもも母の身体を気遣うことはない。
団子のように固まった彼奴らは、膣道を無理やり拡張していく。意味のある言葉を少女が紡げたのは、これが最後だった。
ぶ、ぶぢ、ぶぢゅぅぅぅウッ!!
「かはっ……は、あ、あぁっ、あぁぁぁあ゛ッ!!」
膣道の鵺どもは狭路を無理やり突破した。内肉をごりりと擦られ、秘口を限界まで拡げられ……。産悦が一気に襲いかかり、沙耶は天上の世界に突きあげられる。
手厚い口淫と手淫を施される鵺は猿顔に醜悪な笑みを浮かべながら……我が仔が産まれる光景を眺めていた。
◇
規定の日数が経った。退魔巫女たちと鵺との共同生活はここまでとなる。
研究所は彼奴とどのような契約を交わしているのか。獣そのもののはずの妖怪は職員の誘導に従い、素直に小屋から出ていった。
ふたりが産んだ仔どもも、白衣を羽織った巫女たちに回収されていく。
「はぁっ、はぁ……」
「沙耶……終わったぞ……」
獣姦と出産の毎日はこれで終わった。退魔巫女たちの体力はすでに底を突き、しかも胎にはまだ鵺の仔が宿っている。
しかしぼて腹となったふたりには、まだ仕事が残されていた。
「こ、これでいいのか……?」
「うぅ……恥ずかしい……」
繁殖小屋から研究所へ戻ったふたりを待っていたのは、柔らかなベッドではなかった。勇と沙耶は大きなカメラの前に立たされる。
シャワーは浴びさせてくれたが、衣服は用意されていなかった。退魔巫女たちは全裸で、妖獣に孕まされた腹を隠すこともできない。
「それではこれから、インタビューを始めますね」
妖怪姦の後の面談と録画。この工程はれっきとした規定である。
どのような妖怪に犯され、どのような仔を産んだのか。その過程や感じたことを、つぶさに報告しなければならない。
データの収集とマッチング精度の上昇が目的である。それは間違いない。しかしこれは職員巫女たちの趣味……すなわち同性をいたぶることも十二分に含まれている。
「それではまず沙耶さんから。お名前と年齢を教えてください」
「は、はい!」
勇の隣に立つ沙耶はすぐさま答える。
「名前は、東雲沙耶。年は十六です……」
「となると沙耶さんは、退魔巫女になったばかりなんですね」
銀髪を揺らしながら、こくりと頷く。
「それなのにこの保養所を訪れるなんて……。よっぽど妖怪姦がお好きなんですねぇ」
「えっ、ち、ちが……!」
恥辱を煽る言葉がさっそく飛んだ。本人の反論よりも早く、声をあげた者がいた。
「沙耶はそんな娘ではない! 」
その人物はもちろん勇だ。しかし彼女の桃唇は別の職員により塞がれてしまう。沙耶は目で促され、改めてインタビューに応じることとなる。
「それでは沙耶さん。今回の婚姻相手……鵺との交尾で印象に残った点を教えてください」
「えっと……鵺のお……おチンチンは、トゲが生えていて……それが刺さるのが……」
「刺さって、痛いのが気持ちいい……ということですか?」
赤面の沙耶は小さく頷いた。被虐の悦に焦がされたのか。彼女の口はまだ開いてしまう。
「赤ちゃんを産む時も、一度にたくさん出てきて……。その度に、あの……。い、イっちゃい、ました……」
質問者は満足げに頷きながらメモを取る。言葉をつけ加えながら、その紙を隣の者に渡した。
「沙耶さんはかなりのマゾのようです。次はもっと嗜虐性のある妖怪を……」
「!」
沙耶の耳にも届いたがそれは当然、意図されたものである。しかし経験の浅い彼女に気づけるはずもなく、顔から火を噴かん羞恥に焙られるばかりだ。
インタビューの対象は勇に移る。黒髪の退魔巫女は咳払いをひとつすると、堂々と名乗りをあげた。
「某は新堂勇と申す。年齢は十八だ」
無機質なレンズの圧を噴きとばすような、凛々しい声だった。
形の良い胸乳や、均整の取れた長い脚だけでない。妖獣に孕まされたぼて腹すら晒している。それを感じさせぬ佇まいだった。
「勇さんには生活についてお聞きします。赤ちゃんを産んだ後、どんな風に過ごしていましたか?」
「あ、あ奴らは……やめろというのに、乳や女陰に貪りついて……」
しかし鵺との婚姻生活を喋らされると、途端に弱腰になった。獣姦にして近親相姦。禁忌を犯しつくした自覚が、勇の語勢を鈍らせていく。
「自分が産んだお仔さんと交尾もしましたか?」
「し、した……」
職員はまたこれ見よがしに、勇の言葉を書きつけていく。
「勇さんから誘われたんですか?」
「なっ……! 動けないところを、あ奴らは無理やりに……!」
「お母さんなのに言うことを聞かせられず、仔どもにもいじめられたんですねぇ」
「ぐぅ……」
反論したいが、勇の口は閉じられたままだった。インタビュアーの言葉は真実でしかなかったからだ。
理由はそれだけではない。鵺とその仔の暴虐で感じた悦楽。それを思いだしただけで、身体は絶頂に押しあげられていた。快楽を噛み殺すため、勇は桃唇を必死に引きむすぶ。
しかし乙女が懸命に守ろうとした秘密もとうに暴かれている。膣口から内腿に引かれる淫液の痕も、カメラはしっかりと記録していた。
「インタビューはこれで終了です。お疲れ様でした」
恥辱をたっぷりと煽られたふたりは、ともに花貌を真っ赤に染めている。それが急に青ざめた。その原因は突如として襲いかかった、産気の大津波だった。
どくんッ!
「あ?! あ、あぁぁあ゛……!」
「はっ、あ……! ぐぅぅぅ……ッ」
膨らんだ腹が邪魔するにもかかわらず、勇と沙耶はともに膝と手を突いた。鵺との生活でもはや慣れしたしんだ、獣の体位である。今回の出産もこの姿勢で臨むことになった。
慌ただしく動いたのは彼女たちだけではない。職員巫女は固定具からカメラを外すと、手にした記録機器をふたりの鼻先にまで近づける。
「うぅ……! 撮るなぁ……ッ!」
勇は首を振って、大きなレンズから遠ざかろうとする。しかし職員巫女に容赦はない。長い髪が震える様も、産悦で真っ赤に染まる顔も、乳白色の羊水を噴きだす淫処も……。あますところなく撮影する。
そしてそんなことを気にする余裕すら、間もなく消えうせた。
ぐにっ……。
「あ゛?! あ、あ゛、あぁぁぁーーッ!!」
サイクルが早く、しかも多産。そんな過酷な性活に耐えきった子宮が悲鳴をあげた。
内から拡げられたポルチオから、許容量以上の快楽が沸きだす。天に掲げた尻たぶがぶるぶると震えた。
「ふぅっ、うぅぅ……! あ、あぁぁ……!」
隣を見れば沙耶も自分と同じように、四つん這いのまま尋常ならざる喘ぎをあげていた。
これまでとは違うものが産まれようとしている。確信にも似た予感を抱いた。それが勇の全身に痙攣をもたらしてくる。
「はっ、はぁっ、……はぁっ!」
子宮口を緩ませた正体不明の赤仔は、産道に降りた。ごりごりと膣壁を擦りたてながら、淫口に向かってくる。
鵺の赤仔とはやはり感触が違う。サルの頭は小さかったが、それと比較にならぬほど径が大きい。
ぐ、ぐりり……っ!
「あぁぁあ……、はぁっ、はぁっ、ああ゛!」
胎児はついに、膣口に至った。ずっしりとした重さが秘門にかかる。しかしそれでもなお通りぬけられなかった。
サイズの違いという、単純な話ではないのかもしれない。理に外れたものが現れぬよう、なにかに膣口を塞がれている……。そんな思いすら勇は抱く。
ずちゅぅぅうっ!
「あッ……! あ、あぁぁあ゛!」
「あぅッ! うぅ……! はぁぁぁあッ……!」
しかしついに秘門を破り、退魔巫女たちが身籠ったものがこの世に誕生した。床に擦りつけた乳首からミルクが滲みでる。
狂態を演じる勇は当然、後ろを振りむくことなどできない。
おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ……。
遠くでなにかが聞こえた。自分と沙耶の絶叫と、もうひとつ。
獣の仔は産声をあげることをしない。つまり、この場に産まれ堕ちたものは……。
しかし答えに辿りつく前に、過大な快楽情報を叩きこまれた脳はシャットダウンした。退魔巫女は白目を剥き、その意識は黒一色に覆われていった。
◇
度重なる妖獣姦の末に孕んだ退魔巫女が、なにを産んだのか。それはカメラにしっかりと収められていた。
職員巫女にとっては数えきれないほど行った一工程に過ぎないはずだが……。今回、彼女の手は微かに震えている。
「は、班長……」
「えぇ。これは……」
勇と沙耶が産みだしたもの。それは妖獣ではなかった。もちろん人間でもない。
妖と人。双方の特徴を受け継ぐ……半妖の子だった。
「素晴らしい……予想以上の成果ね!」
「これで新しい実験ができますね!」
研究者でもある職員巫女たちは瞳を輝かせ、半人半妖の嬰児を抱きあげる。産まれたばかりの赤子はまだ、火が付いたように泣きさけんでいる。
彼女らの足元には、勇と沙耶がいまだ昏倒していた。
妖と交わり、胎で育て、膣を通してこの世に現れたもの。それが果たしてどんな姿をしているのか。当事者である退魔巫女たちだけが、それを知らぬままだった。
◇
鵺と交わり、仔を成し、その記録を残した。勇も沙耶も今日で研究所を去ることになる。
彼女らはともに、笑顔の職員巫女から見送られた。
「おふたりとも、この度は本当にご協力ありがとうございました! こちらもお贈りするよう、上から伝えられております!」
「は、はい」
沙耶に差しだされたのはひと振りの日本刀だった。鞘に収まったままだが、相当の業物であることがわかる。
勇も術符の束を渡された。いずれも便利な効果を持った希少なもので、こんな風にまとめられているところなど見たこともない。
(某は、産んでしまったのだな……)
勇は確信を抱く。これほどの大盤振る舞いを受けるのは、大量の鵺の仔だけでなく……半妖を誕生させたからだと悟った。
鵺の妖気と種。己の霊力と胎。それらが合わさった末に出来たものが、どんな姿形をしているのか。勇はそれを知ることなく研究所を去ることになる。
気がかりといえばそうだが……淫の気はすっかり抜けきっている。これからは不覚を取ることなどなく、妖怪の調伏に赴けるだろう。
沙耶も同じ心持ちを抱いているようだった。
「これでまた、妖怪退治に行けますね」
彼女の言葉は前向きだった。あれだけの妖獣姦と異種出産を経たというのに。沙耶はにこやかな表情を浮かべている。
新米ながらも、彼女は人を守るという使命感に溢れている。こんな退魔巫女がいるのならきっと行先は明るいだろう。沙耶と出会えたことが一番の収穫だったかもしれない。
「今回は表向きの理由でしたけど……今度は本当に、勇さんの剣を教えてくださいね」
「うむ。いつでも歓迎だ」
「またね! 勇さん!」
「あぁ! 達者でな、沙耶!」
淫気をすっかり晴らしたふたりは足取りも軽い。心にも活力が満ち満ちていた。こうして勇も沙耶も万全の状態で、退魔巫女の日常に戻っていく。
退魔巫女の日常。それはすなわち、妖怪との戦いに身を置くということであり……。いつ妖怪に犯されても不思議はない。そんな日々を過ごすということだ。
しかし彼女らは気力に溢れ、その側面を見過ごしていた。今のふたりはただ真っすぐに、人の為に戦おうとしている。
己の奥に仕込まれた情欲を再び自覚するのは……これから、もう少し先のことだった。