セックスが禁じられた世界で俺の精子が狙われている 作:夜狩景士
光司の
『許可されていない訪問です。許可されていない訪問です』
機械音声と同時に耳障りなアラームが鳴る。部屋の入口が赤い照明で点滅する。
沙奈絵が防疫スーツのヘルメットを取った。乱れたショートボブの髪を首を振って直す。
『危険です。危険です。ヘルメットを着用してください』
防疫スーツからも警報が鳴る。
「沙奈絵……」
多少目尻に皺が刻まれているとはいえ、愛らしい笑顔は昔と変わらない。
光司は沙奈絵の肩に手をかけ、顔を寄せた。
唇を重ねる。
二十数年ぶりに、生身の人肌に触れた。
沙奈絵の方から舌を差し込んでくる。
もう、後戻りできない。覚悟はできていた。光司も舌をのばし、熱い息と唾液を絡める。
「んっ……はっ……んんっ!」
切なげな呻きを喉の奥で鳴らし、沙奈絵が光司の首に腕を回して抱きついてきた。
唇を外し、二人は荒い息をつきながら見つめ合った。
「キス……しちゃったね……」
「うん。沙奈絵……嬉しいよ……」
光司が沙奈絵の胸の解除レバーを捻る。防疫スーツの締め付けがゆるんだ。
沙奈絵がスーツのファスナーを下ろした。
やや垂れているものの、重量感のある円みを帯びた巨乳が現れた。
「裸で、来たんだ……」
「だって、すぐにでも光ちゃんと、シたかったんだもん……」
袖を抜きながら、沙奈絵が微笑む。
尻を突き出しながら、足からスーツを抜き、沙奈絵は全裸となって光司の前に立った。
「綺麗だよ……沙奈絵」
光司と沙奈絵はこれからセックスする。
そしてDKウィルスが二人の命を奪うのだ。
沙奈絵が子宮内膜症の症状を訴えた。
パンデミック前に産婦人科医だった光司が沙奈絵に直接診察を行うことになった。
実際の触診が必要であることを報告して、政府から特別に医療行為として接触することが許可された。
実は沙奈絵は子宮内膜症ではない。
光司と申し合わせて、子宮内膜症としての自覚症状を騙っていたのだ。
それは光司と沙奈絵が同じ私空間に存在するために必要なことだった。
私空間マンションの一フロアに設けられた特別医療施設で二人は同室し、産婦人科医である光司が沙奈絵を診察することになっていた。
光司の私空間は特別医療施設のすぐ下にある医療関係者が集められているフロアにあった。
各フロアには無断で外出する者を監視するアンドロイドが配置されている。
光司と沙奈絵は、特別医療施設を出て足早に光司の私空間に向かった。監視アンドロイドが二人の行動に気づき警報を発しながら近づいてくる。
だが、アンドロイドは人間に対し直接的に接触することは禁じられている。
手を繋いで廊下を走る光司と沙奈絵に近づいて警報を発することしかできない。
『止まってください。目的外の外出は禁止されています』
監視アンドロイドは光司と沙奈絵に今にも触れそうな距離で追いかけながら何度も警報を発している。
光司は無視して自分の私空間に沙奈絵を招き入れた。
沙奈絵の配偶機も付いてきていたのだが、私空間に入ろうとする彼女の配偶機を思い切り蹴り上げて、中に入れなかった。
全裸で抱き合い、唇を重ねている光司と沙奈絵に、光司の配偶機であるキミコが事務的で無機質な声音で警告した。
『危険です。危険です。直ぐに防疫スーツを着用してください』
普段は所有者である人間に絶対服従している配偶機であっても、人間同士の接触という防疫法による違法行為を目撃した場合、自動的に警告を発することになっている。
光司は無視して沙奈絵の唇を吸った。
二人の耳元で何度も警告するキミコがうるさい。光司は唇を外して睨んだ。
「キミコ。トイレで俺がやめろと言うまでオナニーをしていろ」
光司の命令に、配偶機であるキミコはどんな命令であっても絶対に服従する。
キミコは警告を発しながら、トイレに向かった。
トイレに籠ったキミコがしばらくすると、切なげな声を漏らした。光司の命令に忠実に従って自慰をしているのだろう。
「沙奈絵。ベッドに行こうか……」
邪魔者が消えて、光司は沙奈絵と見つめ合う。
潤んだ瞳で沙奈絵が頷く。
裸の二人が寄り添ってベッドルームに入った。薄暗いベッドルームも赤い点滅に包まれていた。
これからセックスをするというのに、ムードもない環境ではあるが、仕方ない。
違法行為が行われている私空間では警報と照明の点滅が行われるが、私空間不可侵原則により、警備官や警備アンドロイドが私空間に踏み込むことは絶対ない。
つまり、二人は誰の邪魔もされずにセックスをすることができるのだ。
ベッドサイドで裸で抱き合う光司と沙奈絵。
沙奈絵の肉の柔らかさを感じ、光司の陰茎は硬直して沙奈絵の腹に当たっていた。
唇を吸いながら、光司はそっと沙奈絵をベッドに横たえた。
やや横に流れてはいるものの、張りのある巨乳が光司の前に晒されている。
薄く開けた瞼で、沙奈絵が光司を見つめている。光司はベッドに裸体を投げ出している沙奈絵に跨り、両手で乳房を包んだ。
柔らかい乳肉が指の間から零れている。
「あっ……はんっ♡」
艶めいた息を漏らす沙奈絵。
光司と沙奈絵はお互いの配偶者をDKウィルスによって奪われた。
沙奈絵の夫は別の女と関係を持ち、発症してすぐに亡くなった。
以来二十年、男性とは関係を持たずにいる。
沙奈絵の配偶機は、若い頃の光司に似ていた。先ほど光司が私空間の入り口で蹴り上げた配偶機だ。
亡き妻の外観を選んだ光司と違って、亡くなった配偶者よりも光司の外観を選んだ沙奈絵。
そんな沙奈絵と死を覚悟してセックスする。
肉体を交えた後の発症までの潜伏期間は四十八時間だと言われている。この時間内で沙奈絵の肉体を堪能しようと光司は思う。
ぷっくりと勃ってきた乳首を唇に含む。
「ああっ……光ちゃん……いいっ!」
沙奈絵が上体をくねらせる。
配偶機のキミコとの交わりからは得られないこの一体感に光司は痺れる。
「光ちゃん……気持ちいい、よう……」
十分に両の乳房を味わった光司は沙奈絵の首筋に舌を這わす。
「あんっ……ふんっ!」
首を反らして息を漏らす沙奈絵。光司は絹のように滑らかな肌の上で舌を躍らせ、腋から横腹へと這わせていく。
「うんっ……はあっ……ううんっ!」
光司の舌が鼠径部に達すると沙奈絵は腰を捩った。
薄い陰毛からびらびらとした陰唇がまるで別の生き物のように蠢いていた。
光司は沙奈絵の股を広げ、鼻先を突っ込むようにして膣口に舌を尖らせて差し込んだ。
「あんっ、あああんっ!」
沙奈絵が両手で光司の頭を掴み、ひときわ大きな声で叫んだ。
既に湧いている愛液を啜るようにわざと音をたてて陰唇に喰らい付く光司。
沙奈絵は堪らず腰をよじる。
やや饐えたような雌の匂いが鼻を突いたが嫌ではなかった。これが配偶機では再現できない生身の人間の匂いなのだ。
舌先を沙奈絵の敏感な肉芽に這わせる。
「やんっ! そこっ!」
びくんと反応する沙奈絵。
光司は執拗にクリトリスを責めた。
舌を這わせては唇に吸い込み、様々な刺激を加える。
両手で光司の頭を押して、快感から逃れようと腰を浮かせる沙奈絵。
光司は舌を沙奈絵の肉芽から離さない。
「ああっ……もうっ、イっちゃうっ!」
小刻みに痙攣する沙奈絵。既に軽く絶頂を超えてしまったらしい。
「光ちゃんっ、来てっ!」
切実な声音で沙奈絵が叫ぶ。
光司は上体を起こし、拡げた沙奈絵の股の間に腰を寄せた。
赤黒く血管の浮き出た男根は、淫欲の滾りで反り上がっている。
沙奈絵が薄く瞼を開けて、光司の剛直を目で追った。
光司は肉棒に手を添え、亀頭を膣口に潜らせた。
「あっ……ああんっ!」
まだ先端が入っただけだが、沙奈絵が大きな声を上げた。
「沙奈絵……行くよ……」
光司が腰を進めると、肉棒が吸い込まれるように沙奈絵の膣内にはまり込んだ。
「あっ、あっ……ああんっ!」
ひときわ大きな嬌声をあげる沙奈絵。
陰毛を擦り合わせるように恥骨を当てた結合部から震えが伝わって来る。
生身の女性と一体化した悦びで光司が肉体の芯から全身に痺れが広がる。
光司の漲りに貫かれた沙奈絵が肢体をくねらせている。
「沙奈絵……ひとつになったよ……」
「うん、うんっ……光ちゃんっ、嬉しいっ!」
薄く開けた瞼で光司を見上げて沙奈絵が言った。
四十年前、幼い二人が初めて結合して以来、再び交わる。
光司が上体を沙奈絵に重ねて、唇を合わせた。
沙奈絵がすかさず舌を絡めてくる。光司の胸で潰れた乳房が横にはみ出している。
「んっ……ふんっ……ぶちゅっ……んぐっ……」
荒い息と唾液を絡めて唇を奪い合うように貪る二人。
光司は腰を引いて、ずん、と沙奈絵の子宮口を突いた。
「んっ……はあんっ!」
沙奈絵が唇を外して大きく叫んだ。
光司は両手をベッドについて上体を反らし、腰を前後に振った。
「あっ、あっ、あっ、ああんっ!」
光司のピストンによって、沙奈絵が上体をくねらせる。
横に広がった巨乳が艶めかしく揺れていた。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、と生々しい音が結合部から漏れてくる。
光司は首を傾けて沙奈絵に出入りしている肉棒を見た。白く濁った愛液が絡んでいた。
「あんっ、うんっ……あっ、あっ、ううんっ!」
沙奈絵は万歳するように両手を上げてベッドのシーツを掴んでいる。
左右に捻じれながら浮いてきた沙奈絵の細い腰を光司は両手で掴み、ぐん、と持ち上げた。
光司は膝立ちになり、腰高の体位になって浮いた沙奈絵の下半身に肉槍を連続して打ち込んだ。
「やんっ……凄っ……ああんっ!」
沙奈絵は上体を海老のように躍らせて叫ぶ。
きゅっ、きゅっ、と沙奈絵の膣襞が光司の肉棒を締め付けた。
(ああっ……堪らないっ!)
今までの配偶機との疑似セックスでは得られなかった一体感に、光司は全身を震わせて没入した。
(これだ……これだよっ! 俺がしたかったセックスは!)
最後に亡き妻の貴美子としたセックスから四半世紀たち、忘れていた生身の女性との交合による高揚感に光司は浸っている。
抽送を続けながら沙奈絵の腰をベッドに下ろし、横を向かせて片足を上げた。
いわゆる「松葉崩し」と呼ばれる体位で、さらに沙奈絵の奥を突き上げる。
「ああんっ! 光ちゃんっ……奥っ……凄いのっ!」
沙奈絵が上体を海老ぞりにして白い喉を晒しながら叫んだ。
光司の下腹部が疼き始める。今にも迸りそうな射精欲を光司は抑え込んだ。
この生身の女性との一体感をできるだけ長く堪能したかった。
沙奈絵と結合したまま、光司は彼女をうつ伏せにさせた。
寝バックの体勢で円い尻に肉棒を打ち込む。
「んんっ……ふんっ……んんっ!」
ベッドに髪を乱して顔を埋めている沙奈絵のくぐもった呻きが聞こえる。
光司は沙奈絵の腰を掴んで再び膝立ちになった。
後背位になり、ミルクのように白く円い沙奈絵の巨尻を抱える。
薄茶色の菊門を晒した沙奈絵。光司が腰を引くと肉棒を咥え込んだ膣口の肉が吸い付くように伸びるのが艶めかしい。
白濁液が絡んだ肉槍を再び沙奈絵に打ち込む。
「……ひゃん!」
沙奈絵が上体を反らして叫ぶ。
ぱん、ぱん、ぱん、と肉が当たる小気味いい音が部屋に響いた。
「あんっ、あんっ、あんっ、うんっ!」
猛然と腰を振る光司。尻肉が激しく波打っている。
「あはんっ……イっ、イクっ! イっちゃうのおおっ!」
沙奈絵が首を反らして激しく頭を振った。
びくん、びくんと痙攣する沙奈絵に光司は抽送を続ける。
「やんっ! 凄いのおおっ!」
沙奈絵が上体を激しく捩る。
「おっ……おっ、おおおんっ!」
沙奈絵が首を曲げて光司の方に向けた。
光司は腰を打ち付けながら上体を倒し、沙奈絵の唇を求めた。
二人の舌が絡み合い、荒い息と唾液が迸った。
上下の口を合わせながら、光司は下に垂れ下がった沙奈絵の乳肉を掴んだ。
「はっ……んんっ……れろっ……」
光司は堪えきれずに、下腹部の滾りを解放した。
沙奈絵の尻に腰を密着させたまま、光司は腰を小刻みに震わせて沙奈絵の子宮に白濁液を注ぎ込む。
びゅるっ、びゅるるるっ、と陰茎が射精するのを、沙奈絵の膣襞が絞り込む。
「ああっ! 堪んねえ……」
至福の解放感に、光司は思わず言葉を漏らした。