※この作品はR-18です。

セックスが禁じられた世界で俺の精子が狙われている   作:夜狩景士

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特別私空間

「武藤莉里香さまと、真崎夜梨子さまの抗体が確認されました」

 ホログラムの玲美が報告してきた。

 もしかしたら彼女たちのDKウィルスが発症してしまうのではないか、という一抹の不安を抱えていた光司は安堵した。

 科学的なメカニズムはまだ詳細に突きとめられてはいないが、光司とのセックスで相手の女性に抗体が発生する事例が続いている。

「現在、小佐内さまとの性行為を希望する女性は、新人類が二十三名、旧人類が三百五十四名となっております」

 依然として、法を破った容疑者として、外部の情報を遮断されている光司だが、セックスを希望する女性の急増によって、人類の間でかなりの反響を呼んでいるらしいことがわかる。

 生身の女性とのセックスでしか精子を提供しない、と宣言した光司だが、これだけ多数の女性を相手にすると思うと、喜びよりも体力的な不安を感じる。

「つきましては政府の方からご提案があります」

 玲美が微笑む。

「小佐内さまに、特別私空間を提供させていただきたいと存じます」

「特別私空間?」

 光司が訝しむ。

「はい。小佐内さまにより多くの女性と性行為をしてもらうためにご用意させていただきました」

 すでに既定路線であるようだ。

「何が特別なの?」

 大体予想はできていたが、光司は尋ねてみた。

「はい。まず、小佐内さまに快適に過ごしていただくために、広大な私空間となっています」

 玲美のホログラムの横に、特別私空間の図面が表示された。通常の私空間の五倍はある広さだ。 

「そして女性と行為するための空間を五室用意させていただいております」

 現状だと、光司の私空間でひとりの女性としか行為ができないが、特別私空間では部屋を変えることで同時に五人の女性と交わることができるということらしい。

「まるで俺は種馬だな……」

 光司が独り言(ご)ちる。

「気分を害したならお詫び申し上げます」

 玲美が深々と頭を下げた。

「ですが、小佐内さまは人類再生の希望でいらっしゃいます……」

 自尊心をくすぐる玲美の言葉で光司の複雑な思いがほぐれた。

「今からでも、精子だけを提供していただくこともできますが……その方法ならば、より多くの女性を懐妊させることができます」 

「そんなこと言って、密かに人工胎盤を使うんだろ?」

「小佐内さまの貴重な精子を、小佐内さまの意に反して使うことはありません……ですが、小佐内さまが政府に不信を抱いておられるのでしたら、特別私空間でより多くの女性と接触していただくしかありません」 

 光司は苦笑した。玲美の巧みな説得で、光司は特別私空間に反対する理由などないことを悟った。

「了解した。ただし、多くの女性を相手する体力が持つかどうか……」

 光司は率直な不安を口にした。

「それに関しては、小佐内さまには、本物の食材による栄養を提供させていただきます」

 驚きで光司は眼を見開いた。メタフードが普及した現代では本物の食材は一部の富裕層のみに許された贅沢だからだ。

「健康維持のためのサポートもさせていただきます」

 玲美が微笑む。

「小佐内さまの担当官として、私も特別私空間に常駐させていただきます」

 そう言う玲美の頬が心なしか紅潮しているのに光司は気づいた。

 

 

 光司の私空間の入り口のドアが開き、防疫スーツを着た玲美とその配偶機が現れた。

 玲美の配偶機の容貌を見て光司は少し驚いた。光司と同じような中年男性だったからだ。

 玲美の年齢は聞いてないが、パンデミック発生の時に十歳だと言っていたから、三十歳以上であることは確実だろう。

 その年齢の女性ならば、通常は同じ年代か若い男性の配偶機を選択すると思われる。

 配偶機にはその人の性的嗜好が反映されているのは周知の事実だ。つまり玲美はオジサン好きなのだろう。

「小佐内さまも、防疫スーツを着用していただけますか?」

 玲美が頭を下げる。

「俺は抗体を持っているけど?」

 これから特別私空間に移動するには、公空間(パブリック・エリア)を通ることになる。防疫スーツを着用しない者は公空間に存在できないと法で定められているのは光司も分かっていた。

「おっしゃる通りですが、防疫スーツを着用していただかないと、移動することはできません」 

 予想通りの返答をする玲美の肉体に光司は眼を向ける。

 ホログラムの玲美とアイリンクで相対しているときは、行政官の制服だったので気づかなかったが、締め付けがきつく体型が象られる防疫スーツを着用した玲美の肉体は光司の妄想を刺激した。

 巨乳ではないが、綺麗なお椀型をした乳房。小振りだが形の良い尻と女性らしい曲線を描いた腰から腿にかけての曲線。細くくびれたウエストと足首。

「小佐内さま?」

 玲美に声をかけられ、肉体に見惚れてしまった光司は我に返った。

「悪い。今着替える」

 光司は沙奈絵を私空間に招き入れるために外出した時以来着ていない防疫スーツに手をかけた。

 玲美はこれから光司が向かう特別私空間に常駐すると言っていた。

 光司は裸の玲美と肉体を絡ませる機会を妄想してしまう。

 

 玲美の導きで入った特別私空間は、想像以上に豪華な仕様だった。

 光司が普段暮らすリビング空間はホテルのロビーを思わせる広さと天井の高さがある。

「こちらの奥が小佐内さまの寝室となっています」

 玲美が開いた寝室のドアからは、まるで王侯貴族のような巨大なベッドがあった。

「もっとも、小佐内さまには毎晩、女性たちの部屋で過ごしていただきますが……」

 次に玲美が示したのが、女性たちが待機するスペースだった。

 広い廊下の両側にドアが並んでいる。

「こちらには既に小佐内さまを受け入れることを了承している女性たちが待機しています」

 玲美が事務的な声で説明をする。

「小佐内さまと行為をする女性以外は自室を出ることはできません」

 さらに玲美は廊下の突き当りにあるドアを指した。

「こちらには巨大なメタルームがあります」

 玲美がドアを開くと、そこは鮮やかな青をした海と真っ白な砂浜のビーチだった。

「小佐内さまのお好きな環境で女性たちと過ごすことができます」

「至れり尽くせりだな……」 

 光司は思わずつぶやいていた。

「小佐内さまは、人類の救世主でございますから」 

 真剣な眼で玲美が見つめている。

 

 ひと通り特別私空間の説明が終わってリビングに戻る。

「昼食の用意がございます」

 ソファに座った光司に玲美がアイリンクを通してメニューを示した。

「本日ご用意できる料理はこちらになります」

 フランス料理と中華料理のコースの他に、ステーキや寿司もあった。

「一流の料理人が外の調理空間に待機しております」

「食材は本物なの?」

「はい。全て本物の食材で料理を提供させていただきます」

 玲美が頭を下げる。

「明日以降は、小佐内さまのリクエストに極力応えますので、遠慮なくお申し付けください」

 まるで王侯貴族のようだ、と光司は思う。

 

「ところで、横川さん。いつまで防疫スーツを着てるの?」

「申し訳ございません。感染防止のために着用させていただいてます」

「俺は、大丈夫だと思うけど……」

「もちろん小佐内さまは抗体をお持ちです。ですが私は抗体を持っていないので」

 玲美がいつものように頭を下げる。

「横川さんが、俺の世話をしてくれるんだよね?」 

「はい」

 光司の配偶機のキミコと、玲美の配偶機は、別室で待機させられている。光司に対しては信頼を得ている玲美が直接世話をする方が光司をコントロールしやすいとAIが判断したのだろう。

「防疫スーツで世話をされてもね……」

「申し訳ございませんが、規則ですので……ご了承していただければと……」

 更に深く頭を下げる玲美。

「せめてヘルメットだけでも取ってくれない?」

 玲美が頭を上げて光司を見る。

「特別私空間(ここ)は政府に監視されているの?」

「それは、絶対ございません」

 玲美の眼が真剣に訴えている。

「だったら、構わないよね?」

 玲美の瞳が泳いだ。光司の要求に躊躇っているのがわかる。

 できるだけ光司の気持ちに寄り添って献身的に接してくれている玲美を虐めているような気分になり、光司は少し胸を痛めた。

「横川さんが、顔を出してくれなければ、俺は女性たちとセックスしない」

 光司がやや強めの口調で思い切って宣言すると、玲美が露骨に困ったような表情になる。

「上の方に掛け合ってみてよ」

 しばらく間を置いて、玲美が毅然とした顔を見せた。

「いえ。この特別私空間では、私は全ての権限を委譲されていますので……」

 そう言うと、玲美はヘルメットのロックを解いて、頭から抜いた。さらりとした黒髪が肩に掛かる。

 乱れた髪を頭を振って直した玲美が、光司に向かって微笑む。

 初めて生の玲美の顔を見た。切れ長のクールな眼をしているが柔らかい表情をした美人だった。

「ごめんね、横川さん。無理言っちゃって……」

「いえ。私は小佐内さまに快適な環境を提供するのが仕事ですので……ところで、昼食はいかがなさいますか?」

「そうだな……久しぶりに本物の寿司を食べたいかな」

「かしこまりました。ご用意させていただきます。メタクックと違ってある程度お時間いただきますが、ご了承ください」

 そう言うと、玲美はアイリンクを起動して、待機している料理人に指示をした。

 光司に背を向けて調理空間の入り口に向かう玲美のぷりっとした可愛い尻を光司は眼でなぞる。

 政府と連絡を取っているのだろうか、背を向けて指先でアイリンクをせわしなく操作している玲美を後ろから光司が抱きしめた。

「はっ……小佐内さま?」

 驚いて振り向いた玲美の唇を光司は塞ぐ。

「んっ……んんっ!」

 眼を剥いて身体をよじる玲美を光司は強く抱き寄せ、乳房を両手で掴んだ。

 光司から逃れようと玲美が肉体を強張らせる。

「んっ……はあっ、ダメです、小佐内さま!」

 唇を外して玲美が叫ぶ。 

 光司はそれに構わず胸の解除レバーを回した。防疫スーツの締め付けが緩んだ。

「きゃっ! んぐっ……!」

 再び玲美の唇を塞ぎながら、光司は胸のファスナーを下ろした。

 抵抗しようとする玲美の腕を光司は掴む。

 淡いピンク色のブラジャーに包まれた形の良い乳房が空気に晒された。

「んっ……はっ……ぶちゅっ……んぐっ!」

 喉の奥で呻く玲美のカップに手を差し込み、柔らかい乳肉を光司は掴んだ。

「はあっ……小佐内、さまっ……やめて、下さいっ!」

 光司の唇から逃れた玲美が瞳を潤ませて光司に訴える。

 至近距離で見つめ合いながら、光司は玲美のブラをずり下げて、両手で円い乳房を揉み込んだ。

 強張っていた玲美の肉体が少し緩んだ。

「小佐内さまのお相手の女性は、すぐそこにいらっしゃいます!」

 荒い息で玲美が言う。

「俺は、今、横川さんとしたいんだ……」

 光司は右手を玲美の股間に滑り込ませた。

「あっ……はあんっ!」

 玲美が切なげな息を漏らして肉体をくねらせた。光司の指先に濡れた玲美の膣口が触れた。

「小佐内さま、小佐内さまっ! 聞いてくださいっ!」

 玲美の渾身の叫びで、光司は愛撫を止めた。

「今、小佐内さまは私とキスをしました」

 玲美が切実な瞳で光司を見つめる。 

「キスだけではDKウィルスが発症してしまいます」

 しばらく沈黙があり、光司は次の玲美の言葉を待った。

「ここまで接触してしまったのですから、小佐内さまには私の子宮に精液を注いでいただかなければなりません……」

 玲美の頬が紅く染まる。

「もともと俺はそのつもりだったよ」

 

 防疫スーツと下着を剥いだ玲美の肌は透き通るような白さだった。頬を紅潮させて瞼を閉じた玲美の裸身を光司はベッドのように広いソファに横たえた。

 光司も手早く服を脱ぎ、玲美と肌を合わせた。

「あっ……はっ……はあんっ!」 

 可愛く喘ぐ玲美の肌全体を両手で擦りながら、光司は耳朶から首筋にかけて舌を這わせた。

 玲美が小刻みに肉体を震わせている。

「うっ……くうっ!」

 光司が乳首を含むと、玲美が切なげな声を漏らした。

 仰向けに横たわる玲美の横に添い寝した光司は、背中から腕を回して乳房を揉み込み、片側の乳首を唇で咥えながら、右手を伸ばしてクリトリスに触れた。

「ああっ……やんっ……そこっ!」

 敏感な肉芽を刺激された玲美がびくんと肉体を震わせる。今まで抱いた莉里香と夜梨子とは違う、光司に誠実に向かい合ってくれた玲美を抱く悦びに光司は震えた。

 玲美は陰唇に夥しい愛液を迸らせていた。

 執拗なクリトリスへの責めに、玲美は腰を浮かせてねじった。

「あんっ……はんっ……ああんっ!」

 玲美が全身で痙攣する。軽くイってしまったようだ。

 腰を浮かせた玲美の震えが収まり、ソファに身を沈めた。

 薄っすらと瞼を開け、恍惚とした表情で光司を見上げている。

「小佐内さま……」

 そう呟くと、玲美は肉体を起こし、四つん這いになって光司の股間に顔を寄せる。

 すでにいきり立っている陰茎に手をかけ、前髪をかき上げながら光司に目線を向け、いきなり唇に亀頭を含んだ。

「んっ……ふんっ……じゅるっ……ぐぽっ……」

 髪を乱しながら首を前後させる玲美。ハート型の尻を揺らしているのも艶めかしい。

 夜梨子の吸い付くようなフェラチオと違って、優しいがねっとりとした口淫だった。

「ぐちゅっ……んんっ……じゅるっ……ぶちゅっ……」

 時折、光司の表情を窺いながら、懸命に奉仕してくる玲美が愛おしく感じる。

 じわじわと快感の疼きが下半身に湧いてくる。

「玲美……」

 光司は優しい瞳で玲美の名を呼んだ。

 玲美は動きを止め、光司を見つめる。

 光司は玲美の頭を押さえてゆっくりと陰茎を抜いた。

 ずりゅっ、と亀頭が玲美の唇から抜け、幾筋かの糸が引いた。

「小佐内……さま……」

 潤んだ瞳で見つめる玲美を光司は抱き寄せる。唾液が零れた唇を合わせ、そっと玲美を仰向けに横たえた。

 優しく唇を啄みながら、光司は玲美の股を開き、腰を入れた。

 光司は上体を起こし、反り上がった肉棒に手をかけ、玲美の膣口に亀頭を当てた。

 おそらく玲美は配偶機とのセックスを体験しているように思う。

 破瓜の痛みはないはずだ。

 にゅぷっ、と何の抵抗もなく亀頭が陰唇にハマり込んだ。

「あっ、あっ、あああっ!」

 先端が挿入っただけで玲美が大きな嬌声をあげた。

「あっ……んふぅ……うんっ!」

 光司の肉棒が玲美の膣壁を裂いてい行く。

「うっ……ふんっ!」

 ずぷり、と光司の肉棒が玲美の最奥までハマった。

 びくん、びくん、と結合部から玲美の震えが伝わってくる。

「ああんっ……パパっ!」

 玲美が叫ぶ。光司に貫かれて玲美が思わず父を呼んだ。

 おそらく最愛の父をパンデミックで亡くしたのだろう。妄想だとはいえセックスで繋がりたかったほど玲美は父親を愛していたのだろう。

「玲美、玲美……可愛いよ……」

 腰をゆっくりと前後させながら、光司は玲美の耳元で囁く。

「パパっ……もっと、突いてっ!」

 艶めかしく肉体を揺らす玲美に、光司は徐々に強く肉棒を打ち付けていく。

 いま結合しているのは光司なのに、父を呼ぶ玲美。

 光司は玲美の気持ちに応えてあげることにした。

 溢れる白濁した愛液が玲美の膣口から零れだした。

 ぬちゃっ、ぬちゃっ、と淫らな水音が静かなリビングに響く。

「あっ……あっ……ああんっ!」 

 光司は首を垂れて、二人の結合部を覗いた。

 ずぽずぽと抜き挿しされる赤黒い肉棒に白濁した愛液が絡んでいる。

 光司の動きに合わせて形の良い円い乳房が揺れている。

 玲美は両脚を光司の腰にクロスさせて両手を伸ばしてきた。

 切なげに眉を歪めて、縋るような瞳で光司を見つめる。

 光司は玲美の両手を握る。玲美が上体を起こし二人は唇を合わせた。

 荒々しく舌を絡め、両手を握り合いながら、腰を振る光司。

(ああっ……気持ち……いいっ!)

 お互いに愛し愛されている実感がこもった交合だった。

 じわじわと陰茎の根元に淫欲の滾りが湧いてくる。

「んっ……ぐっ……はあんっ!」

 玲美が唇を外し叫んだ。

「あんっ……パパっ! 私っ、イっちゃううっ!」

 光司の体重に抗い、ぐいっと腰を浮かせて玲美が絶頂の痙攣をした。

「あはんっ……はっ……はああんっ!」

 玲美の膣襞の締め付けに、光司は堪らず精液を迸らせた。

 びゅるっ、びゅるっ、びゅるるるっ、と連続して玲美の子宮に光司の白濁液がなだれ込む。

 

 長い時間、光司と玲美は性器を結合させたまま肉体を重ね合わせていた。

 満ち足りたような微笑みを浮かべ、玲美は瞼を閉じていた。

 調理空間の入り口で緑のライトが点滅している。

 はっ、として眼を開けた玲美。

「小佐内さま。申し訳ございません!」

 玲美が肉体を起こそうとする。

「いいんだよ、玲美……」

 光司が優しい瞳で玲美を見下ろす。

「お食事の用意ができておりますので……」

 光司はやや萎えかけたペニスを抜いて玲美から離れた。

 玲美は飛び起きて、散らばった下着とスーツを手早く身に着け、調理空間の入り口に向かった。

 

「小佐内さま。どうぞお召し上がりください」

 新鮮そうな艶のネタの数々。メタフードで作った寿司とは明らかに違う。

 大トロを手に取り、口に含んだ。うまみが口内で溶け出す。

 やはり本物の食材だ。

 玲美は食卓の横に立っておいしそうに寿司を堪能する光司を微笑んで見ている。

「玲美も、食べれば?」

「いえ。こちらの料理は小佐内さま専用ですので」

 玲美が手を振って断る。

「いいから、一緒に食べようよ」

「いえ。規則でそういうわけにはいきませんので……」

 玲美が頭を下げる。

「もう、規則を破ってるのに?」

 玲美の頬が急に赤みを帯びた。先ほどの二人のセックスを思い浮かべているのだろう。

「遠慮はいらないよ。たとえ規則に反して玲美が政府に追及されても、俺は玲美がいなければ政府に従わないって、言うから」

 玲美は、テーブルの椅子を指す光司に従い、躊躇いながら席についた。

「好きなの食べていいよ」 

 玲美の瞳が子供のように輝いたのを光司は見逃さなかった。

「海老……いいですか?」

 光司は微笑みながら、促す。

 玲美が恐る恐るといった手つきで海老に手を伸ばす。

 一気に頬張って頬を膨らませる玲美。

 口をもぐもぐ動かしながら、玲美の目尻から涙が湧き出す。

 胸を震わせた玲美の頬を涙が伝う。

「美味しい……」 

 食べ終わった玲美が笑顔を見せる。

「申し訳ございません……父と食べた寿司を想い出しまして……」

 玲美がテーブルで頭を下げた。

 

 食後に、今後のスケジュールを玲美から説明された。

 個室に待機している五人の女性とは交代でセックスするということらしい。

 一日の基本的なスケジュールは、午前、午後、夜間、と分かれる。

 まず、朝食後、午前中に一人の女性とベッドに入る。

 そして昼食後、別の女性と性行為をする。

 最後に、夕食後、三人目の女性とセックスする。この三人目の女性は文字通り、夜を共にすることになるため、必然的に長い時間を過ごすことになる。

 一日三人、各人三回ずつ光司はセックスをする。五人はそれぞれ一度は光司と夜を共にすることになる。

 そして週末の二日間は、光司の休養日にあてることになる。

「週十五回のセックスか……やっぱり俺は種馬だな……」

「申し訳ございません。小佐内さまとの性行為を望む女性が増加しておりまして」

 体力的な不安よりも、どんな女性が光司との行為を望んでいるのか興味の方が優っていた。

 人間の生殖本能は、人類が人工胎盤で人工的に生まれるようになっても、消えないのだ。

 パンデミック前の人間同士が自由に交わっていた頃の映像が出回っている。

 そして、配偶機には疑似的だが、セックスができる機能がある。

 生身の人間とのセックスを経験している光司のような旧人類は、どうしても配偶機とのセックスには満足できない。

 メタフードと本物の食材では、先ほど食べた寿司でわかるように、天と地の違いがあると思う。

 パンデミックによって、人類は個々に分離され、紛い物の食材やセックスで食欲と性欲を充たすことになってしまった。

 光司が多くの抗体を持つ女性や子供を産むためのセックスを精力的に行うことで、人類のあり方をパンデミック以前に戻すことになる。

「こちらが現在待機している五人の女性のプロフィールです」

 玲美がアイリンクにこれから光司とセックスする女性たちの情報を送ってきた。

「いや。その資料はいらない。直接会って話をしたいんだ」

 光司は女性たちの事前の情報を得ることを断った。

 

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