※この作品はR-18です。

魔王軍立志伝―仕事を辞めたら魔物になりました― ハーメルン版   作:ヨシMAX

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魔王軍立志伝ワールドにようこそ(`・ω・´)


第15話 ゴブのレベルを上げて物理で殴ればいい

 

 『私を持つ手を伸ばして敵との間合いを計り直すのです!』

 

 

 シャルルに言われた通りに慎重に、それでいて迅速に間合いを見定める。

 俺のリーチはシャルルを含めて1メートル半チョイ、よしっ!

 

 

 『私に魔力を流しながらゴブリンを殴り倒しなさい、出来ますか?』

 

 「出来ます、も、ません、も無いんでしょう!」

 

 

 そう叫ぶと同時に俺は地面を踏み切り、ゴブリン軍団の居る前方に全力で跳ぶ。

 今度こそ全力の一撃!

 

 

 「とぉりや――!!」

 

 ぐわっしゃ!

 

 

 今度は見事に頭にヒットしてゴブリンは血反吐を吐いて倒れた。

 

 かなりのグロ映像だったはずなのだがなぜか意外と平気だった。

 アドレナリンでも出ているのだろうか、崩れゆく小鬼が酷くゆっくり見えた。

 

 

 『やはりこのゴブリン、……主はセンスがいい……』

 

 

 確かに普通に殴る様な破壊力ではない。

 先に魔法での訓練を受けてレベルが上がっていたお陰だろうか。

 まあ、これが本当の「ステータスを上げて物理で殴れば良い」ってやつか。

 理解したぜ。

 

 そんな事を考えているとゴブリンの残骸から淡い光の玉が浮き上がり俺の首からかけてるプレートに吸い込まれていく。すると身体に僅かながら力が漲りゴブリンとどう戦えばいいのか等、色々とイメージが浮かんでくる。

 

 これは、もしや、あれかな、ゲームで言う所の経験値的なものかな。

 魔法訓練の時は爆風やらが激しくてよく見えなかったが、なるほど、こうして経験を積んでいくのか。

 

 そう思って改めてゴブリンの群れを観察してみると何故だか何とかなるような自信が湧いてきた。

 戦えば戦う程に、その魔物の特性を経験値として積み重ね、動きが予想できるという事なのか。

 

 その後は群がるゴブリンの群れをぶん殴る、なぎ払う、たたきつぶす!

 俺が通り過ぎる度にゴブリンは血しぶきを上げながら残骸となって倒れていく。

 

 とは言え、魔力コントロールが全くなってない俺の戦い方はシャルルのサポートを受けてはいるが素人そのものだ。攻勢を続けているものの精神的疲労が溜まったのか、酷い頭痛に苛まれる。

 

 疲労感自体はスキルで回復しスタミナ切れは起こさないが精神的な疲労は回復する事は出来ない様だ。いくらレベルアップで能力が爆上がりしていても万能回復系のスキルを持っていても魔力の消費も激しい。それを見越したかの様にシャルルが俺に語りかけてきた。

 

 

 『主よ、魔力に無駄が多すぎます。私的には流れてくる魔力が多いに越した事ないですが相手がゴブリンレベルならもっと出力を絞っても十分倒す事ができます』

 

 「出来ればやってるよ!」

 

 『……なるほど、どうも先ほどから主のその強大な身体能力の割に戦闘経験がないと言う訳ではないが、それを忘れてしまったかの様な素人同然の動きに疑問を持っていたのですが……主は面白い魂の色をしていらっしゃいますね。なりはゴブリンですが魂の質は上級悪魔かそれ以上の底力を感じます』

 

 「そりゃどうも、前職は魔王だったのでね。さぞかし素質はあるだろうさ」

 

 

 そうなのだ、俺は元魔王なのだからきっと素質はあるんだ、素質は。

 

 

 『ようやく合点がいきました。主の場合、封じられたとか、その様な事ではなくて全ての能力を忘れてしまった様ですね、今すぐとはいきませんが少しずつならその能力を開放していくお手伝いに私が力を貸しましょう』

 

 「うぉ、まぶし!」

 

 

 そんな事を言ったかと思うとシャルルが突然銀色に輝き出して思わず俺は顔をしかめた。

 

 未だ俺は訓練中でゴブリンの群れの真っ只中にいたがその光のお陰か隙を付いて襲って来る奴はいなかった。

 

 やがて光が収まると俺はある事に気づく。

 

 

 「あれ? まただ、……初めてファイヤーボールを習得した時と同じだ。わかるぞ、どう戦えばいいのか、はっきりと!」

 

 『それが主がかつて持っていた知識です、本来であれば主にとってゴブの群れを殲滅するなど容易い事なのです』

 

 

 シャルルのその言葉に後押しされ戦闘を再開した俺の動きは先程とは比べ物にならない程に洗練されていた。

 

 まるで外見はゴブリンでありながら懐かしき魔王の能力を取り戻したかの様……は言いすぎかな。

 

 それでも普通のゴブリンの動きとはまるで比べ物にならない――、

 

 

 『主!!』

 

 

 ――関係ない事を考えていた俺にシャルルが叫ぶ!

 ほぼほぼ反射神経のみで俺めがけて飛んできた火球をシャルルをフルスイングして打ち返す!

 

 

 『あっちゃちゃちゃ!』

 

 

 火の玉はあさっての方向に飛んで消えた。

 

 

 『あついじゃないですか! 燃えたらどうするんですか! まあ、私はあれしきの炎では焦げ目すら付きませんけどね』

 

 

 うるせぇ棍棒だ。

 燃えるのか、燃えないのか、どちらかにしてくれ。

 

 どうやら魔法使い……ゴブリンメイジがいるらしい。

 あのレベルのファイヤーボールが当たっても、やられはしないが少々鬱陶しい。

 シャルルで弾き返しながら突っ込んでもいいけど、いちいちうるさいので別の方法でメイジを倒す事にしよう。

 

 とはいえ、このままではメイジの位置が特定できないのでまた上空から探るか。

 

 

 「そりゃっ!」

 

 

 魔法訓練の時にバカみたく高く飛んでしまったから、そぉっとジャンプ……。

 

 

 「うぉおおおおおっ!?」

 

 

 ――って、それでも高!

 

 魔法の時も思ったけど俺のジャンプ力どれだけ強いの!

 地上のゴブリン達は、はるか上空に飛び去った俺の姿を見失いギャーギャー騒いでいる。

 

 ……居た!

 上空から見た集団の奥に薄汚いボロボロのローブを身に付け木材を削り出した粗末な杖をもったゴブリンメイジが5体。

 ゴブリンの癖に職業に沿った服装をしているんだな。

 いや、そういう俺も鎧をきてたね。ゴブなのに。

 

 メイジ達の一匹も俺を見つけたらしく果敢にも火の玉を空中に撃ってきた。

 上空に打ち上げたせいで速度の落ちた火の玉は俺にとっては超スローボールだ。

 火の玉スローボールだ。

 

 シャルルで打ち返そう……としたが、後でうるさいので左手に魔力を流してパンチで火球を跳ね返す。

 少し熱かったが跳ね返した火球はメイジ目掛けて飛び、ローブに燃え移ると哀れにもメイジごと炎上した。

 

 燃え落ちる同胞だったものを見て怒りの声をあげた残りのメイジも火球を打ち上げてくるが悉く打ち返されては炎上していく。

 あっと言う間にメイジ達を黒焦げにした俺は着地した後もゴブリンを片付け、経験値を増やしながら群れの数を削っていった。

 

 

 




ここまで読んでくださり有難うございます。
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