※この作品はR-18です。

魔王軍立志伝―仕事を辞めたら魔物になりました― ハーメルン版   作:ヨシMAX

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魔王軍立志伝ワールドにようこそ(`・ω・´)


第27話 ゴブのウェルニー奪還戦⑦

 

 

 俺の目の前に急に現れた敵の将レスターという男。

 

 こいつはリリアの相棒ハインツと罪のない住民達。

 そして敵であるがスティ達の生命を奪った張本人だ。

 俺は正義の味方なんかじゃなくゴブリンである。

 が、こいつをただで済ます訳にはいかない。

 

 この街で俺はリリアというギルド所属隠密部隊の部隊長に出会った。

 彼女は相棒が敵に殺された挙句に死後も弄ばれたと知ると戦力差関係なく奴に挑んでいった。

 その一歩間違えば無謀に思える勇姿を俺は間近で見た。

 

 俺も元は日本人だ。

 判官贔屓という言葉もあるし、そういう話に弱いのも仕方ないだろう。

 つまりは……リリアの相棒と住民達の仇をとる、絶対にだ。

 

 俺はレスターの姿を見ていつでも動けるように……油断はないはずだった。

 

 ――と、思った時にはレスターが俺の目の前にいた!

 

 辛うじて反応したが鋭い突きを避けきれず左腕に傷を負いながらバク転で後方に下がる。

 着地と同時にシャルルを両手で握りレスター目掛けて前方に飛び込み思いっきり振るうが既にいない。

 

 

 『後ろ!』

 

 

 シャルルの叫びと同時に悪寒が走り咄嗟にしゃがみ込むと頭上を剣が通り過ぎ風圧を感じた。

 しゃがみ込んで無防備になった所を背後から蹴り飛ばされる。

 

 

 ずぅぅううう――ん!!

 

 ぐはっ!

 

 

 突っ込んだ瓦礫から顔だけ上げて見ると俺の居た場所にハインツが立っていた。

 どうやら彼の一撃をくらって吹き飛ばされたらしい。

 頭を振って意識をしっかりさせる。

 

 あれ……、まずいぞ。

 2対1とはいえ全く追いつけない。

 おかしいな、そこそこ強くなったつもりだけどこれ、負けイベじゃね?

 

 

 「やばいな、これは下手を打たなくてもやられるぞ、シャルル、おい!」

 

 

 思いの外、不味い状況に追い込まれた事に気づいた俺はシャルルに話しかける。

 

 

 『……』

 

 「無視すんな! シャルル、持ち主が死ぬぞ!」

 

 『わかりましたよ、これしきのピンチで私を起こすとは……。あ、全力で上に跳びなさい、本当に死にます』

 

 「えっ!?」

 

 

 ピンチなのか、じゃないのか、どっちだよ。

 反射的に振り向くとレスターの追撃である衝撃波が俺に迫ってくる。

 もはや何度目か、全力の超反応で上空に跳躍し避けるが背後に人の気配を感じ、強引に身体を捻りシャルルを振るう。

 だが、それはハインツの長剣で防がれ、再度俺は腹に蹴りを食らって墜落する。

 

 再生スキルのお陰で傷は瞬間的に再生し生命力や精神力も瞬く間に回復するが痛いものは痛いわけで、それでも姿勢を正しなんとか着地した。

 

 いってぇ――。

 腹を押さえて蹲っているとレスターがにやけながら目の前に現れ俺の頭を真っ二つにする勢いで長剣を振り下ろしてくる!

 

 ええい! 南無三!

 自分にかけた身体強化を信じてシャルルを全力で振り上げる。

 

 

 キィイン!

 

 

 甲高い音と共にレスターの長剣とシャルルの鍔迫り合いが始まるが俺がジリジリと押し込まれていく。

 このままだと縦に真っ二つにされゴブリンの開きにされてしまう。

 

 

 『やっぱり、このままでは本当に死にますね。再度、距離をとりなさい』

 

 

 このピンチに頭に響くのはシャルルの声。

 またアドバイスしてくれる様になったのは良いのだが……。

 離れろだぁ? できればもうやってるよ!

 少しでも気を抜いたらスパッといくわ!

 

 

 『なるほど……うん、大丈夫です、3秒後に後方に飛びなさい。3……2……1……』

 

 「えっ? ……くっ、このぉ!」

 

 

 俺ははシャルルのカウントダウンに合わせて押し返すが軽くいなされる。

 だが、奴との距離が取れたのでその隙に全力で後方に飛び退く。

 

 ――と、次の瞬間、背後から俺に不意打ちをかまそうとしていたハインツに魔法が命中し吹き飛んでいくのが見えた。

 

 

 「うわっ! あぶなっ! なんだ?!」

 

 『相方の魔法です』

 

 

 みるとアルシーが魔法を放った後だった。

 お陰でレスターとはかなりの距離が取れたが……ハインツ、あれ大丈夫なのか?

 

 

 「イナバ様、リリアからばい。ハインツば……彼をば休ませてくれと。しょんなか事ばい。彼はもう死んどる、私が仕留める」

 

 

 アルシーが俺の傍らにやってきてそう話しかけてきた。

 

 ……そうだな、

 元に戻せれば最高だけど……、あの姿は間違いなく死んでいる。

 静かに眠らせてやるべきだ。

 

 

 「アルシー、一人で大丈夫か?」

 

 『大丈夫です、あのアンデットの相手ならあの子でも十分務まります』

 

 

 アルシーではなくシャルルが俺に答える。

 

 

 「イナバ様! 油断せんでくれん! レスターはあんたが仕留めるばい!」

 

 

 俺の一瞬の隙を見逃さずレスターが長剣を構えて突っ込んでくる。

 

 

 『はやく避けなさい! ゴブ!』

 

 

 あ、不味った。

 目の前にまで迫ったレスターが剣を振り下ろす。

 

 ――と、シャルルを握る右手が勝手に引っ張られレスターの剣を間一髪で弾いてくれた。

 

 

 『主! 私が満を持して力を貸してもこのままだと死にますよ! ほら、また来ます!』

 

 

 シャルルの叱責に顔を顰めながらレスターの動きに集中する。

 俺は身を低くして左前方に跳ぶ、着地と同時に後方からレスターに向け跳躍、シャルルを上段から振り降ろす。

 

 ――が、レスターの大剣に阻まれた。レスターも小柄だがゴブリンのリーチは更に短い。

 

 スピードで上回っていても俺の攻撃はことごとく阻まれてしまう。

 ……だが心なしか、しつこく攻撃を繰り返しているとレスターの顔に苛立ちの様なものが見え始める。

 

 なんだ?

 身体能力的にはまだまだ向こうが押しているのに……癇癪持ちか?

 

 

 




ここまで読んでくださり有難うございます。
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