※この作品はR-18です。

魔王軍立志伝―仕事を辞めたら魔物になりました― ハーメルン版   作:ヨシMAX

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魔王軍立志伝ワールドにようこそ(`・ω・´)
長くなっております。
奪還戦は⑫までの予定です。


第28話 ゴブのウェルニー奪還戦⑧

 

 

 『全く、距離が取れたのにこうも接近していては……。主、目を瞑りなさい』

 

 

 シャルルの声に従い俺は目を瞑る……と、シャルルが急に激しく発光した。

 見えてないが瞼を通しても分かる程の光量だ。

 

 当然の如く、レスターは視界を奪われた。

 だがしかしシャルルの言葉が聞こえないアルシーとハインツも目を押さえてゴロゴロ転がっているのが見えたが気にしていられない。

 隙をついてレスターの右足に蹴りを放つ。

 

 

 グシャッ!

 

 「ぐっ!」

 

 

 レスターは苦痛の声をあげながらバランスを崩して派手に転倒した。

 不意をついたとは言え、初めてまともにダメージが通った気がする。

 俺は後方に飛び退き態勢を立て直す。

 

 

 『主! 私に魔力を込めなさい』

 

 

 シャルルが俺に叫ぶ。

 

 

 「わかった! 魔力を込めればいいんだな」

 

 『右手に魔力を集めるイメージで――、私を右手の延長と思いなさい』

 

 「よしっ!」

 

 

 俺はシャルルに言われた通りに右手へ魔力を集め、更にその延長にあるシャルルに流し込む様にイメージする。

 

 

 『そうです、そうです、あー、いいですねーいいですねー』

 

 

 シャルルは俺の魔力をグングンと凄い勢いで飲み込んでいく。

 飲み込んでいくというのは比喩表現であるがそんなイメージだ。

 

 そうこうしている間にレスターは立ち上がり、憎しみの目で俺をみている。

 あ、鼻血出てる。

 よく見ると肩で息をしており、疲れの色も見え始めている。

 意外と打たれ弱く、スタミナに弱点があるのかもしれない。

 

 

 「ったく! ゴブリンの癖に手間取らせるね! いい加減イラついてきたよ、潔くやられろよ!」

 

 

 なるほど、雑魚キャラのゴブリンを瞬殺できなくてイライラしているみたいだ。

 それならば……。

 

 

 「いやあ、それは遠慮したいね。冷たい事言わないでもう少し付き合えよ」

 

 「うるさい! 次で決めさせてもらう!」

 

 

 こいつの主はロマリアスと言ったか……。

 トップに近い奴は早々に始末しておくべきだが。

 どのみち、次の一撃がお互いの最後の手になるかな。

 

 

 「まだか、シャルル。結構、魔力を込めたが――」

 

 『もう少し、もう少しです……オッケーです!』

 

 

 シャルルは青白いオーラのようなものを纏いブルブル震えている。

 大丈夫か、これ……爆発しないよね?

 

 

 『レスターの攻撃ごと、それ以上の攻撃で消し飛ばしますよ。……できますか?』

 

 「できるでしょ、大丈夫……多分」

 

 

 出来る、出来ないは別、やるしかないんでしょう!

 レスターも次で決めると言うだけの事はあり凄まじいスピードで俺目掛けて長剣を構えて突撃してきた。

 

 

 『来ます!』

 

 「おう!」

 

 

 俺はシャルルを上段に構えて突っ込む。

 

 

 『ちょっ、ちょっと、魔力はもういいんですよ!』

 

 えっ?

 俺、何もしてないですが!?

 

 目前に迫ってくるレスターの悪鬼の様な顔を見た俺は全力で奴めがけてシャルルを振り下ろす!

 あ、魔力漏れてたかも……。

 

 

 『あばばばばばばばっ!』

 

 

 許容量以上の魔力を流されてシャルルがバグり始めた。

 シャルルから光の帯が伸びてグングン伸びて巨大化していく。

 

 

 「なん……だ……と!」

 

 

 シャルルからの驚異的な圧力を感じたレスターは立ち止まりその場に立ちつくしてしまった。

 

 

 「ち、ちくしょ――!!」

 

 

 だが、直ぐに気を取り直すと長剣でシャルルを防ごうとするが跳ね返す所か触れてもいないのに、その圧力だけで呆気なく折れてしまった。

 

 

 「えっ? そ、そんな……この剣が簡単に……」

 

 「消ぃえろぉお――!!」

 

 

 俺は構わずに長剣になったシャルルを奴めがけて振り下ろす。

 

 

「ぁぁあ……あああ――っ!!」

 

 ずぅううう――ん!!

 

 

 レスターは断末魔の叫びと共にシャルルの巨大な光の中に消えていく。

 段々とシャルルがまとっていた光が短くなり落ち着いていく。

 レスターの姿は影も形もなくなり黒いシミになってしまった。

 

 

 「……っ! ……ばぁー……、……いぃー……」

 

 

 遠くからなにか聞こえる。

 

 

 『あ、ヤバイですね、よけなさい、主』

 

 「えっ?」

 

 

 次の瞬間、

 

 

 「イーナーバーさぁーまぁっ! 心配したけん、無事で安心したばぁい!」

 

 「グボハァッ!!」

 

 

 アルシーが満面の笑みを浮かべて全力タックルで俺に抱きついてきた。

 ほんの一瞬、綺麗な川が見えた気がしたがスキルの力なのか強引に引き戻された。

 

 あの後、早々にハインツを撃破して綺麗な川の向こう側に戻したのだそうだ。

 残念ながらその亡骸の一片も残す事は出来なかったそうだが刀だけはこの世に遺せたらしい。

 

 俺はハインツの形見の刀を胸に掻き抱き彼を想って滂沱の涙を流すリリアを見て心が痛める事しか出来なかった。

 

 関係ないのだがアルシーが中学生位に縮んでいた。

 体の大きさが定まらないのは大変だね。

 

 

 ✩★✩★✩★

 

 

 「ハインツ、イナバさんが仇をとってくれたにゃ」

 

 

 俺とアルシーの戯れあいを遠巻きに見ながらリリアは石畳の道を外れ土の上を歩いて行く。

 彼女の手にはアルシーに取り戻してもらった相棒の形見である刀があった。

 

 

 「ハインツ、少し寂しい場所だけど許してほしいにゃ……。街が完全に解放できたら、もっと明るくて賑やかな所で花に囲まれて眠れる様にするにゃ……。あたし、頑張るから見てて欲しいにゃ……」

 

 

 そう言ってリリアは地面に刀を突き立て亡き相棒に対して黙祷を捧げるのだった。

 

 




ここまで読んでくださり有難うございます。
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