※この作品はR-18です。

魔王軍立志伝―仕事を辞めたら魔物になりました― ハーメルン版   作:ヨシMAX

49 / 114
魔王軍立志伝ワールドにようこそ(`・ω・´)


第48話 ゴブが元の世界に帰れない理由

 

 

 魔王は俺と同じ異世界から転移してきた事。

 現魔王は一介のゴブリンから特殊能力を駆使して魔王まで上り詰めた事。

 しかしながら周りの魔王から戦争を仕掛けられて疲弊している事。

 

 転移前に知り合いだった俺もこの世界に転移してくるのを知った事。

 何としても転移してくる俺を無事に自軍に引き入れようと決意した事。

 無事に自軍に迎えたので出来る限り支援を行い俺の強化に努めようとしている事。

 

 ……という話を食事を交えつつリリアの疲労も考えてゆっくりと話していった。

 

 リリアは疲れきってはいたが俺の話をどうにか自分の中で落とし込んでくれた。

 話が終わった時にはテーブルに並んだ料理の皿は空いていた。

 ほとんどアルシーとリリアが平らげた、やはり中々の大食漢だ。

 

 ……女性に漢はおかしいか、まあいい。

 

 

 「凡その話は分かりましたにゃ。まあ、ゴブリンながら凄まじい運命を背負ってますにゃん」

 

 「自分で話しておいて何だけど……よくこんな話を信じたな」

 

 「ウェルニーでイナバさん達の実力を見ていなければとても信じられなかったにゃ。でも、なんか、こんな話で私に嘘をついても仕方ないにゃん」

 

 「そうか、助かるよ」

 

 「それで……今の話でひとつ気になるにゃんが……」

 

 

 リリアは俺達の難儀な運命に疑問を投げかけるのが申し訳ないのか伺う様に後を続けた。

 

 

 「魔王様は……イナバさんは元の世界に帰ろうとしなかったのにゃ?」

 

 「んっ? ああ、元の世界か……」

 

 

 正直、俺にもわからない。

 どうすれば帰れるのか俺の方が知りたい。

 そんな事を考えているとアルシーが再び話に入ってきた。

 

 

 「イナバ様、そん続きは私が説明するけん。率直に申し上げると魔王様は元の世界には帰れんやったばい。……と言うかそん事実ば魔王様が自分自身で確認してしもうた。そして同じ理由でイナバ様、あんたも元の世界には帰れんばい」

 

 

 不思議と驚きはなかった。

 うん、なんとなくそんな気はしていたよ。

 嫌な予感――と言うのとは少し違うが、グリッシュが命を掛けた魔法だ。

 そう簡単にはその効果を覆せるものではないだろう。

 ただ、俺と魔王の帰れない理由が一緒というのは気になる。

 

 

 「その理由を……、魔王が確認した内容を教えてもらってもいいか?」

 

 

 俺はアルシーに理由を尋ねた。

 彼女は頷き先を続けた。

 

 

 「イナバ様はあまりたまがらんけんね、薄々気づいとったんやろうか。この世界に引き込まれてから、しばらくん間、魔王様はどげんかして元の世界に戻れんか、色々試し、そして調べたそうばい。無為な日々が続き、挫けそうになりながらも方法ば見つけたと。魔王城の古か文献で見つけたそうばい」

 

 

 アルシーにとって衝撃のはずの告白に俺が驚かなかったのは、そこまで意外ではなかったようだ。

 魔王の苦難が忍ばれる話だ、だが核心はこの後だろう。

 俺は視線でアルシーに話の続きを促す。

 

 

 「まず魔王様は元の世界に帰る方法ば探した。そして魔王城に蒐集されと膨大な数の古書からそん方法が書かれとー文献ば探し当てたんや。そん方法ちゅうんな、詳しゅうは教えてくれんかったんやが、ちかっぱ難しか大魔法やちゅう事やった。また、こん世界でも希少なブラックダンジョンコアが必要である事もわかった。それについては魔王様があるダンジョンの最下層部で見つけ今は魔王城の宝物庫に固う封印しゃれとーちゅう事や」

 

 

 また、重大な情報が得られた。

 ただ、今の話を聞く限り、難しい大魔法を成功させる必要はあるものの魔王は帰還に必要な要素を揃えてる気がするのだが、なぜ戻ろうとしなかったのだろう。

 試してみる価値はありそうだが……。

 俺の疑問にアルシーは回答をくれた。

 

 

 「こん世界に転移したイナバ様、……地球人は転移後に身体ば、こん世界でも生存しきる様に構造ごと作り替えらるたい。イナバ様も転移時に暗かトンネルば抜けたとね、あん時ばい。そしてそん身体は、こん世界の大気中に漂う魔素ば材料として維持しとる。種族進化ば果たせば果たす程に大量な魔素が必要となるけん。そして種族進化ば果たした身体で魔素ん無かあんた方の世界に戻ってしまうと身体が維持できず崩壊してしまうちゅう事なんや。やけん魔王様は試さんやった。あんた方の世界に戻ったっちゃ崩壊せん身体ば得る方法が分かるまでは全てば封印するんやて言うて……」

 

 

 何て事だ、そうだったのか……。

 方法はわかったが、仮にそれを成功させても身体がもたないと言う訳か。

 そうだな……、何かしらの方法で向こうの世界でも魔素を身体に定着させる事が出来たらあるいは……。

 

 これだけ広い世界なんだから何か方法があるはずだ。

 やらずに諦めるのも癪に障るしな。

 ん? またもや不思議な事が湧き出てきた。

 身体が維持できない事はなぜわかったのだろう。

 まあ、書物に記録が残っているとはいえ、それが100%真実とも言えまい。

 

 

 「なあ、アルシー。なぜ元の世界に戻った人達が身体を維持できなかった事がわかっているんだ?」

 

 「文献には続きがあったばい。魔王様と同様に方法を探し当てて元の世界に戻る準備を整えた人物が姿を消した後にこん世界で再び見つかったんや。ただ、そん姿は……半身が崩れて無うなっとった。傍らにあった手記には元の世界へ転移できたが元の世界に魔素のない場合、身体が維持できない。自分の身体は転移を終えた途端に崩壊が始まり急いでまたこの世界ば戻ってきたが間に合わんかった、と書かれとったそうばい」

 

 

 なるほど、嫌な事を聞いてしまった。

 確実な物証まで見つかってしまったという事か。

 転移に失敗すると身体が崩壊するという証拠だ。

 夕餉の話はもう少し続く。

 

 

 




ここまで読んでくださり有難うございます。
宜しければ評価いただけると嬉しいです(*´▽`*)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。