魔王軍立志伝―仕事を辞めたら魔物になりました― ハーメルン版 作:ヨシMAX
皆が笑い疲れてようやく落ち着いた。
ギルマスがオークの戦闘力を試してみないかという提案を受けて闘技場に移り人形を相手に力試しをしてみた。
その際にギルマスが再戦を望んできたが丁重にお断りした。
身長と四肢が伸びた事により人間だった頃の動きに近くなったせいか、それだけでも戦闘力が上昇した。
身体が大きくなったので俊敏性に変化があるかと思ったが、筋力がアップしている為、ほとんど違和感は感じなかった。
魔力の保有量も増えたらしく魔法が撃てる回数や威力、質も上がっている。
そうだ、他に変わった事といえばシャルルの長さが少し伸びた。
俺の進化に合わせて少し変化させたそうだ。
今後も俺の進化に合わせて形状を変えていくつもりなんだそうだが普通の武器には無理だよね。
……皆に説明するのが大変だったよ。
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そしてオークになって変わった事がもう一点。
中央ホールに戻った俺達は絶賛冒険者達に絡まれている。
今まで酒場に何度も寄ったが一度も問題は起きなかったのだが……。
ゴブリンだし小さかったので目立たなかったんだろうか。
酒の入った彼等はそれはそれはアウトローなガイズだった。
こちらは王族2人、軍幹部1人(手が速い)、斥候1人(手が速い)、平オーク(ぶた)の組み合わせなのだがこいつ等はきちんと把握しているんだろうか。
恐らく絶対に払う犠牲が多すぎて割りに合わないと思うんだけど……。
案の定、秒速でキレたアルシーとリリアにボコられ王族2人が混じっている事に慌てたギルド職員に要請された治安維持の騎士団に散々怒られ連れていかれた。
だから言って……ないけどやめた方が良いと思ったんだよ。
俺?
俺はヒルベルダ様とセレル様を守っていたよ。
だってセレル様が服の端を話してくれなかったんだよ。
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魔王軍ギルドを出て俺達は再度、魔王城に向かう。
と言うのも、ギルドに向かう前に叔父さんから今晩の宿を魔王城で取る様に勧められたのだ。
女性陣は首都であるエルンヘイムの高級温泉宿に泊まりたいみたいだったけど、そんなに頻繁に贅沢する訳にはいかない。
まあ、出来ない事もない位のお金は貰っているのだがこれから何が起きるか分からないからね。
それに今回の作戦は魔王軍《叔父さん達》にもメリットは十分あるけどその分、俺達も力を借りているので断りづらかったというのもある。
そんな訳で俺達はその夜、魔王城で贅沢な食事をとり豪華な造りの風呂に入り第1級の大きな部屋に通された。
……敢えて叔父さんと呼ばせてもらおう。
叔父さんよ、こんな広い部屋なのにベットが3つと言うのは不自然ではないだろうか。
ヒルベルダ様とリリアはさっさと眠ってしまい俺はアルシーとセレル様に挟まれて眠る事となった。
小さなゴブリンではなくでかいオークになったもんだから2人は俺にしがみついて眠った……俺がその夜、寝不足に悩まさたのは言うまでもない。
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「じゃあ、イナバ様、くれぐれも気ば付けてくれんね。要件がすんだらすぐにこちらに合流してくれん。遅かりゃあ探しに行くと、ええ、地ん底まで探しに行くと」
アルシーが何か意味深な見送り方をし始めた。
翌朝、俺とセレル様とリリア、そしてゴブリン軍団が先にサンダルファン王国に旅立った。
後程、魔王様とヒルベルダ様、そしてアルシーが軍を率いてルゼブナックと対決する為にベルリーザ帝国に向かう手はずだ。
もちろん事前にベルリーザに向け早馬がかけている。
こういう時この世界は古臭い手を使う、魔法使いは信用されないらしい。
こちらの移動手段は俺達がエルンヘイムまで乗ってきた馬車の修理が完了した為、それを使用する事にした。
アドナエルとサンダネルも貸してもらえたのは非常に助かった。
思えば旅を始めてから結構短期間にあちらこちら動き回っている気がする。
せっかくギルドに所属したのだが今の所、それを全く生かせていない。
まあ、国の為に奔走しているんだし後で叔父さんに頼んでなにか報酬をもらおう。
「あ、イナバ様。差し出がましいとは思いましたが私、ギルドに指名で護衛依頼を出しておきました。サンダルファンから戻ってきたらギルドに行って報酬を受け取ってくださいね」
なに、この有能な嫁さん。
セレル様はまだ若いにも関わらずこうやって気を遣う事が出来て凄い。
俺が同じ年の頃は米袋で雪山から滑ってひっくり返ってたぜ。
「お気遣い……、どうも有難う、セレル」
「……はいっ!」
過度な敬語や畏まりすぎるとセレル様は不機嫌になってしまう。
逆に今の様に砕けた感じで話すとキラキラした笑顔で返事をくれる。
慣れるものでもないとは思うけど少しづつ変えていこうか。
「それで……どういう経路でサンダルファン王国に向かうにゃんか?」
「サンダルファンはウェルニーを起点にしてエルンヘイムと反対側だ。面倒だがウェルニー経由で行くのが一番確実じゃないかな」
「無難だな、大将」
「静かすぎては運動不足になる」
「馬車移動で腰が逝っちゃうね、回復しとく?」
「頼むじゃ」
お前が回復してもらうんかい。
ゴブリン小隊の4人も俺達に随行してくれている。
と言うか自己紹介の様に全員順番に話すのは止めろ。
ここまで読んでくださり有難うございます。
アルシーとの初めての別行動。
寂しいですが再登場までの辛抱です(フラグ立ちまくりw)
宜しければ評価いただけると嬉しいです(*´▽`*)