※この作品はR-18です。

魔王軍立志伝―仕事を辞めたら魔物になりました― ハーメルン版   作:ヨシMAX

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魔王立志伝ワールドにようこそ(`・ω・´)


第76話 オークは魔創天神流と勝負した

 

 

 あれだけの敵戦力に囲まれながら俺は火事場のバカ力的な魔力の開放で何とか戦局を打破した。

 仲間達とははぐれてしまった俺とジータンはサンダルファン王国の遊撃部隊の剣士リーザロッテに救い出された。

 

 俺はジータンの回復を待ってリーザの部隊とサンダルファン王国に向かう事にしたのだが本当はジータンは置いていこうかと考えていた。

 腕輪に入って付いて来てもらう事も考えたがそれだとゆっくり休めない。

 なので、リーザ駐留部隊の残るこの基地で護衛をしてもらいながら静養した方がよいうと思ったのだ。

 

 ところがジータンは絶対に付いていくと言ってきかなかった。

 わしが居ないと自ら死にに行く主人を放っておけないそうな。

 誰が死にに行く主人やねん。

 

 ……と言う訳で今はサンダルファン王国に向かう準備をしている。

 まあ、俺は特にやる事がないので仲間の行方の情報集めと専ら訓練だ。

 

 セレル様とリリア+ゴブリン小隊に俺はサンダルファン王国に向かう様に指示を出したので第一段階としてそちらに向かうのは確実だ。

 サンダルファン王国の国内が混乱しているという情報はまだ入っていない。

 ……のであいつらなら入国を目指すはずだ。

 

 今の所は他に手掛かりもないので急ぎ出立の手筈を整えてもらっている。

 その間に俺はシャルルと一緒に訓練に励む事にした。

 潜在能力だけをみたら今回の包囲戦もここまで損害を被る事はなかった筈だ。

 俺にはまだ鍛錬が足りない。

 

 適度に汗を流し出立準備も終わり完了の報告は入ろうかと言う頃合いでそろそろ訓練も切り上げこちらも準備をしようかとしたその時。

 

 

 「精が出ますのね、イナバ様。私と手合わせでもいたしますか?」

 

 

 急に背後でリーザの声がした。

 そして恐ろしい事を言い始めた。

 リーザは強い、それはそれは強い。

 俺が魔王時代に何度彼女と模擬戦をしても結局一度も勝てなかったのだから今の実力で勝てるわけがない。

 しかも最近、オークになり身体が3倍位大きくなったのも不利な原因だ。

 俺の感覚は完全にゴブリンの寸法で合わせてある。

 まあ、既にそのレベルの問題でもないんだけどな。

 

 彼女の剣術は魔創天神流(まそうてんしんりゅう)と言う魔界で随一の門徒を持つ流派だ。

 もちろんその実力も折り紙付き、とんでもなく強い剣術である。

 

 その中でもリーザは5本の指に入る強者なのだ。

 とは言え彼女がモリモリの筋肉質なのかと言えばそうでもない。

 どちらかと言えば彼女位の若い女性の中でも特に華奢な方だ。

 

 彼女はタイミングの取り方に天性のセンスを持っている。

 それが彼女の強さであり実際に戦うと華奢なはずなのに押し負けてしまう。

 先の先で攻めると間を外され先の後を狙うと怒涛の踏み込みにやられる。

 結果、全戦全敗と言う訳だ。

 

 ……で、今回も9戦終わった時点で全敗だ。

 

 現在10戦目の手合わせなのだが絶賛押し込まれている。

 くそっ、このラッシュがなぜか捌ききれない。

 じわじわと押されていくのだが身体能力でリーザにひけをとらない筈なのに俺の方が分が悪い。

 

 ここだ!

 このタイミングで強力な突きを叩きこ……。

 

 グシャ!!

 

 ぐふわぁぁぁ!!

 

 はい……、2桁敗戦がきまりました。

 良い感じで心が折れかけ隊の出立準備が完全に整った頃に彼女から終了の宣告が出てくれた。

 

 良かった、終わってくれた。

 やれやれ、やはりメチャクチャ強いな。

 

 

 「イナバ様、あなた、筋が良いですね。鍛えれば良い剣士になれましてよ」

 

 

 おや、天才剣士様からお褒めの言葉を頂いたぞ。

 素直にこれは嬉しいな。

 

 

 「これからしばらくご一緒ですしどうですか? 私が指南して差し上げても……」

 

 「……」

 

 「あ、無理にとは申しません。あなたは魔力がとても強いのでウィザードとしても大成するでしょうし」

 

 「ほ、本当ですかぁぁぁ――っ?!」

 

 「び、びっくりしましたの……」

 

 

 俺が急に大声を出したのでリーザは驚き準備をしていた周りのみんなの注目を集めてしまった。

 なぜなら俺は生前リーザに剣の才能無しだの何もせず魔王の椅子にでも座って寝てろだの弱小魔王だの散々罵詈雑言を浴びせられる位に剣術のセンスはないと言われてたのだ。

 しかも魔創天神流は入門するにも順番待ちが凄く門下生になれたら剣術でその後は生活できるとまで言われていた特別な流派なのだ。

 なぜそんな事を想ったのか俺は素直に彼女に尋ねてみた。

 

 

 「そうですわねー、試合中に前回やられた原因を修正出来てますし、こちらに何とか一太刀浴びせようという執念を感じましたわ。戦闘中に重要なのはそう言った執念ですの。絶対に何とかする、どうにかして道連れにしてやる……物騒ですがそう言った思考は最後の最後に効いてきますの。……もちろん力無き意思は単なる憎悪になりますわ。ただそう言った思考は最後に隠れた力を引き出しますのよ」

 

 

 最後は気持ち……か。

 いつの時代も結論は同じ所に行き着くんだな。

 全滅した時の屈辱と悔しさは忘れてないぞ。

 それに今回の戦闘だって相手は殲滅したけどこちらの損害も酷いもんだ。

 そうだな、とにかく仲間を……探さないと。

 それには意思を貫く力が必要だ。

 

 ゲーム中の俺にはその覚悟が無かったという事だ。

 

 俺はリーザに手合わせと指南申し出の礼をいい出発の準備に取り掛かった。

 

 

 




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