魔王軍立志伝―仕事を辞めたら魔物になりました― ハーメルン版 作:ヨシMAX
俺はサンダルファン王国に向かう途中でゴブリン小隊のアルノートとガンマルに再会できた。
だが、しかし2人からセレル様とファルスは道中に砦を築いている山賊に囚われてしまったと言う情報を得た。
その為、ゴブリン小隊2人と俺とリーザ達で急遽、救出作戦を実行する事にした。
セレル様達が山賊に捕まっていた事にはショックを受けたが生きてくれてさえいればどうとでもなるのだ、いやして見せる、今度こそな。
そんな決意のもとに砦を強襲するべく俺が放ったファイヤーボールは暗がりに浮かぶ砦の門を軽々と吹き飛ばし煌々とした炎と煙を立ち上らせていた。
威力過多な結果に呆れた感情を背中に受け止めながら皆に号令をかける。
「いくぞっ! みんなっ! 俺達は陽動だ、敵を出来るだけ倒して暴れまわるんだ。ただ、命は大事に、無理は絶対に許さないからな!」
「おおっ!」
3人という甚だ寂しい人数で突撃をかける。
ただ俺の後にはアルノートとガンマルが続いている。
そして俺の手にはシャルルが居る。
これ以上の頼もしい仲間がいるだろうか。
砦の門を吹き飛ばされ混乱の極致にあった山賊達もようやく冷静さを取り戻し俺達に気づくと反撃をする為に俺達目掛けて駆け出してきた。
砦の中にはセレル様達が残っている。
シャルルを全開にして戦う訳にはいかない。
薄く発光する程度に魔力をまとわせて出てくる山賊を薙ぎ払う。
大体はゴブリンだがたまにオークやコボルトを見かける。
種族進化した今の俺ならパワー負けする事はない相手だ。
周りをみるとアルノートやガンマルも順調に暴れまわっていた。
これならそこまで苦労もせず作戦遂行できそうだ。
「大将、魔族だ」
「なにっ?!」
アルノートの目線を追うと確かに櫓の上に人型の影が見えた。
ゴブリンやオーク、コボルトの集団なら上位種が居たとはいえ何とかなるが魔族が1人でもいると話は違ってくる。
ウェルニーで会ったレスターがいい例だがもっと酷いのが鬼人のガルドだな。
あいつは鬼人で魔族ではないが人型の強者である事には変わりない。
「やつの動きに気を付けて戦え」
「わかった」
「うむ」
俺自身も警戒しつつ目の前の魔物を倒して回る。
……程なくして砦の後方からも大声が聞こえてきた。
リーザ達の方も始まったようだ。
まあ、あいつならこれしきの戦力ものともせずセレル様を助け出してくるだろう。
現に砦から出てくる戦力が極端に減った気がする。
フッと俺が櫓から目を離した途端、人影が消えた。
「おいっ! やつはどこにいった!?」
「大将! 上だ!」
えっ?!
アルノートの声に反応して咄嗟に上を向くと人影が武器を上段に振りかぶって俺目掛け急速に落下してきている所だった。
辛うじて飛び退くとそこに武器が振り下ろされ瓦礫と爆風が俺を襲った。
「ぐっ、うわぁぁぁあああっ!!」
「危ねぇ! 大将!」
「むうぅ!」
俺が両手で身を守っていると2人が俺の前に飛び込んできた。
「ぐわぁぁぁ――っ!」
「ぐぅぅうう!!」
だが正体不明の敵に2人とも薙ぎ払われ吹き飛ばされた。
地面を転がり数メートル飛ばされて何とか止まる。
「無事かぁ、2人とも!」
2人は片手を上げて俺に答える。
すまんな、2人とも、感謝する。
破壊力はデカいが未だに武器を振りぬいて隙だらけの敵の前に飛び込む。
……と同時にシャルルを振り上げる。
がきぃぃーん!
小手に防がれたのが見えた瞬間に俺は蹴り飛ばされ後方に吹っ飛んだ。
「大丈夫か? 大将」
「いててて……、何とかね。なんだ、あいつ」
「あいつ、悪魔族だ」
悪魔族……か。
嫌な予感は当たるもんだな。
魔王立志伝に出てくる魔族はウェルニーで会ったレスターもそうだが身体能力と戦闘能力が異常に高いのだ。
まあ、大抵の魔族はそうか。
だがこいつは魔族と言う以上に見てくれの威圧感が凄い。
前の世界の格闘家みたいな体つきをしているので攻撃を真面にくらったら一たまりもなさそうだ。
まあ、これも俺はミンチになっても復活できるからあまり関係ないがな。
「お前がニルスの言っていた魔王軍のエースとやらか。オークとはな……」
オーク、馬鹿にするなよ。
これでも大分強くなったんだぞ。
あれ?
今、こいつニルスって言ったか?
……悪い予感と言うのは当たるもんだよな。
こいつ、ニルス王子の仲間だな。
「お前に恨みはないがニルスとの契約があるのでな。悪く思うな」
そう言うが速いか一直線に俺に向かって駆けてきた。
☆★☆★☆★
表が賑やかになりましたの、イナバ様達が始められたようですわ。
表門のちょうど裏側に勝手口的な通用門がありますわね。
門番が2人、表に比べて罠かと思う程に手薄ですのね。
「リーザ様、表側で作戦が始まったようです」
「その様です。先ほどイナバ様から合図もありましたわ」
「あのオーク……、そんな高度な魔法も使えるのですね」
「あの方をオークと侮るのはいけません事よ。あの方は……只者ではないですわ」
「は、はぁ」
「そんな事よりも私達も攻撃しますわよ」
「はいっ!」
私達は一斉に通用門目掛けて走りましたわ。
随行の兵達もまあまあ速いですが私はそれ以上に速さには自信がありますのよ。
門番が驚きの表情を浮かべながらこちらに攻撃しようとしてますが私にはスローモーションの様にしか見えませんのですわ。
「せいっ!」
私は愛用の斬魔刀で門番2人を一瞬で切り倒しましたの。
通用門とは言え門番にしては弱すぎますわね、罠じゃないと良いのですけど。
私達は用心深く通用門を潜り砦の中に侵入していきました。
ここまで読んでくださり有難うございます。
宜しければ評価いただけると嬉しいです(*´▽`*)