※この作品はR-18です。

魔王軍立志伝―仕事を辞めたら魔物になりました― ハーメルン版   作:ヨシMAX

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魔王立志伝ワールドにようこそ(`・ω・´)


第80話 オークと戦うオーガの姫

 

「セレル様とファルス様は無事助け出しましたわ、イナバ様。遅くなり申し訳ありませんですの」

 

 

 俺達が散々苦戦した魔族をリーザは一刀の元に切り捨てた。

 いつの間に近づいてきたのか、魔族の後ろに回ったのか、なぜあの魔族に対して攻撃がいとも簡単に通ったのか。

 

 疑問は尽きないがハッキリしている事は一つ。

 リーザロッテはああ見えてアホ程強い、強すぎる。

 

 とりあえず俺はセレル様やゴブリン小隊のみんなとの再会と無事を改めて喜んだ。

 

 

 「しかし、この魔族はメチャクチャ強かったが賊の規模は小さかったな」

 

 「そうですわね、部隊に突撃命令を出す必要も有りませんでしたわ」

 

 「では、一度部隊と合流してサンダルファン王国に向かいますか?」

 

 「そうで……だな、セレル様、ファルスの状態は?」

 

 「ケガは魔法で治療できましたが……意識が。申し訳ございません」

 

 「いや、ファルスは自分の役割を全うしただけだ。気にするな……とは言わないけど気が付いたら改めて礼を言ってやってほしい」

 

 「分かりました!」

 

 「……お静かに」

 

 

 会話を唐突にリーザが止めた。

 緊張の面持ちで周囲の音を注意深く聞いている。

 一体、何が聞こえるのだろう。

 

 

 「どうした? リーザ」

 

 「油断しましたわ。囲まれているようですわ」

 

 「なんだと?! 賊か?」

 

 「賊が多数、魔族が少々。ただそこまで強力な個体はいない様です。シャルル様、部隊を砦に向かわせてくださいますか? 慎重に」

 

 『承知しました。既に連絡を取っております』

 

 「さすがですわね」

 

 

 これで援軍が来てくれるはず……こちらもただ待っている訳にもいかないよな。

 もうリーザが居てくれれば大丈夫な気もするが少しは負担を軽くしてやりたいな。

 

 

 (おい、人質がないなら俺の力を使うか?)

 

 おお、魔王か。

 いざと言う時は頼む、準備だけお願いしたい。

 

 (既にしているよ)

 

 ……さすがだね。

 

 

 「では……みんな、準備はいいな」

 

 

 俺は皆の状況を確認する。

 ファルスは今はガンマルに背負われている。

 この中でアタッカーを除いて一番頑丈なのは彼だ。

 それに身体も大きいので随分とファルスが小さく見えた。

 

 

 「よし、みんな、走れっ!」

 

 

 俺達、いつもこんな風に走って包囲を突破しようとしてるな。

 とにかく俺達は行きで砦にきた道を戻る形で駆けた。

 この方角ならじきに残してきた部隊とも合流できるはずだ。

 

 そしてそれは敵も分かってる様で向かう方角が一番包囲が厚い。

 それに探索スキルを発動しっ放しにしてたから分かるが俺達の後方からも敵が出てくる事、出てくる事。

 もう飽きたぞ、この展開は。

 

 

 (おいっ! 俺の能力を使え! 走りながらでも魔法は発動できる!)

 

 

 そういう事は早く言えや。

 えーと後方に爆発魔法でも撃ちこんでやるか。

 

 

 「深淵の底に湧き出でる炎よ 我が刃となり哀れな愚者に強力な鉄槌を……」

 

 『?! 主! その魔法は?!』

 

 (うるせぇっ! こん位の一撃でも叩き込んでやらねぇと気が済まんだろうが!)

 

 「……その致命的な一撃は全てを灰燼に帰し全てに再生の道筋を ヘルファイ・オブ・ザ・アビス!!」

 

 

 直後、後方でキノコ雲が発生し俺達は前方に吹き飛ばされた。

 

 

 『バカですか、バカなんですか、至近距離で超高レベル魔法を撃つとか……』

 

 (やかましいわ! 俺の判断にケチをつけんじゃねぇ!)

 

 「うぅわぁぁぁぁあああ――っ!!」

 

 

 なんかすまん、正直やり過ぎた。

 なんか魔王の思考に流された感もあるけど……。

 俺達が吹き飛ばされて地面を転がっている所に後から後から魔物達が押し寄せる。

 

 

 「くっそっ! みんな、密集隊形! 真ん中にセレル様とファルスを!」

 

 

 すると後方にいたセレル様が俺の手を抑えて驚くべき事を言った。

 

 

 「……大丈夫です、イナバ様。私も……戦います」

 

 

 えっ?!

 何を言っているのかな?

 セレル様が……戦う?

 

 俺が戸惑っているとセレル様は長いスカート太ももで結び、腰を落として構える。

 左手を顔の前に、右手は軽く握り腰に、完全に武闘家ですやん。

 

 あ、やばいですよ。

 太ももが眩しい、見えちゃいけない所まで見えてしまいそうです。

 あ、龍の玉物語みたいに闘気が一気に膨れ上がった、格好いい!

 

 

 「リーザ! フォロー頼みます!」

 

 「お任せですわ!」

 

 

 セレル様とリーザはそう言うと撃ち出されたかの様な勢いで飛び出し魔物の群れに突っ込んでいった、……突っ込んでいった?!

 

 

 おぃぃぃいいいい――っ!

 まてまてまてまてぇ!

 

 なんで救助された王女が真っ先に敵に突っ込むんだよ!

 ガンマルが遅れない様に気を付けながら自分達も戦闘に加わろうと急いで走り始めると何やら前方で変化が起きた事に気づいた。

 

 敵が……吹き飛んでいる。

 自分で言っていてもよく意味が分からないが、耳を劈く(つんざ)様な轟音が辺りに響くたびに魔物が数匹単位で空目掛けて吹き飛んでいた。

 信じられない事にセレル様が敵軍のど真ん中で大立ち回りを演じていたのだ。

 いつの間にか両手にはメリケンサックの様な武器も握られていた。

 淡く光っているので魔法の品だ。

 

 

 『凄いですね、実力を隠している事は察していましたが、ここまでとは……』

 

 「シャルルは知っていたのか?」

 

 『手に取って頂けなかったので何となくしかその方の力は分かりませんけどね』

 

 「専用の武器がある所を見ると……元々の戦闘スタイルがアレなんだろうね。いつでも使えるのかな?」

 

 『恐らく、使える時間が短いか、条件があるのでしょう。フォローが無ければ多勢には使い辛いのかと』

 

 「なるほど」

 

 『幻滅しましたか?』

 

 「まさか」

 




ここまで読んでくださり有難うございます。
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