※この作品はR-18です。

魔王軍立志伝―仕事を辞めたら魔物になりました― ハーメルン版   作:ヨシMAX

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魔王立志伝ワールドにようこそ(`・ω・´)


第81話 オークと哀れなスパイの少女

 

 

 その後もセレル様は敵の攻撃を防ぎ強烈な一撃を加え続ける。

 武器だけでなく身体中が輝いているので身体強化も使っているのだろう。

 大きな魔物の武器を腕で防いだ後、蹴り飛ばしている。

 

 俺達はセレル様達に加勢する為に敵に突っ込み奮戦した。

 その間に移動してきたリーザ本隊300が戦いに加わる。

 そうなると最早、戦闘ではなくそれは追撃戦へと形相を変えていった。

 

 だがしかし、優勢とは言えこちらも戦力は少ない。

 深追いせず警戒しながらこちらも引いた。

 

 その際に運よく補給部隊の責任者クラスの魔族を捕らえる事ができた。

 捕虜にするなら非力な方が良い。

 敵さんもそう考えたと思うけど……セレル様が砦で暴れなくて良かったね。

 

 俺達はサンダルファン王国と砦の分岐点まで戻り夜営準備と捕虜の尋問を行う。

 尋問は指揮所のテントで俺とセレル様、リーザ、リーザの部下で開始する。

 俺はまずはリリアの行方を聞いたが捕虜は知らないの一点張りだった。

 シャルルに尋ねると恐らく本当だろうとの事。

 

 次に今回の事は誰かの依頼か、依頼ならば誰からなのかを激しく問い詰めた。

 捕虜はこちらも最初は白を切るつもりだったみたいだがリーザの目が座り刀を抜いた辺りからガタガタと震え始め口を割り始めた。

 

 

 「殺すな! 全て話す! 俺達はニルス王子に頼まれたんだ、セレル姫の行方を捜し可能であれば殺せと……。クソっ、こんなに戦力が有るなんて聞いてないぞ」

 

 「やはり……」

 

 「……ですわね」

 

 「おいっ! サンダルファンの国王は無事か? 他に首謀者がいるか?」

 

 「あ、ああ、王国はまだ大丈夫だろう。あいつの作戦にはまだ猶予が……ぐっ」

 

 「えっ?」

 

 

 突然、捕虜がうめき声をあげ椅子から転げ落ちたので驚いて顔を向ける。

 すると捕虜の背中に短剣が深々と突き刺さっていた。

 

 

 「ここまで……ですね」

 

 

 捕虜を刺したのはリーザの部下の一人だった。

 セレル様が捕まっていた地下室の隠し扉を見つけたのが彼女だ。

 

 

 「テレサっ?! 何を?!」

 

 「リーザ様、申し訳ございません。私はスパイです」

 

 「?!」

 

 「詳しくは……話す事が出来ません。半径数百メートルの爆発が起きます。」

 

 「なっ?!」

 

 「パトロール中のある日、あの男は私の前に現れました。男は言いました。ニルスは反乱を企てている。加勢しろ……と。セレル王女側の情報を流せ……と」

 

 「あの男?」

 

 「言う通りにしなければサンダルファン王国に未来はないと……」

 

 「何をしてますの?! やめなさいっ!!」

 

 

 リーザの声が響いた時には既に手遅れだった。

 テレサと呼ばれたリーザの部下は今度は自分の胸に短剣を突き立てていた。

 テレサの胸から大量の鮮血が噴き出る、なんてこった!

 

 

 「どうしてっ?! どうしてですの?! テレサっ!」

 

 「私のこれは魔法ではありません。呪いだそうです。解除は難しいかと……。それに造反は我国では死罪。当然の報いです。……あの男はサンダルファン王国の代わりにウェルニーを襲撃し壊滅寸前まで追い込みました、私の所為です」

 

 「……そんな、テレサ……」

 

 「……ですが、イナバ様、あなたがそれを防ぎました。……有難う」

 

 「もういい! 喋るな、今ヒールをかける!」

 

 「テレサ! テレサ! しっかりしますの!」

 

 

 リーザはテレサを抱きかかえて何度も呼びかけを繰り返し、セレル様は顔を真っ青にして一部始終を見ているが……とうとうへたりこんでしまった。

 

 

 「どういう事だ?! 傷が……ふさがらない」

 

 『主、この娘には強力な呪いがかけられています。裏切り防止に……回復阻害』

 

 

 テレサの息遣いがより一層苦しそうに変わる。

 

 

 「なんだと?! くっそ! どうにかならないか、シャルル」

 

 『厳しいです……、強い、強い呪いです。時間が……』

 

 「ぐふっ」

 

 

 テレサは口から大量の血を吐きその四肢から力が失われた。

 彼女の魂の火は今、急速に無理やり掻き消された。

 

 なにがチート能力持ちだ、俺は無力だ。

 

 

 「誰か、誰か居ますの?!」

 

 

 声に反応したリーザの部下が扉をノックし部屋に入る。

 ……と、部屋の中の様子を見て息をのんだ。

 

 

 「スパイが捕虜を殺し自害しましたわ。テレサの周辺を洗いますのよ」

 

 「……これは……」

 

 「早くなさい! 遺体も運び出してっ!」  

 

 「は、はいっ!」

 

 

 部下は戸惑いながらも応援を呼びテント内を片付け始めた。

 リーザ隊は結束が強く一人一人の技能も高い。

 その中でもテレサはリーザの側近の一人だ、能力も高い。

 

 そんな彼女が何の抵抗もできずに賊の言いなりになっていたという事は通常は考えにくい。

 ……と言う事は身内にまで危機が迫っている可能性が高い。

 せめて身内は――彼女が守りたかったもの――守ってやらなければ。

 

 

 『主、テレサの言っていたあの男と言うのは……』

 

 「ああ、まず間違いなくロマリアスだろう。名前を出すのも呪いの発動条件なのかもな」

 

 『そうですね』

 

 

 予感は当たった。

 テレサの弟がサンダルファン王国にいるそうだ。

 親を早くに亡くし姉弟で力を合わせて生きてきたらしい。

 姉がリーザの部隊に配属になり弟はとても喜んでいたと言う。

 何としてもサンダルファン王国に潜入し弟に姉の遺品を届けてやらなければ。

 

 俺の旅にまた一つ大きな目的が出来た。

 

 




ここまで読んでくださり有難うございます。
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