※この作品はR-18です。

魔王軍立志伝―仕事を辞めたら魔物になりました― ハーメルン版   作:ヨシMAX

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魔王立志伝ワールドにようこそ(`・ω・´)


第92話 オークはエルフを誘い出す事にした

 

 

 「ご迷惑をおかけします」

 

 

 クラリスが俺達に向かい深々とお辞儀をする。

 ダークエルフは誇り高く魔王軍を嫌っていると聞いているが彼女に関してはそんな事はなさそうだ。 

 

 クラリスを人間の人攫いから守り切った後も警戒を続けつつ部隊については夜が明けるまでその場で休ませた。

 

 俺達はエルンヘイムに再度出立する準備を始める。

 彼女はダークエルフの集落から他の集落に仕事で向かう際に人間族のハンターに狙われ追われてあわやと言う所で俺達が保護した。

 本来であれば彼女の集落まで送っていくのが普通であるがクラインの集落に限ってはそれがあてはまらない。

 

 何しろ近づくのが至難の業なのである。

 現代風に言えばちょっとでも怪しい素振りをすればダークエルフ達に魔法矢で至近距離からの絨毯爆撃に晒される事になる。

 そんなリスクをとってまで送ってくれる優しい人物がどれだけいるだろうか。

 

 保護するだけでも褒めてもらいたい。

 俺とセレル様、リーザにガンダルフ+ゴブリン小隊。

 これだけの強者がいるので彼が来るのを待てるのである。

 

 

 「イナバ様、出立の準備が整いましたわ」

 

 「よし、じゃあエルンヘイムに向かおう。警戒は最大レベルでな」

 

 「ほとほと信じられませんが相変わらずお話に聞く限りヤバイ相手ですのね」

 

 「ああ、でも警戒さえしてれば大丈夫だ。俺に策がある」

 

 『でましたね。主の策がある、……フラグですね』

 

 

 うるさいぞ、シャルル。

 俺はいつでも最善の策を考えて行動しているのだ。

 

 

 『主の作戦は個々の命の保証が希薄ですよね。特に主自身の命の保証は皆無に等しいですよ』

 

 心外だな。

 俺は元生粋の日本人だぞ。

 自分の命は基本的に一番大事だよ。

 

 隊列は再びエルンヘイムに向けて動き出した。

 俺は探索スキルを最大に広げて発動する。

 今の所、怪しい反応は無いが……先日、クラリスを攫おうと画策した人間の仲間がくる可能性もまだあるので油断は出来ない。

 

 俺達の行軍は続く。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 行軍を始めて2時間程過ぎただろうか。

 エルンヘイムに向かう途中の森の道だがそろそろ森自体を通り抜けそうだ。

 

 

 「リーザ隊より伝令です! 進行方向に人間族の一団が壊滅しており、何者かとの戦闘の形跡が見られるとの事。リーザ様は指示が欲しいとの事でした!」

 

 

 俺はクラリスと顔を見合わせた。

 なぜか彼女も俺の方を咄嗟に向いたので俺と目があった様だ。

 

 

 「クラリス、兄上は来たかな?」

 

 「イナバ様、まず間違いなく来るなら今かと……」

 

 

 さすが奴の妹だ。

 クラインの性格を熟知している俺と考えが全く同じ様だ。

 

 俺は各部隊に集合する様に指示をだした。

 出立時に決めていた通りに上空に光量の高いファイヤーボールを打ち上げた。

 どの部隊も俺の部隊を中心として整然と集合を始める。

 

 これは本来、クラインの様なダークエルフと戦うには最悪の悪手だ。

 そう、その部隊に俺とセレル様が居ない場合に限るけどね。

 

 部隊集合は相当の速さで続行されているがそれよりも早く俺達は攻撃を受けた。

 何故分かったかと言うと森の奥から光を反射した様な閃光を捉えたのだ。

 

 

 「セレル様! クラリス! 頼む!!」

 

 「「はいっ!!」」

 

 

 俺はセレル様には大規模防御魔法を、クラリスには風の精霊魔法で上空の風向きを強烈に変えてもらった。

 

 ダークエルフに限らずエルフの攻撃は基本的に弓矢である。

 その為、単独の攻撃で有れば被害は大したものではないはずだ。

 クラインの部隊も例外ではないが彼らの場合、エンチャントが頭のおかしいレベルで強力な為、 地球の迫撃砲並みの破壊力と攻撃範囲を誇るのだ。

 だから集合している敵に対しては抜群の戦果を叩き出す事が可能である。

 

 だが思い出してほしい。

 あくまで彼等の攻撃は弓矢だ。

 単純な話だが強烈な風に弱い。

 

 案の定、弓矢の7割ほどが明後日の方向に逸らされガンダルフ隊とリーザ隊の投石により空中で爆破処理されている。

 

 ただ、それだと彼が魔王軍四天王に加えられている理由がなくなってしまう。

 こんな事は少し考えれば思いついてしまうからだ。

 

 

 どかぁぁあ――ん!!

 

 

 「右翼、歩兵部隊近くに着弾! 被害は軽微!」

 

 

 予想通りに防御魔法の届かない位置に狙いすまして着弾した。

 数は少ないが彼等の部隊には弓矢を射出後に操作できる人材が存在する。

 風で逸らされようが地上から攻撃されようがそれを躱して着弾出来る様に弓矢を操作をするのだ。

 もうそれさ、誘導弾だよね。

 しかも熱反応で着いて来るなら幾らでも対抗手段はあるのだが手練れの彼等は探索スキルの応用で弓矢を操作する。

 だから対抗手段が物凄く限られてしまうのだ。

 

 だがしかし、俺は元魔王だぞ。

 これしきでやられないから魔王たる所以なのだよ。

 

 

 「魔導士達に認識疎外の魔法を発動させろっ!!」

 

 

 正直に言うと未来で直接クラインに対応方法を聞いたのである。

 ズルではないぞ、使える知識は何でも使うの精神だ。

 なにしろ一度は死にかけたのだ。

 今更気にする誇りなど無いよ、勝てるんであれば。

 単純な対抗方法も知らなければ最強だ。

 

 魔法が発動され始めると弓矢は俺達の上空を通り越して全く関係のない平原を爆撃し始めた。

 よし、探索スキルで俺達の位置が掴めなくなっているぞ。

 

 これだけ向こうの手段をつぶす事が出来れば目的は達成できたも同然だ。

 作戦の成功はそろそろだ。

 

 

 「イナバ様、見事な手腕でした」

 

 

 クラリスが俺達の作戦の成功を担保してくれた。

 これで短気なクラインは俺達の部隊に突撃してくるに違いない。

 

 




ここまで読んでくださり有難うございます。
クラインは真面目なので挑発されるとイライラします。
そこが勝負の分かれ目でしょうか。

宜しければ評価いただけると嬉しいです(*´▽`*)
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