オリシューとISヒロイン(ry 作:user
ISには兵器と言う側面があるため、ISを使用し競うアリーナには、中から外へ影響を及ぼさないよう、万全の体制が敷かれている。周囲は囲まれ、上部は青空こそ見えるものの、シールドの用意がある。
厳密には屋外とは呼べないだろうが、体が伝える感覚は、外と言っている。
IS学園はISを学ぶための学園であるので、ISを用いてアリーナで行う授業がある。
それはよい。
よくないのが、ISスーツだった。
ISは使用者が装着して使用するものであるため、使用者の服装は極力軽いものが良い。そのために開発されたISスーツは、極限まで薄くなり、使用者の肌表面の電位差すらISへ伝えることを可能にする。
その特性上、被覆部が非常に少ない。
授業にてISスーツを身にまとった生徒達を初めて見たとき、リーシュは咳払いを装い、唖然と開きたがる口元を隠さざるを得なかった。
青空の下で、幼いコンパニオン達が整列している。
凄まじいまでの場違い感があった。
水着みたいだな、と能天気な感想を言う一夏が羨ましくなった。
水着のようなISスーツで授業を行うのだから、その後にシャワーを浴びたくなるのは人情と言うもの。国際的な施設であるIS学園には予算もふんだんにあり、シャワールームが完備されていた。
シャワーボックスが並んでいる。
上部は開放され、下部は水はけの関係上、やはり開放されている。
離れていても中の人の足元が見えるし、近づいて覗き込めば中は丸見えになってしまう。
一人用の設備であるので、外から見える足は通常二本。
今日はそこに、四本の足が見えるボックスがあった。
「……今日もこんなところでして…………」
「たまにはいいだろう?」
「バカ! 変態! 露出狂!」
リーシュと、子供のように罵る楯無がいた。
楯無に普段の飄々とした雰囲気はなく、リーシュの前では子供のような姿を晒す。
さらけ出せるのが気持ちよくて、つい流されてしまう。
だから、たまには、の言葉を否定する前に、罵倒の言葉が飛び出るのだ。
たまには、ではない。
アリーナのシャワールームで事に及ぶのは、前回も前々回もその前も、今日で五回目なのだ。初めの二回はベッドで、空き教室だったことが二回あった。
楯無の優れた記憶力は、いつどこで、どんな風に、を全て事細かく記憶していた。
それだけ交わせば好みも、一連の流れもわかってくる。
終わった後は、二人抱き合いながらシャワーを浴びるのだ。
汗も、リーシュが吐き出したものも、楯無が垂らしたものも、全て流されていく。
そしてこの後、どういう流れになるのかも、楯無は承知していた。
「また……大きくなってる…………」
密着状態でいるのだから、相手の変化がすぐにわかる。
楯無の下腹に、熱く、固いものが触れている。
「刀奈がそれだけ魅力的なんだよ」
「……調子のいい事言って…………。そうやって本音のことも誑かしたのかしら?」
「妬いてくれるのかい?」
「違うわよ!」
楯無はリーシュから離れ、何を言われる前に壁に手をついて腰を持ち上げた。足はやや開いて立つ。リーシュに晒し、突き出す形になり、早くして、早く終わりにして、と言葉によらず訴える。
抱き合う内に、受け入れる準備が整ってしまったことを、楯無は口にしないし、口にもさせない。
いつもならリーシュが楯無の腰に手を添えて、後ろから突き入れる。
身を強張らせて待っていたところ、シャワーの音が止んだ。
シャワーの音があれば、多少の音や声が紛れてくれる。
なのに、止んだ。
楯無が振り返ると、リーシュはシャワーヘッドをくるくると回し、外していた。
ホースとなったシャワーから湯を出し、温度を確かめている。
何をしているかわからない。楯無が怪訝に思っていると、意地の悪い笑みを浮かべたリーシュが、シャワーを楯無に当てた。
入れられる場所から少し上。
瞬時に悟った。
「いや! やめて!」
拒絶の叫びは虚しく響き、リーシュはシャワーのレバーを引いた。
長い時間ではなかった。
レバーは戻され、湯の奔流は止まっている。
けれど、確実に入った。
50ccか100ccか、それ以上ではない。コップ一杯にも満たない量だが、確実に楯無の中に入っていった。
「刀奈。我慢をすると、体に悪いよ」
楯無には答える余裕がなかった。
湯が中に入っている。熱くはない。だが、苦しい。出してしまいたい。でも、出来ない。
どこに入れられたのか、どこに入ってしまったのか。そこから、リーシュの目の前で出さなければいけないのか。
歯を食いしばり、必死で耐える。流したばかりだと言うのに、全身から嫌な汗が流れ始めた。
「刀奈は我慢強いんだね。楽になれるよう、手伝わせてくれないかな」
リーシュの言っていることがわからない。返事をする余裕もない。
リーシュはペットボトルのキャップを開き、中身を楯無の尻に垂らした。
ボトルには何のラベルも貼られておらず、太く短い矢印が描かれている。
ぬるついた透明な液が、尻の割れ目を伝って流れ、苦しそうに痙攣しているすぼまりに溜まる。
リーシュは中指を立てると、そこへそっと突き入れた。
「――――!」
楯無は歯を食いしばり、必死で抵抗した。けども、中に入ったお湯は僅かな出口を探し当て、無情にも勢いよく吐き出されていく。
涙が出た。鼻水も出た。あえぎ開いた口からは、涎がこぼれてしまう。
これ以上ないと思えるほどの羞恥と、苦しさからの開放で何も考えられず、ただ苦しそうな喘鳴をもらすばかり。
二度目は拒絶の声を上げられなかった。
三度目には全身が弛緩してしまい、シャワーが離れると同時に噴出し始めた。
リーシュはシャワーヘッドを元に戻し、いつものように流し始めた。
臭いも、跡も、何も残っていない。
壁に手をついたまま、荒い息を吐く楯無だけが事の名残だった。
抵抗する体力も気力も奪われ、されるがままになっている。
同じようにローションを垂らされ、指を入れられ、二本になった時は圧迫感と苦しさで声が漏れた。
入れられている指が、熱い。熱に寄らない熱さがある。
痛みはなかった。ただ、苦しい。
どこに入れられているのかすらわからない。そこは、そのようなことをする場所ではない。
生まれて初めての感覚だった。
「――――!」
体の芯から、奥底から、子宮から、弾けた快感が脳を焼き、楯無は咄嗟に指を噛んだ。
いつもの場所にも指を入れられた。
肉壁を挟み、中で触れ合っている。
リーシュの指が、楯無の膣と肛門へ入り込み、媚肉を挟んで触れ合っている。
腰が砕ける。立っていられない。
壁についた手が離れ、その場に崩れ落ちそうになるところ、リーシュは指を抜き、いつものように腰を支えた。
そしてそのまま、楯無は後ろから入れられた。
後ろの穴に突き立てられた。
いつもと違い、中で射精された。
直腸内に残された精液は、リーシュが指を使って掻き出した。
「素晴らしかったよ」
終わり、抱き合い、いつものように如何に良かったかを語るこの男が、楯無は憎らしく見えて仕方がなかった。
突き飛ばし、腕を取って噛み付いた。
愛撫のような、甘噛みではない。歯形がつき、血が滲むほどきつく噛む。少なくとも、自分の指に残った歯形以上に深い跡を残さなければ、とてもではないが到底気が済まなかった。
指の歯形に気付かれ、腕に付けた歯形と見比べられて『これが刀奈の喜びの深さなんだね』と言われてしまった楯無は、全身を紅潮させて唸ることしか出来なかった。
「もう二度とあんなことしないで」
「刀奈が嫌がることなんてもちろんしないよ」
嘘だ、と楯無は思った。
嘘つき、とは言えなかった。
楯無が嫌だと言ったことを繰り返すと言うことは、楯無は嫌だと思ってないと、リーシュはそう思っているということだ。
外れていないのが憎らしい。
二人はシャワーで汗を流した後、更衣室で衣服を整えている。
二人しかいない時間と場所なのだから、女子更衣室か男子更衣室かなどは二人とも気にしない。
目の前で着替えをしてもされても、羞恥は感じても耐えられるようになってしまった楯無だった。
本来ならばISスーツに着替える場所。
そこでリーシュが着替えをしている。
ISとリーシュ。
すとん、と。
楯無の中で閃くものがあった。
「ねぇ……。あなたなら、どうしてISが女性にしか起動できないのか、知っているのじゃないかしら?」
唐突な楯無の問いかけに、リーシュは不思議そうに首を傾げた。
「突然だね。……世間一般に知られている知識なら承知している。IS学園に入学し、それなりに学んできたがあくまでそれなりだ。専用機を自分の手で組み上げた刀奈の方が遥かに詳しいよ」
「組み立てられなくても知っているかどうかは別だわ。知ってるの?」
「参考までに、どうして俺が知ってると?」
「…………女の勘よ」
リーシュは苦笑し、両手を上げた。
女の勘を持ち出され、それが真実を鷲掴みした時は、一切の抵抗をしないと決めていた。
IS学園に入学する半年ほど前のこと。
秘書の一人に珈琲を淹れてもらい、香りを楽しんでいたら、外で女性と会っていたのを見抜かれた。
匂いも服装の乱れも、指し示す痕跡は何一つ残していない。いつものようにいつもの時間に珈琲を飲んでいたら知られてしまった。
何故か、と訊けば、
『根拠はありません。…………強いて言うならば、女の勘です』
その後、別の人物にも知れ渡り、仕事中なのに、と。頬にもみじを作ったのは理不尽な思い出である。
今もって理解できない。道理を超越した超常の力が、女の勘には、ある。理不尽だ、と喚いてもそれが女であるようだ。
「降参。知ってはいないけど、真実だろうと推測しているものはあるよ」
そう聞き、楯無の胸は高鳴った。
ISが女性にしか起動できない理由。それを掴めば、間違いなく更識の力になる。
原因不明。
篠ノ之博士ですら解明できていない重大な情報を、目の前の男は持っている。
「教えて」
「教えてあげたいのは山々だけど、それは男女の仲であっても話すことじゃないね」
「条件は?」
「男女の仲を踏み越えればいい。出会った日にした話を覚えてくれているのだろう?」
「………………」
それは『楯無』であることを辞め、更識を、日本を離れ、リーシュの元へ行くと言うこと。
リーシュからのヘッドハンティングを、今日まで楯無は保留にしていた。リーシュが改めて話すこともなかった。
形の上では雇い主が変わるに過ぎない。だが、この条件は実質的な身売りだ。
情報と楯無の身柄。
それを交換しようと言っている。
見合う価値が、それだけの魅力があった。
前世紀ではあるまいし、女郎屋で働かされるわけではない。むしろ、今まで以上に遣り甲斐と、遣り甲斐に見合うだけの報酬と、それ以上に満たしてくれるであろうことは、確信がある。
リーシュの人格は疑っても、能力は疑っていない。
楯無自身を見抜き、的確な仕事を振るのは間違いない。
癪ではあるが、そうなのだ。
リーシュ自身が言っていたように、更識家や、最愛の妹についても万全のフォローをしてくれるだろう。
「すぐとは言わないし、無理なのは知っている。だから、五年待つよ。長くとも五年以内に、うちに来てくれればいい」
「………………」
五年間。
IS学園を卒業し、更に三年の猶予がある。
『楯無』の後継を見つけ、体制を整えるにはけして長くはない。しかし、出来なくもない。リーシュが手を貸してくれるならば、問題はない。
自身の未来と、更識の未来と、どちらにとっても最良の決断をしなければならない。
楯無は、現状維持に腐心する臆病者では、ない。
決断した。
「わかったわ。五年以内にあなたのところへ行くことを約束する。それで――!」
言葉は途中で遮られた。
リーシュに痛いほど強く抱きしめられ、唇を奪われた。
舌が捻じ込まれ、口内を蹂躙され、強く吸われる。楯無が苦しそうに声を漏らしても全く緩まない。
激しい口付けに息が切れ、リーシュが離れると同時に、楯無は床の上にへたり込んで酸素を貪った。
楯無の様子をそよとも気に掛けず、リーシュはバングルを用いてスイスの本社へと通信を始めた。
現れたディスプレイは映像を映さず、短いアドレスらしきものだけが示されていた。Cの文字だけが楯無の印象に残った。
「俺だ。日本のマーケットを支配する。分析のため、手始めにシンクタンクを作る。並行してコンサルティングも行う。人を選んでくれ」
心臓に悪い言葉が飛び出してきた。
『…………突然ですね。暇をしている人間は、こちらには一人もいません』
「探せ。どこかにいる。引き抜け。もちろん日本からも人を出す。小さなオフィスから始めるから、三人だけでいい。出来るだけ早く」
『……承知しました』
「それと、ロシア東部に金を出す」
『…………パイプラインでしょうか。それとも精製工場でしょうか』
「いや、港湾開発だ」
『……根拠をお聴きしても?』
「エネルギー需要は増加しているが、十年以内にエネルギー革命が起こる。ウサビッチは関係ない。今はそういう流れなんだ。化石燃料は時代遅れになり細るだけだ」
『何故港湾なのでしょうか?』
「データは飛んでも物は飛ばないんだ。必要なものを用意するのは当たり前だろう。日本、ロシア、ヨーロッパを繋ぐ大動脈を作る」
『……………………お聴きします。正気ですか?』
「ロシア帝国に食いつくんだ。夢いっぱいだろ?」
「……ぁ……………………」
リーシュの目が、子供のように輝いていた。『刀奈』が欲しいと、そう言った時と同じ顔をしていた。
見惚れ、思わず声が出た。
通話が始まった瞬間に口を噤み、静観していたのに。
『……………………………………それで。どのように行動されますか?』
「ロシアはマフィアもだが、オリガルヒが怖い。必ず彼らの権益とぶつかる」
ロシアンマフィアとオリガルヒは、境界が曖昧だ。
マフィアはフランス、イタリア、人種とは関係なく、暴力を商品の一つとする非合法組織。
オリガルヒは、ロシアの新興財閥を指す。
どちらも、ソビエト連邦崩壊後に台頭してきた勢力である。
『政府高官を抱きこみますか? それともスキャンダルを握りますか?』
「いや、彼らの内一人をウォッカ漬けにする。甘い夢を囁けば、いいように動いてくれるさ」
『選択は社長が?』
「ああ。彼らの情報全てをよこせ。事業も、規模も、トップも、幹部も、構成員も、家族構成も、血縁も、人種も、ルーツも、来歴も、全てだ。写真ももちろんだ。肉声が手に入れば尚いい」
『…………膨大なデータになります。調査も含み、一週間はお待ちください』
「わかった。頼りにしてる。愛してるよ」
『……………………………………………………………………………………女の敵……』
通信が終わった。
日本とスイスは時差がある。にもかかわらず、彼女はリーシュからのコールにすぐさま応えた。どういうことだか、リーシュは当然承知している。
「ありがとう、刀奈。歓迎するよ」
またも強く抱きしめられ、楯無が我に返ると、わけがわからない現実が待っていた。
スイスとの通話をあえて日本語で行ったのは、楯無に聞かせるためだろう。
大きな話。
そうとだけ思えれば幸せだった。
不幸にも、今の話がどれほどのものか、想像出来てしまうだけの知識が、楯無にはあった。
最早、ISがどうのと言えるレベルを超えた話だった。
間違いなく莫大なマネーが動く。
更識と布仏と、関わりのある全ての家の資産を合わせても、到底及ばない額が動く。
歴史の転換点になりかねない、いや、日本とロシアでは、間違いなく教科書に乗るほどの大事業になる。
その一押しを、自分がしてしまった。
巨大なダムの一穴に、最初の一振りをしてしまった。
あふれ出した激流が、何もかも、一切合財を飲み込んで、どこまでも流れていってしまう。
初めて出会った日に語られた、夢物語のような話が、実現に向けて足を踏み出した瞬間だった。
楯無は力なく、下を向きながら歩いていた。
あの後、またリーシュに抱かれた。
加減なく激しく求められ、初めて中に出された。
求められて嬉しい。
今はそれよりも、とんでもないことを仕出かしてしまった後悔なのか、自責なのか、罪悪感なのか、いずれとも違うのか。精神を打ちのめされていた。
『更識』の『楯無』。ロシアの国家代表。IS学園最強の象徴である生徒会長。
所詮は個人だった。
『世界』の前に立てば、他の誰とも大差ない一個人に過ぎなかった。
激流に流される小石か、暴風に飛ばされる木の葉か。
心身ともに打ち砕かれ、顔を上げる気力もない。
足が勝手に動くのみ。
「どうしたの、お姉ちゃん? なんだか元気がないけれど」
「………………………………………………簪ちゃん……」
生きるものの本能なのか、楯無の足は、最愛の妹である簪の元へと、楯無を運んでいた。
妹の簪が心配そうな顔で覗き込んでも、愛想笑いすら出来ないでいる。
「本当に元気ないけれど、大丈夫?」
「…………お姉ちゃんね。自分じゃそれなりに出来る人間のつもりだったんだけど、本当は周囲に翻弄されるだけのちっぽけな存在なんだって。……わかっちゃったの」
「そんなことない! お姉ちゃんはとても頭がよくて、とても強くて、とても素敵なお姉ちゃんだよ!」
「…………………………ほんとう?」
「うん! お姉ちゃんはわたしの、あ……、憧れのお姉ちゃんだもん」
「ありがとう…………簪ちゃん!」
美しい姉妹が、人目を憚らずに抱き合っている。
それはとても美しい光景だった。
楯無と妹の簪は、かつてあった距離を詰めただけでなく、誰の目からしても仲睦まじい姉妹になりつつあった。
数日後、ISの件を聞きそびれているのを思い出し、楯無はリーシュに詰め寄った。
返ってきたのは、篠ノ之博士がロックしている、だった。原因不明との発表は博士の嘘、であるらしい。
誰もが思いつき、誰もがそれはないだろうと頭を振るそれが、リーシュの出した結論だった。
楯無は、ぐすん、と涙をこぼし、今度はリーシュに慰められた。
なんだかとても、遣る瀬無かった。
サブタイトルが雑なのは続く予定がなかったからです。