オリシューとISヒロイン(ry 作:user
ツーマンセルトーナメントが開催された。
本来の名称は学年別個人トーナメントだったが、ツーマンセルなのに個人はおかしい、との至極もっともな指摘により名称が変更されている。
一名の例外を除き、生徒全員が強制参加。
外部からは、スカウトや視察のため、お偉方が顔を覗かせる。
言うまでもなく、大イベントである。
今年はそれに加えてリーシュから、使いようによっては破格とも言えてしまう優勝賞品が提供された。
更に加えて1年生には優勝の副賞として、誰もが目の色を変える、まさにプライズが用意されており、最早どちらがメインだかわからない有様になっている。
生徒達の熱の入りようは、例年とは比較にならないほど高まっていた。
1年生のトーナメントでは、初日から優勝ペアを占う好カードがあった。
一回戦にて、織斑一夏と篠ノ之箒のペアは、更識簪と布仏本音のペアとぶつかった。
知る人ぞ知る因縁の対決である。
簪の専用機は、一夏の専用機が優先されたために開発が遅れ、簪が自身の手で完成させた経緯がある。
一夏は知る由もない、簪の一方的な逆恨みであるが、他意を抱くなと言うほうが無理だった。
だけどもそれは、以前の話。
今の簪には、一夏へ対して何の恨みもない。むしろ、感謝すらあった。
専用機を自身の手で組み上げたことがリーシュと深く知り合う切っ掛けになり、リーシュの力になれたとの自負も生まれた。
自分と、自分が組み上げた専用機の力を最大限に一夏へぶつけることが、簪が表せる感謝の形である。
簪と本音は遠距離戦を徹底した。
本音がきゃーきゃー叫びながら一夏と箒をかく乱し、簪が遠距離攻撃を行う。
連射型の荷電粒子砲に阻まれ、一夏と箒が分断された時点で勝敗は決した。
一夏は専用機持ちである。
そして姉譲りのセンスに、たゆまぬ努力を為してきた。
が、ブレード一本でミサイルの嵐に立ち向かうのは無理があった。
援護があれば違う展開があったかも知れない。だが、パートナーである箒もブレードをメイン武装としており、遠距離戦を不得手としている。
一本や二本のミサイルであればセンス、反射神経、専用機の機動性で持って何とか出来ただろうが、十を優に超えるミサイルから同時に狙われては、為す術がなかった。
簪は一夏へ、感謝の思いをぶつけたのである。
一夏が沈み、箒は一人で二人を相手取る形になった。
決着は時間の問題と思われたが、箒は予想外に善戦した。
どういった縁があったものか、箒は学園最強の生徒会長から指導を受けていた。
箒は会長の指導によく応え、二対一の不利を覆し、簪からの援護射撃を避けつつ本音を落とした。
こうして一対一の形に戻る。
簪の専用機とて、無限のミサイルを積んでいるわけではない。
距離を詰められ、箒の距離となる。
接近戦となり、簪の近接武器を弾いた瞬間、箒は勝利を確信し、敗北した。
残弾ゼロを装い、箒の油断を誘った簪の作戦勝ちである。
箒はこれが最後の一撃と、ブレードを大上段に構えた隙を狙われ、近距離からのミサイル直撃を許してしまった。
注目のカード一戦目は、更識簪・布仏本音ペアの辛勝となった。
一回戦における、もう一つの好カード。
事実上の決勝戦と目される一戦。
セシリア・オルコットと凰鈴音のペアに対するは、シャルロット・デュノアとラウラ・ボーデヴィッヒのペア。
4人全員が国家代表候補生であり、4人全員が専用機持ちである。
3学年を通して、最も注目されている一戦である。
ラウラは、現ドイツ軍にてIS配備特殊部隊の隊長を担っている。実力のほどを疑う者はいない。
シャルロットは、ISに触れてから二年とラウラより日が浅いが、ISに搭乗して腕を磨くことが生きる術とさえ言える環境にいたのだ。その果ての代表候補生である。
鈴音は、IS歴はいまだ一年。4人の中で一番日が浅いものの、たったの一年でゼロから代表候補生に上り詰めた努力の天才。努力の天才が、気合十分に優勝を目指して立ち上がったのだ。侮れるわけがない。
セシリアは、パートナーである鈴音ですら声を掛けられなかった。
専用機のカラーリングゆえか、青い燐光を放っているように見えた。
そうしてセシリア主導によるゲームが始まった。
セシリアの選択は、二つの一対一。
セシリア対ラウラ。
鈴音対シャルロット。
シャルロットとラウラは、どの距離でも戦える半面、特定の距離を得意とする相手には、その距離において一歩を譲る。
鈴音とシャルロットは、接戦を演じていた。
その一方、セシリアとラウラは、終始、セシリアが有利に運んでいた。
ラウラの専用機の能力に、PICを応用したAICがある。
慣性を制御するPICを応用したAICは、対象の運動エネルギーに干渉するのだ。つまり、対象の動きを止めることが出来る。
一対一の接近戦では反則的な強さを誇るものの、運動エネルギーに寄らない攻撃、純粋なエネルギー兵器には効果がない。
セシリアの主力はレーザー兵器だ。エネルギー兵器の代表と言っても良い。
直撃を許さないのは流石の一言であったが、防戦を余儀なくされた。
時折、シャルロットへセシリアからの威嚇射撃が飛ぶ。
その隙を突き、鈴音が食らいつく。
ラウラは思考を回らすが、打つ手がない。
シャルロットはされるがままではないものの、じりじりとシールドを削られていく。
対戦中にシャルロットの気が緩んだ、わけではないだろう。
セシリアの誘導が見事だったのだ。
セシリアからの射撃を避けた先に、鈴音が待ち構えていた。
これで落とす。
鈴音は必殺の一撃を放ち、シャルロットは身を固まらせる以外にとれる手段がなかった。
攻撃の瞬間は、最も隙を晒す瞬間でもある。
絶好のチャンスであった。
鈴音の一撃がシャルロットへ届いた瞬間。
セシリアは、自身の専用機最大の特徴であるビット兵器を全門開放し、自身もレーザーライフルのトリガーを引いた。
シャルロットと、なにより鈴音にとっては、予想も出来なかった攻撃である。
シャルロットは、セシリアからの攻撃を受けて落ちた。
鈴音も、セシリアからのフレンドリーファイアによって落ちた。
その隙を見逃すラウラではない。
距離を殺し、張り付き、圧殺。
セシリアは微笑みながら落ちていった。
激戦の末に残ったのは、ラウラ。
事実上の決勝戦と目された一戦は、シャルロットとラウラのペアが勝利を収めた。
当然の事ながら、鈴音はセシリアに噛み付いた。
勝利を目前にしてのフレンドリーファイア。
セシリアがあと数秒見守っていれば、シャルロットを落とし、二人でラウラに対することが出来たのだ。
勝利を投げたも同然の暴挙だった。
怒らないわけがなかった。
猛るドラゴンと化した鈴音に、セシリアは微笑み、応えた。
『何か問題がありまして? 中国の、代表候補生……さん。何の問題もありませんわ、1年2組の、クラス代表……さん。……ねぇ…………、そうではありませんか? ……凰、……鈴音……………………さん』
後に、鈴音は語った。
あの時のセシリアは千冬さんより怖かった、と。
この時この瞬間、セシリアは精神的に、ブリュンヒルデを凌駕していた。
ツーマンセルトーナメントは生徒全員が参加するため、一日で全試合を終了することが出来ない。
開催期間は一週間にも及ぶ。
連戦であれば、消耗の激しいシャルロットは耐えられなかったかも知れないが、二回戦は二日目以降となっている。
消耗を無事に回復し、勝利を収め続け、シャルロットとラウラのペアは、見事に優勝を果たした。
尚、簪と本音のペアは二回戦を棄権した。
簪にとって、優勝を狙うよりも専用機の実働データを採るほうが優先されるのだ。本音もそれに同意していた。
「かんちゃんかんちゃん。オリシューが今度のお休みにランチしようだって」
生徒会室に、本音の華やいだ声が響いた。
本音が呼びかけているのは、友人であり、仕える主であり、誰とも比べることが出来ない大切な人、更識簪だ。
簪は生徒会役員ではないものの、姉と友人が所属しているために、生徒会室にいることが多い。
姉の楯無は、そんな簪を生徒会に引き込もうと声を掛けているが、お姉ちゃんが自分の仕事を減らしたいだけでしょ、と、ぴしりとやられている。
「本当に? ……あ…………、でも……」
ちらりと、姉の姿を見た。
楯無は2年生の部で優勝している。
けども優勝の副賞は、1年生にしかないのだ。
楯無がリーシュへ想いを寄せていることは、簪もよく知っている。
その楯無の前で、リーシュと食事、の話題を出すのは気が引けた。
自分たちは優勝していないことでもあるし。
「わたしのことは気にしないで、二人で楽しんでらっしゃい。トーナメントとは関係なくて個人的に食事するだけなんだから、簪ちゃんは何も気にすることないの」
「でも…………、いいの?」
「いいのよ、あんな男。一緒にいても疲れるだけだわ」
「もう……お姉ちゃんたらまたそんなこと言って…………」
「あの男がそんなこと気にするわけないでしょ」
深く信頼しているとも言えた。
「そういうことだから、わたしを気にしなくていいわよ」
「それならいいんだけど………………」
言いつつも、楯無は簪の方を見ようとしない。
やはり、姉はよく思っていないのではないか。
そんな不安が心を侵す。
「………………た~っちゃん!」
「ちょ……、本音! なにするのよ!」
折角縮まった二人の距離が、また離れるようなことを許せる本音ではない。
目を閉じて、つんと明後日の方向へ顔を向けている楯無の頬を両手で挟み、強引に簪の方へと向けさせた。
「お姉ちゃん…………」
「簪ちゃん…………」
不安に濡れる簪の目と、楯無の目が合った。
自分の態度が愛する妹の心を傷つけていたと、楯無の良心がじくじくと痛む。
「リーシュさんとのお食事、お姉ちゃんも一緒に行く?」
「うっ…………………………、二人で、行って来て。……わたしは、いいから」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「な…………なにかしら?」
楯無以外の、三者三様の沈黙が降りる。
簪は見た。
食事、と聞いた瞬間に、楯無の顔がどうしようもなく緩むのを。
本音は直感した。
楯無が、どうしようもなく嬉しいことを隠しているのを。
虚は何も言わず、ただ、頬をひくつかせた。
リーシュと、楯無との秘密である。
先の休みに副賞の下調べを兼ねて、リーシュと楯無はディナーを共にしていた。
幾つかのレストランを楯無がピックアップし、それ以外は全てリーシュにお任せのディナーである。
一言で言って、最高だった。
リーシュが選んだのは、ドレスコードのある高級レストランであったが、会員制ではなく、超がつくほどの高級店でもなかった。
楯無の予想では個室が取れるレストランか、財力に物を言わせて貸切にしてしまうのではないかと考えていたのだが、どちらでもなかった。
まずはブティックで楯無のドレスを用意し、リーシュはタキシード姿でレストランへと向かった。
足は当然のようにリムジンである。
車中で、リーシュはドレス姿の楯無へ、陳腐な賞賛を繰り返した。ありふれて、捻りのない言葉ばかり。この上なくタキシード姿が似合っているのに、勿体無いとさえ思える陳腐な言葉。肩の力が抜け、呆れてしまった。柄にもなくこの男、まさか緊張しているのか、と思った。
今思えば、全てはリーシュの誘導だった。
楯無の緊張を解し、外へと目を向けさせるための道化役。
車を降りてからのエスコートは完璧だった。
恭しく楯無の手を取り、リードしていく。
レストランでは当然、他の客もいる。
麗しい、との形容が誰よりも似合うリーシュだ。
そのリーシュが、他者には目もくれず、楯無だけを見詰め、楯無だけに口を開き、憎たらしいほどの殺し文句で楯無の心を突き刺してくる。
好奇や嫉みの視線は全てリーシュが受け止め、楯無へは羨望だけが届いた。
お祝いの席だったのか、着飾った子供がいた。
その子の言葉が、楯無の心に深く響いた。
『あのおねえちゃん…………すごくきれい……………………』
リーシュは、同席する他の客すら、楯無の美しさを称える舞台装置としてしまった。
どうしようもなく女心をくすぐった。
あの夜以上に気持ちいい夜を、楯無は味わったことがなかった。
恐ろしいのは、それを自在に演出してしまうリーシュである。
これをやられてどうにかならない女など一人もいない。楯無はそう確信した。
トーナメント優勝の副賞として、このような食事は厳禁、とリーシュに言い渡した楯無である。
当然のように、ディナーの後のフルコースも存分に味わった。
楯無から激しく求めた。
思い出すだけで顔がにやける。
リーシュ。食事。
これを聞くだけでもうダメである。
意志の力を総動員して、表情を保っていたのだ。
しかし、本音と簪を前にして、鉄面は儚く砕け散ってしまった。
緊張感があるようなないような、どこか色づいた空気が生徒会室に満ちる。
居心地が良いような悪いような、なんとも表現しがたい沈黙が降りる。
一つ言えるのは、楯無が言葉を用いず、盛大に惚気たという事だけだった。
カチャリ、と。
沈黙を砕く音が響いた。
4人はいつものようにお茶をしていた。
茶器は陶器製だ。カップをソーサーに戻せば、音が鳴るのはおかしくない。
問題は、誰が音を立てたか、だ。
4人の内、ティーカップを手にしていたのは布仏虚だけである。
虚が、音を立てて、カップを置いた。
有り得てはいけないことであった。
虚である。
虚が淹れる紅茶は絶品と、楯無は常々思っているし、口にもしている。
虚である。
虚は自分とは違って、しっかり者でいつもきちんとしている姉、と思っている本音である。
二人と比べれば、虚とは指数本分の距離がある簪だが、虚が乱暴にカップを置くなんて、絶対にないと思っていた。
「お嬢様………………。オリオール様との思い出に浸るのは結構なことですが、それが生徒会長としての仕事を疎かにしていい理由にはならないと、おわかりいただけますか?」
「う、うつほさん?」
虚が怒っているのは、誰の目にも明らかだった。
当たり前である。
自分以外の三人が、同じ男について惚気ているのだ。
しかも、始まったのは今日や昨日のことではない。
面白いわけがなく、生徒会の業務が滞りがちになるのは無理もない。簪は生徒会所属でないのでいいが、楯無と本音は会長と書記なのだ。まったく役に立たない会長と書記なのだ。役に立たないどころか、こちらの仕事を妨害してくる会長と書記なのだ。
積もりに積もった怒りが、溢れようとしていた。
「これは私の心の問題ですから、解決をお嬢様に求めるのは間違っていると自覚があります。ですが、そのような話を聞かされながら通常の業務が行えるとお思いですか?」
虚にしては珍しく、会話の内容が飛躍していた。
自分自身で感情を持て余すほどに怒っている。
物静かな人間が怒るほど怖いものはない。今の虚は、その好例となっていた。
「え~っと、あんまり、思わない……かな?」
冷や汗を流しながら受け答えし、救いを求めて視線を走らせるも、本音と簪の二人は姿を消していた。
裏切られた! と思う余裕はない。
なんとかして虚を宥めなければならない。
「思われないのでしたら聡明なお嬢様のことです。何を為せばよいのかとうにご存知のはずではありませんか?」
「それは……ですね…………」
素直に、生徒会の仕事をします、と答えれば、虚が落ち着くとの自信はなかった。
むしろ、わかっているのに何故しなかったのだ、と追求される危険性があった。
怒っているのだ。
怒っている相手に、言葉は通用しない。
思い出すのはあの男。
リーシュは、自分が怒っている時にどんな事をしていたのだったか。
思い出そうとすればするほど、眼鏡越しの虚の視線が痛い。
逃げられず、お説教が始まってしまうかと思われたその時、生徒会室の扉が開いた。
「こんにちは。それとも、ごきげんよう、が相応しいのかな?」
虚の視線が来室者へ向く。
その隙に、楯無はそろりとその場から一歩離れた。
救い主、と思いたくはないが、気障で憎たらしい男が、いつものように柔らかな笑みを湛えて現れた。
「……………………お初に御目文字いたします、オリオール様。私は更識家に仕える布仏家の長女、布仏虚と申します。現在はお嬢様……更識楯無の従者をしております。IS学園では生徒会会計を担当しております。オリオール様とは一度、お話をしたいと思っておりました」
「それは奇遇だね。俺も虚さんとは話がしたいと思っていたんだ。二人の距離を縮める一歩として、様付けはどうにかならないかな?」
「そういうわけには参りません。オリオール様は、お嬢様の未来の雇用主となられる方です。オリオール様から見れば、私は陪臣と言ってよい存在なのですから」
固い。
それが、リーシュが虚に抱いた第一印象だった。
リーシュが楯無の危機に都合よく現れたのは偶然ではなく、本音から、お姉ちゃんをお願い、と頼まれたからだ。
生徒会室には近づかないように。布仏虚には近づかないように。と、楯無から言い含められていたリーシュだが、どこか焦った様子の本音と、簪の言葉を無視できるわけがなかった。
不思議に思って訪れてみれば、虚が怒っている。
経緯はわからないが、怒りの矛先は、楯無からリーシュへと移りつつあるのが感じ取れた。
「オリオール様には申し上げたいことが山のようにあるのですが……」
虚はそこで言葉を止め、生徒会長の執務机へと足を運んだ。
一般的な事務机と違い、IS学園生徒会長の執務机だ。重厚感があった。
「これを……」
言って、手をデスクの上に置いた。
正確には、デスクの上に山と詰まれた書類の上に、である。
「どう思われますか?」
「…………それは?」
「生徒会長が溜め込んでいる、生徒会が処理すべき書類です」
リーシュは楯無を見た。
楯無は目を逸らした。
「生徒会に所属しないオリオール様へこのようなことを申し上げるのは道理が違うとわかってはいるのですが、このような事態になってしまった責任の一端がオリオール様にはあると、ご理解いただけますか?」
有無を言わせない迫力があった。
「………………俺に、生徒会の仕事を手伝え、と?」
「さすがはオリオール様です。私が思った通り、生徒会長や生徒会書記とは違うのですね」
リーシュは楯無を見た。
いなかった。
楯無は逃げたのではない。
この場は、リーシュへ任せるのが最善と判断したのだ。
更識家の楯無が、こんな問題で判断を誤るわけがなかった。
本音は帰ってこない。
簪はそもそも生徒会役員ではない。
目の前には、未処理の書類の山と、布仏虚がいる。
「生徒会長から印を預かっております。オリオール様には生徒会長と同等の権限を持って、これらを処理する権利と義務がございます。よろしくお願いいたします」
いつの間にか義務になっていた。
逃げ場はない。
生徒会長の執務机に向かい、座るリーシュを見て、虚はたおやかな笑みを浮かべた。
眼鏡の奥の瞳は、全く笑っていなかった。