【Rewrite】命のカタチのその先は【瑚太朗×小鳥】 作:千月華音
――1時間前
「…………」
廃ビルの中。
銃と刀を両脇に置いたまま亡くなっている二人の少女を見下ろした。
二人とも、……手を握りしめている。最後まで一緒だったようだ。
その手をそっと、重ねておいた。
「……いつか、……また、……何処かで」
――別の世界で会おう。
ルチア。おまえの毒は、俺には効かないから。その毒を書き換えてやるよ。おまえを一人にはしない。
静流。その優しさに救われた俺もいたんだ。その世界は……救われなかったけれど。
――ガチャ……
引き金が下りる音。
振り向かなくてもわかる。ずっと学園で俺を見張っていた――女。
「針は出さないのか?」
「……天王寺、……なの?」
「ずいぶん胸、デカくなったよな」
「……っ」
耳元に掠る銃弾。――なんだよ。ワザと外してる。脅しか?
いや、こいつはそんな甘いやつじゃなかった。
「ずっと教師に憧れていたんだっけ」
「……っ! 思い……出したのね」
「なあ、西九条。……なんで俺を殺さなかった?」
「…………」
「それだけ聞きたいんだ。監視なんて面倒な真似をせずに、さっさと始末しておけば、こんな事態にはならなかった」
「…………。上からの命令だったからよ」
「違うだろ」
「それ以外の理由なんてない!」
「俺とセックスしたかったんだろ」
「――っ!」
杭が飛んできた。背中に刺さる。それを片手で抜き取り、やっと振り向いて瞬時に彼女を壁に押しつけた。
「ぐ……っ」
「してやるよ」
「はな、……っ」
「最後の花向けだ。俺を見ろ。……おまえを抱く、男の顔だ」
スリットの隙間から股を開いていく。そうしながらも息すら奪う口づけで身動きを取れなくさせた。
……悪い。
こんな乱暴にしたいわけじゃなかった。だけど……。
こうすることがせめてもの、……おまえへの償いだから。
「…んんっっ、……っっっ!!」
――処女か。
その感触に微笑む。喉をのけ反らせて逃げようとする灯花の内部へと分け入り、最初から全開で――膨張した。
「――っっ!!」
口の中で。
彼女の慟哭と喘ぎが聞こえる。
こんな状況じゃなければ、もっと優しく抱いてやったかもな。
だけど……。
「っ、……っっ、ん……ぐっっ」
腰はついてくる。もう逃げようとしなかった。ただ動きに身を任せていた。……ああ、そうか。
おまえ無口で無愛想だったけど、そんなおまえと一緒にいる時間が一番気楽だった。
それがなんだよ。教師になった途端、幸せいっぱいモードになって。静流がどんだけ好きだったんだ。
……く、……締めやがった。
さらに口づけを深くした。髪を引っ張り、力いっぱい抱きしめる。奥で弾ける前に、こいつの快楽を引き出してやりたい。
ここか……?
「――ぃ、……やあっっ!」
くそ、……離すか。
もっとだ。もっと……俺を求めろ。
濡れ方でわかる。俺のを求めてることくらいわかってる。そうだ……いいぞ、そのまま、引きずるんだ……もっと締めろ、もっとだ……もっと!
「あ……や……っ、……んんぁあああっっ!」
――イった……。
時間にして5分。過去最速かもしれない。いやそんなことどうでもいい。
はあはあ、と息を継ぐ灯花の頭を抱きしめながら奥で出した。子宮にあたってるが構うか。吸い上げてくる感触が伝わる……。イかせることができた。もうこいつは俺の女だ。
「て……の……」
「瑚太朗だ」
「こた……ろ……」
「いま……楽にしてやるからな」
――バチッ……!
起爆装置のスイッチを押した。
その瞬間、身体を蝦反りにして硬直させた後……静かに息を引き取った。
そんな灯花の、唇を、優しく吸い上げた。
……涙の味。
おまえ、わかっていたのか。
俺に殺されると、わかってて……。
篝に、――見せてもらえばよかった。
こいつと、どこかで、結ばれたかもしれない世界を。
いて……。
背中を袈裟斬りにされたが、まだ――生きてる。
血が足りないな。
だいぶ流れた。ぽたぽたと落ちる赤い雫。これじゃ追手も……ああ、そうか。もうほとんどやったっけ。
……いや。
あと一人、残ってた。
「――西九条に、何をした」
…………。
いろいろ、突っ込みたいところがあるんだが。
まず……。
「おまえが踏んずけているの、それ……魔物だけど無害なやつだから」
「答えろ!」
今宮の足で踏み潰されているピンク色の、犬なのかマンモスなのかわからないぬいぐるみみたいな魔物。
小鳥の作った元ペロの蘇生魔物。
ちびもす、だったかな。
俺の身代わりに、結界から出てきたのか。
ならばまだ、――小鳥と篝は無事だ。
「犯して……殺した」
「……!」
「俺なりの手向けだ」
「手向け……だと?」
「あいつもそうだけどさ、おまえも迂闊すぎるよ。記憶のない俺なんてさっさと殺せばよかったのに」
「…………」
「長居……だっけ。あいつ、ガイアに行ったんだな。さっき本部を襲撃した。俺の足元で縋りついてきたよ。朱音を殺さないで……ってさ。だけど殺した。もったいなかったな、いい女になったのに」
「おまえ……」
「なんだよ、今宮。そんな顔して。……見たんだろ、おまえ。俺と小鳥の、」
「……っっ!」
銃弾を躱す。
今の俺には銃なんて武器は無意味だ。人間ではありえない動きで躱すなんて容易い。
続けてナイフ。――こいつの投擲は以前より早くなっている。そりゃそうか。あれから10年も経ってるし。
だが。
一瞬でやつの首にワイヤーを巻きつけ、樹上から吊るすのに、およそ2秒もかからなかった。
「――がっ……!」
苦しそうにもがく今宮を見上げながらナイフを拾う。……ベンチメイド。およそ遠距離用ではない。そうか、こいつ、近接戦闘が得意だったな。
だが能力者相手では、近接は命取りとなる。今のおまえみたいに。
「てっ……の……っ!」
「苦しませずに殺してやる。――と言いたいところだが、最後に教えてやる。……鍵な、おまえらガーディアンが殺そうとしてる星の化身。俺の目的は、鍵を解放することだ。……いや、もっとわかりやすく言おうか。鍵が好きになった。小鳥と同じくらい……まあ、同じなんてもんじゃないな。どっちもかけがえのない、俺の女だ。だから……会いたい。それだけだ」
「……ぐ、……っっ」
「俺のわがままなんだ。おまえらを巻き添えにした。……じゃあな、今宮」
ビクッ――と身体が硬直してワイヤーから外れ、地面に落ちた今宮を振り返ることなく。
森の奥へと足を引きずった。
これで……。
あとは、俺の命だけだ。
時間、……はは、あと20分しかない。
でも間に合う。
20分でもいい。
おまえに、会えるのなら……。