【Rewrite】命のカタチのその先は【瑚太朗×小鳥】 作:千月華音
長くなるので3回に分けて投稿します。
――コンコン……
扉を叩くが応答はない。
ふう、と軽く息を吐くと片手でトレーを持ちながら扉を開けた。
ベッドの上で蹲る小鳥。微かに背を震わせている。まだ、……泣いてるのか。
トレーをサイドボードに置いて小鳥の肩に手を置いた。
「ほら、食べろ。昨日からなにも食べてないだろ」
「……いらない」
「俺が食べさせてやろうか?」
「……あっち行って」
「小鳥」
「一人にしてって、言ったでしょ。……とくに今は、あんたの顔は見たくないの」
パシッ――、と肩に置いた手を払われた。
顔を覗き込む。目はまだ赤く腫れているが、泣いてはいなかった。涙も涸れてしまったのだろうか。
どうすれば。
どうすればいいのだろう。
子供を失った小鳥を慰める言葉など思い浮かばない。まして、篝の子が健康に育っている今の状態ではなおさら。
小鳥のせいじゃない、と何度言っても慰めにはならない。事実小鳥のせいではない。胎盤が未熟で産褥が降りなかった。子供を失うか小鳥を救うか――その二択では小鳥を失うわけにはいかなかったからだ。
医者はまた産むことはできると言っていた。だが小鳥の心の傷は大きい。再び妊娠してくれるかどうか。
いや。
そもそも抱かせてくれるかどうか。
「小鳥」
再び小鳥の身体を抱きしめ、頭ごと引き寄せた。嫌がるように身じろぎするが、しばらくそうやって抱きしめていると、しゃくりあげる小鳥の泣き声が聞こえてきた。
「…泣くな」
「だ、……って」
「俺は小鳥が生きていてくれただけで幸せだ」
「……あ、あたしの、……せい、だもん」
「小鳥は悪くない」
「妊娠中、なのに……瑚太朗くんとセックスしたせいで」
「篝ともしてただろ」
「そうだけど! そもそもそんなことしたから……!」
「あのな、セックスは関係ない。小鳥、これはただの体質なんだ。おまえは十代で身籠った。若い頃ってのはまだ身体が未熟なだけなんだ」
「じゃ、……なんで篝は」
「あいつは自分で体質を変えられる」
「はい? 篝はもう人間でしょ?」
「人間の姿をした元魔物だ。能力を失っただけの魔物なんだ。普通の人間とは違う」
「そう、……なの?」
「その証拠に、あいつが産んだ娘は普通の人間じゃない。おまえは会ってないから知らないだろうが、産まれて二週間でもう言葉を喋るぞ」
「うそ…っ?!」
「成長速度も尋常じゃない。今度この病室に連れてきてやるよ。もう見た目は2歳児くらいだ」
「……っ」
「篝もおまえに会いたがっている。早く退院して安心させてやってくれ」
頭を撫でる。
小鳥はやっと申し訳なさそうな顔になって俺を見上げた。
「あ、あたし……二人の邪魔、しちゃう」
「小鳥」
「篝と抱き合ってる瑚太朗くんを見たくない。もう3Pは無理。だってあたしはもう、子供は……」
「作れるさ」
「でも……! それには時間がかかるでしょ?!」
「俺は小鳥が欲しい」
「……っ」
「おまえだから欲しいんだ。そりゃ子供だって欲しいが、俺が好きなのはおまえだ。もちろん篝も好きだ。それに、邪魔なんかいくらしても構わないぞ。俺たちのセックスに割り込んできても、もちろん歓迎する。そのときは容赦なくさせてもらうからな」
「瑚太朗くん…」
「うん?」
「瑚太朗くんは、どっちが好きなの?」
…………。
この質問、いったい何度目だ。
だが心が弱っている今の小鳥に、同じことを言ったら、また……。
答える代わりに、小鳥の首を引き寄せて口づけた。
「……んっっ」
腕を突っぱねるが、構わず深く喉元を吸い上げた。キスしながら胸を揉みしだく。小鳥の体温が高い……。まだ体調が戻ってないのか。
これ以上は我慢がきかなくなる。俺じゃなくて、たぶん小鳥が。
後を引きずるように舌を絡ませながら口を離すと、うっとりとした瞳で小鳥がねだるような顔をした。
「あ、ふぁ…」
「小鳥、はやく身体を治せ」
「や、やだ……もっと触って」
「いまナースコールを押した」
「なあっ?!」
「俺は帰るぞ。続きをしてほしかったら早く退院するんだ」
「ば、バカ……瑚太朗くんなんか、嫌い」
「小鳥、さっきの質問だけどな」
耳元で熱い吐息を吹きかけながら囁いた。
「小鳥も篝も愛してる。ただ……その愛のカタチがそれぞれ違うんだ」
「……どう違うの?」
「退院したら、教えてやるよ」
言ったらたぶん怒られる。
だから後回しにする。言うのは小鳥を気持ちよくイかせてからだ。果たしてそれが出来るかどうかわからないが。
病室を出ると。
呆れたような顔をした医師が、ため息交じりに言った。
「おまえの顔を見せるのが一番の特効薬なんだがな」
「この藪医者。ちっとも小鳥が治ってないじゃないか」
「これでもだいぶ持ち直したほうだ。本当はまだ絶対安静なんだぞ」
海外で派兵していた頃に知り合った軍医だ。名は――ヒョードル・プレシコフ。ロシア人だ。
同じ超人でありながらこの男はガーディアンから足を洗った。そもそもこの男が首に埋められた自爆装置を除去してくれたおかげで俺は追手から逃れることができたわけで、本当は感謝しても飽き足らないはず、なのだが……。
魚心あればなんとやら。こいつの下心を知ってるので素直に喜べない。
「ところで、どうして鍵の彼女は連れて来なかったんだ?」
ほらきた。
「元、鍵だ。今は人間だと何度言えばわかる」
「彼女が産んだという子供も、一緒に連れてくればよかったのに。俺が面倒見てやるから」
「誰がおまえなんかに会わせるか。精密検査でもなんでもしていいが、俺の娘には手を出すな」
「ということは鍵の彼女には手を出しても」
「いいわけないだろが。……なあヒョードル。おまえのペドフィリアは知ってるけどな、篝はあんな見た目でも中身は成熟した女だ。そもそも俺の女だと何度言えばわかる」
「わかってないな、瑚太朗。あんな見た目で中身が大人なのがいいんじゃないか。まあ、おまえの女を横取りする気はない。ただ俺にもちょっとだけ、……な?」
ぶん殴りたい。
でもこういう男だと最初からわかっていた。しかし今はこの男しか頼れない。腕はいいのだ。……腕だけは。
「小鳥の退院はいつになるんだ」
「まあ、あと一週間はかかるな。点滴で体力は回復してるが、出血はまだ治まらん。もともと子宮がそれほど大きいわけでもない。だが傷はすぐ塞がるだろう。問題は心のほうだ」
「……また来る」
「次はぜひ鍵の彼女も連れて来いよ」
誰が連れてくるか。
と思ったが無視して立ち去った。篝があいつに興味を持つわけがないが、超人に惹かれないとも限らない。極力会わせないほうがいい。
病院に停めてある車に乗り込み、エンジンをかけようとしたその時――。
ポケットにいれてあるスマホが鳴った。
珍しい。
かけてくることなどないと思っていた。
「――篝か?」
『はい』
スマホを渡してはいるが、まさか篝から電話をかけてくるとは思わなかった。
何か急な用事でも……?
「どうした、なにが」
『迎えに来てください、瑚太朗。いま――桟橋にいます』
まさか。
島から出たのか。
「なんで来たんだ。茉莉もそこにいるのか?」
『茉莉は置いてきました。あの子なら心配いりません』
「心配いらないって、まだ産まれて二週間だぞ!」
『もうすでに一人で食事もできます。それより、……いいえ、来てから話します』
「なにがあった?」
『……会いたくて』
「はい?」
いま、なんて言った?
『あなたに会いたくなったのです。いけませんか?』
「…………」
……篝だよな、これ?
声はそのものだが。あいつがこんなこと言うか?
何か別の思惑でもあるのか。それとも、本当に……?
「……わかった、そこにいろ。ここから車で5分もあれば着く。そこでジッとしてるんだ、いいな」
篝の返事を聞くのも待たず通話ボタンを切った。すぐにエンジンをかける。
……もし本当にそうなのだとしたら。
篝がようやく小鳥に対して嫉妬してくれたと思っていいのだろうか。
いや。
過度な期待はしないほうがいい。
なにせ今までずっと一緒にいて、初めて傍から離れたんだ。どういう反応をするのか、それを確かめる意味もあった。
まさか、篝から会いに来るほどとは思わなかったが。
桟橋に着くと。
港のテトラポットの上を片足で渡り歩いている篝がいた。
なんであんな危ないところを――!
すぐさま近寄って手を伸ばした。
「おい、すぐに降りろ! バランスを崩したら危ない!」
篝は。
歌うような軽やかな足取りでこっちにジャンプしてきて、俺の手に掴まった。
その手を引き寄せ、胸の中に抱きしめた。
「バカ! 怪我でもしたらどうするんだ」
「……瑚太朗」
「まあ身重でもないし、退屈だったかもしれないけど、もうこんな危険なところで遊ぶなよ」
篝の手が。
俺の頬に添えられ、そのままキスをされた。
吸い寄せられるように応える。ここが外であることも忘れた。キスをしてくる篝の顔があまりにも眩しくて。
そう。
眩しいほどの笑顔だった。
「…どうした?」
普段の無表情と比べても、機嫌がいいとしか思えない。
それに会いたいと言ったあの言葉が本当なのだとしたら。
篝の顔を両手で挟みこみ、正面から見つめた。
「俺に会いたいって、本当?」
「はい」
「なんで?」
「あなたが欲しくなったからです」
……マジか。
篝は嘘は言わない。照れてる様子もないし、恥ずかしそうな素振りもないが、これは本当のことだ。
あの篝が。
俺を――欲している。
「…篝」
「はい」
「今からホテルに行こう」
「今から?」
「今すぐがいい。遅くなったがおまえとのハネムーンをする。今からホテルでおまえは俺とずっとセックスするんだ。いいな?」
「……はい」
「じゃ、すぐに行くぞ。茉莉は放っておいても大丈夫か?」
「何かあれば篝の心に呼びかけるように言ってあります」
「くれぐれも俺たちの行為は見せるんじゃないぞ。じゃ、……おいで」
篝の頭をくしゃっと撫で、細い身体を抱き寄せた。
するりと胴に絡まる篝の手。
普段の彼女からは考えられない仕草だった。いつも必要以上にベタベタすることを嫌がるのに。
離れたせいもあるのだろうか。いや、――小鳥か。
ほんのわずかでも小鳥に妬いているのだとしたら。
だがもう、そんなことどうでもいい。今は篝を抱くことしか考えられなかった。
篝とのプチハネムーンなわけだから。
普通のホテルにする気はなかった。ここはドバイの中心地。新婚カップルが利用する豪華なホテルがそれこそ目白押しだった。
一応金はそこそこある。海外の口座に隠し持っていた資金だ。逃走資金で結構使ってしまったが、まだそれなりにあったので投資をして増やしていた。
スマホで検索してホテルを予約し、隣に座る篝を見つめた。窓の外の景色を物珍しそうに見ている。逃亡していたときは外の景色などじっくり見る暇がなかったからな……。
まず。
ショッピングモールへと向かった。
篝を着飾らせる。普段の服もドレス風だが、もっと豪華な装いをさせたい。
この女は俺のものだという所有欲を満たすためだが、篝は戸惑いながらも店員の薦めるブランド物の服で身を包んだ。
「……似合いますか?」
よくお似合いですよ、という店員の言葉が聞こえるが、似合うなんてもんじゃない。めちゃくちゃ可愛かった。こんな……。着飾った篝がこんなに綺麗になるなんて知らなかった。
抱き寄せて口づけると、気をきかせた店員が苦笑しながら離れていった。
「ん、瑚太朗…」
「篝、愛してる……。本当に俺のこと欲しいと思ってくれてるんだよな?」
「はい…」
「今までそんなこと一度も言わなかったじゃないか」
「だって、小鳥がいますから」
「小鳥の前だと言えなかったのか?」
「……小鳥を悲しませたくなかったのです」
「優しいな、おまえは。……ほら、足をあげて」
「ちょ、ここでは……」
「誰もいない」
「……仕方のない人ですね」
しがみつく篝の尻を持ち上げ、スカートの下の下着の隙間に昂ったものを押し当てた。
そのまま。
試着室の中に入りこみ、両脚を持ち上げて貫いていく。
身を捩って感じる篝を愛おしく抱きしめ、すぐに終わらせるために最初から最大級の硬度で奥を叩いた。
「はぁっ、…んん」
「篝、ほら、俺の肩を噛んでていいから、……いくぞ」
ズリュゥッ――……!
篝の羽毛の襞がいい具合に纏わりついてくる。捩じるとそれに合わせて内部が濡れた音で包みこんできた。……気持ちいい。
体重の重みを生かして下から串刺しするように動かした。結構な速さで動いているにも関わらず、柔軟な動きで俺に合わせてくる。普段の動きよりずっと素直で欲深な動きだった。もともと性交に抵抗がない篝だが、初めて陰茎を欲するかのような淫らな反応に、もう確信した。
間違いなく俺のことを求めている。
また子供が欲しくなったのだろうか。それとも小鳥に嫉妬して?
どっちでもいい。いや、もう理由なんてなんでも構わない。こんな篝を得られるのなら。
軽くイった篝の顎を持ち上げ口づける。そうしながらも叩きつけるような激しい音は続いていた。
篝が。
片手を伸ばし、ドクン、――と何かの力の波動を飛ばした。
なんだ……?
振り返ろうとしたが、篝が遮るようにキスをした。
「……邪魔されたくなかったのです」
「誰か来た?」
「見えない結界を張りました。しばらくは、このまま……」
「しょうがないな、ほら、もう一度イけよ……!」
んんぅ――! と声を抑えながら出す喘ぎ声に再び勃起し、捩じりこむように奥へと回し入れていく。
下着が濡れてしまったが、まあいいか。
また買ってやる。今度はもっとエロくて透けてるやつをな……。
プールを貸し切りにした。
屋上のペントハウスを借りたついでだ。ジャグジー付きの夜景が一望できる温水プールだが、今夜だけ俺たち二人だけだ。
篝のために水着を着せたが。
最初はほとんど紐みたいなビキニにしたが、嫌がったので、仕方なくワンピース風のパレオにした。……これはこれでいいかも。本当は小鳥にでも似合いそうな可愛らしさだが、篝にも意外と合っている。
おいで、と言って篝をプールに浮かべたマットの上に寝そべらせた。それほど水深は深くないので横に立ちながら篝の背にローションを塗っていた。
夜景を見下ろしながら、篝は――歌っていた。
なんのメロディだろう。聴いたことのない旋律。言葉も意味がわからない。だけど、まさか……滅びの歌ってことはないよな。
「…あ」
歌ってる途中で篝が何かに気づいたかのように顔をあげた。
どうした、と聞いてみる。手の動きはとめないまま。今は水着の隙間から尻の中にかけて塗っていた。
「瑚太朗。もしかして……アナルセックスがしたいのですか?」
…………。
はい。
尻穴を塗ってるからそりゃ気づくか。
実は篝と後ろの穴を使ったことは、一度だけある。そのときは前の穴と交互に出し入れしたから、しかも激しいセックスの最中だったこともあり、忘れていて欲しかった。
「ダメですかね?」
「…………」
「ちゃんと綺麗に洗ってやるから、中を綺麗にしてからやるけど、……ダメ?」
「……瑚太朗」
「はい」
「同じことを小鳥にもしたいと思ってますか?」
「はい?」
何を言ってるんだ。
「小鳥のお尻にも突っ込みたいのかと訊いているのです」
「そ、そりゃ……。できればな。だけど小鳥にマニアックなセックスなんてできない。まして子供を失ったばかりだし、できるわけないだろ。だから」
「だから篝としたいというのであれば、お断りします。瑚太朗が望むのであれば、それは小鳥にしてあげてください。小鳥だって嫌がらないはずです。あなたから求めてくるのでしたら」
「いや……。それは……」
どうなんだ。
小鳥が嫌がらない?
たとえどれだけ慣らしても、あいつのことだ、恥ずかしがって嫌がるに決まってる。
篝は、……どうなんだ。
いまこうやって指を尻穴に入れても、恥ずかしがる素振りすら見せない。むしろこの引き込む動き……。たまらない。もっとこの中を俺ので蹂躙したい。
「篝…」
「あなたの欲望を満たしたいのであれば、叶えてあげることも吝かではありません。ですがそれを与えられて悦ぶのは小鳥なのです」
「おまえは?」
「はい?」
「おまえは嬉しくないのか。俺がおまえの尻穴を求めても、おまえはそれを喜ばないのか?」
篝が身を起こした。
肩ひもを取って水着を半分脱ぎ、露わになった胸に俺の手を押し当てた。
「…篝」
「喜ばないはずがないでしょう。瑚太朗がしたいのであれば喜んで篝は応じます。だけど今はダメです」
「なんで?」
「篝のこの胸の鼓動が伝わりませんか?」
「いや、すごく高鳴ってるみたいだけど」
「揉んでみてください」
「こう?」
「…んっ、そう、……もっと強く」
「なんか胸が前よりでかくなったな」
「授乳、してるからです……はうっ」
「絞れば出てくる?」
「ダメ、吸っちゃ……」
「篝、ほら、こっちに来いよ。面倒だ、水着全部脱がすぞ」
胸を揉みながら温水の中へ引き込んだ。
足をくぐらせ、水着を脱がすと、両足をマットの上に乗せて下から押し当てた。
「だ、め……お尻じゃ」
「だいぶ塗って慣らしてるから」
「瑚太朗、お願いです……後ろは、ダメ」
「…………。訳を言え」
「言ってもいいのですか」
「言わなきゃわからんだろ」
篝が。
小声で漏らした言葉に、思わず息を飲んだ。
「……もう一度、言って」
「いやです」
「それ最高の告白なんだけど」
「こんな我儘、もう二度と言いません。だからさっきから何度も言いました。察してください」
「わかるか、バカ。……わかったよ、いまこの瞬間は、俺はおまえだけのものだ」
「ほんと……?」
「最初っから全力で飛ばすからな……!」
マットに篝をしがみつかせ、後ろから両足を持ち上げて貫いた。
水の浮力もあって簡単に浮く身体を抑えつける。抉りこむ。言葉通り最初から奥の子宮の口をこじ開けた。
……まさか。
篝が俺の子種を欲しがるなんて。
俺の精が篝の性欲を刺激してるのはわかっていた。それほど凝縮したものだからだ。能力によって変化させたものだが、それが篝を虜にするほど狂わせていたことに、いまようやく実感した。
欲しいと、初めて篝が言った。
腸内では快感は得られない。篝が俺の精子で一番感じるのは、ここだ。この――子宮の中。
……うお。
めちゃくちゃ吸い上げてくる。中に入っただけでこの蠢き……あちこちから絞り取ろうとしている。たまらないだろ、こんなの……。
こうなったら。
あの時と同じようにこの中を蹂躙していく。あまり無茶をすると篝を壊してしまいそうで抑えていたが、むしろ欲しがっているのがわかったのだから、もう遠慮なんてしなくていい。
ドクンッ――!
篝の心臓の音が伝わった。興奮している……それも今までになく激しく。こんなに求められたことは、篝を人間にしたあのときのセックス以来かもしれない。
ズ、チュ……。
カリ首を回すように子宮口を抜けた。あ、追いすがってきた。……可愛い。こんな動きもするのか。
ほら、鈴口から全部入れてやる――!
篝が背をのけ反らせた。その背に口づけ、腰を引き寄せて根元まで押し込めた。
こんなプールの中で激しいセックスをするなんて。
でも貸し切りにしたんだ。何をしても構わない。どうせ誰も見てやしない。
いや、この夜景かな……俺たちを見ているのは。
あとこの、満天の星空か。
風が気持ちいい……。それにも増して篝の子宮内が熱くて溶けてしまいそうで、たまらない。もう我慢できない。
「篝、……出すぞ」
耳元で熱く囁くと、応えるように子宮の襞が迫って絞りあげてきた。
愛おしさがこみあげる。ブシュブシュッ、と途切れながら噴出すると、すかさず篝の身体を水の中へと引き入れ、浮力で持ち上げて下からがに股にさせた状態で深く突き入れた。
息を継ぐ暇もなく背後から口づける。
口づけながら腰だけは激しく動かした。どこもかしこも柔らかな襞がどんな動きも受け入れてくれる。縦横無尽に暴れながら篝の耳元に囁いた。
「もっと、……もっと欲しいって言ってくれ」
また聞きたいんだ。
篝の告白。初めて聞いたそれは全身が震えるほど心に響いた。
「……いやです」
感じてるくせに――!
まだ足りないのか、と再び熱く射精すると、はう……、と蕩けそうな満足するため息が聞こえた。
「まだ欲しいんだろ?」
「…………」
「黙ってないで、なんとか言え」
「二度と言いませんって、言いました。それにこんな量じゃなかったですよ、あのときはもっと」
「ふざけるな、こんなものじゃまだ出したうちに入らない。場所を変えるぞ。あのジャグジーでもっと感じさせてやる」
「なんですか、それ?」
「教えてやるから、またさっきの言葉を言ってくれ」
「……いいです、どうせすぐにわかるんですから、……はうっん」
「ほら、とどめの一発だ。俺に掴まってろ。抱いたまま動くからな」
水からあがり、尻ごと持ち上げて抱きながら。
もっと感じさせてやろうと、泡の湧きたつプールへと向かった。
俺ん家にもあったっけ……。小鳥がかなりジャグジーで感じていた。
いま、おまえもそうしてやるからな。
そして素直に言ってくれ。……俺の子がまた欲しいって。