【Rewrite】命のカタチのその先は【瑚太朗×小鳥】 作:千月華音
目が覚めると。
隣で抱いていたぬくもりが消え、すぐ傍の窓枠に腰掛けて座っている篝を見てホッとした。
さすがに全裸では寒そうだ。……まあ、さっきまでの熱がまだ残っているが。
近づいてバスローブを肩に掛けてやると、コテン、と頭を胸に預けてきた。
「風邪ひくぞ」
一応気遣ってみる。
だがすぐに口答えしてきた。
「まだあなたの熱が残ってるから大丈夫です」
…………。
子宮内に注いだままの精液のことを言ってるらしい。
だが篝のことだからあっという間に分解したと思っていたが、……そうでもないのか。
「シャワーで洗い流してやろうか?」
「いいです」
「なんだったらまた再戦するか?」
「さすがに薄くなってきたようなので、もう少し時間を置いてからにしてください」
……そりゃ。
そうだろうけど。
何もそうあからさまに言わなくても。
しかしさすがに10時間連続でイき続けたのは、今までで最長記録かもしれない。篝がタフなのでやめるにやめられなかった。
いい加減飽きてもよさそうなものだが、不思議とまだ昂りがおさまらずにいる。
篝を後ろから両手で抱きしめた。
「なにをさっきから見てるんだ?」
篝の視線は――高層ビルが立ち並ぶ街並みではなく、雲間から見える月を見上げていた。
そういえば。
プールでセックスしたときも、ずっと夜空を見上げていた。今みたいな虚ろな、だけど何か問いかけるような視線で。
抱きしめながら篝のうなじを吸い上げる。わずかに感じる仕草をする可愛らしさに微笑みながら、少しきつく問い詰めるように再び訊いた。
「まるで月に想い人でもいるみたいだぞ」
「――」
篝の表情が、……固まった。
なんだ?
初めてみる。こんな顔。張りつめたような表情。……というか無表情がさらに表情を無くしたような。
まさか。
図星ってことは、ないと思うが……。
「…瑚太朗」
「うん?」
「あなたの目には、あれが月に見えるのですか」
「はい?」
あれが、って……。
月以外のなんだっていうんだ。
「異様に大きいとは思いませんか」
「そうか?」
「普通、衛星があれほどの質量で接近していたら、この星は暴風と大津波で生物がまともに生存できません」
…………。
言われてみればそうかも。
だけど生まれたときからあの月を見上げて育ったわけで、今の今まで何の異常気象もなかったわけだから、気にしたこともない。
「……あれは月ではありません」
「はい????」
いきなりとんでもないことを言う篝に、どう言葉を返していいのかわからない。
「わかりませんか?」
「いったい何を言ってるんだ、おまえは?」
「……わからないのですね」
「あのな、篝。鍵だった頃のことは忘れなさい。能力を失っただけでいろんな智慧はあるんだろうけど、今は俺の妻だ。俺に愛される幸せだけを享受してればいいの」
篝を抱き上げ、窓際のソファに腰掛けて膝の上に跨らせた。
足を広げ、窓の外に篝の全裸を曝すような恰好で膝を折り曲げる。
「ほら、自分で入れて」
「…………」
「俺のを手で触って。わかるだろ。もうこんなだ」
「……外に丸見えですよ」
「ここペントハウス。こんな高層、誰が見るっていうんだ。俺たちしかいないだろ」
「……見てますよ」
「誰が?」
「さっきから。それこそ、プールで激しく縺れ合っていたときからずっと。……ずっと、見ています」
「……誰がだよ?」
月を見上げる篝。
それこそが答えだとでもいうかように。
だがそんな篝を背後から顎を持ち上げ口づけた。――と、同時に昂りつつあった自身を捻じ込むように割れ目に潜りこませた。
「んぅ……」
すぐに身悶えて内部で愛撫してくれる篝にほくそ笑み、淫らな恰好をさせた状態でがに股の篝をズンズンと激しく突き上げた。
こんなに可愛らしく応えてくれるのに、……篝の心が読めない。
何が彼女には見えるというのか。
誰がこんなに素直に俺を受け入れるこの女を見てるというんだ。
「あ、ぅ……瑚太朗」
「ん……?」
「そこ……そこ、もっと……奥、……入って」
「ああ、……入るぞ」
震える子宮口をこじ開ける。
内部から染み出す注いだものに苦笑しつつ、気持ちよさそうに喘ぐ篝に合わせるように優しく、揉み解すように突き入れた。
「はう、…ふぁ」
気持ちよさそうだ。
さっきまでここを激しく蹂躙していた。内部の精が陰茎に伝わって温かい……。もうこの中は俺の一部になっている。
篝が掌で子宮のあたりを撫でだした。
緩やかな動きを求めている。それが伝わり、両足を限界まで持ち上げ、篝の掌の動きに合わせて動き出した。
あ……。
チョロチョロと流れる透明な雫。――篝の感極まった証だ。
もっともっと気持ちよくさせてやるからな、と耳元で囁くと、子宮内の精液を掻き混ぜるように動かした。これ、……俺もイきそうだ。揺れる子宮がたまらん。膜が陰茎にぴったりと張り付いている。それを動かす気持ちよさといったら。
「あ、う……んん……んぁぁ……」
泣き声みたいな喘ぎ声。篝を見下ろすと……泣いてないな。小鳥なら泣いて悦ぶが。この女はそういうタイプじゃない。
だが今まで聞いたことがない艶声だった。
グチュッ――!
奥を突くと、子宮口から精が溢れ出した。出すのがもったいない。中でずっと攪拌していたい。それほど篝の子宮内は羊水みたいな気持ち良さがあった。
「瑚太、朗……、イかないの、……ですか?」
「いや、なんか……出さなくても十分気持ちいいというか」
精神的にはイってるが。
この勃起状態のままずっとここに留まっていたい。
「あの、ですね……」
「ん?」
「言われて、ますよ……瑚太朗の、悪口……いろいろと」
「はい?!」
誰がなにを?!
「早く、イったほうが……」
「誰だよ?! つか、俺たちしかいないだろ?!」
「だから、言ったじゃない、ですか……」
「……っっ。わかった、イくから、イったら、誰なのか教えろ!」
篝を抱きしめ、ソファに押し倒すと高速で動かした。身悶える背中を抑えつけ、とにかく早く、早く出さねばと焦った。
背筋が凍るほど怖くなった。
いったい、――篝は誰のことを言ってるんだ。
本当に……。
誰かが俺たちを、見てるのか?
「あ、う――っ!!」
抉り、回し、突き上げ、勢いのまま射精した。……ダメだ、とまらない。さっきのスローセックスのせいだ。思っていた以上に精子が溜まっていた。これなかなか終わらないやつだ。
「今度は、……制御できないのですか?」
「黙ってろ!」
「あ、そこ……出すならそこに」
「ほら、いくらでも出してやるから、いいか、なんのことか教えろよ!」
終わらない射精に身悶える篝を抱きしめながら、むしろ聞くのが怖い気がしてならなかった。
結局。
篝にせがまれて一度では終わらず、場所を変えて泡風呂の中で激しく抱き合った。
見られている、という言葉にわけがわからず、浴室に移動したが、ここなら一応密閉されてるから大丈夫……と思いたい。
何度目かの絶頂で胸を上下させて呼吸を整えている篝に、ようやく訊いてみることにした。
「瑚太朗、……抜いちゃいやです」
「抜いて欲しくなかったら言うんだ。誰がどこから見てるって?」
膣入口付近にカリを咥えこませた状態でグリグリと回している。
引き込もうと蠢く膣口の動きに必死に抗いながら、背後から篝を抱きしめていた。
「……もういません」
「いや、だから、誰なんだよ! 監視カメラでもついてるとか?」
「そうではなくてですね」
「幽霊とかそういうのはやめてくれ。信じてないけど俺そういうの苦手なんだ」
「幽霊では、ないですが……似たようなものです」
「ほらあ! だからそういうのやめて!」
「んっ、……瑚太朗の、くびれが、……気持ちいい」
「はいはい、ここか? ほら、クリトリス剥いてやる。こういう動きもいいだろ?」
「はう……ゆっくり、回して……」
「だからちゃんと言いなさい。幽霊じゃないならなんなの?」
「この世界の……監視者です」
「はい?」
「観察者、とでもいいますか。たまにこうやって、篝たちのセックスを覗き見してるのです」
「…………」
「信じていませんね?」
「いや、……篝の言うことなら本当なんだろうけど。……俄かにはちょっと信じられん」
そんな超常の存在がいるのか。
いたとして、……なんでセックスを見る。
あれか。経験がないとか。超越者のくせに?
「どういうタイミングで見てるんだ?」
「最初に感じたのは、小鳥と篝を瑚太朗が抱いたときです」
「あの3Pのときにいたわけ?!」
「何かを決めかねているような、……たぶんあのとき分岐したんだと思います」
「分岐? なにが?」
「枝世界に分かれました。この世界とは別に消滅したものもあります。たぶん、ここも長くはないと思いますが……」
「はい?」
「瑚太朗の寿命を迎える前に消えてしまうと思います」
「俺の寿命って、……いつだ」
「聞きたいですか?」
「…………。いや、……言うな」
聞きたくない。
だけど先がもう長くないのはなんとなくわかっていた。
「そんなに早く、滅びるのか……?」
篝は、泡をかき集めてフワッと口で吹いた。
「こんなふうに、あっけなく消えるでしょう。それもそう遠い先じゃありません」
「せっかく人間になったのに……」
「だから言ったじゃありませんか。星の防御本能は働くと。だから瑚太朗、もっと篝にたくさん注いでください。瑚太朗の生命力を篝が延ばしてあげますから」
「そんなことができるのか?」
「できるわけがないでしょう。あなたはバカですか」
からかわれた。
だけどこれは篝なりの慰めかもしれない。セックスすることで元気づけようとしてるのだ。
篝の顎を上向かせて口づけた。
「……ん」
「優しい女だな、おまえは……」
「褒めても、なにもでません、よ……ふぁ」
「なあ、また、赤ん坊を作らないか?」
「…………。それは」
「それは?」
「小鳥と作ってあげてください。彼女が一番、欲しがっています」
「そうだな、小鳥に子供を産ませてやらないと、な……ふんっっ」
「はうっっ!!」
篝の腰を鷲掴み、一気に子宮内まで抉った。
もう陰茎はとうに反り上がって、硬度は子宮口を一瞬で貫くほど鋭利になっている。いつの間にか欲情がとめどなくこみあげていた。
「篝……愛してる」
「んんっ、ふ、深い……」
「もっと、腰を……そうだ、俺を飲み込め……いくぞ、奥でイかせるからな」
「あう……! はう、っん! も、っと、……もっと! 奥……!」
「ああ、中を犯してやる……!」
篝の細い身体を浴槽の縁まで追い詰め、背後から凶器のように穿ち続けた。