【Rewrite】命のカタチのその先は【瑚太朗×小鳥】 作:千月華音
長くなりそうなので、何回かにわけて投稿させていただきます。
タイトルは某アニメとは何の関係もありませんのでご了承ください。
『――聞いてるの、瑚太朗?』
「…あ? ……あ、ああ、うん」
電話口の向こうで苛立つ声を聞きながら、ベッドの上で包まっている小鳥を見ていた。
行為の最中にかかってきた電話。はっきり言って無視してもよかったが、小鳥が出ろと煩く言うから仕方なく対応した。――が。
……出なきゃ良かった。
『ちゃんと小鳥ちゃんにご飯、作ってもらっているんでしょうね? お洗濯とか、おまえ一人で出来てるの?』
「しつこいな! それにちゃんってなんだよ、小鳥でいいだろ! そりゃ母さんから見たら幼い子供だろうけど!」
『……あら、ごめんなさいね。つい昔の癖で』
「なにがごめんなさいだ。もういいだろ、切るぞ」
『瑚太朗、……あなた随分変わったわね』
「は?」
『というか、変わらないというか。安心したわ。これなら暫く家を空けていても大丈夫そうね』
「なんのことだよ。つーか暫くじゃなくて当分帰ってくんな」
『そういうところが変わってないのよ。……じゃあね、お母さんの声が聞きたくなったらいつでもかけてね』
「誰がかけるか!」
――ガチャン!
受話器を床に叩きつけると、ツーツーと聞こえる音にイラつき、そのまま電話線を切った。
モジュラージャックを引っこ抜き、ついでに電源も切っておく。これで誰にも邪魔されずにすむ。
「小鳥」
さっきの続きだとばかりにベッドに近づくと、小鳥が包まっている毛布がわずかに震えていた。
「…小鳥?」
背を向けてこっちを見ようとしない。
何か気に障ることでも言っただろうか、と振り返ってみたが、母親とのどうでもいい会話に引っ掛かるものがあるとは思えない。
「おい、どうした?」
毛布をひっぺ返すと。
小鳥の手に子機が握りしめられていた。……さっきの会話、こいつ内線で聞いてたのか。
まあ別に聞かれたからといって、困るようなことは何もない。あ、そうか。俺たちの関係がバレるのを気にして。
「心配するな。母さんにバレたりしてないから。まあいずれ話すけど」
「……子供が出来たら?」
「そしたら話せばいいだろ?」
「怒られるよ、瑚太朗くん」
「あんな親に何言われたって構わないぞ。むしろ孫が出来たら喜ぶんじゃないか?」
「……いいな、瑚太朗くん」
「はい?」
「おばさんに心配してもらって。おじさんも瑚太朗くんのことよろしく、ってあたしに何度もお願いしてた。瑚太朗くんのこと、すごく……気にかけてた」
「鬱陶しいだけだが」
「贅沢だよ、瑚太朗くん。心配してくれるご両親がいるって、幸せなことだよ。……じゃあ、あたし帰るね」
「はいっ?!」
「そろそろ服、乾いたでしょ?」
「そ、そうだが……いや、いや、ちょっと待て! まさかもう終わり?!」
「さんざんしたじゃない」
「そ、……そうだけど! そうなんだけど、ちょっと待って、小鳥さん!」
「瑚太朗くん」
「はい」
「服、持ってきて」
小鳥の目は真剣だった。
これ以上すれば逆鱗に触れる。
小鳥に嫌われたくない。惚れた弱みである以上、どうしようもなかった。
――ならば。
「……明日、デートしてもいい?」
ぱちくりと。
小鳥は目を見開き、そして花が開いたかのようなドキッとする微笑みを浮かべた。
「順番が逆だよ、瑚太朗くん」
「そですね」
「どこ行こっか?」
「いいの?」
「瑚太朗くんが、連れてってくれる?」
「――もちろん!」
ギュッと小鳥を抱きしめる。
お互い裸のままだが、小鳥は優しく腰から背中を抱きしめ返してくれた。
そのままサワサワと撫でてくる。……あ、気持ちいい。それに小鳥の匂いがたまらない……。
「……また、おっきくなってるよ」
呆れたような小鳥の声。
それに苦笑し、ダメ元で訊いてみた。
「咥えてくれると嬉しいが」
「…………」
無表情。
だがこれは怒ってる。これ以上はやめたほうがいいだろう。
諦めかけたが、……なんと。
「……明日のデートが終わったらね」
「え……?」
「瑚太朗くんが紳士でいてくれたら、フェラしてあげてもいいよ」
「ほっ、ほんとっ?!?!」
マジですか。
そんなご褒美もらえるなら、紳士でいますとも。ご褒美そのものがふしだらな気がするが。
「したこと、ないけど……」
「俺が教えてやるよ」
「なんで知ってんの?」
「そりゃエロゲでたくさん見たからな」
「瑚太朗くんって……やっぱり男の子なんだねぇ」
「どういう意味だよ、そりゃ」
「エロ本とか、エロビデオとか、そーゆーの、好きなんでしょ」
「むしろ嫌いな男がいるのか?」
「……イメージが、もう、地の底に落ちたよ……」
「イメージ? なんの?」
「……なんでもない。じゃあ、……今はこれだけね」
――チュッ……
小鳥が。
亀頭の先を唇の先で吸ってくれた。
思わず全身がのけぞるほどの快感が走った。……やべ、これ、フェラなんてされたら腰が抜ける。
「小鳥…」
抱きしめたくなったが。
小鳥の優しい顔を見て、本当に名残り惜しいが、それ以上のことはとても出来なかった。
風祭市は、お祭りムード一色だった。
前夜祭まであと三日――なのにもうあちこちに露店がひしめいている。
これは食べ歩きだけでも飽きないな、とブラブラと下見をしながらデートプランを考えていた。
小鳥とのデート……。明日まで待ちきれず、夜だというのに外出した。本当ならまだ小鳥とセックスしてる最中だったはずだが、どうでもいい。いやどうでもよくはないけど。
しかし。
改めて考えてみると、小鳥とはしょっちゅう買い物に付き合っていた。
ただ――なぜか、二人きりになることを避けられた。
母さんと小鳥の荷物持ちとか。偶然CDショップにいる小鳥を見かけたこともあるが、二人で帰ろうと言ったときもなんだかんだで逃げられた。学校帰りもそうだ。一緒に帰ろうぜと誘っても、あいつは日直が、とか、サイン会が、とかよくわからん理由をつけて断った。
二人きりのデートは、これが初めてなんじゃないか。
……つまり俺は、今まで好きな女から徹底的に避けられていたってことか。
軽くショックを受けたが、まあいい。デート、の言葉であんな嬉しそうな顔をする小鳥は今まで見たことがなかった。
デートって……まあ、その……なんだ。男女が外で会って、お互いに親密さを確かめあって、それでいくべきところまでいくってやつだよな。その認識で正しいよな。
つーか、小鳥とはとっくにいくべきところまでいってるが。
外でやるというのも新鮮だな……。もちろん誰にも見られない場所を選ぶが。
――はっ。
しまった、紳士でないといけないんだ。小鳥が望むのはそういうデートだ。
ご褒美のフェラも楽しみだが、なによりも小鳥を楽しませないと意味がない。
――カラン……
ふと近くに、古風な鈴の音が聞こえた。
わりとお洒落なアンティークショップだ。外から店内の値札を見てみる。……げ。70万もする。誰が買うんだ。
すると中から、店内にいた主人らしき人物と目が合ってしまった。
「入るかね?」
「あ、いや、その…」
別に用はない。
ただ……中にあったお洒落なネックレスにふと目がとまった。小鳥に似合いそうだな……。
値札は……ついてない。
「それが気になるかね?」
月がモチーフの銀のネックレス。
可愛らしいデザインだが、よく見るとかなり上品そうな品物だ。銀に見えるが、プラチナかもしれない。だとするとかなり高価なものなんじゃないか。
「おいくらですか?」
思いきって聞いてみた。手持ちは少ないが、親から預かった通帳には数百万ほど入っている。勝手に使ってもいいとは言われているが、怖くて手がつけられない金だ。まあプレゼントくらいならいいだろう。
「原価で250万円ほどだな」
「…げ」
「原価、と言った。仲介手数料、その他もろもろの諸経費を含めると、400万円くらいか」
「よっ…?!」
ダメだ、とても買えん。
あ、それで値札がないのか。まだ品出しする段階ではない商品で……ならなんでここに置いてるんだ。
「タダでいい」
「……へ?」
「女へのプレゼントにしたいのだろう?」
……いや、その通りだけど。
タダより怖いものはない。遠慮しようとしたが。
「どうせこの店も三日後には閉める。処分品となるよりは、お客に貰ってくれたほうが有難い」
「…はあ」
「包装してあげよう。メッセージカードはいるかね?」
「あ、いや……じゃ、有難く頂きます。……カードは、小鳥へ、と」
「ふむ。……KOTORI、……変わった名前だ。外国人か」
「あ、いやいや、……いや、もうどうでもいいです、はい」
綺麗な包装紙に包まれた小さな小箱を受け取り、なんだかわからないが儲かったと思うしかなかった。
プレゼントなんて初めてだな。あいつ……喜んでくれるかな。
そう思っていると、ぽん、と頭を軽く撫でられた。
「あの……?」
「君の名前は?」
「天王寺瑚太朗です」
「天王寺君。そのネックレスは早く渡してあげるといい。できれば、そうだな……収穫祭前に」
「はい?」
「あと三日が許された時間だ。それまでは彼女と二人きりで過ごすといい」
「許された……?」
なんのことだ。
この人――意味不明なことを言ってるが、表情は真剣だから、冗談かどうかの判別がつかん。
カラン――と鈴を鳴らして店を出たが、イケメンな老人の言葉がずっと頭に残っていた。
小鳥デート編です。
原作(Harvest festa!)だとあっけない公園デートだったので、風呂敷を拡げてみたかっただけです。
小鳥ルートは収穫祭デートでしたね。しかしただの食べ歩き……。
これはエロ小説なので、そういうシーンにもっていくつもりです。
というわけで、続けて投稿します(笑)