※この作品はR-18です。

幼馴染を交通事故から助けて死んでしまったけど、なんかそのまま現代にショタ転生して幼馴染に拉致監禁されました。   作:ひざぎ

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第五話

 さて、ここまで読んでくれた読者の方であれば、笹川 穂波という女の子がいい子であることについては明白であると思う。別に勉学に優れていない、ということもなく、性格に裏があるということもない。素直で実直で真っ直ぐな女の子。強いて言うのであれば、間が悪い、というか間を食ってかかるような人間である、というのが挙げられるかもしれないが、欠点もそれくらいではある。

 

 だからこそ、笹川穂波という人間は、一通りのことを致した後に、こう思った。

 

 

 

(や っ て し ま っ た)

 

 

 

 そんな端的な七文字を彼女は心の奥深くで刻み込むように強く思っていた。

 

 

 

□

 

「……どうしよう」

 

 私はあの少年にやったことを頭の中に思い出しながら、そうしてやってしまったことを深く重く受け止めてみる。

 

 誰がどうみても少年でしかない子に対して、大人じゃないとやってはいけないことをやってしまった。翔太が生きているときにさえしなかった、……ううん、できなかったことを、安易にあの少年へとやってしまった。私だって経験がないけれど、それでも翔太が持っていた本の通りに、私は性的なことを彼にやってしまったのだ。というか割といけるもんだな、と思ってしまった自分が恨めしい。

 

 彼の身なりについては、なんというか小学校三年生くらいの感じ。あきらかに子供でしかない体に、大人の行為をしてしまった。それが例え少年のためを思っての行動だったとしても、私は彼にやってはいけないことをやってしまったのだ。

 

「……もしかして、犯罪だったりするのかな」

 

 私の隣にはすやすやと寝息を立てて夢の世界を旅している少年がいる。子ども服なんて私は持っていないから、とりあえず裸のままでシーツをかぶせているけれど、そんな裸の少年を見ながら、私は持っていた携帯電話を操作した。

 

『子ども 性的な行為 犯罪』

 

 適当なブラウザをプライベートモードにして、そうしてそんな単語を打ち込んでみる。

 

 どうにか犯罪ではありませんように……。

 

 そのような気持ちで打ち込んだ希望の単語は、すぐに表示されてしまった結果によって打ち砕かれることになってしまった。

 

 

 

『16歳未満の子どもに対して、性交等やわいせつな行為をすると、「不同意性交等罪」や「不同意わいせつ罪」として処罰されます』

 

 

 

「ひぇ……」

 

 

 

 そうして表示されたページには、文科省? 法務省みたいなすごく偉そうな場所で決められたような正式な文章が並べられている。処罰される、という文字を見るだけで心が凍るような、すごくまずい状況に自分が立たされていることを身に染みて理解する感覚を味わうけれど、それでも『不同意』という単語を見て、これまた一縷の望みのようなものを私は抱いてみる。

 

 ええと、ほら、これは不同意じゃないはず。この子も結構乗り気だったし、同意してるから別に犯罪とか、処罰の対象とかじゃないよね……?

 

 そう思いながら、私は先ほど検索した単語にスペースで『同意』という単語を付け足しながら検索をしてみるのだが──。

 

 

 

『──現行法では、性的同意年齢は「16歳」です。 そのため、16歳未満の子どもに対して、性交等(例:セックス、膣への陰茎以外の挿入)やわいせつな行為(例:キス)をすると、「不同意性交等罪」や「不同意わいせつ罪」として処罰されます』

 

「同意があるのに?!」

 

 

 

 表示されたページによるものを心の中で反芻して、驚きのあまりに大声にして叫んでしまう。大声を出したことで、隣にいる少年が「んん……」と起きそうになるのを感じて、更に焦ることにつながるが、数秒もたてば彼はまた穏やかな寝息を立てるようにした。

 

 ……やばい。これはやばい。本当にまずい。マジ、マジでやばいってやつだ。

 

 なんとか心の中で言い訳を並べようとはするけれど、それでも表示されているページの処罰、という文字が怖すぎてよくない。言い訳を並べようにも、逮捕、とかそういう文字を見るだけで心臓が跳ねるような感覚を覚えてしまう。

 

 ……もしかしなくとも、私はもう性犯罪者?

 

 得られた情報を精査しなくとも、それが犯罪であることは確実であり、そうして私が処罰の対象であることははっきりわかってしまう。唯一、まだ隣にいるこの子に年齢は聞いていないから、本当に童顔で成長していない十六歳である、という希望を抱いては見るけれど、そんなことが幻想であることを私はよく知っている。というか、こんなにかわいい男の子が十六歳であるはずがない。

 

「……どうしよ、本当にどうしよう」

 

 幸い、この罪を知っているのは当事者である私と彼だけ。両親は海外でお仕事をしているし、帰ってくる、という話もしばらく聞いていない。だから、彼が寝ている間にどこか遠い場所へとほっぽりだしてしまえば……。

 

 いや、そんなことができるわけないじゃん! そんな可哀そうなこと、こんなかわいい子にできるわけがないじゃない!

 

 ただでさえ性犯罪を行った後に、そんなことをするのは悪魔だ。いや、もしかしたら性的なことをした時点で悪魔でしかないのかもしれないけれど、それでもこれ以上に罪を重ねるということはしたくない!

 

 もし、これでこのままこの子をおうちの方へと帰せばどうなるだろう。少年が都合よくこのことを忘れて、そうして家へと帰ってくれればそれだけでなんとかなるかもしれないけれど……。

 

「……忘れるわけ、ないよね」

 

 子どもの時に経験したことってなかなか忘れられるものでもない。私も小学生の時に経験した翔也とのファーストキスをいつまでも忘れることができていないわけだし、私でさえそれなのに、こんな強烈な体験をしてしまった彼が忘れる、ということに期待できるはずがない。

 

 もしお家に帰して、そして彼の親御さんにそんなことをした、とバレればどうなってしまうだろうか。いや、そんなの考えなくたってわかっている。確実にお縄にかかる。

 

 ……どうすればいい、どうすればいい。何か、何かいい作戦、というか、策はないだろうか。

 

「……ん?」

 

 そんな焦った頭で先ほど開いた罪のページの下部に視線が行く。

 

 

 

『時効期間は被害に遭った時(18歳未満の場合は18歳になった時)から15年(不同意性交等罪)』

 

「……なるほど?」

 

 

 

 隣にいるこの子が未成年なのは確実として、それから十八歳、そして十五年経過すれば、……時効になる、ってことだよね。

 

 彼が九歳だと仮定して、それで18+15=33で、とりあえず24年間私がやったことが世間にばれなければ、それで何とかなる、ってことだよね。

 

 いや、現実的ではない、という気持ちはあるけれど、それでも警察には捕まりたくない。……それだけじゃない。もし、彼が私が逮捕されることによって、ニュースとかに実名を挙げられてしまえば、より困った生活を送ることになるかもしれない。だめだ、それは駄目だ。そうであるのならば……。

 

 

 

「……よし」

 

 

 

 ──そうして笹川 穂波は少年を監禁することを決意した。それも犯罪である、ということを確実に頭にいれないまま。

 

 




これで導入編はおしまいです。
次回からは「一緒に初体験編」が始まります。
来週の更新をお楽しみに!
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