コハルが喜ぶやつシリーズ 作:ブルアカ二次創作@本拠地はpixiv
ミユと先生がゴミ箱の中で千回ぐらい好きって言い合ってとろける話です。デロ甘純愛です。先生がちょっと面倒くさい性癖を持っていますが、最終的にミユのおかげでなんかこういい感じになるのであんま気にしなくて大丈夫です。
投稿者の本拠地https://www.pixiv.net/users/108799386
「先生、好きです」
いつものようにミユと一緒にゴミ箱に入っていると、不意打ちで告白された。
「ええと、ドッキリ?」
「いえ、……真剣に言っています」
声が少し震えている。
「そっか」
生徒から告白されるのは初めてだ。それも、まさかのミユからの告白。正直とても面食らった。
「気持ちは嬉しいよ。卒業しても私を好きだったら、もう一回告白してほしいな」
「今、お返事が欲しいです」
即答された。
どうしよう。これはかなり真剣だぞ。こんなことになると知っていれば、傷つけない生徒の振り方でも調べておいたのに。
とにかく大人として、真摯に答えないと。
「付き合ったとしても、あまり時間をとってあげられないんだ。私はいつも忙しいし、プライベートでもいろんな生徒と関わるから」
「知っています。でも、私たちはご近所ですし、頻繁にシャーレにお邪魔している、ので……」
ああ、もう。
呻きたくなってくる。ここまで想ってくれているのに応えないなんて人として最悪なんじゃないか、とすら思える。食い下がられるほどに、この子を振ることの痛みが増していくようだ。私だって好きだ。こうして閉所に一緒に入ったり、散歩したり、動物たちに取り囲まれて眠ったり。
でも恋愛はダメなんだ。周りが許さない。
「私が特定の生徒と付き合ったりしたら、暴動が起こりかねないから……その、ごめんね。ほんとに嬉しいよ」
ミユは諦めてくれない。
「わ、私は目立たないので、先生とデートしても誰にもバレません。い、いかがですか」
通販のセールストークみたいになってきた。
「確かにそうだけど……でもね、他にも……あれ?」
他にも………………。
…………あれ?
…………まさか?
「先生?」
「ミユ、ちょっと待って……」
思考を巡らす。……あんまりじっくり考えたことなかったのだが。もしかしてミユって、私が付き合う相手として完璧?
まず、拠点の距離が近いので、一緒に過ごす時間が比較的取りやすい。そしてミユの体質のおかげで、白昼堂々デートしても誰にも気づかれない。お出掛け中に生徒と遭遇しても、私が一人で羽を伸ばしているようにしか見えまい。この体質は、私ことシャーレの先生とこっそり関係を持つには、これ以上ない長所だろう。
......考えれば考えるほど、非の打ち所がないぞ。
となると後の問題は、私の意思だけだが。
「ミユ」
「はい」
「ミユは、私と過ごしてて、飽きないかな?」
「もちろんです」
「そっか。私もきっと飽きないだろうな」
ちょっと笑える。私自身は、生徒との恋愛に抵抗なんてなかったのだ。意外な一面だ。
……こんな幸せが身近にあったことに、どうして今まで気がつかなかったのだろうか。
「……お受けして、くれるんですか?」
返事の代わりに、狭いゴミ箱の中でできる限り両腕を広げる。
「おいで、ミユ」
「は、はい……!」
こうしてカップルが成立した。
ミユとの抱擁は、自然のいい匂いがした。
というわけでたびたび、プラトニックなイチャイチャをするようになった。シャーレでくっつきながら映画を見たり、一緒に料理をしたり、手を繋いで子ウサギ公園の自然の中を散歩したり、いつものように小石を探したり、釣りをしたり。
激務の隙間のミユとの時間が、前よりもずっと多く、そして楽しくなった。前の関係のままでは知りえなかった表情を見れば見るほどに、ますますこの子に惹かれていった。そして変わらず、私の知る誰と過ごすよりも、癒やされる時間をくれた。
「ほら、できたよ花冠。被ってごらん」
「わぁ…似合いますか?花に、その、負けてませんか」
いつもと違うコースの散歩にて、名も知らぬピンクの花が群生しているのを見つけた。ミユのためにあるような花だった。
「まさか。完璧に調和してるよ。お姫様みたいだ」
「もう……先生のことですから、誰にでも言っているんじゃないですか?」
そんなことはない。……せいぜい五人くらいにしか言ってない。
ミユは頬を膨らます。
「先生、顔に出てますよ?冷や汗も出てます」
「ミユが一番お姫様だよ」
「私と一緒にいるときなら、そうなんでしょうね。違うお姫様といる時は違うんですよね、きっと……」
付き合い始めてから一度もなかったネガティブオーラを久々に放ち、ミユは俯いた。
「いつでもミユが一番だよ。本当だよ」
「えへへ......罪作りな人ですね、先生は」
表情が少し戻った。
なんというか、随分対等に話すようになったものだ。お互い。ミユとは元から、教師と生徒と言うよりは、友達っぽい付き合いではあったけども。
「ところで先生」
「なあに、ミユ」
「私以外に何人と付き合ってるんですか?」
「ゼロ人」
不意のカマ掛けのつもりだったのだろう。さらりと問うてくる。別にやましいことのない私もさらりと返した。
「……本当ですか?実は、ミヤコちゃんともサキちゃんともモエちゃんとも付き合っていたりしませんか」
ミユはとても不安そうだ。
「ミユだけだよ。私は来るもの拒まずで、いろんな生徒と一緒の時間を過ごしてるけどね。でも私自身が一緒にいたいと思うのはミユだけ。ミユのことが生徒としてじゃなくて、人として好きなんだよ」
「その。今朝、怖い夢を見たんです。先生が、実はキヴォトスの生徒全員と付き合っていて。それをミヤコちゃんが知ってしまって、怒って、大変なことになる夢です」
結構本当に怖い夢だ。不条理感があるのがなおさら夢っぽい。
「どう大変なことになったかは聞かないでおこうかな。でも大丈夫だよ、それはただの夢だから。私はミユから離れないからね。というかもう離れられる気がしない。私が」
「先生。私の、どこが好きなんですか?」
「全部」
「それは、私以外にも言っていることなんですか?」
「全部と言ったけどね、ほんとに全部好きだよ。そうやって不安になっちゃうところもね」
「いいんです、いいんです先生。私、先生にとっての何番目でも……下から数えて早くないぐらいなら、それでいいんです」
「そこはもうちょっと欲張ってもいいと思うけど。……どうしたのミユ。随分と不安がってるね?」
ミユは何か言おうとして、少しためらった。
「その、最近思うんですけど」
「うん」
「私たち、恋人らしいことが、あんまりないというか」
どこか遠くでカラスが鳴いた。
「あー……なるほど」
元から近かったしなあ。距離。
その晩、ベッドの中で一人、考える。
考えて考えて、思考がぐるぐるして、寝返りを打ちまくっていた。
「うーーーーーん……うーーーーーーーーーーーーーーーーん」
枕元からブルーライトを感じた。
「先生、今晩だけで何回唸るんですか!寝ないと体壊しますよ」
「ああ、ごめんよアロナ、起こしてしまって……」
「充電さえできれば私は大丈夫ですから、気にしないでください。やっぱり、ミユさんのことで眠れないんですか?」
「うん。改めて、生徒との距離感って難しいなぁ、と思ってね......」
「付き合ってしまっている時点で今更では?」
「そうだけどもさ」
「ミユさんに限った話じゃないですよ。キキョウさん、ミカさん、カズサさん、その他大勢!先生は結構やらかしてるんですから!多分大丈夫ですよ!」
「比較対象がまた極端だね……」
まあ、あれだ。
今日のミユのあの、温度差。これは、歳や恋愛経験の差のせいだろう。正直言って、若い子の恋愛段階の進め方は、私から見て早すぎる。もっとのんびり行こうよ、と言いたくなる!
……でも若いってそういうものだしな。いいなぁ。戻りたいなぁ。まだ振り返るほど老いてもいないけれども。
「進めるべきかな。段階……」
温度差を手っ取り早く吹っ飛ばす方法は、一応知っている。
いるのだが。それはなんだか、ミユとの恋愛を、終わりに向けて大きく『消費』してしまうような……気がする。
我ながら嫌だな、こんな冷めた考え。歳はとりたくないものだ。
「……しかも、生徒相手だからなあ」
「?」
アロナはぽかんとしている。
「……しかもしかも、私だからなあ」
「な、何がですか?」
「アロナにはまだ早い話だよ」
アロナじゃなくてもね。と言ってもまあ、健全な高校生なら珍しくもない事ではある。
「あー、やなこと思い出した……一回そういう相性合わなくて別れたことあったんだよね……思い返せば、性格は一番合ってたのにな……今はミユの次にだけども……あーーーー……」
煩悶し、枕に顔面を埋めてじたばたする。アロナは困った声で言った。
「その、先生はミユさんが好きなんですよね?」
「うん、とても。もうミユ無しの生活なんて考えられない」
「それなら、話せば何とかなりますよ!先生がいつも生徒さんたちに言っていることじゃないですか!信頼が大事です!」
まったくもって目から鱗だった。
何を怖がってたんだ私は。シャーレの先生らしくもない。決めた。とにかく打ち明けよう。
「アロナ。ありがとう。私、決心したよ」
「ええと、よくわかりませんが頑張ってください!」
「別れたらアロナのせいだからね」
「えぇ!?」
冗談もほどほどに、私は眠りについた。
夢にもあの子が出てきてくれた。
一緒に空の、天の川のほとりを歩く夢だった。
ミユは小さい星を一つ捕まえて、笑っていた。
そして、またまた翌日。私とミユはゴミ箱の中にいた。
ちょっぴり風の強い日だった。
私の雰囲気から察したのか、ミユは少し緊張した様子だ。
「先生。私、その……え、えへへ」
すでに可愛すぎておかしくなりそうだが、発作をこらえる。まだ駄目だ。
「その。私とそういうことをしても、本当に大丈夫?」
「も、もしも今日、誘われなかったら…私から誘おうと、決めてました」
どうしよう。健気すぎる。キュートすぎる。食べたい。
落ち着けって私。先生だろ。抑えるんだ。
「ミユはそういう経験ってある?」
「ありません」
「私は、あるんだ。ただね、やり方は一つしか知らないし、それしかできないんだ」
「……もしかして、その……特殊、なんですか?」
「まあ、その、特殊過ぎない特殊かなあ。多分。そんなに人と共有するような話題でもないからわからないけど」
「……間違ってたらすみません。もしかして先生が、好きな......それって、……少し、い、いじめるような……感じですか?」
む?
「えっ、わかるの?」
「その。……なんとなく、ですけれど……先生はそういうの好きなのかなって。……私みたいな、弱気なのが好きな人は、そういうタイプが多いんじゃないのかなと。ちょっとだけ、スマホで調べたりしました……。えへへ……その、だから、そういう意味でも、私は大丈夫ですよ?」
どうしよう。可愛い可愛いミユには、ませてる部分もあっただなんて。それも、この私のために、そんな知識を頭に入れて今日ここに来たんだ。いけない、リビドーが抑えられない。奇声を発したい。というか発した。
「せ、先生!?」
「ごめん。堪えきれなかった」
「は、はあ……」
ミユを見据える。暗くて見えないけど。
「ミユ。一つだけ約束してくれる?」
「な、なんでしょう」
「本当に嫌になったら、『本当に嫌』とはっきり伝えてほしいんだ。嫌、だけじゃ止まらないから。それだけ守ってほしいんだ。いい?」
「……そんなに、その、激しいんですか」
「激しいというか……言葉にはしにくい感じだね。なんというか、段階のこだわりが凄いというか。昔色々あってさ。その手順通りにしないと興奮すらできないぐらいなんだ。結構重症でね。ひ、一人でする分には大丈夫なんだけどね」
……だから今日まで躊躇していたのだ。
「……私も一つ、先生に約束してほしいことがあります」
「なに?」
「私が『本当に嫌』と言わない限り、好きにしてほしいです。一切遠慮しないで、来てほしいです」
「そんな。いつも遠慮してないよ?」
ミユから見たら、そうは映ってないのもわかるけど。
「……先生はきっと、昔の恋人と何かあって、そうなっちゃったんですよね」
「うん、そうだけど……」
「……先生が今まで、その、付き合ってきた人たちに……ぜったい、負けたくない、です」
[newpage]
「……先生が今まで、その、付き合ってきた人たちに……ぜったい、負けたくない、です」
ミユのその言葉を聞いた瞬間、このゴミ箱の中という場所は、何処でもなくなった。
ただ狭くて、私とミユのいるだけの世界になった。
私の頭の中は、それ以外空になった。
小さな彼女を抱きしめて捕まえ、唇を奪った。『本当に嫌』に備えて、頭を押さえつけたりはしないで。
ミユの熱を口に感じる。舌まで小さい。歯も小さい。すべてが小さく、熱っぽく、そして可愛い。愛しい。
ミユはものすごく慌てて、なのに私を拒絶しないように意識した結果、手を鳥の羽根みたいにパタパタさせた。
「んー!ん、んー……ん」
しばらくして、舌を絡ますのに少し慣れてきたらしく、手をパタつかせるのをやめた。鼻での呼吸が安定してくる。
ミユの細い腕を努めて優しく取り、私の背中に這わすよう誘導する。抱きしめるんだよ、と教えるように。
そしてミユの覚えは早かった。キスも、ハグも。
「……しぇん、しぇえ」
舌を私の口内に這わせながら、器用に話しかけてくる。
「しゅ、き、です」
やめてくれミユ。私の火にガソリンを放り込むようなことをしないでほしい。激しくしたくなってしまう。これでも加減してるというのに。
激情に飲まれぬよう、意識して深い呼吸をする。私が落ち着けば、ミユも真似して学習してくれるだろう。
じっくりと深いキスを堪能しながら、ミユの胸の中心に手の甲を置く。びくりとミユが震えたが、すぐに受け入れてくれた。
鼓動を感じたかった。この世の誰のものより落ち着く鼓動。これはミユの次に私が知っているべきだ。恋人なのだから当然の権利だ。その点、毎晩ミユと一緒に寝ているミヤコはずるい。妬ましくてしょうない。無自覚に、この世界一の鼓動を毎晩毎晩独り占めしているのだ。なんと卑しいことだろう。今は私だけのものだ。絶対に誰にも渡さない。
ミユの高揚に合わせてドッ、ドッと激しく心臓が蠢いて、ミユの全身に血を送っている。そして密着する私にも安らぎを送ってくれる。心地よくて仕方がない。死ぬまでただこうしていたい。キスも合わせて、ミユと一体化してるように感じる。深く深く安心する。ただ暗闇と、ピンクのきらめきに包まれている感覚。
ミユも段々と、激しい感覚を優しいうねりとして受け入れることを覚えてきたみたいだ。鼓動が微かに落ち着いて、呼吸も興奮しているなりに整う。
……導入はこれでいいだろう。
「……ふっ、ふ、ミユ、ちょっと、休憩……」
「…………」
ミユはぼんやりしている。その頬から熱い蒸気を感じる。
キスに夢中だった上にこうも暗いと、時間の感覚も薄れてくる。スマホを点けてみると、十五分経っていた。
明かりが欲しい。持参した暖色の懐中電灯とガムテープで、ゴミ箱の天井に明かりを作った。ミユの顔を見える。とろけきったミユの瞳はキョロキョロして、まだ性感に戸惑っていた。涙ぐんでるのがとても、そそる。
「ミユ、どう?この感じは」
ミユの独特な声は少し低くなっていて、寝言みたいに思えた。
「……ふかくて、あったかくて、きもちいいです。……でも、すこし、……せつないです。ふしぎです」
「ミユ、今最高に可愛いよ」
「え、えへへ……」
「……少し、触るね?」
まずはプライベートゾーンを避けて、下腹部から確かめてみよう。
「子供の体だから、私の感覚で通じるかどうか……ここ、かな?」
軽く、トントンと押してみる。
「ん、んっ!」
押すと鳴るぬいぐるみみたいな声を出した。しっかりと当たったみたいだ。未知の感覚だったのだろう。両手で口を押さえ、足をピンとさせた。身体を小さく痙攣させて、私に寄りかかってくる。
「大丈夫?怖くない?」
「ん、あっ、し、知らない、こんなの……ん、けど……せ、せんせいが、さわってくれるなら、あんしんです」
私を信頼しきっているミユ。……強烈な嗜虐心が顔を出しかけて、とどめる。駄目だ。まだ駄目だ。怖がらせちゃいけない。段階を踏むんだ。
「怖くなったら言うんだよ、本当に嫌って」
「……はい」
夢見がちにそう返し。私に対して反対に、ゴミ箱の壁に背中を預け、両手を私の肩に添えてきた。
服従のポーズめいている。わざとやっているのか、それとも天然か。どちらにしても末恐ろしい。
こんな子、欲しくならないほうがおかしいだろう。小隊のみんなもそう思ってるんじゃないか?
「触る前に息を整えるよ。ミユ、呼吸を意識して。吸ってー」
「はい。すぅー」
「吐いてー」
「はぁー」
「深めに吸ってー」
「すぅー」
「吐いてー」
「はぁー」
「オッケー、そのまま呼吸を意識してね、ほどほどでいいから。喉は乾いてない?」
「大丈夫です」
「ん。じゃあ、胸とお腹、どっちがいい?」
「わ、私には、その、まだわかりませんから。先生の好きなようになさってください」
「じゃあ両方するね」
「えっ」
「あとさ、耳もいい?」
「あっ、はい」
「よかった。私のやり方だと、耳がいちばん重要なんだ。ミユを変えちゃう為にね」
「か、変えちゃう、んですか?」
「うん。私のことが大好きなミユから、私がいないと生きていけないミユに改造しちゃう」
ちょっと口が滑ったと思ったが、ミユは特に動じなかった。
「……嬉しい、です」
「私今、結構恐ろしいことを言ったと思うんだけどな」
「だって、先生がいないと生きていけなくなったら、もうずうっと、一緒にいてくれるってことですよね」
感情が噴火しそうだ。独占欲がマグマみたいに煮えてくる。
「ミユ。じゃあ、体を寄せて。抱き着いて…そう、それで、耳を貸して」
「はい……あの、ふ、服は……」
「あ、脱ぐ方がいい?」
「いえ、着替えはあります。……着たままの方が好きですか?」
「うん。その方が嬉しい」
その制服を着るたびに思い出してほしいからね。と言いかけて、やめた。
また胸を、今度は手の平で触る。軽めに、優しくさすった。
「ん、あ、んっん」
小動物を思わせる鳴き声を上げて体をくねらし、抱き着く力を強くしてきた。かなり感じやすいタイプらしい。ありがたいことだ。
「じゃあ、囁くね?よーく聞いてね……愛してる。ミユ、愛してる。好きだよミユ。先生は、ミユのことを、愛してる」
「ん!ん……んっ、せ、せんせい……」
ゆっくりと繰り返すように囁くと、反応がもっと良くなった。恥ずかしさと快感で、抱き着いたまま背中をアルマジロみたいに丸めてしまった。私からは後頭部しか見えず、表情が読めない。
それが逆に、とてもよかった。とろけにとろけさせて、完全に力が抜けたら、そこで初めて表情を見てやろう。意識が飛んでる間に写真を撮ってあげてもいいな。モモトークで送ってあげたい。こんな顔してたんだよ、と。
……ここから先を受け入れてくれたら、の話だけど。私の心にあるのは興奮と、大きな恐れだった。
「ミユ、どうして私が囁くか、わかる?これはね、ミユの脳を変えちゃうためだよ」
「の、のう?」
「うん。脳。こうしながら触られるのは、気持ちいいでしょ?どんどん、私の囁きと、『気持ちいい』の区別がつけられなくなっちゃうんだよ。ミユが一人でするときも、私と一緒にするときも。……いつの日か私から離れて、違う誰かとするときでも、関係ない。今後一生、性を感じるときに、私の声をミユが勝手に思い出すように。脳を、変えるんだ」
「あっ、あ……」
この声は快感からか、それとも怖いからか、私にはわからなかった。
ごめんねミユ。私は悪い大人なんだ。昔から、これしかできないんだ。
「ミユ。それでもいい?まだ引き返せるよ?」
「い、いや、です」
涙交じりの声。すぐに囁きをやめた。
「ごめんね。じゃあ」
離れようとすると、強く腕を掴まれる。
「ミユ?」
「ち、違います。そうじゃ、なくて…」
「え?」
伏せったまま、ミユの涙は増した。私の服に温かい液体が染み入って、わかった。
「せんせいと、……私は、せんせいと、ずっといっしょがいいです……ち、ちがうひととなんてぜったいに、いやです」
ミユは顔を上げた。白目が少し充血している。
「先生は、私を選んでくれました。だから応えたいです。先生。私を、信じて欲しいです」
……拒絶されなかった。受け入れられた。引こうとしたら、怖がってたのが馬鹿らしくなるぐらいに強く引き止められてしまった。
「……ありがとう。耳、貸りるね?」
「はい」
「ふー」
「ひきゃあっ!?」
ミユは高い声を上げた。
「あはははは、引っかかった!」
照れ隠し攻撃は効果抜群だった。
「せ、先生ったら、もう……ふふ」
「あはははは……」
しばらく笑ってから、静かにじっと見つめあった。
そして言葉もなく、どちらからともなくキスをした。
また深く。深く。安心するために、互いが互いと一体になろうとする。欲しい、欲しいという情念が渦巻いていく。
ミユは目を開いていた。さっきのキスでは閉じていたのに、どういう心境だろうか?私の瞳をじっと見据えて、瞳孔を微かに震わしていた。
キスが終わり、互いに息継ぎする。心なしか、熱に浮くミユの顔は今までで一番美しく見えた。吐息が熱い。
「ミユ。もう、加減しないよ。ずっと……もう離さないよ」
「……私も、先生の物に、なりたいです……囁いてください。好きに、めちゃくちゃにしてください。全部、受け入れます」
頬にキスをされる。
「先生なしでは、生きていけなくしてください……」
そして首にも。何度も。電気じみた快感が首に走った。小さなミユからの、不器用で大きな求愛だ。
子供からこんなことをされて、ここまで情欲が燃え滾る自分が正直怖い。小さなミユに執心している自分のことを、心のどこかでずっと恐れていた。
けど、さっきのミユの言葉のおかげで、もうそれほど怖くなかった。
「ミユ。愛してるよ……」
囁くと、ミユはぐっと体を私に寄せてきた。
「……下、触るよ」
ミユの、女の子の部分を優しく、下着とタイツの上から擦る。もうぐっしょり濡れていた。
「……!!!」
今日はここには何もしないつもりだった。でももう、段取りは頭から流れ出ていた。
「ミユ。私のこと、好き?」
「う、あ……せんせい、せんせい……好き、好き……です」
「言えば言うほど、気持ちよくなるよ」
タイツを膝まで降ろさせて下着の中に手を、驚かせないように努めてそっと入れる。あくまで優しく撫でるにとどめ、ゆっくりと慣れさせる。……どことなくやわらかくて、落ち着く手触りだ。
ミユは言葉をどんどん繰り返した。私も同じく続ける。
「ん、ん、好きです、せんせいすきです、せんせいだいすき、せんせ、い……」
「……私も愛してるよ、ミユ。好きだよ……波が近づいてくる感覚、わかる?」
壊れたラジオみたいになりながらも、ミユは頷いた。どこも触ってもらっていないはずの私自身も正直、結構きている。ミユが可愛すぎるせいか、もはや私自身とミユの区別がつかなくなっているのか。
「ゆっくり、ゆっくり近づいてくるよ」
「ん、んっん、すきです、すき、すき、せんせい、せんせい…せん、あ、あああ、すき、す…」
「ふー……」
「んっ、んんんんん!」
今度は優しく息を吹きかけた。快感を煽るように、小さく。効果はてきめんで、ミユは瞳をぐりぐりさせ、可愛らしい嬌声を上げ始めた。
「ミユ。怖がらなくていいからね。ほら、強くぎゅっとして……愛してる、愛してる、愛してる。ずっと愛してる」
「ひゃ、ああ、しぇ、ん、……あっ、あ、あっ!!……っ!?」
大きく、びくびくと、ミユは声もなく何度も跳ねた。そして、くーーー、という細くてとても長い息を漏らしながら、私の胸に顔を埋めた。しばらく戻ってこないだろう。初めての絶頂はすさまじく強烈らしかった。
「……愛してるよ、ミユ。好きだよ。可愛いよ。どんどんダメになっちゃおうね。よしよし、いい子、いい子……ミユは私の物。ミユは私の物……私だけの物。愛してる。ミユは私の物。好きだよ」
ミユが帰ってくるまで、ずっと、執念深く囁き続けた。
「………………っあ、しぇん、せい?」
数分後、ミユは戻ってきた。記憶が飛んだのか、何も変わったことのない日のように、いつものあどけない顔で私を見た。
「ミユはずっと私の……ああ、おかえりなさい、ミユ」
にこやかに笑いかけると、彼女はちょっとぼんやりして、ぎこちなく笑って見せた。こうして、絶頂から戻った際に『おかえりなさい』と迎えることは重要だ。オンオフをはっきりつけさせることで、向こう側の快感をより印象付けることができる。
「あれ、わたし、その、……夢?……いや、現実ですよね。下着ぐしょぐしょですし……ひゃうう」
ミユは今更恥ずかしがって、私から目を逸らした。
「可愛かったよ。凄いねミユ、間違いなく素質があるよ」
不意打ちで耳元に囁く。
「愛してる」
「ん、っんん!?」
ミユの肌がぞわりと粟立った。
内心にやける。条件付けがこんなに簡単に行くとは。
「……わあ。ここまでになるには、本来一週間はかかるんだけどな」
この手の快感の初めてを奪った形になったからか、あまりに順応が早い。ミユは自分の反応が信じられないみたいだ。
「えっえっ、今私、囁かれただけで……?嘘、そんな」
「ミユの脳が、私の好きな感じに変わってきてるんだよ。もう二度と元に戻らないんだ。もしもミユが頭を打って記憶喪失になっても、私が『愛してる』と言ったら、さっきみたいになっちゃうのかもね」
ミユは息を荒くしたまま、私を見上げてはにかむ。
「えへへ……こ、こうなった私、す、好きですか?先生の、お気に召しましたか……」
「うーん。純粋なミユも好きだったかも?」
「そ、そんなぁ……」
耳元ががら空きだ。
「愛してる」
意地悪、からの、また不意打ち。ミユは目をまん丸くして跳ねた。
「……あっ、あ!せんせ、え……」
「ミユ。ミユからも言ってほしいな。口癖にするみたいにさ。そうすれば、気持ちよくなってても言い続けられるから。心がこもってなーい、なんて怒ったりはしないから。ミユ。ほら、言ってみて?」
催促しながら、ミユの胸と、下のところをまさぐる。
「ひゃ、ひゃうう、あ、あ……あっ、ひゅ……せ、せ、ん、んんんん……」
悶えながらも必死に、私のことを呼ぼうとしている。
その声はあまりにも、私に効き過ぎる。もはや凶器だ。普段から可愛いけど、こういう雰囲気でのミユの声は、直接腰に電流を流してくるようだった。聞けば聞くほど、幸せが満ちてくる。
「ん、んっ、せ、せん、せ……わたし、わたし、ずっと……あいしてます」
「うん、私も……愛してる。ずっと愛してる」
「ひゃ、あ、ああ」
ミユの痙攣が激しくなる。
「……ミユ、好き、だよ。好き……」
「しぇん、しぇ、つ、つらそう、です、ね……」
さっきから私が仕掛けてるだけで、ミユは私に何もしていない。心の痒くてたまらない部分に手が届かなくて、それがどことなく心地よくて。でも、やっぱり辛い。
「いっ、いいです、よ?えへへ、その、しぇんしぇえ、も……」
快楽の涙を零しながらも、健気な笑顔を向けてくる。
……ミユにしてもらうなんて、そんなこと、とんでもない大罪じゃないか?それも、この世で一番甘美な罪。
「ミユ、さわって、くれる?」
「はい……」
右手でミユを抱きしめたまま、左手で不器用に衣服をずり下ろす。
「ミユ、激しくしなくていいから……さする感じでお願い」
耳元でミユが言う。
「……しぇんしぇ、わ、わ、……わたしのてのおおきさ、おぼえて、ください」
「っ!!!」
思わず声のない声が出た。
ミユの発想でこんなセリフが出るわけない。きっと予習の成果だろう。私は小さくて純真なミユを篭絡して、囁いて快楽漬けにして、しかも触らせて、まだまだ不器用な愛撫をさせて、それだけでもう大変なのに。
ミユの声で、そんなこと囁かれたら……もう、もう……。
「ミユ、ミユ、あい、してる。あい、……あいしてるよ」
意識が飛びそうになりながらも、必死に自分の手の神経に命令して、ミユを責め続ける。このままじゃ先に飲み込まれてしまいそうだった。しかしミユは、自分の声という武器の恐ろしさを、理解してしまったらしかった。
「ひゃ、ひゃう、せ、せんせいは、せんせいは、みゆ、が、すき」
「あ、あああ……」
言葉による相手の意識への定義付け。洗脳。
それは反則だ。強すぎる。私でも「私の物」までがギリギリのラインだと決めている。「あなたはこういう人」と囁いてしまえばそれはもう、人道的に良くない事だ。
でもミユは、手段を選ばないみたいだ。
「みゆ、だけっ、もう、みゆしか、すきじゃ、ない、すき、すき、すき、すき……」
「ミユ、だめ、だか、ら」
「はあ、はあ、わたしだけ、みゆ、だけ。みゆがぜんぶ、みゆがすき、みゆがすきみゆがすきみゆがすきみゆがすきみゆがすきみゆがすきみゆがすきみゆがすきみゆがすきみゆがすき」
拷問じみた快楽が責め立ててくる。触られて気持ちいいのか、声が気持ちいいのか、もう何もわからない。
脳が、ミユに染められていくのがたまらなく心地よい。他の生徒たちは記憶の底に埋もれて、ミユだけが上に引っ張りあげられて、どんどん肥大化していく。記憶の容量の限界まで膨らむ。
私は抵抗するのをやめた。
やめてしまった。
「……ミユ、好き、だよ。ミユ、だけだよ、あっ、う……」
「せんせい、あっ、せんせいはみゆが、みゆが……ん、あ、あああああああ!!」
私たち二人とも、大きな快感の濁流に押し流された。
頭が真っ白だ。ただし、ミユだけは頭の中にいた。頭の中の世界は真っ白で、ミユに包まれていた。
「っ、あ、ああ、あ!?」
耳に暴力的な快感の電撃を食らって目覚める。ミユに耳を舐められている。それも、熱烈に、奥まで。吐息が染み入る。
「しぇん、しぇ、おぼえてくだ、さい、わたしのちいさな、したも……はぁ、はぁ、き、きもちよくなったちょくご、が、いちばん、きくんです、よね、ふぅ、ふぅ……」
下も、さっきより激しく刺激されている。頭がおかしくなりそうだ。
こんなはずはない。意識が半ば飛んでいたが、そんなに時間は経ってないはずだ。せいぜい一分以内。まだまだ心拍が落ち着いていないから、それぐらいだろう。だがミユの回復があまりにも早い。今日が初めてで、こんなに立ち直りが早いはずは......そうだ、ミユは軍人で、それも狙撃手。
体力で敵うわけがない。
「しぇんしぇ、じゅる、みゆ、だけです。ほかのひとは、ぜんぶ、ちゅっ、どうでもいいんです、あたまから、けしてください、ん」
キスも織り交ぜてくる。まだ絶頂から戻れてなかったのに、さらに感覚が高まっていく。
かろうじて残った力を振り絞って、ミユの胸と腰を捕まえた。両方を激しめに撫で、頭を精一杯ミユの耳に向けて、語彙を無くした囁きを送る。
「ミユ、……好き、好きだよ。大好き、好き、好き好き好き、好き」
囁きに反応したミユが体を震わす。
全身が熱い。サウナよりも蒸している。鼓動も体温もめちゃくちゃで、お互いが泥になって混ざったような錯覚に襲われる。
「しぇんしぇ、ん、ちゅ、じゅる、ん、すきです。すき、すき、ん、ふわぁ、あ、あっ!」
「愛してるよ。このことば、は、ミユに、しか……はは、……」
ミユが愛おしくてたまらない。胸から手を離して、頭を撫でる。……髪、綺麗だ。いつも綺麗だけど、今日は落ち葉が一つもついていない。おめかししてくれたんだ。今日のために。私との時間のために。
お互いがもう、すき、という鳴き声をただただ繰り返す動物と化していた。内面の獣性が引き出され、熱狂的に求めあっている。
急速に、また限界が来た。
「ーーーーーーっ!!!!!」
野生じみた叫びがシンクロした。
私が低い声。ミユは、子犬の遠吠えみたいな高い声。
そうして、すべてが終わった。
後日談
今日は暑い日。テント暮らしのRabbit小隊が地獄を見る日だ。
あまりに酷ければ、朝九時から午後三時までシャーレに避難してくる。そして、せっかくの機会だと言って、屋内でしかできない演習や、射撃訓練所での修練に励む。ほんとに元気な子たちだ。
そんな訓練も正午には中断し、お昼を皆で頂く。せっかくなので出前を取って、ピザでもどうかと聞いてみる。そして四人が体重維持(特殊部隊だから結構厳格な決まりがあるそうだ)と欲望とが天秤にかけられ、私という悪魔の囁きによってピザ側に傾いた。
「んー、チーズ、さいこー」
「ああ、美味しい……うう、明日から走り込みを増やさないと……」
「明日も猛暑らしいですよ、サキ。筋トレにしましょう」
「あ、でも確か、シャーレのジムにルームランナーがあったよね」
「シャーレに不可能は無いな……」
「はは、それでいて難攻不落だとより、嬉しい、けどね……」
私は必死に平静を保つ。
「先生?顔色がなんだか変ですよ」
「はは、また働きすぎかなぁ」
とぼけて見せる。無理しないでくださいね、とミヤコ。顔色に気づいてくれるなんて、ほんとにいい子だ。どうかそのままでいてほしい。
……私にぴったりくっついて首筋にキスを落としまくってるミユにも、どうかそのまま気づかないでほしい。
「先生の顔、普段程度の寝不足には見えないぞ。もし時間に余裕があるなら、寝たほうがいいんじゃないか」
「うん、そうだね。ピザを食べ終わったら、ちょっと……」
懐のミユを見る。うっとりとした顔で、何度も何度もキスを繰り返す。ああもう、なんて子になってしまったんだ。急成長なんてレベルじゃないぞ。
「……しばらくベッドに入ることにするよ」
ミユがぴく、と震え、期待に満ちた顔で私を仰ぐ。
「先生、首どうしたの?なんか赤いよ?」
「本当ですね。三つも四つも……見えるだけで六つですね。しかも腫れてます。アブか何かに刺されてしまったのでしょうか?」
「私たちは刺されてないのに、先生ったら虫にモテるんだねえ」
なんで首の跡がわかってミユには気づかないんだ。モエに至ってはミユが透過してないと位置関係的に私の首が見えないはずなんだけど。
「そうだね。とびっきり悪ーい虫に、モテモテみたいだよ……」
ミユの頭をわしゃわしゃ撫でる。その悪い虫は目を閉じて、笑ってされるがまま撫でられ、また首に吸い付いてきた。
……今まで甘やかしすぎた。お仕置きが必要だ。
「あ、そうだ三人とも。ミユの、……好き」
わざと、少し言葉を切る。
条件反射が脳に刻まれた悪い虫の子はびくびく震え、頬を紅潮させる。心拍が増して、体が勝手に準備を整える。
「……な具のピザは残しておいてね」
休憩室に入ると同時に鍵を閉め。膝を曲げて悪いミユに視線を合わす。
「ミーユー?」
「えへへ……怒りましたか?」
「そりゃ怒るよ?シャーレをクビになってもおかしくないよ?もしバレたらさ」
ミユは口に手をやって、どこか妖艶にくすくす笑う。
「……先生が悪いんですよ。先生のせいで、私、本当におかしくなったんですよ?先生に好きって言われすぎて、もう日常会話で、小隊のみんながたまたま『好き』っていうたび、先生の声を思い出して、体がおかしくなるんですから」
「はは、そう。ごめんね。普通はもっと時間をかけて開発するんだけど。ミユには才能がありすぎたね」
「先生はいけない大人ですね」
「ミユも、悪い子になっちゃったね?」
「ふふ……お仕置き、ですか?」
笑顔を返して、ミユをお姫様抱っこする。ベッドまで運んで、降ろして、添い寝する。
「ミユ。終わったら、心音を聞かせてほしいな。一緒に寝よう」
「はい。もちろんです。先生」
ミユの制服を、少しずつはだけさせていく。信頼と期待のこもった二つの目が、衣服を脱がす大人の腕を見つめる。
「好きだよ、ミユ」
「私も、好きです」
ミユと先生がゴミ箱の中で「好き」「愛してる」を耳が融けるまで囁きあう小説 完