犬猿の仲の剣士と魔術士、うっかり一線を越えたら体の相性抜群だった【書籍化決定】 作:猫屋敷てん
部屋の中心で、男女が荒い息を吐きながら交尾を始めようとしていた。
男が背後から覆い被さり、セックスするという自然界において至極当然な交尾の姿だ。
全身で密着するから、レミエッタの香りが脳に充満する。その度に、雄の本能が芽吹くのだ。
「興奮、しすぎです」
「お前もだろ。レミエッタ」
「私は、ぜんぜん! ただ、あなたがお話できるように、してあげてるのです!」
「説得力がないな」
背後からレミエッタを抱きしめ、絶対に逃がさないという体勢になる。体格差を考えれば、抜け出すことは不可能だが、そもそもレミエッタに抜け出すつもりがない。
「だから、さっさと終わらせてください。これはただの、施しですから」
「そうかそうか」
ならばその望み通りにしよう。俺はレミエッタの体温をよく感じてから一旦離れ、ズボンのジッパーを下ろし勃起したちんぽを露出させる。
そしてレミエッタのスカートをたくし上げ、ショーツのクロッチ部分をずらし、亀頭をこすりつけた。
「施しなら、なんですでに濡れてるんだろうな。お前も興奮してたんだろ」
「っ――ちょ、調子に乗らないでください。そんなに言うならもう止めますよ」
「止めねーよ」
顔を赤くして振り向いてきたレミエッタの不意を突くように、俺は一気に挿入した。
「ふおっ♡♡♡ ちょ、ちょっと。なに、勝手に、挿れてるんですか!!」
許可を取らず挿入すれば、レミエッタは怒り声を上げる。
だが俺はガッチリ腰を掴み、ズプズプと最奥まで挿れた。
「さっさと終わらせろと言ったのはお前だろ。もう簡単に入るようになったな」
「このっ。あなたが、沢山使うから、あなたの形になってしまったじゃないですか!」
レミエッタの膣は、狭くてキツキツなのにロクな抵抗をしなかった。
それは俺のちんぽを一番気持ちよくする形になった証明だ。やはり俺達の相性は尋常じゃないのだろう。もう喧嘩なんてしている場合ではない。
「はぁ、はぁ♡♡ も、もう、良いです♡ 早く、出して、終わらせて、ください!」
「だが一回だけだろ。もったいないからなるべく長く楽しみたい」
「満足するまで、させてあげます!」
レミエッタから言質を取った俺は、射精するため腰の動きを激しくする。
「あっ♡ んぅ♡ いぅぅ♡ イク♡♡ ま、まって♡」
「待たない。何度やっても気持ちよすぎるおまんこだ」
「あ、あ――お゛、うぅ゛♡♡♡ おぼ、おぼえてっ♡ おいて、ください♡♡」
「力抜けちゃったか? 壁に手をついて頑張れ」
「こ、こにょっ。う゛あ゛お゛♡♡ イグ、いくぅぅ♡♡」
レミエッタはすぐ腰砕けになり、壁に手をついて俺にされるがまま。
俺は腰を動かしやすくするためレミエッタを少し持ち上げ、まるでオナホにコキ捨てるようなセックスを始めた。
「こ、これは♡ れい、ぷ♡ れすぅぅ♡ イクっ♡」
「そんなイキまくってたら誰も信じてくれないぞ」
「はぁ、はぁ♡ はぁ♡ はぁ♡ このっ」
頑張ってレミエッタは睨むが、壁に手をつき、俺に腰を掴まれ、つま先立ちになった状態ではまったく怖くない。
そしてその言葉に反するように、結合部からはレミエッタの愛液がビチャビチャと溢れて床に零れ、スカートにもかかる。これは入念な洗濯をしないといけないだろう。
その分のお金は俺が払おう。だから遠慮無く射精をしようとする。
「一番奥に種付けして良いか?」
「うぅ♡♡ お、おぼえて、いて♡ くださいっ。ゆるしま、せん♡」
レミエッタは射精許可を出してくれなかった。しかし、するなとは言っていない。
つまり好きにしろということだ。
「は、はやく、するなっ♡♡ んんんんっ♡♡ う゛ぐぐぐうう゛♡♡」
レミエッタはイキ顔を晒さないよう我慢しながら、喘ぎ声を押し殺す。
だがそんな取り繕う姿が何よりも可愛くて、この女を孕ませたいと俺の興奮は最高潮。レミエッタの言葉に逆らうように、さらに早くしはじめた。
そしてその可愛い声を聞きたいから、頑張って声を殺すレミエッタの口に指をいれて無理矢理あけさせる。
そのまま奥をトントンと刺激すれば、部屋に響き渡るほどの声をレミエッタは漏らした。
「ふぁっ♡♡ あっ♡ いぅ♡ お゛♡ ああああっ♡♡ いふ♡♡ いふぅぅっっ♡♡♡」
もう罵倒することもできず、ただ快楽を享受するだけの肉塊に変わり果てた。
俺の指はレミエッタの唾液でベトベトになり、射精欲は高まっていく。
「っ出る」
盛大にイったことで膣が痙攣によってさらにしまり、限界まで耐えていた俺はあっけなく最奥に精液をぶちまけた。
一週間熟成された精子は卵子を求めて子宮を制圧し、この雌を征服したのだという優越感が射精の快楽を何倍にまでする。
「あ゛♡ く♡ うぅ♡ イク、イク♡」
そしてレミエッタはもう立つことすらできなくなり、俺に支えられながらガクガクとトリップしていた。
これが先ほどまで俺を手玉に取っていたレミエッタとは到底思えまい。俺はとても愛おしくなり、レミエッタを抱き上げてベッドに寝かせた。
ベッドの上で快楽を享受し続けるレミエッタを見つめながら、俺は指についた唾液を舐め取る。
人生で一番甘くて美味しかったと言っておこう。
◇
「変態」
正気を取り戻したレミエッタが真っ先に発言したのはその言葉だった。
「心外だな」
「猿。無責任男。下半身人間。クズ」
そして溢れ出る俺への罵倒。
俺としては好きなだけして良いと言ったから好きにしただけだが、さすがにやりすぎたかもしれない。
「服も皺になって、汚れちゃったじゃないですか。お気に入りなのに」
「それは弁償する。まああれだな。今度からちゃんと服を脱ぐべきだな」
「はっ? なぜあなたに私の裸を見せないといけないんですか? 気持ち悪い」
「言い過ぎだろ」
心の底から嫌そうに言われたら、俺だって傷つく。
だがすでに三回セックスしているが、レミエッタの全裸は一度も拝んでいなかった。機会がなかったというのもあるが、それだけ本人は嫌なのだろう。
俺も訳あってあまり見られたくないので、お互い様とも言えるか。
「それに、どんだけ出すんですか。お腹の中にあなたの精液が入っていると考えるだけで身震いします」
レミエッタは濡れたスカートをたくし上げ、ビチャビチャになったショーツと、その隙間から零れる精液を見る。
我ながら大量に出したもので、まだ出せる気分だから驚きだ。
「はぁ。まあ良いです。許可したことなので。……すっきりしましたか?」
「もちろんだ。まだ出せるな。どうだ?」
「もう嫌です」
どうやらやり過ぎてしまったらしい。これは自重せねばならないだろう。
「どうやらお話はできそうですね。それで、これからのことです」
「ああ。俺達の関係だろ」
「はい。本来はあってはいけない関係です」
「それはわかってる。だけど、それで済む話じゃないだろ」
「……そうですね」
もう俺達は逃れられないのだ。
どうあがいても、この快楽を思い出してしまうから。
「なので、ちゃんと決めておきましょう。いつするか、どこでするかなど」
「そりゃ良いな。その場その場で決めてたら、いつかバレかねない」
俺は余裕そうな笑みを浮かべながらも、その言葉に内心ほっと息をついていた。
この関係は終わらないらしい。誰にもバレないようにしながらも、ひっそりと続いていくのだ。
「あくまで体の関係です。それは前提ですよ」
「わかってるとも。当たり前だろ」
お前のことが好きだ、とは言わなかった。
俺もレミエッタの温度感に合わせるように、あくまで体の関係であると言葉にする。
「では週に一度。休みの日の夜にしましょう。学園の警備も一番緩い日です」
「場所はどうする? 俺の部屋にするか? 男子寮が一番警備が薄い」
「そうですね。透明化の魔術で訪れるので、鍵は開けといてください」
「了解だ」
トントン拍子に話は進む。
「そして、あなたはペニスを私に差し出す。代わりに私は好きなだけ中出しさせてあげる。それだけです。それ以上はしません。なるべくあなたに裸も見られたくないし、キスなんてもってのほかです」
「……了解」
その条件は少し悲しかった。ただ快楽のためにセックスをするのではなく、俺はその先を求めているからだ。でもそんな欲求を呑み込んで俺は同意する。
「そしてこの関係も、学園を卒業するまでです」
「っ――」
だがその条件には、すぐ同意することができなかった。
俺が言葉を詰まらせていれば、レミエッタは溜め息をつく。
「当たり前でしょう。本来あってはいけない関係です。それに卒業すれば立場上私達は必ず誰かと結婚します。わかってますよね?」
「ああ。わかってるとも。お前の言う通りだ」
「何だか残念そうな顔ですね……もしかして、私と結婚したいんですか?」
「はっ!? あ、いや。な、何寝ぼけたこと言ってんだ」
「ふふ。慌てすぎです」
レミエッタはクスクスと笑う。その態度に、俺はしてやられたような気分になった。
しかしその通りだから質が悪い。
「わかってますよ。あなたが私の虜になってしまったのは」
「何言ってんだ。あくまで体の関係だ。それ以上はありえない!」
「そういうことにしておいてあげましょうか」
余裕な表情が崩れぬレミエッタに、俺はそれ以上何も言えない。
レミエッタはとても滑稽なように、暫く笑い続けた。ただその様はとても可愛らしくて、何かどうでもよくなってしまう。
「……まあ。あなたでも、私のことをよく知れば結婚なんてしたくなくなりますよ」
そしてレミエッタはふと意味深なことを言うと、窓の外に視線をやる。
その目には、それ以上告げることに対する葛藤が垣間見えた。
「何でだよ」
「あらあら。結婚したいんですか?」
「っ……意味深なこと言った、理由を聞いているだけだ」
可愛らしくも意地悪い笑みを浮かべるレミエッタに、俺はぶっきらぼうに返す。
しかし実際とても気になっていた。
「そこまで言って黙るのはなしだろ」
「……そうですね。まあ、あなたなら別に良いです。ただ体だけの関係なので」
何か言い訳するようそう言ったレミエッタは、ジャンパースカートの肩紐をずらし、服を脱ぎ始めた。
裸なんて見せたくないと言っていたのに一転し、それに俺は目を見開く。
だが彼女がブラウスを脱いだその瞬間、言葉の意味を理解した。
「醜い体でしょう。幻滅しましたか?」
レミエッタの胸には、大きな傷痕があった。
刃で切り裂かれたようで、レミエッタの体にくっきりとついている。それは死んでないのが不思議なほど深い傷痕だ。
あまりに痛々しいその傷は、レミエッタのような少女についていて良い物ではない。
それほど酷い切り傷だった。
「そう言えば、昼間の返答をしましょうか。私が剣士を嫌いなのは、剣士に殺されかけたからです。この傷は、その時つけられたもの。私はテイン・カッシーナ事件の最後の被害者ですよ」
レミエッタはそう吐き捨てた。