解凍されたら1000年後。人類から男が絶滅してました。〜ピッチリスーツの性欲旺盛美少女たちに人類保全の種付けセックスを強要されるらしい〜 作:ユリイカ
「アリサが被弾した!?」
にわかに騒がしくなった船内に異変を感じ、ガンマ隊のプルーシェに様子を窺ってもらった。その結果もたらされた言葉に、俺は思わず大きな声を上げてしまった。
咄嗟に私室を飛び出しそうになるが、目の前に立ちはだかるプルーシェによって留められる。冷静になれば、自分にできることなど何もないことも分かる。
「幸い、アリサは無傷です。搭乗機の右翼が破損したのみで、ダメコンが活きた結果ですね。現在、〈ミグダル〉は完全防御体制に移行しています。トウヤさんは最優先保護対象ですので、この部屋から出ないようにとのことです」
「……そうか。分かった。……ありがとう」
肩を掴まれ、血の昇っていた頭も冷えてくる。アリサは医療部でメディカルチェックを受け、特に負傷もないことが分かっている。現在は彼女を撃った下手人の捜索と、第二波に備えた厳戒態勢が実行されているようだ。こうなれば本格的に俺ができることは何もない。
しかし、〈ミグダル〉の実戦部隊に所属するプルーシェにとっても今の状況は非常事態なのだろう。どこからか持ち出してきたゴツい銃器を抱え、うっすらとした緊張を顔に浮かべている。
部屋の中にいるガンマ隊員たちも同様だ。
「トウヤ殿、怪我などなさっておられないか?」
「艦長。俺は特に何事もなく。――アリサは無事なんですよね?」
焦燥の時間を過ごしていると、扉が開きセイルさんが入ってくる。彼女は俺を認めると少し安堵した様子で頷いた。
「彼女は無事どころか、報復に燃えて押し留めるのに難儀しているところだ」
一撃を甘んじたアリサは憔悴するどころかむしろ敵意を滾らせている。艦長によると、アルファ隊の面々で羽交締めにしてなんとか押し留めているらしい。そもそも彼女が乗っていた戦闘機が出撃不能状態にあるはずなのだが、本人は〈ミグダル〉の艦外メンテナンス用工事船で出撃すると言い張っている。
「大丈夫なんですか?」
「正直、勘弁してもらいたいな」
さっきまでとは別の意味で不安になって尋ねると、セイルさんは思った以上に明け透けに頷いた。
ただでさえ所属不明機からの襲撃があり、その対処で現場はてんてこ舞いになっている。そこに強化手術によって見た目以上の怪力を誇る実戦部隊の最精鋭が暴れると、もはや迷惑以上の何物でもない。
そもそも、セイル艦長がわざわざ俺の下までやって来たのは、それが理由だった。
「トウヤ殿、もしよろしければアリサと共に待機していただけないか」
彼女は爆乳を揺らし、懇願するような目でこちらを見下ろす。
「というと……?」
「宿舎に押し込んでいても、最悪ドアを殴り飛ばして出てくるだろう。正直、あれほど激昂した状態の者を作戦に参加させるわけにはいかない。奴の頭が覚めるか、状況が落ち着くまで、どうか協力していただきたい」
「はぁ……。俺はまあ、いいですけど」
艦内全てが蜂の巣を突いたような大騒ぎのなか、そんなことをしていていいのだろうか。猫の手でも借りたいほどだろうに。と思ったが、今のアリサは猫の手以下なのかもしれない。
俺が了承すると艦長は光明を見たように眉を上げて喜ぶ。――どれだけアリサに手を焼いていたのだろうか。
彼女はおもむろに腕を上げ、パチンと指を鳴らす。すかさずドアが開き、両手を拘束されて不満げに頬を膨らませたアリサがリージュに引っ張られて入ってきた。
「アリサ! ……なんで拘束されてるんだ?」
「こうでもしないと戦闘機奪いに行くからだよ。ったく」
俺の疑問にリージュがうんざりした顔で答える。アリサもそれを否定しない。
……彼女は見た目も清純な黒髪の乙女で、礼儀正しい。俺のことも慕ってくれるよい女性だと思っていたのだが。どうやら俺の知らない一面もあったらしい。冷静に考えれば、アルファ隊の隊長を務めているということは、〈ミグダル〉最強の戦闘員ということなのだろうし、不思議ではないのかもしれない。
「トウヤ殿は寛大にもお前をここに置くことを許可された。最大限の感謝と反省をもって、大人しくしていろ」
「ですが――」
「ですがもカスガもない!」
艦長がぴしゃりと言い放ち、アリサは不貞腐れる。彼女を置いてセイルさんとリージュは忙しそうに部屋を出ていき、室内には本来の護衛を務めるガンマ隊のプルーシェたちと、落ち込んだ様子のアリサだけが残された。
「まあ、とりあえず座りなよ。紅茶でも飲むか?」
「……すみません、トウヤさん」
いつになく元気のない様子で項垂れるアリサを見ていると調子が狂う。俺が椅子に勧めると彼女は大人しく腰を下ろした。ティーパックの紅茶を淹れて、彼女の前に差し出すと、ゆっくりと猫が水を舐めるように飲み始めた。
プルーシェたちは気を利かせてか、壁際に並んで静かに存在感を消してくれている。
「とりあえずアリサが無事でよかった」
そう言うと、彼女はマグカップをぎゅっと握りしめる。薄い唇を噛み締め、赤みを帯びている。
「あんな杜撰な陽動に引っかかるなんて……。不甲斐ないです」
「よく知らないけど、〈ミグダル〉を守ってくれたんだろ?」
「それは……」
俺はプルーシェからの伝聞程度にしか状況を把握できていない。艦の方に高速で突っ込んでくる宇宙船は囮だったらしいが、それも放置していればかなりの被害を及ぼしていたはずだ。未然に防いでくれたのは確かにアリサの功績だろう。
彼女の華奢な背中を撫でながら、0.01ミリ隔てた下にある力強い肉体を思う。
「俺は、アリサがいなけりゃ冷凍棺桶の中で腐ってたはずだ。助けてくれたのは君だよ」
不治の病に感染し、周囲から隔離された。同じような境遇の者が次々と生き絶えていくなか、いつ自分の元へ死神が訪れるのか戦々恐々としていた。
1000年前の時点で、冷凍睡眠装置はまだ実証実験の段階にあった。
今思えば、それが功を奏したのだろう。内蔵されたタイマーが不具合を起こし、俺はアリサたちが外部からこじ開けるまで冷凍状態が維持されていた。運命的だと思った。
「俺は何もできない、何も取り柄がないただの一般人だ。そんな俺をアリサは命を賭けて助けてくれたんだ」
「そんな、トウヤさんは人類の希望なんです!」
〈ミグダル〉の生活に頭のてっぺんまで浸かっていると、自分が特別なんじゃないかと思ってしまう。そんなわけはない。俺は偶然に選ばれた一人の男にすぎない。特別に賢いわけでもないし、強化手術を受けた現人類と比べて身体能力でも大きく劣る。
夜になるたび不安になるのだ。自分以外の、自分よりも優秀な男が見つかれば、皆そちらへ鞍を移すのではないかと。自分は捨てられ、宇宙に投げ出されるのではないかと。
「トウヤさんは……私たちの大切な人なんです。あなたの生殖能力だけが全てなわけがないじゃないですか!」
俺の頭を柔らかなものが包む。気が付けば、アリサが俺を胸に抱いていた。
アリサを慰めようと思っていたのに、何故か俺の方が慰められてしまっていた。
「――元々、男性が回収できた場合は搾精室に送る予定でした」
「搾精室?」
聞き覚えのない言葉に首を傾げる。というか、アリサのスキンスーツが鼻と口に密着して、彼女の汗ばんだ匂いが強制的に流れ込んでくる。
「男性を拘束し、効率的に精液を入手する設備が用意された部屋です。精液を得るために毎回性行為を行うのは非効率的ですから、本来ならそこで栄養補給と排泄と生殖能力の補強と搾精のみを、24時間体制で行う予定だったんです」
「ひえっ」
初めて語られる衝撃の事実に、思わず息を呑む。
それはまるで、男を文字通りの種馬、家畜のように扱うかのような所業だった。人権という概念がまるで想定されていない。
だが冷静に考えれば、それが最適解だ。
2000億人という統一銀河帝国の人口を支え、その次の世代を産むために必要な精液の量はただ膨大の一言に尽きる。わざわざ腰を振って乳を揉ませて男を喜ばせ、愛のあるセックスをするなど意味がない。前戯の代わりに興奮剤を投与し、器具を繋いで直接タンクに吐き出させるのが最高効率だろう。
それでもなお、きっと俺が生み出す精液は必要量に足りない。だからこそ、〈ミグダル〉が〈カルヴァリヤ〉に着いた後は政府に引き渡され、高貴で優秀な女性に優先的に種付けすることが決められている。
「私たちは、一種の興奮剤としての役割があります。台座に拘束された貴方を誘惑し、劣情を誘うためだけの存在です。ココに直接注がれることなど、本来の業務にはありません」
アリサが自らの股間を触る。ぐっしょりと濡れ、しみが広がっている。
彼女は――彼女だけでなくこれまで毎日のように入れ替わりで性に乱れた〈ミグダル〉の船員たちも。彼女たちは自ら、本来の職務に反して俺を求めてくれていた。
「どうか勘違いしないでください。私たちは男性だからトウヤさんが好きなのではありません。トウヤさんだから、お慕いしているんです」
彼女は俺の手を握り、自らの秘部へと誘う。熱い体温。ほぐれた柔肉。彼女の全身から、艶かしいフェロモンが分泌されているかのようだった。
それでいて、黒い瞳だけが猟犬のように鋭くこちらを睨みつけている。
「分からないというなら、何度でもお伝えします。それでも疑うなら――体に直接叩き込みます」
「うぉわっ!? ちょ、アリサ!?」
感じたことのない力で、俺は軽々と持ち上げられる。アリサが強化手術を受けた怪力の持ち主であることはリージュたちから知らされていたが、これまで彼女に乱暴をされたことはなかった。驚く俺をアリサはベッドに放り投げ、すかさず腰の上にまたがる。
「はぁ、はぁ――♡ 覚悟してください、トウヤさん♡」
「あ、アリサ? アリサさん!?」
プルーシェたちに助けを求めようと顔を向けるも、彼女たちは彫像になったかのように微動だにしない。
「プルーシェたちはよく分かってますね♡ 邪魔すればぶっ飛ばします♡」
「アリサさん!?」
アリサの引き締まった太ももが俺の腰を万力のように締め付ける。ジタバタと四肢を動かしても、彼女のピンと先端が尖った胸がぷるんぷるんと揺れるだけ。
「トウヤさん、私の愛をしっかり覚えてくださいね♡」
搾精室に入れられると、こういう感じになるのか?
目の前の少女に全く力で敵わないことを思い知り、一種の諦観を覚える。艦長たちの状況対処が終わるまで、あとどれくらいかかるだろうか。――それまでに乾涸びていなければいいな。
そんなことを思っていると、荒い吐息を繰り返すピンク色の唇が迫ってきた。