妹しか居ない異世界にイッたので妹ハーレムを作りました 作:ぶっかけ龍之介
「あっ、はっ、はぁぁンっ……お兄ちゃんのっ……お、奥まで入ってぇ……っ♡」
――ただ、それだけのはずなのに
「んぁっ! はっ、ふっ、ふぁぁんっ♡ お兄ちゃんはげし……っ♡♡ あっ、私の弱いところっ、全部わかってぇ――あッ♡ あああぁっ♡♡♡」
――無限大に光が広がっていくような
「あっ、ふっ、あふぁっ♡ おっ、おにいちゃんっ♡♡ だいすきぃっ、だいすきですぅっ♡♡♡」
――世界と繋がったような
「んっ、んぁっ♡ はっ♡ あぁぁっ♡ い、イクときは――んっ! 一緒ですよっ♡♡♡」
――なんでもできるような
「あっ♡ ああっ♡ イクッ! イクイクイクゥゥゥッッッ!!♡♡」
――そんな気がした
「はぁ……はぁ……あ、はぁ……お兄ちゃん、今夜も凄かったです……♡」
「お兄ちゃん……?」
「え……? し、死んでる……!?」
覆い被さる兄の身体を揺するが、反応はない。ただの屍だった。
この日、最愛の兄は最愛の妹――その上で死亡していた。
01
初めに感じたのは光だった。全身に浴びる、爽やかな朝の光。
「んぁ……? 寝ちまったのか……?」
妹――アスカとヤリ疲れ、そのまま寝てしまうことは多々ある。倦怠感もいつものことだし、空腹具合もいつも通り。そこに疑問はない。
しかし毎朝見るはずの笑顔が、最愛の妹の「お兄ちゃん。おはようございます♡」がない。
首を傾ければ、代わりに目の前にキラキラと陽光を弾く、たくさんの水の糸が見えた。空へ向かって登っている水の束――噴水。誰がデザインしたのか知らないが、四方に立体的に広がる水の花束は見事だった。
「こ、公園……?」
そこは空の青に反発する芝生に、どこまでも続いている遊歩道。近所にあれば絶好の散歩コースになりそうな公園だが、こんなところで……硬くて冷たい石畳をベッドにした記憶はない。しかも、
「おいおい、裸じゃねーか。全裸で公園って……下手したら捕まるぞ……」
「何が『下手したら捕まる』ですか! 貴方はもう捕まっています!」
首筋へと細い刃物が突きつけられる。アキトはギョッとなって振り向いた。
「動かないで! 首を刎ねますよ!」
日差しを背負って、凛々しい少女がこちらを睨んでいた。黄金に輝く金髪。鋭い眼光を放つ青眼。純白の女騎士が、アキトを釘付けにしていた。
「むっ!? 貴方、その紋様は――」
女騎士が美しい顔を寄せ、アキトの瞳を覗き込んでくる。長い艶髪が揺れ、ふわりと甘い匂いが散った。
「消えている……いえ、ただの見間違い……?」
「……こ、コスプレ? あ、ココはなんかの撮影会場?」
「勝手に口を開かないように! 質問はこちらからします!」
ハキハキとした声が公園に響く。声を聞くだけで軍隊というか、その類いの組織に属していることが分かる。
「……まず、その下半身の光は何ですか。今すぐ止めなさい」
細剣がアキトの股間を指す。
「光……っておい! なんだこれ!?」
股間の相棒がライトセイバーと化していた。やたら眩しいと思ったら、太陽の光ではなく股間の光だったらしい。強烈な白光は、まるで一般アニメのセンシティブ部分を隠すアレのようだ。
「ど、どうなってんだこれ…………熱くはないな。LEDか?」
ツンツンしてみるが、相棒は見た目以外はいつも通りのようで安心した。いや、見た目が変わったことはかなり大きな問題だけど……。
「さ、触らないでください! 汚らわしい!」
「おっと、これは失礼を」
紳士的に謝ってみせるが、どう頑張っても彼女のイメージアップは無理だろう。どこからどう見ても純度100パーセントの変態だ。
股間の凶変はひとまず置いておいて、これ以上の変態的行為は控えたい。たとえそれが、妹のアスカなら許してくれそうな行為でも。
「……貴方、何者です? どこから来たのですか?」
「えっと、俺は如月アキト。アイムフロムジャパン」
「? キサラギ……? 知りませんね」
場を和らげようと口にした冗談も、警戒心マックスの女騎士にあっさり流された。
「そこで見ている者たち! この男の所有者は誰です! 名乗り出なさい!」
女騎士は埒が明かないとばかりに、周りに呼びかけた。ざわめきと困惑の雰囲気が背中越しに伝わり、いたたまれなくなったアキトはこっそり振り向く。
こちらを遠目で見守る野次馬たち……その頭髪は茶色を始めとしてピンクから青、緑とまるで花畑のような彩りだった。
さらに格好も踊子風だったり、神官風だったり、獣耳だったり、コスプレには向かない町娘風、農民風と様々で――――
「おい……待てよ、ウソだろ……?」
しかし、アキトは彼女たちの全てに見覚えがあった。姿形をいくら変えても――彼には、分かった。
「居ないのですか! この男の所有者は誰なのです! 出て来なさい!」
女騎士の声が遠くに聞こえる。
どう見ても本物な、抜き身の剣を突きつけられていても、裸を見られても、相棒が光っても大した危機感を覚えなかった理由――それを、アキトはひとり噛みしめていた。
「この男を兄とする――――妹は誰ですか!!」
目の前の女騎士も、囲んでいる野次馬の彼女たちも――――全員、妹。
妹との愛の果てに腹上死した兄は、『妹しか居ない異世界』に転生していた。
『とある兄妹の日常』
――ある夏の日。自宅にて。
「明日香……俺はな、ひとりでお風呂に入ろうと思う」
「えぇっ!? ど、どうしてですか! お兄ちゃん!」
「実はな、クラスのやつに言われたんだ。兄の俺が妹にべったりしてたら、明日香の心の成長の邪魔になるって」
「そっ、そんなことありません! お兄ちゃんは心の栄養ですっ! 必須アミノ酸ならぬ、必須お兄さんですっ!」
「ありがとう、明日香。でも普通の兄妹はもう一緒に風呂に入るトシじゃないわけだし……1回、別々に入るのを試してみるのもいいかなって思うんだ」
「…………わかりました…………お兄ちゃんがそこまで言うなら、私は涙を飲んで我慢します」
「ありがとう明日香」
兄はタオルを片手に風呂場へと向かう。その背中に、妹は声をかけた。
「あの、お兄ちゃん。ここでちょっとお知らせです」
「うん?」
「家の中で、もっとも死亡率が高い場所ってご存じですか……?」
「……え、家のどこで死ぬのが1番多いかってこと?」
「そうです」
「えー……? リビングとか? 殺人事件とかはそこだよな? あ、寝室も怪しいか」
「実はお風呂なんです。交通事故で死ぬ確率よりも高いんですよ」
「そ、そうなのか……」
「ですから、お兄ちゃん。気をつけて下さい。足を滑らせたりしないでくださいね……」
「…………………………明日香」
「なんですか? お兄ちゃん」
「……やっぱり、一緒に入ろうか」
「はいっ! すぐ準備してきますね!」
――兄が異世界転生するまで、あと100日
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