※この作品はR-18です。

俺の夏の出来事   作:遠藤良二

2 / 9
2話 俺だけを見てくれ

 俺は、佐藤ゆりに思っていることを話した。それは何かというと、

「ゆり、俺の女になったんだから、他の2人の男と別れろよ」

 ゆりはというと、

「えー! なんで? 嫌よ。最初に言ったじゃない。他に付き合ってる男が2人いて、それでもいいならって」

 確かに言っていた。でも、やっぱり納得がいかない。他に男がいるなんて。

「他の2人の男ともエッチしてるんだろ」

「まあね、そりゃするじゃない。付き合ってるんだから」

 

「他の2人も知っているんだろ、俺とも付き合うようになったことを」

「知ってるよ。でも、うるさいことは何も言わないよ」

 

 うるさいこと。俺の言っていることがうるさいのか。まあ、そうかもしれない。でも、俺はゆりに惚れてきている。だから、なおさら別れて欲しい。

 

「ゆりは俺のこと好きじゃないのか?」

「好きよ。だから、付き合っているんじゃない」

「それなら、俺だけを見てくれよ」

「それは無理。あたしはいろんな男と付き合っていたいのよ」

 

 こいつは駄目だ。だけど、別れたくない。もう少し様子をみるか。他の男を飽きるかもしれないから。そうなったら、チャンスだ。

 

 ゆりは言った。

「今夜、出かけてくるから」

 俺は、

「ああ、わかった」

 

 それだけしか言わないでいると、ゆりは、

「なんか邦弘、いつもと違うじゃない」

「そんなことないぞ、いつも通りだ」

 俺がそう言うと、

「いつもなら、いろいろ訊いてくるじゃない」

「仕事に行くんだろ」

「そうだよ。あたしがどんな仕事してるか知ってる?」

「知らない」

「知りたいと思わないの?」

「別に」

「あっそう。じゃあ、言わない」

 

 ゆりは俺にどんな仕事をしているか訊いて欲しいみたいだ。だから、訊いてみた。

「どんな仕事してるんだよ」

「あたしの仕事に興味ないんじゃなかったの」

「そういうわけじゃないぞ」

「じゃあ、言うね。デリヘル嬢よ」

 

 心の中では、驚いたから、マジか! と思った。でも、返答は、

「そうか」

 と、淡々としていた。

「ずいぶん、あっさりしているじゃない」

「俺があんまり、いろいろ訊いたら、うるさい、と思うんだろ。そう思われるなら、言わない方がマシ」

 

「邦弘って遊び人だけど、意外と一途なところもあるのね」

 ゆりはそう言いながら笑っている。

 

「俺を馬鹿にしてるのか」

「そんなことはないよ。一途っていいじゃない」

「そうだな」

「他に言いたいことないの? なんか、らしくない」

 

「らしくないって、ゆりは俺のこと、どれだけ知っててそういうこと言っているんだよ」

 そう言うと、ゆりはムッとした表情になった。

「確かにそうね。邦弘のことはあまり知らない。エッチの相性が合うことぐらい。あ、あと口うるさいとことね」

 ゆりはまた笑っている。生意気な女だ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。