俺は、佐藤ゆりに思っていることを話した。それは何かというと、
「ゆり、俺の女になったんだから、他の2人の男と別れろよ」
ゆりはというと、
「えー! なんで? 嫌よ。最初に言ったじゃない。他に付き合ってる男が2人いて、それでもいいならって」
確かに言っていた。でも、やっぱり納得がいかない。他に男がいるなんて。
「他の2人の男ともエッチしてるんだろ」
「まあね、そりゃするじゃない。付き合ってるんだから」
「他の2人も知っているんだろ、俺とも付き合うようになったことを」
「知ってるよ。でも、うるさいことは何も言わないよ」
うるさいこと。俺の言っていることがうるさいのか。まあ、そうかもしれない。でも、俺はゆりに惚れてきている。だから、なおさら別れて欲しい。
「ゆりは俺のこと好きじゃないのか?」
「好きよ。だから、付き合っているんじゃない」
「それなら、俺だけを見てくれよ」
「それは無理。あたしはいろんな男と付き合っていたいのよ」
こいつは駄目だ。だけど、別れたくない。もう少し様子をみるか。他の男を飽きるかもしれないから。そうなったら、チャンスだ。
ゆりは言った。
「今夜、出かけてくるから」
俺は、
「ああ、わかった」
それだけしか言わないでいると、ゆりは、
「なんか邦弘、いつもと違うじゃない」
「そんなことないぞ、いつも通りだ」
俺がそう言うと、
「いつもなら、いろいろ訊いてくるじゃない」
「仕事に行くんだろ」
「そうだよ。あたしがどんな仕事してるか知ってる?」
「知らない」
「知りたいと思わないの?」
「別に」
「あっそう。じゃあ、言わない」
ゆりは俺にどんな仕事をしているか訊いて欲しいみたいだ。だから、訊いてみた。
「どんな仕事してるんだよ」
「あたしの仕事に興味ないんじゃなかったの」
「そういうわけじゃないぞ」
「じゃあ、言うね。デリヘル嬢よ」
心の中では、驚いたから、マジか! と思った。でも、返答は、
「そうか」
と、淡々としていた。
「ずいぶん、あっさりしているじゃない」
「俺があんまり、いろいろ訊いたら、うるさい、と思うんだろ。そう思われるなら、言わない方がマシ」
「邦弘って遊び人だけど、意外と一途なところもあるのね」
ゆりはそう言いながら笑っている。
「俺を馬鹿にしてるのか」
「そんなことはないよ。一途っていいじゃない」
「そうだな」
「他に言いたいことないの? なんか、らしくない」
「らしくないって、ゆりは俺のこと、どれだけ知っててそういうこと言っているんだよ」
そう言うと、ゆりはムッとした表情になった。
「確かにそうね。邦弘のことはあまり知らない。エッチの相性が合うことぐらい。あ、あと口うるさいとことね」
ゆりはまた笑っている。生意気な女だ。