本作は特にプロットなんか用意していないため、基本的には思いついたままに打ってるんですよね。
まあプロットが無いとは言っても、漠然とした設定なんかは幾つか考えているんですが……。
複数の人物が特定のキャラに対する解釈として、違いが出たり被ったりは当然あると思うんですが、同一人物が同一キャラに対する解釈としても、複数あると思うんですよ。
本作の場合、話の流れに合わせて、そんな幾つかあるうちの解釈の中から、最も相応しいと思えるものを選んでいます。
んで、自分の場合は上記のようなスタイルで書いているわけですから、その場の思い付きで、けど個人的には特に違和感のない範囲で、打ち始めた時点では予定に無い文章が追加されていることがままあります。
気にしなければそれで良いのかもしれませんが、ついつい気にしちゃって話を膨らませちゃうんですよね。
以前にも少し書きましたが、最近続いている有栖たちのシーンがまさにそれで、元々の予定だと、事情聴取のあとは結構アッサリと場面を飛ばす予定でした。
んで、帆波に告白して傷心の白波千尋を、結果的には一刀が美味しく頂く、という流れの予定でした。
それが、ふと『有栖なら突然リーダーを止めることになって、それでもまだ学校に残っているのなら、派閥に対する責任くらい取りそうだよな……』と思ったことでシーンが追加され、この展開となっています。
何でこんなことを説明しているかというと、また起こったからです。次話で何気なく挿んだ1シーンのおかげで、またもや予定に無いシーンを書き上げることになりました。
自分で自分を追い込んでいくスタイルとも言う……。こんなだから、無駄に話が長くなってるのも理解はしているんですが……。
一話辺り最低五千字以上、話によっては一万字以上なのを50話近く続けていて、それでまだ無人島編にも入っていない『よう実二次』もそうはないんじゃないんですかね?
そんなわけで、予告すると次々回は『桃色伝EX』となっています。
実験的な内容となってますが、個人的には気に入っているので、皆さんにも楽しんで頂ければ幸いです。
あとは、可能な限りリクエストには応えたいってのがあります。以前、本作を投稿して間もない頃、メッセージで知恵と波瑠加と鈴音のヒロイン化を希望されました。
内容によってはどうやっても応えられませんが、現在の展開は、それにどうにかこうにか応えようと苦心した結果でもあります。プロットがないからこそ可能なことではありますね。
まあ、リクエストされたユーザー様の希望に完全に添えているかは分かりませんが……。
こんな具合でよければ、可能な限りリクエストには応えますので、もしあればメッセージを送ってください。心ある読者との交流は、こちらとしても望むところですので。
別にヒロイン化でなくても、『このキャラのこんなシーン(例:猫耳着けた龍園)が見たい』といったものでも構いません。
むしろ、リクエストください。
思いがけずシーンを追加したりしてるもんだから、逆に当初予定していた展開に繋げるのが難しくなったりもするんですよね。そんなとき、ワンクッション挿むことで繋げやすくなったりもしますので。
「まあ、それはさておき。そろそろこれからのことを話しましょう。……一刀くん、パーティールームが一つ余ってるとのことでしたが、それを頂戴することは可能ですか? 頂けるのでしたら、真澄さんと美紀さんをそちらに住まわせたいのですが……。
元々はこちらで用意するつもりでしたが、頂けるのでしたら、その分だけ費用も浮きます」
「真澄と美紀を? ……ふむ」
有栖の放ったその言葉に、俺は思考を働かせた。
まあ、そうじゃないかとは思っていたが、有栖が真澄と美紀を引っ張ってきたのには、やはりまだ理由があったらしい。
有栖の口振りから、元々話題に挙げるつもりだったことは分かる。それがこのタイミングになったのは、順当に考えれば、機が熟していなかったから、と見るべきだろう。
俺が真澄と美紀を抱き、その結果として、二人は有栖だけでなく俺にも縛られることになった。有栖の二人に対する親友認定は事実だろうが、こうなることを狙っていなかったとは考えにくい。
他ならぬ有栖がAクラスに所属していたからこそ、Aクラスのことに関しては、Dクラスの生徒では有栖が一番分かっている。その強固さも、弱点も。
クラスが変更になったとて、それで有栖の人間性や能力が極端に変わるわけではない。結果的にはリーダー争いを降りたことで今まで以上に弱さを見せるようにはなったが、同時にリーダーとしての責任からも解放されている。
それはつまり、学校生活における、また別種の楽しみ方を見出すことにも繋がるし、力の使い方の変更にも繋がる。よもやこの状況下でリーダー争いを仕掛けてくるとも考えにくいので、最も可能性が高いのは軍師ポジ。元より頭脳派な有栖にとってはこの上ない配役だろう。
かつてのAクラスリーダーとして派閥の今後に対する責任を果たすと同時、Dクラスの軍師としてAクラスの弱体化を図ったわけだ。
しかし、その上でこの二人を選んだことには、有栖の個人的な感情も働いているだろう。
如何に有栖が目を光らせたとて、それで四六時中真澄を見ておけるわけもない。――それでも、真澄の万引き行為は治まっていた。
その点から考えると、真澄の破滅願望は極々軽度と言っていいだろう。万引き行為に走るのは『愛の餓え』からくるもので、愛されている、必要とされている、と真澄が感じることで安定化するレベルであるのは間違いない。
だが、有栖のクラス変更により、今後も継続して目を光らせておくのは難しくなった。だから、敢えて真澄を目立たせたのだ。今後とも、有栖が真澄に接触しやすい状況を作るために。
さんざっぱら戸塚が吼えていたように、有栖の派閥に対してスパイ行為を疑うのは状況的に仕方のないことだ。その上で、なお目立つような真似をすれば、疑いは揺るぎのないものとなる。普通に考えれば悪手だが、Aクラスには蓮華がいた。彼女であれば、それを加味した上で今後における有栖――Dクラスとの連絡役に据えると判断したのだ。
そも、クラス対抗ばかりが騒がれているが、試験内容によっては他クラスとの共闘だって考えられるのだ。常日頃から他クラスへ敵意剥き出しにしていれば、いざそうなった際は非常に困る。それを危惧すれば、他クラスと協調できる余地を残しておくのは当然だ。
蓮華にしてみれば、有栖の派閥であるなら誰でも良かったかもしれないが、簡単に周囲に理解を促せるほうが良いに決まっている。その点において、有栖が声をかけたことで目立った真澄と美紀は打ってつけとなったのだ。
戸塚を始めとする葛城派がいくら有栖に反発心を持っていようと、Aクラスであることに違いはない。蓮華から共闘戦の可能性を示唆されれば、連絡役・繋ぎ役の必要性に理解を示せない筈はないと思われる。
これにより、真澄と美紀はAクラスに所属しながらAクラスの浮き駒となった。
話の流れの中、真澄と美紀は有栖の派閥ではなく蓮華の派閥となっている。
しかし、その実態は依然として有栖の派閥のままであり、有栖との連絡役は新たな派閥の主である蓮華公認のお役目だ。その時点で、有栖を軸としての共同生活が成立する余地が生まれた。
だが、それだけで終わるのを是とせず、有栖は二人に対して俺を嗾けた。結果、今の二人は俺と有栖により二重に縛られている状態にある。
この状況で有栖が二人へとパーティールームを提供すれば、そして、それが元々は俺の購入した部屋であるのなら、有栖のみならず俺も堂々とお邪魔することが可能となる。それはつまり、二人に対する継続的な拘束が成立することを意味している。
真澄の破滅願望自体は極々軽度のものとはいえ、目を光らせていれば万引き行為は治まるとはいえ、クラスが別という事実はやはり大きい。これで再度万引き行為に走られては堪ったものではない。Aクラスにダメージを与えることには繋がるだろうが、引き換えに真澄が退学となるかもしれない。
クラスが別になったからこそ、有栖が真澄を親友認定していればこそ、より強固に縛りつける必要があるのは否めなかったのだ。
有栖が美紀に求めているのは、『真澄の見張り役』という面もあるのだろう。もちろん、引き続いての諜報や内偵も求めているだろうが、最たるものはそれだと思う。
何せ、俺が美紀を抱くことによって、美紀は自分への自信を持つことになった。専門的な教育や訓練を受けているわけでない以上、美紀が諜報員として優れているのは、その内向的で自虐的な性格が生み出す影の薄さ故だ。
その点において、美紀が自分に自信を持つというのは、女の子としては結構なことだが、彼女の長所を殺すことにも繋がる。今後とも彼女を諜報員として使うことを期すのなら、俺に抱かせるのは諸刃の剣に他ならない。
そういった諸々を考えた上で、俺は結論を口にした。
「オーケーだ。あとで鍵を用意してもらいに行こうか」
個室の鍵であれば、他人の部屋の物でも割かし簡単に複製してもらえるようだが、パーティールームはそうもいかない。
管理人に部屋の使用を申請し、書類を記入し、それで初めて鍵が与えられるのだ。なお、レンタルの場合は使用期限が定められたゲストキーだが、購入した場合は卒業するまで使用が認められている。
また、購入した部屋に招待する場合は、ゲストキー取得の手続きは若干楽になる。
何せ、購入費用が費用のため、基本はレンタル使用が主眼に置かれているのだ。そしてレンタルである以上、予定時間を超過した場合、超過費用を求められるのは当然である。
だが、購入した時点で持ち家なので、超過費用云々など関わってくる筈もなく、その分だけ手続きが楽になるのは自明の理だ。
そして、購入者が同伴して保証した場合に限り、部屋の正式な使用者を増やすことも可能となっているのである。共同購入の場合、購入者の誰か一人でも許可を出せばいいので、その辺は割と緩い。
「まあ、色々と小難しいことを考えたところで、クラスが違えば愛し合うのも簡単じゃないからな。定期的に愛し合うためにも、場所の確保が最優先されるのは仕方のないことだ」
ぶっちゃければそういうことなのだが……。
有栖だけなら普段使いのパーティールームを使用すればいいが、流石にクラスの違う真澄と美紀まで引き入れるのは同居人たちから反対が出そうだからな。
特に真澄の場合、関係の薄い相手にそうそう洩らせる事情ではない。深い事情を説明せずに理解や納得をしてもらおうなど、無理難題なことこの上ない。
俺の場合は、有栖が元々真澄を俺に抱かせることを目的としていたため例外だ。より深く真澄に寄り添うためには、仕方のない情報共有だったと言えるだろう。
「それと、美紀さんには申し訳ありませんが、これまで同様、普段から着飾るのは我慢してもらいます。美紀さんが自信を持つこと自体は結構なことですが、それは同時に、現在の美紀さんが持つ最も強い部分が失われることになりますからね。一刀くんとのデートの際など、偶のご褒美として着飾る程度に留めてください。
ああ、報告は基本的に私にしてください。仕事も、基本的には私の方から頼みます。これは、周囲に一刀くんと美紀さんの関係を隠すためです。美紀さんと一刀くんとはクラスも違いますし、デートの際に見違えるほどに着飾れば、周囲も美紀さんと一刀くんを結び付けるのは難しいでしょう。まあ、流石に女の勘までをも誤魔化すのは難しいでしょうが……。
普段から美紀さんに我慢を強いる分、働きぶりは間違いなく一刀くんに報告することを約束しますし、一刀くんもウンと可愛がってくれるでしょう。成果次第では、ボーナスを付けてくれるかもしれません。――いかがです?」
俺に負けず劣らず、美紀に対して悪徳商法ばりなセールストークを繰り出す有栖。
「あ、はい。分かりました」
それに対し、すんなりと頷く美紀。
「あら? もう少しごねられるかと思ったんですが、意外とアッサリですね……」
「あ、いえ。有栖さんに頼まれて動くのが半ばルーチンワークと化してまして……。それを止めたところで、じゃあ何をするか? っていう問題もあります。
ダメダメな私でもできる仕事を有栖さんは教えてくれましたし、実際に成果を出すこともできて、褒めてもくれました。
人に必要とされるってことは、認められるってことは、こんなに嬉しいことなんだ、ってことを知ったのも初めてだったんです。
だから、止めたくないんです。止めてしまえば、もう褒められないんじゃないか? って恐怖が湧くと思うので……」
それは、紛うことなき美紀の本音だろう。
そして、そう思うのは人間の心理として決して不思議なことじゃない。
俺自身、そういう部分に付け込んだのは否定できない。
女の子がお姫様願望を持つのは普通のことだ。相手が『女好き』で有名な男とはいえ、むしろ、だからこそ、そんな男にキスどころかセックスまでされては、いかに自分に自信がなかろうとも、自分が『女』だということを意識せざるを得なくなる。これで与えられたのが苦痛だったらアッサリと夢からも覚めるだろうが、俺が与えたのは快楽である。
美紀にとっての俺は、自分のハジメテをもらってくれただけでなく、今までに感じたことのない快感を与えてくれた人物なのだ。細かな道理や理屈など放り投げて、途端に『運命の王子様』と化しても不思議はない。
「それに、有栖さんだけでなく、一刀くんにも褒めて――愛してもらえるんですよね? なら、断る理由はないです。
今の私にとっては、クラスよりもお二人の方が――お二人に褒めて、認めてもらえることの方が大事です」
美紀は俯きがちな姿勢を正し、顔を上げ、俺たちの顔を真っ直ぐに見つめて宣言した。
「ありがとう、美紀。そう言ってもらえて嬉しいよ」
これで、俺たちは強力な戦力を手に入れたことになる。埋伏の毒としての効果は期待できないが、BクラスやCクラスに対しては諜報要員として期待できるだろう。その分、働きにはシッカリと報いなければならないが、女の子を愛するのはこちらとしても望むところだ。
「必要とされることは、認められることは、嬉しい……か。うん、そうだね。本当にそうだ」
ポツリと、そう言ったのは真澄だった。美紀とは違い、体育座りをして俯く姿は、見るからに鬱屈としている。
「認めるよ。口では文句を言いながら、私は有栖にこき使われることに喜びを、充実を感じていた。そうでなきゃ、いくら脅されているからってあそこまで付きあったりはしない。私自身は、脅迫材料を弱みとも思ってなかったのは事実だしね。
とはいえ、万引き行為に罪悪感を覚えることはないけど、犯罪行為と認識していることも間違いじゃない。自分だけだと歯止めを利かせられる自信もなかったところに体のいい名分を用意されたから、これ幸いとそれに乗っかっただけ、ってのが本当のとこ。
何でこうなっちゃったんだろうな……? 最初は、ただ自分を見てほしかっただけだった。悪いことをしたら叱ってもらって、自分が愛されてるってことを、必要とされてるってことを実感したいだけだった。
だけどそれは叶わず、悪いことと知りつつも、むしろ悪いことだからこそズルズルと続けていき、気付いたときには罪悪感も覚えず、自分だけじゃあ止められなくなってた。
だから、お兄ちゃんには感謝してるんだ。そりゃあ、理性では『ほぼ初対面の女子にするようなことじゃないだろ!』とか思ってるのも本当だけど、私の万引き行為に対してちゃんと叱ってくれたから。そして、そこには確かに愛情を感じられたから。
有栖の場合は、私を叱ることはなかったからね。充実感を覚えていたことは事実だけど、その点でお兄ちゃんには及ばない。
おかげで、今は久しぶりに罪悪感を覚えてるんだ。……そのせいかな? さっきの行為も、罰と思えば受け入れられるし、むしろ、まだ足りないと思っている自分がいるのも本当なんだ」
発せられた言葉を聞けば、その態度にも納得がいったが。言葉通り、自分がしてきた万引き行為の罪悪感に押し潰されそうになっているのだろう。
「それは、真澄が自分の行いを反省している証だ。……心配するな。これから先も何度だって叱ってやるし、何度だって愛してやるから」
「……うん。――あと、単純なようだけど、美紀の言葉を聞いて、美紀に仲間意識が芽生えた。姉か妹かはさて置き、これからは姉妹として見ることができそう」
「……そう、ですね。それは私も同じです。――ふふ。人間っておかしくて単純ですね。ちょっとした共感を覚えるだけで、受け取る印象もガラリと変わってしまうんですから……」
真澄の言葉に、美紀は微笑を浮かべて同意した。
「この流れなら、私ももう少し個人的心情を語りましょうか……。
これまでの私は『天才』であることを殊更に自負してきましたが、なんてことはありません。ただのコンプレックスの裏返しです。
杖を使わなければ歩くこともままならず、ただ健康だという一点だけで、自分よりも馬鹿な輩に同情される。……被害妄想著しいかもしれませんが、こちらにしてみればそんなのは見下されているのと同じです。私は自分の頭脳を誇るからこそ、そのことが我慢できなかったんですよ。
実際、効果は覿面でした。私が少し頭の良さをひけらかすだけで、去っていく人が多かったですからね。それでも、傍に残り続ける人はいましたが、下校時に語った事情もあり、結局友人らしい友人はできませんでした。
つまり、私もまた求めていたんですよ。私をありのままに扱ってくれる相手をね。……その点については、この学校にきて正解でした。杖を突いていることへの配慮はあっても、必要以上の同情を向けてくる相手は少なかったですから」
言葉を終えた有栖は、優しい笑みを真澄と美紀へ向けた。
「せっかくですし、今日のこの日に、この三人で義姉妹の契りを交わしましょうか。……三人仲良く一刀くんに処女を頂かれてしまったことですし、タイミング的にもバッチリでしょう」
「有栖さん……」
「はぁ……。前半だけならともかく、後半で良いセリフが台無しだよ」
有栖の言葉に、真澄と美紀は深い溜め息を吐くのだった。
そんなわけで、有栖・真澄・美紀の間で義姉妹の契りが交わされました。
頭は良いけど、基本的には冷酷でプライドが高く、それでいて体力最底辺の末妹。
手癖は悪いけど、そんな末妹を甲斐甲斐しく世話する、破滅願望持ちの次姉。
コミュ障で自分に自信のない陰キャだけど、それ故に影が薄くて諜報能力が高い長姉。
うん、箇条書きしてみると中々に酷いですね。思った以上にデコボコです。
なお、前書きで書いた通り、これも思いつきの結晶です。当初はこんな予定、微塵もありませんでした。
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