サブタイトルからお分かりのように、『EX』は一刀の視点でありつつも、一刀のヒロインではない相手を描写していきます。
メンバーの同意もあり、有栖のみならず真澄と美紀も共同生活に加わることになったが、そうである以上は当座の荷物だけでも持ってこなければならない。
そんなわけで、荷物運びを手伝うべく、女性陣はほぼ総出で出ていった。荷物持ちとなれば真っ先に駆り出されるであろう俺たち男性陣は留守番だ。何故かと言えば、時間的に女子階層への立ち入りが許されないからである。
「どうせだから、さっき一刀に提案した通り、真鍋のオナニー動画観賞会でも開くとするか」
「お、いいな」
「そういうことなら、俺は部屋に戻る」
三人きりになった広いパーティールームの中、清隆が口を開き、それに俺が同意し、途端に輝彦が部屋に戻ろうとした。
「まあ待て輝彦」
「そうそう。せっかくだからお前も付きあえ」
だが、そうはさせない。アイコンタクトを交わした俺と清隆は、左右から輝彦の首に腕を回すことで逃亡を阻止した。
「心に操を立てているのは分かるが、だからこその提案でもあるんだぞ?」
「その通りだ。これから見せるわけだが、実際にオレは他クラスの女子をセックスで快楽に叩き込んで、オレの言うことを聞くようにしたわけだしな。完全に命令を聞くわけではないが、敷居が大分低くなったのは間違いないだろう。――その方法を、Cクラスが仕掛けてこないとどうして断言できる?」
「その通りだ。さっき有栖も言ったが、現状で一番油断がならないのはCクラスだ。特に心なんておとなしい方だからな。狙い目であるのは間違いない。
純愛も結構だが、お前がまごまごしている間に龍園に喰われる可能性だって否定はできないんだぞ? たとえその方法にレイプが用いられたとしても、結果的に心が問題視しなければ、問題として提示されることもないんだからな。……たとえそれが泣き寝入りであっても。
輝彦、女を愛する一人の男として問うぞ。お前はそれを許容できるのか?」
「それは! そんなこと、許容できるわけがないだろうが!」
俺の問いかけに対し、輝彦は力の限りに否定した。
「だろう? だからこそ、お前も一緒に動画を見ろと言っているんだ。これから流れるのは、心に訪れるかもしれない可能性なんだからな。それを直視して、もっと危機感を高めろ」
「……分かった。だが、後でお前たちにも心の説得に協力してもらうからな」
結果、輝彦は折れた。
「当然だ」
「是非もない」
頷きあった俺たちは、いそいそとカラオケルームに向かった。ケーブルでモニターと繋げば、カラオケ用の大画面で動画を楽しむことができる。各種お菓子とドリンクの用意も忘れない。
リビングルームのテレビでも視聴は可能だが、その内容的に、流石にリビングで実行するのは憚られる。……まあ、周囲は諦めと一緒に納得するだろうけど。
♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢
『えっと、これでいいのかな? まあ、後で確認もできるみたいだし、映ってなかったらやり直せばいいだけか。特に期限も定められてないし……。
しかし、私のオナニー動画を撮って送れ、なんて、アイツも何を考えているんだか……。しかも、そのためにこんな高額なビデオカメラまで渡してくるし……。同じ一年なのに、この差は何? アイツの財力ってどうなってんのよ?』
画面の中では、一人の女子がブツブツと言いながら動き回っている。彼女が真鍋志保さんだろう。中々にビジュアルは良い。よもや、こんな女子がCクラスにいたとは思わなかった。
カラオケルームは、中ランクのパーティールームには基本的に付属しているが、それでも、元から多人数でカラオケを楽しむことを念頭に置かれて用意されている設備だけあって、その機能は馬鹿にできたものではない。
音量を高めにし、全体的な部屋の光量を下げて暗めにすれば、気分はさながら映画館だ。
『そもそも、何でこうなってんのか……。龍園から要注意人物として挙げられた相手には接触しないように注意してたっていうのに、まさか向こうの方から接触してくるなんて思う筈がないでしょ。
あーもう! それもこれも、あの前園って奴が悪い! 人にぶつかっておいて謝りもしないんだから、ほんっとにDクラスの生徒ってのは……! ――でも、アイツもDクラスなんだよね……。そも、クラスメイトが騒動起こしていたから割り込んできたみたいだし……。
はぁ……。私ってツイてない――って言いきれないのが、また厄介なところなんだよね……。キスもセックスも気持ち良かったし、アイツに冷たい感じに言葉を向けられるのも、それはそれでゾクゾクするものがあるし……。
そりゃあ、私だって何度かオナニーをしたことはあったし、性的行為に完全に無縁ってわけでもなかったけど、それを差し引いてもアイツの技量は反則でしょ。ほんと、同じ一年生なのにあの技量ってどうなってんのよ? 初体験であんな快感叩き込まれたら、逃げられるわけないっての……!
それでいて、北郷一刀には注意しろ、って龍園の奴と同じこと言ってるし。まあ、ニュアンスは龍園と違うみたいだけど。アイツによるとアイツ以上の技量らしいし……。名高い『女好き』は伊達じゃあないってことか……。アイツ以上の技量には興味がないわけじゃないけど、やっぱ怖いし、私も注意しないと……。
っと、いけないいけない。頼まれたからにはやらないと。アイツもまた抱いてくれるって言うし、結果的にはビデオカメラまで貰っちゃったわけだし……。
まあ、さっきはああ言っちゃったけど、考えられる使用用途なんて一つだけだよね? アイツが私のオナニー動画を見てオナニーするわけだ。そう考えると、悪くない気分よね』
独り言を零しながらもコロコロと表情を変え、真鍋さんはウロウロと動き回っている。それがまたライブ感を引き起こして見入ってしまう。
いや、実際に
本人にその自覚があるかは分からないが、愚痴混じりに事のきっかけを思い出し、それを実際に口に出して語ることで、自分で自分を追い込みつつ昂らせているのだ。
その一方で、視聴者たる清隆へのアピールも忘れない。そうでなければ、清隆の印象や性行為の感想、それまでの性体験を口に出す筈もない。それを敢えて口に出すことで、清隆を持ち上げているのだ。
また、俺や龍園に対してもそれとなく言及することで、いざという時は護ってくれ、と懇願している。
しかし、聞いてるだけで不運感が漂ってくる子だな。彼女の独り言を信じるなら、そもそもにして悪いのは前園さんということになる。……が、それをきっかけとして清隆に目を付けられ、快楽に堕とされる結果になってしまっている。
あと、ごめんなさい、真鍋さん。確かに清隆も観賞はしてますが、俺と輝彦というお邪魔虫も一緒です。――まあ、そう思いつつ昂る面があるのも否定はできないわけだが。
ついでに言えば、清隆の言う『自覚の無いスパイ』にも納得がいった。特に指示されたわけではなく、彼女はただ思いつくままに独り言を口にしているだけだ。そしてその中には、こちらにとって有益な情報が紛れている可能性は否定できない。
まあ、それはそれとして。
「おい、清隆……」
「何か間違ったことを言っているか? お前が真鍋に接触すると、真鍋までお前に堕とされかねん。それを危惧するのは当然だろうに」
「おい、お前ら黙れ。映画鑑賞中は静かにしろ。それが最低限のマナーだろうが」
俺が清隆にジト目を向け、清隆がシレッとした態度で言葉を返し、それを輝彦が窘めた。……輝彦の目は画面に集中している。やはり、がり勉タイプの人間は基本的にムッツリスケベなのだろうか? 何か、そんな説を聞いたことがある気がする。
俺たちがそんなやり取りをしている間にも、画面の中は進行していく。
『えっと、実際にオナニーする前にはこれを口にしろって言ってたっけか……。どんなことが書かれてるんだろ? やっぱ、オナニーする上でのお題とか? ただ行為に耽るんじゃなく、実況でもしなきゃいけないのかな?』
画面の中の真鍋さんは、一枚の折り畳まれた紙を取り出した。その状態のまま、ヒラヒラと紙を動かしながら、角度を変えては凝視する。
ブツブツと零すその表情は、期待と不安がない交ぜになっている。そりゃまあ、一般的な女子が自分のオナニー動画を撮影して、それを誰かに渡すなんてこと、そうそうある筈もないからな。いくらセックスを経験済みだとしても、おいそれと呑み込めるわけがない。
それでも、やらなければならない。いや、やりたい。何故なら、その先に約束された快感が待ち受けているから。……ご褒美が約束されているからこそ、矛盾する感情がより一層の期待を高めているのだ。
その一方で、渡された紙の内容が分からないことが、真鍋さんの不安を掻き立てている。
動画内容と観賞環境によりライブ感がマシマシになっているからこそ、俺もまた昂りを抑えきれない。ズボンの中で、ジュニアが目を覚ましたのを自覚した。そして自覚した以上は、圧し留めてなどいられない。
俺は堂々とズボンと下着を脱いだ。そも、アダルト動画を観賞するのに、ジュニアをしまったままというのがいただけない。それは女優さんに――今回であれば真鍋さんに失礼というものだ。
流石にそんなことをすれば、一緒に観賞している他の二人も気付く。だからこそ、俺は自論を語った。
結果、それを二人は受け入れたが、その一方で二人はズボンを降ろすことはなかった。清隆は既に観賞済みだからであり、輝彦は動画に求める趣旨が違うから。そう言われては否定もできない。
三者三様のスタイルで、動画の干渉を続ける。
『え~と、なになに……。え? これ口にしていいの? まあ、書いてあるんだから構わないか……。私、アイツに比べて頭良くないし、いくら考えても分かんないでしょ』
内容を読んで疑問を覚えたらしい真鍋さんだったが、すぐに受け入れたようだった。その際に若干の自虐を零していたが、流石に清隆と比べるのは分が悪い。むしろ、アッサリと受け流したのは賢明とさえ言えるだろう。
『え~、これから行う行為は、私、1ーCの真鍋志保と1ーDの綾小路清隆、双方の合意の上で成り立っています。そこに脅迫などは一切絡んでおりません。……これで終わってるし。
やっぱ分かんないや。こんな当然のこと口にさせて、アイツは何を考えてるいんだか……。むしろ、お題も何も無いって、逆に困るんだけど……』
実際に困惑した様子で真鍋さんは零す。
『いつも通りのやり方でオナニーする? いや、でも、それはなぁ……。動画撮影を求めてきた以上は、普通に考えて相手の表情とかも楽しみたい筈だし。携帯とか本とかで表情が隠れてたんじゃあ、楽しさも半減どころじゃ済まないだろうし……」
おそらく、彼女自身は根が真面目なんだろう。清隆は『典型的な小物』と彼女を評していたが、一概にそうは言えない気がする。
早い話、彼女はある意味で弱肉強食に忠実なのだ。だから、強者には媚び諂うし弱者には強く出る。純粋なまでの処世術の一環だ。
それと同時、気概に能力が追いついていない面があるのは否定できない。何だかんだ、Cクラスの生徒であるのは事実だからな。
弱肉強食は現代社会に通用する一方で、齟齬が大きいのも一つだ。その落差により、周囲の目には『小物』と映る部分があるのは否定できない。
実際、一概に媚び諂うと言っても、ここまで身体を張っていることは事実なのだ。少なくとも、その努力を認める必要はあるだろう。
その一方で、その行為に対し、無様だ、みっともない、と罵る輩が一定数いることも否定はできない。だがそれは、裏を返すと、自分には同じ真似ができないから、と捉えることもできる。平たく言えば、弱い犬ほどよく吠える、だ。
しかし、身体を張っている彼女自身の能力が低いこともあって、周囲からは『負け犬』認定されてしまう。
こんな具合で、弱肉強食と現代社会は相容れない部分が相応にあるのだ。
『あ、そうだ……』
呟いた彼女は、何を思ったか端末を操作した。暫くすると、何かのアプリゲームでも起動したのか、端末から軽快な音楽が流れだす。
『アイツの声ってこのキャラとソックリだったんだよね……』
端末を操作する真鍋さんの口からそんな独り言が洩れる。そうしてそのまま待っていると――
『跪け……!』
『フン、愚かな負け犬が……!』
『弱者には、そのような末路がお似合いだ……!』
彼女の端末から、清隆ソックリの声で、そんな言葉が聞こえてきた。
『うん、似てる似てる。あとはBGMを消して、ボイスを延々リピートさせて……と』
実際に何というゲームで何というキャラなのかは分からないが、この清隆ソックリの声をしているのは、おそらく『オレ様』キャラなのだろう。その後も、相手を見下すようなセリフが次々と繰り返される。実にバリエーション豊かだ。
『下準備はこれで良し……と』
そう呟いた真鍋さんは、パッパと服を脱いでいき、アッサリと下着すらも脱ぎ去った。
『ま、裸自体はもう何度か見られてるわけだし、一々ここで恥ずかしがるのもね……』
そういうことらしい。ある意味で、道理と言えば道理である。
真鍋さんは瞳を閉じ、片手を胸に、片手を秘所へとやった。それは分かるのだが……。
「距離の関係か……。仕方ないと言えば仕方ないが、真鍋さんの胸の形やオマンコがよく見えないのは残念だな」
「これは第一回目だから仕方ないが、それにはオレも同意見だ。だから、その点については真鍋にも伝えてある。二回目以降は改善されているぞ」
我知らず俺の口から不満が洩れ、それに対して清隆が返す。今度は、輝彦がツッコミを入れてくることはなかった。画面をガン見している。
『はい! はい! ああっ!? あうっ!?』
瞳を閉じた真鍋さんは、行為に没頭している。清隆ボイスのキャラクターの言葉に答えるかの如く肯定の言葉を返し、応じて手の動きを激しくさせている。浅ましく舌を出しているのが分かった。その手の動きから、乳首が立っているのも想像がついた。
「……ふむ。ハッキリと見えないからこそ、想像の余地があるな。さっきの言葉を翻すようだが、これはこれでいいものだ」
「それもまた同意見だ。無論のこと、その点についても対処してある。ポイントはかかったが、まあオレの手持ちにしてみれば微々たるものだ」
感想を洩らすと、再度清隆から答えがあった。それを聞くと、二回目以降が俄然楽しみになってくる。
『あっ! ああっ! イク! イキそう! あ、ああ、ああああ!』
何となく、彼女の手が勢いよく秘所を出入りしているのが分かる。俺もまた、ジュニアを扱く手を速めた。繰り返すが、これで達さないのは女優に対して失礼だ。
「うおっ!?」
「ほう?」
「何だ!?」
不意に、そこで衝撃が俺を襲った。ジュニアを扱く手を掴まれたと思ったら、それをどけられ、次の瞬間にはジュニアが柔らかな感触に包まれていたのである。
いや、襲われたのは俺だけではなかった。視線を画面から外して下を見やれば、いつの間にかそれぞれの足元に女子がいたのだ。俺には鈴音、清隆には有栖、そして輝彦には、言うまでもなく心。その三人が、それぞれのジュニアを引っ張り出して口に含んでいるのだ。
驚いていると、画面に集中するように、鈴音から指でジェスチャーされた。そういうことならと、再び画面に視線を戻す。
視線の先では真鍋さんの手が忙しなく動いており、ジュニアの方は鈴音が勢いよくスロートを繰り返しており、応じて、これでもかとばかりにジュボジュボと抽送音を立てている。
淫靡な音は一つではない。動画から発せられる、真鍋さんの嬌声と、その花園から奏でられる蜜音。そして、現実で繰り広げられている、三者三様のスロート音。不揃いではあるが、それが逆に気分を高めてくれるのは間違いなかった。
異なる快楽によって瞬く間に昂り――
『イッく~~~~~~~っ!?』
「ああ、出る出る出る! 出すぞ!」
画面の中の真鍋さんが達するのと同時に、俺もまた勢いよく射精したのであった。無論、鈴音の頭を押さえての口内射精である。顔射も一興ではあるのだが、ここですると掃除が大変だからな。
そして、どうやら清隆と輝彦も口内射精したらしい。これが初体験であろう輝彦なんかは、特に息を荒くしている。
「心、お前なんで……」
賢者タイムの輝彦が訊いた。俺もまた気になっている。
ゴクリと精飲して、心が答えるべく口を開いた。
「戻ってきたら三人の姿が見えなくて、探しているうちにカラオケルームにいることを発見したんです。けど、歌うでもなく何をしてるんだろう? と疑問に思ってたら、愛里ちゃんが推測を口にしてくれて。
そしたら、有栖さんが、射精の手伝いに行く、って言い出したんです。それに桔梗ちゃんが便乗して、鈴音ちゃんも負けじと参戦を希望して、輝彦くんを渡したくなかった私も便乗した流れです」
「いや、それは……あり得ないだろう。ハーレム発言を鑑みれば、有栖が清隆の相手をするのは不思議でも何でもないが、桔梗や鈴音が俺の相手をする理由がどこにある?」
「お言葉を返すようだけど、心さんの危惧はあながち間違っているわけじゃないわよ。私自身、手や口であればユキムーの相手をするのは別に構わないし。学力のみではあっても、ユキムーは私以上の実力者だし、基本的に真面目だしね。
以前であれば、こんなことは考えもしなければ実行もしなかったでしょうけど、カズピーとセックスしたことで私の中で何かが変わったんでしょうね。今ではこの程度なら十分に許容できるのよ。
流石にカズピーに浮気を疑われるのは勘弁だから、行為をするにしても彼が同席している場に限るけど、逆に言えば、そこさえクリアできているのならこちらとしては問題ないわ。その点については、きっと桔梗さんも同じでしょう。今回は、勝利した私の方が参戦したけどね。
でも、良かったわね、ユキムー。心さんが参戦を希望して。そうでないと、彼女に隠れて他の女の子のオナニー動画を観賞しただけじゃなく、本番はしないにせよ彼女以外と最初に性行為をすることになってたわよ?」
心の説明に言葉を返す輝彦だが、それを他ならぬ鈴音が否定した。実際、経験済みと未経験では、たとえ同一人物であっても、それに対する敷居が異なっていてもおかしくはないのだ。
だからこそ、他ならぬ鈴音にそう言われてしまえば、輝彦も返す言葉を持たなかったのだろう。苦々しく頷いていた。
「女の子がここまで勇気を出したのよ。ユキムーも、男なら応えてやりなさい」
「そうですね。その方が良いでしょう。……まあ、どちらも初体験同士とのことですし、不安なら女子で何人かフォローに向かいますよ」
そして、同性故の、心に対する援護射撃のつもりだろう。これを機として、果敢に輝彦へ攻めかかっている。
「えぇい、分かったからそんなに言うな! そもそも、心がこうなる危険性を示されて、放っておけるはずもないだろうが! 次の休みを迎えるのに合わせて心を抱く!」
その結果、輝彦は、そう堂々と宣言するのであった。
原作では不運感が強く、結果的には退学までしてしまった真鍋志保に対する精一杯のフォローです。
原作でも、そもそものきっかけとして悪いのは恵の方ですし。やや乱暴なやり方ではありますが、真鍋自身は当然のことを迫ったに過ぎません。
基本的には強気で高慢な態度。
クラス内では独自のグループのリーダー格を務め、女子への発言力が高いが、その一方で彼女を嫌っている人物も多い。
意見の相違から伊吹と揉めることが多かったが、伊吹が龍園に重用されると怒りを抑える。
龍園が失脚すると調子に乗る。
こういった要素に、上記の転落のきっかけになった要素を加えると、彼女のことを『ただの小物』とは思えなくなりました。
その結果、本作では『一般的なルールを順守しながらも、弱肉強食にはより忠実』という性格になりました。
最終的に勝つために組織の和は乱さず、強者を相手に無意味に勝てない勝負は売らない。それよりは、不満を抑え込んでも忠を尽くして、その支配下での安泰を図る。反旗を翻すにしても、それは相手が失脚したあと。
こんな感じで、平たく言うと群雄割拠の戦国武将的なキャラ付けになりました。
CクラスとDクラスではCクラスの方が格上――強者なので、Dクラスの恵相手に強気に出るのはおかしくありません。
入学時点ではCクラスの生徒同士ということで伊吹と同格でしたが、クラス内に龍園という王が生まれ、その王に伊吹が重用された時点で、伊吹の方が格上になりました。怒りを抑えたのはそれ故と考えれば納得がいきます。
そもそもにして、グループを作ったりして周囲と最低限度にはコミュニケーションを取る真鍋と、クラスメイトとすらも必要以上の馴れ合いを好まず、誰が相手でも言いたいことはハッキリと言う伊吹とでは意見が合う筈がないんですよね。
それと同時、忠を尽くしても自分を重用しない主には見切りを付けてもおかしくはありません。戦国武将なら普通のことです。
龍園が失脚した時点で、龍園を頂点とする和はなくなりました。ならば、後釜を狙って動き出してもも不思議はないのです。
また、龍園自身が横暴な振る舞いをして王に収まったのですから、彼女が同じ真似をしてもおかしくはありません。
ただ龍園と違ったのは、彼女自身は龍園ほどには能力が高くなかったことです。
そして最大の誤算は、真鍋は今までの自分に対する扱いもあり龍園が失脚したことでハッキリと見切りを付けましたが、周囲は龍園を見放していなかったことです。
その結果が、退学という原作での末路と考えればシックリときました。
龍園が真鍋も重用していたのなら、きっと真鍋も忠を尽くしていたでしょうし、原作でのようなことにはならなかったでしょう。
本作での真鍋はきっかけこそ違えど原作同様に清隆に目を付けられ、挙句の果てには処女まで奪われています。その点では、原作以上に悲惨でしょう。
ただその一方で、本作の清隆からはシッカリと目を向けられています。その点では、原作以上に幸せでしょう。
現時点で、本作での真鍋の中での強者レベルは清隆>龍園となっています。だから、今回描写した様なことであっても、忠を尽くしてシッカリと従います。
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