ただ、如何に『暴論』、『極論』、『屁理屈』の類とはいえ、それらを機能させるにはそれなりの説得力を持たせておく必要がありますしね。
そりゃまあ、初期遊戯王のように不意に後出し効果を発動してそれが罷り通るんならまだしも、そんなのはまず不可能ですし……。
あれはあの作品だからファンも受け入れたのであって、普通に考えて『俺は○○を伏せておいたのさ!』なんて通用しないでしょう。
そんなわけで、本作では、原作と同じ展開になっても違う展開になっても、ある程度筋が通るようにしてるつもりです。
「どうだった?」
とっぷりと日が暮れた中。部室として与えられた家からの、場所的に人気の無い帰り道で、俺は知恵に問いかけた。
既に21時は回っている。ここまで時間が遅くなったのは、偏に知恵が気を失っていたからだ。
まあ、俺がハッスルし過ぎたためでもあり、どうせだからとオモチャの練習台になってもらったことも一因であるため、責めることなど一切できないのだが……。むしろ、知恵の方が俺を責めていいまである。
主語も何もない、突然の問いかけのその意図を、しかし知恵は見事に掴んだようだった。
「凄かった……。いやもうほんとに、凄かった、としか言いようがないわ……。昨日も確かに凄かったけど、内容的にも今日のはその比じゃないわね。
言った通り、私もこれまでには結構男遊びをしてるからね。応じて、経験をそれなりに積んでる自負があったんだけど――断言する。一刀くんにしてもらうのに比べたら、今までのは児戯に過ぎないわ」
こうして、本日の感想をキチンと口にし始めたのだから。
俺を持ち上げるその感想を耳にしては、気分も上向こうというものだ。次回以降も、精一杯に知恵を愛そうと決意する。
知恵の感想は続いていく。
「ハッキリ言えばさ、今日のってまるでAVで見るようなドギツイ内容だったじゃない? 普通の男の人はね、あそこまでやらない――いえ、やれないのよ。個人の性格なり、環境なり、色々と理由はあるだろうけどね。
それは不特定多数に共通することで、AVはある意味で願望の結晶なのよ。自分では実際にできないから、AVを通して疑似体験をする。だから、AVの流通が絶えない一面があるのは間違いないと思うんだ」
知恵の意見には一理あるだろう。
平和を維持するためではあるだろうが、法やら何やらで現代社会は雁字搦めだ。
それによって、殺人などを始めとする行為が横行しておらず、大半の人物がそれらの行為を忌避・嫌悪しているのは事実だが、その分だけ息苦しい面があるのは否定できない。
その一方で、正式な許可を取れば、性行為すらも『商売』として認められているのも間違いではない。――その反面、規制による制限も著しいため、正式な許可を取らない『裏商売』が絶えることがないのも事実ではあるのだが。
早い話、規制の強弱にも一長一短がある、ということだ。
「それが一刀くんときたら、私の相手をするのは今日でまだ二回目だっていうのに、浣腸して、アナルプラグで栓をして、それだけじゃなくオマンコにはバイブを突っ込んで、両の乳首にはローターを着ける。
挙句の果てにはフェラチオだけで口内射精に導いて、射精された精液を飲め。それができなきゃトイレは使わせない、ときたもんだ。ご丁寧に自分が便座に座ってさ。普通に考えても鬼畜だよね。
上のトイレに向かおうと思っても、流石にあんなにお腹がゴロゴロいってる状態じゃあね。いくらアナルプラグで栓をされてるとは言っても、とてもじゃないけど上まで保つとは思えない。結局は諦めて言われたことをこなすしかない。
まさに究極の二択だね。どれだけ可能性が低くとも、フェラして射精させて精飲して、その上でトイレで用を足すか。或いは、最初から諦めて、もしくは努力不足で無様に脱糞して、最後の一線すらも超えて女性の尊厳の失うか」
人気が無いことも一因だろうが、知恵は憚ることもなく淫語を交えて口にする。美人女教師ということもあって、否が応でも興奮してくる。
果たして、この場で襲ってほしいのだろうか? そう思うも、言葉を続けている知恵にその様子は見られないので、俺の勘違いなのだろう。
実に残念だ。野外プレイ――青姦も、あれはあれで昂るのだが。
せっかくの高環境を活かさない理由もないので、機会があれば是非とも付き合ってもらうことにする。無論、相手は知恵に限ったことではない。人間、何事も経験してみるべきなのだ。……まあ、限度があるのも事実だが。
「その結果、やり方はどうであれ、私は自分の意思で一刀くんのオチンポをフェラすることを選んだ。後者が御免だったというのもあるし、前日の体験から一刀くんが相手なら心から満たされるのが分かっていたからでもある。
だから精一杯頑張って、苦しみやら快感やらを誤魔化すために喋りながらフェラしてたってのに、一刀くんときたら、『喋れるのはそれだけ余裕があるからだ。本気になってないからだ』……じゃない? オマケにローターとバイブのコントローラーに手を伸ばす始末。
気付いたこっちの制止の声を無視して、一気に最大レベル。あの瞬間、本当に悟ったのよ。理屈なんか関係ない。私の行き先は天国か地獄しかないんだって。射精させて精飲しない限り、一刀くんがトイレを使わせてくれることはないんだって。
そこからは、もう意識が朦朧としてたわ。便意による苦痛はともかく、オモチャの振動レベルが上がったことで、さっきまでの比じゃない快感が絶えず襲ってきてるんだもの。余分なことを考えてる余裕なんかなかった。地獄に落ちないためには、一刻も早く一刀くんを射精させるしかない。
だってのに、私ってばご丁寧なことに言われたルールを守ってるんだから、我ながらおかしなもんだわ。
たぶんもう、あの時点で本能が分かってたのね。教師とか学生とか、大人とか子供とか、そんなのは関係ない。私は雌で、あなたは牡。そして、雌である私は、牡であるあなたに勝てる筈が無いってことを。
もしかしたら、既に昨日の時点で屈服していたのかもしれないわ。いえ、きっとそう。理性が理解をしていなかっただけ。だから、私はあなたの子種を求めてた。だから、あなたの子種で孕ませられることを希望した。
そして、今日の一件で理性による理解も追いついた。一刀くんが相手であれば、私は心が満たされるってことに。……だからかな? 肉体的な疲労は凄いのに、心は凄くスッキリしてるのよ?
けど、結局は私も軽井沢さんたちのことを言えたもんじゃなかったなぁ。あんな目にあわされて、それで満足してるんだからさ」
歩きつつも語っていた知恵は、そこで言葉を止めてウンと伸びをした。その後、歩を進めつつ、再度口を開く。
「一刀くんさ。今回のをこれ幸いと、私の身も心も一刀くんに堕とそうとしたでしょ? ハーレムに加えるだけじゃ足りなかった?」
「それは……」
知恵はチロリと舌を出して問いかけてきた。どうやら、俺の魂胆などお見通しだったらしい。伊達にこの学校の教師をやっているわけではないということか。
だからこそ、俺は返す言葉を持たない。たとえバレバレであったとしても、明確な証拠がない限り、認めなければ疑惑止まりだからだ。
「フフ、意地悪な問いかけだったね。……いいよ。そうなる可能性も分かっていて行為に同意したわけだからさ。むしろ、当校の期待する『実力者』として相応しいってものよね」
そう言って微笑む知恵を見れば、本当に許容しているらしいことが窺える。
「実際にこの身で体験すれば、否が応でも理解した。こと相手が女性であれば、一刀くんとヤるのはこれ以上ないほどの精神的ケアになるわ。
ただでさえ、当校のシステムがシステムだからね。適応しきれず、精神面に負担を抱える生徒は前々から出ていたのよ。当然、こっちでも色々と対処はしていたけど、どうしても取りこぼしは出るからね。
かてて加えて、入学の審査段階でも取りこぼしが出ているのがハッキリとしてしまった。まあ、謳い文句が謳い文句だし、募集の枠を軽々と超えて応募が殺到するんだから、無理もないと理解はできるんだけどね。
恵さんに関する報告が上がった時点で、理事長は恵さんのみならず、そういった生徒に対するフォローも一刀くんに期待したんだと思う。実際に恵さんを立ち直らせた――少なくとも、半ば廃人状態から一般的な社会生活に擬態できるほどには回復してみせた実績があるわけだしね。相手が女性限定とはいえ、これは大きいわ。
だから、部活の副顧問として、当校の保険教師として、私からもお願いするわ。苦しむ女の子たちを救ってあげてほしい。――一刀くんには負担をかけることになるけどね」
そう言って、『教師』としての知恵は、俺に頭を下げた。
「いいのか? お題目は立派だけど、裏を返せば、『教師が進んで俺に女の子を差し出す』ことに他ならないぞ?」
「いいよ。分かってるから。……何度も言ってるように、世の中は綺麗事だけじゃ回らないのよ。そして、何を最優先するのかも人によって違う。
少なくとも私は、無理に苦しんでAクラスでの卒業を目指すよりも、後から振り返って、青春だった、と素直に認められるような学校生活を生徒たちには過ごしてほしい。……そう思うし、思えるようになった。
そのためなら、荒療治だろうと女の子を差し出す行為だろうと、進んで手を染めるよ。だって、世間一般的にどう言われようと、一面の事実として、その先に幸せが待っているのは確定しているんだからさ。
生徒会を『陽』とするなら、この部活は『陰』と言ったところね。まあ、どちらにも相反する面を抱えているのは否定できないけども。言ってみれば、『どちらが、より表向きにできない手段を用いるか』の違いしかないね」
知恵は本当にそう思っているのだろう。そう語る彼女の瞳は、真っ直ぐに俺を見つめている。
そう言われたならば、俺としても否定する理由はない。
「分かった。俺なりに、全力を尽くしてケアするのを約束する」
迷うのも、悩むのも、苦しむのも、青春と言えば青春だ。しかし、過度の状態に陥るのは、『青春』の一言では片付けられないだろう。俺としても、そんな女の子は放っておけない。
その言葉を聞いて安心したのだろう。知恵が安堵の息を零したのが分かった。
「さて。遅くなっちゃったし、どっかでご飯でも食べて帰ろっか。付き合わせちゃったのはこっちだし、奢るよ?」
「ゴチになります」
俺は知恵にそう返し、二人揃って寮への帰路を進む。
ご時世と言うか、環境柄と言うか、この時間になると営業している飲食店は居酒屋の類が大半なのだ。当然、学生である俺が訪れるのは好ましくない。
大人である知恵が一緒なのだから構わないと言えば構わないのだが、余計な疑いの目など少ないに越したことはない。『遅くまで話し合いに付き合わせてしまったため』というお題目を用意したとしても、飲酒を前提にした店と、酒が置いてあろうと食事をメインに据えている店とでは、やはり周囲に与える印象は異なるのだ。
知恵自身、自身の酒癖の悪さの周知具合を知っていることもあってか、敢えて居酒屋の類はスルーしていた。
そうして、俺たちは目に付いた健全な飲食店に入るのだった。
♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢
明けて翌日のホームルーム。またもや茶柱先生からの通達があるらしい。
「さて。待たせたな、諸君。CPの振り込み遅延を齎していた問題が解決した。――とはいえ、色々と事情があってな。諸君にポイントが振り込まれるのは来週の月曜日となる。
また、それに伴い、同タイミングで池がこのクラスからいなくなる」
「ちょ!? 佐枝ちゃん先生、それってどういうことっすか!? 俺、退学になる覚えなんてないっすよ!」
茶柱先生の言葉を受け、池が勢いよく立ち上がった。その口から疑問の言葉が投げ出される。
「落ち着け、池。私は、お前がこのクラスからいなくなる、と言っただけだ。退学になる、などとは一言も言ってない」
「え? ……あ」
「本来なら秘匿しておくべきではあるのだが、CクラスとDクラスの生徒に限っては、今回の件の当事者が在籍していることもあり一部情報の開示が許可されている。……聞くか?」
然程悩むこともなく、賛成多数で情報開示を受けることに決まった。
「事の発端は、Cクラスの時任と我がクラスの池による連名で、同じくCクラスの龍園と我がクラスの北郷に対する訴えが入ったことだった。不純異性交遊を行っている、と映像証拠を提出されては、学校側も動かざるを得ん。
とはいえ、一方の言い分のみを聞くわけにはいかないし、多分に限定的な映像でもあったのでな。件の映像に映っている三人にも確認することとなった。
ああ、言うまでもないだろうが、別に北郷と龍園が乳繰り合っていたわけではないからな。腐女子がいるのならそこは勘違いするなよ? 静かに妄想する分には構わんが、二人にバレたらどうなっても知らんぞ。そこに関しては自己責任だ。
そんなわけで、ここ連日、北郷が放課後に呼び出されていたのはその件だ。
そして確認した結果、学校側は、不純異性交遊ではない、という結論を出したわけだ。実際、それを証明する証拠映像と証言も多数挙がったのでな。
しかし、今度はそれが別種の問題を生んだ。このままなし崩しに『両者お咎めなし』とするには問題があったのだよ。――だが、問題ありとするのは、それもまた問題がある。
議論の末、誰もが等しくダメージを受けることで解決が図られた。その結果が、池と時任のトレードだ。この中で最もダメージが大きいのは池と時任になるが、これは実力者らしからぬ振る舞いをした二人へ対する、反省を促すための処罰でもある。
正直、これでもまだ穏便な方だぞ? 問題として取り上げてしまえば、池と時任は退学間違いなしだからな。それでいて、北郷と龍園も停学にはなるだろうし、CクラスとDクラスはCPにもダメージを受ける。得をするのはAクラスとBクラスだけだ」
茶柱先生の説明により、Dクラスは沈黙が支配した。初めのうちは困惑の方が強かったが、最後の言葉でそうなったのだ。
いったい何があったのか? 当然、その疑問はあるだろうが、それよりは、そうならなくて良かった、という安堵の方が強い筈だ。
「説明はこれで終わりだ。微に入り細を穿って説明することも可能だが、そうしてほしければ相応のポイントを払ってもらうことになるし、その際は口外も禁止させてもらうことになる。
そんなわけで、池と時任のトレードが行われる月曜日に合わせてポイントが支給される。今の段階で支給してしまえば、両者にとって不公平なことになるのでな。
それと北郷、創部届だ。創部が許可された以上、提案者であるお前は必然的に部長となり、書類の必要事項を記入して、近日中に学校へと提出する義務がある。忘れるなよ?」
「分かりました」
俺に書類を渡すとホームルームは終了となり、茶柱先生は教室から出ていった。
途端に教室は騒めきを取り戻すが、池に声をかける者はいない。……平田と須藤だけは声をかけたそうにしているが、何と声をかければいいのか分からないのだろう。
それも仕方ない。山内の退学後も、唯一と言っていいほどに声をかけていた二人を蔑ろにしていたのは池の方なのだから。
そして、クラスの中でも進んで池に気を向ける二人がそんななのだから、他のクラスメイトは言わずもがなだ。結果的にクラスからいなくなる池のことを気にすることもなく、実際には何が起こったのかを想像し、近場の者同士で意見交換している。
それもまた、池の自業自得だった。授業態度を改めたりしてクラスの一員として最低限度の協調は示していたが、山内の退学前とは違ってクラスメイトにそっぽを向いていたのは事実なのだから。
クラスメイトといえども所詮は他人。自分から背を向けた以上は背を向けられるのも道理だ。
あれでコミュニケーション能力はそこそこに高い池だ。そんなこと、言われるまでもなく知っていただろうに。……いや、知っているからこそ、周りに何を言うこともなく、立ち上がることもせず、ずっと席に座って物の置かれていない机を見つめているのだろう。
山内の退学からある意味で冷静さを失っていた池は、ここにきて自分の行動を振り返らざるを得なくなっているのだろう。何がいけなかったのか? 何が駄目だったのか? それらをただただ延々に。
そんな池を横目に、受け取った書類を確認すると、部活動名を始めとする殆どの項目は既に埋められているのが分かった。こっちで手を入れるのは初期部員だけのようだ。
「『実力向上探究部』……ですか? 『スクールアイドル部(仮)』から随分と変わりましたね?」
横から書類を覗き込んだ美雨が零す。
「ま、あんなことがあったんだ。そこについては仕方ないさ。
説明すると、特に活動内容が決まっているわけじゃない。実力向上に繋がると思うなら何でもありだ。まあ、分かりやすい活動内容を挙げるなら、他の部活に対する傭兵活動になるだろうけど。流石に、条件戦だと、部活の大会とかにまでついて行くことはできないからな。
だが、何でもありだからこそ、和気藹々としてばかりの部活にはならないと思う。見方を変えれば、盤外戦の坩堝となる可能性も高いからな。故に、部員として認められるのは、部長の俺や学校側の目から見て、審査基準を乗り越えられた者だけだ。――基本的には、という注釈が付くけど。
部員名は直筆に限られるみたいだから、サインを入れてくれ」
俺は言葉を返しつつ、隣席ということもあり、まずは美雨からサインをもらうべく書類を差し出すのだった。
知恵が道中で堂々と淫語を口にしているのは、周りに人がいなく、監視カメラもないことを分かっているからです。
普通に考えれば、目立たないタイプの監視カメラが設置されていてもおかしくはないですからね。暗ければ尚更気付きにくいでしょう。
そのため、暗に『ここに監視カメラは無いよ』と一刀に教えていたわけです。それに気付くかどうかは一刀次第ですね。
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