本作もそこそこ高評価を得てるとは思いますけど、段々と評価ペースが落ちてきてるので余計に気になります。
並んでる作品もお気に入り千件以上がザラなので、悔しく思う一方で感嘆します。
ちなみに本作の場合、この話の予約投稿時点で、お気に入りが485件、投票者数が56人となってます。
評価のベストスリーは☆9が一番多くて30件、☆8が二番目で10件、☆1が三番目に多い5件ですね。一位と二位はともかく、三位ぇ……。
あと、以前、本作に☆0を入れていた人は、他の投稿者にも同じことをしていたみたいで処分されてました。
結果、本作の評価から☆0が消えたので嬉しい限りです。
現時点での目標は、お気に入りの500件突破と、☆1のベストスリー脱却ですね。
読者の方は、どうかご協力をお願いします。
放課後。
俺は取り急ぎ寮に帰ることにした。特に学校に居残る用事がなかったのも一因だが、創部届の件でジックリと考えたかったからでもある。
提出期限にはまだ余裕があるとはいえ、ありすぎるわけでもない。
同時に、この『実力向上探究部』はガッツリとグレー部分に絡んでいることもあり、学校で大々的に意見交換をするわけにはいかないのだ。
創部届と一緒に渡された別紙によると、これには理事長個人のみならず、日本政府の意向も少なからず関わっているらしい。……まあ、これに関して納得である。いくらこの学校の理事長でも、個人であれだけの設備を用意できるとは思えないし思わない。他からの助力があったと考えるのが妥当である。
そして、この学校の運営母体は日本政府だ。である以上、その助力元は日本政府と考えるのが普通である。――それだけとは限らないのも事実だが。
俺、理事長、そして日本政府。それぞれの思惑の下に、今回の創部は成り立っているのだ。
理事長としては、精神的や肉体的な問題を抱える生徒に対するケアを期待しているらしい。少なくとも、俺には有栖と恵という実績がある。恵に関しては伝聞情報でしか知らないが、娘である有栖に関しては別だ。
理事長に可能な範囲ではあるものの、どんな病院のどんな名医も匙を投げたのが有栖なのだ。杖無しでの歩行は許可できない、それが彼らの総論にして結論だったのだ。
しかし、俺は気功という『オカルト』を以て、そんな有栖を杖無しでも歩行できるようにした。
それを目の当たりにした理事長にしてみれば、否が応でも期待せずにいられないのだろう。この学校の場合、特に精神的問題を抱えやすい土壌があるのは間違いないのだから。
日本政府の思惑としては、やはり人材の確保を狙ってのことだ。こんな大々的な学校を用意して運営するからには、その根底に相応の理由がある。ハッキリと言ってしまえば、卒業生の中から『政界参加者』が現れるのを期待しているのだ。次点では教員辺りだろうか。
そりゃあ、プロのスポーツ選手や音楽家、芸術家といった面々も、一定の効果があるのは否定できない。だが、根本的に国を立て直そうとすれば、それに直接関わる人材の確保を狙って然るべきだろう。
そして政界参加者ともなれば、『グレー』な部分と無縁ではいられない。むしろ、表沙汰にしてない、なってないだけで、ガッツリと『黒』に関わる場合もある。
総合的に考えた場合、今までにも一定の成果はあったが、その一方で芳しくないのも事実。そのため、より一歩踏み込むことにしたらしい。……スポンサーの最大手である『三國コーポレーション』が真っ先に賛同したのも大きいようだが。
「いやはや、これまた極端な手を打ってきたもんだ……。だが、上手い手ではあるな」
事情の全てを記載しているとは思えないし、思わない。だが、こうして『書面』という形に残す以上、まるっきりの虚偽である筈もない。
早い話、これは俺に対する『褒美』であり、『礼儀』であり、『枷』だ。
俺を巻き込んだことに対する『礼儀』としての説明責任であり、説明したからには絶対に逃がさない! という意思表示の表れでもあるだろう。
その一方で、俺が上記の思惑とは関係なしに気に入った女の子を部活に引き込むことに対する許可。ケア行為の中に含まれる性的行為への『黙認』と『暗黙の了解』。そこに部室として提供された環境そのもの。……それらをひっくるめて、俺に対する『褒美』となり『枷』となる。
これにより、俺は部員を見放せなくなる。色事ばかりにかまけて勉学を疎かにし、退学になることを防がなくてはならないからだ。そして、その対象が部員であるからには、学年やクラスも関係がない。否応なく先輩の勉強も面倒を見なくてはならず、俺にそれが可能なことを、それだけの学力があることを、理事長は知っている。
また、俺が部員に清隆や有栖を引き込むことも理事長は想定済みだろうし、有栖が清隆を知っていた以上、理事長も言わずもがなだ。……これだけで、一年生でありながら二、三年生の勉強を見られる人物が三人になる。
そして、部室の環境と部活の内容的に、部員はどうしても『グレー』に関わることを余儀なくされる。
普段の学校生活以上に『グレー』に関わり、それでいて学力も上がるのだ。である以上、部活名に偽りはないことになるし、半ば特別扱いに対する言い訳にもなる。
「けど、これに加えてクラスの面倒も見なくちゃいけないんだろ? 道連れ退学を考慮すればそっちにも手は抜けないし、ハッキリ言って超過勤務じゃね? いやまあ、だからこその褒美でもあるんだろうけど……」
俺はこの先待ち受ける事態を想像し、深々と溜息を吐いた。
部活の方は、まあ問題ないだろう。ケアの必要な生徒はいないわけじゃないだろうが、俺に対処可能なのは女生徒だけだ。その時点でガクンと数は減る。……平田のように男相手でもできないわけじゃないが、あれはあくまでも恵がいてくれたからだ。状況が上手く噛み合っただけの結果に過ぎない。
実力者に関しては男女関係ないが、基本的にこの学校は兼部不可能だ。その時点で、やはり希望者の数は減る。この部活に興味を抱いたところで、実態も良く知らない部活にわざわざ退部してまで所属しようとする生徒がどれだけいるか? ということになる。場合によっては学校側からも部活の切り替えを勧めるだろうが、それに応える生徒がどれだけいるかは怪しいものがある。
だからこそ、決して先輩が所属しないわけではないだろうが、その数は少ないだろうと予測される。
まあ、楓花辺りなら興味本位で入部してきそうな気がしなくもないが。何だかんだ、愛紗たちが認めている人物であることに違いはないので、その時点で実力の程は保証されている。そして、実際に彼女が入部を希望するなら断る理由もない。彼女であれば、俺が特に勉強を見る必要もないだろうしな。
故に、勉強面でメインに面倒を見るのであれば、その対象は必然的にクラスメイトということになる。そして、それが存外に難しい。中間において、前以て解答を渡しておいたというのに、ブーストが掛かった上で尚も大半が悲惨な点数だったのだ。
普通に考えて、期末は中間以上に難しい筈だ。そして、今回は『過去問』という名の解答もない。正真正銘、素の学力で挑まなければならないのだ。
「え~? マジで大丈夫か、これ? 前回は女の子たちの手料理に教師役、美雨というメイドさんまで付けてあの結果だったんだぞ?
それでいて、一朝一夕に学力が上がるわけじゃない以上、当人たちに一層のやる気を以て勉強に向かってもらわなくちゃいけないんだろ?
いや、手が全く無いわけじゃないけど、女の子たちがどこまで協力してくれるかも分からないし、曲がりなりにもハーレムの主である俺がハーレムのメンバーに提案する内容でもないしなぁ……」
気付けば、俺は創部の方ではなく、来たる期末の方に思考が飛んでいた。
「いったい何をそんなに思い悩んでいるんです?」
そして、自分でも気づかぬうちに大分考えに集中していたようだ。いつの間にか有栖が帰宅しており、剰え隣に腰掛けていることにも、俺は気付くことができなかった。
「うおっ!? ……ああ、有栖か。お帰り。ゴメン、帰ってきてることに気付かなかったよ」
「はい、ただいま。……それで、何をそんなに思い悩んでいたんですか?」
「最初は創部の方で初期部員について考えていたんだけどね。気付けば今度の期末の方に思考がスライドしてた」
有栖の質問に対し、俺は簡単に答えた。そして、一緒に書類もスライドさせる。有栖が相手であれば、わざわざ隠す必要もない。
「……なるほど。父も上手い手を取ってきたものですね。ここまで内実を明らかにされては、一刀くんも色事に構ってばかりもいられなくなるでしょう。部員である以上は、先輩や同級生の面倒を見なくてはならなくなるわけですね。
同時、部員に引っ張り込んでさえしまえば、『部活』という名目で堂々と女の子を食べ放題。一刀くんのやる気を引き出すのにも十分な効果を発揮するでしょう。
その一方で、張りのある学校生活を期待するならライバルは手強い方が良い。そのため、必ずしも女子だけを引っ張り込むわけにはいかない。元より清隆くんや輝彦くんは引っ張り込むつもりでしょうが、できれば他クラスの男子もいた方が良い。
他クラスで真っ先に候補として挙がるのはCクラスの龍園くんですかね? 能力的には葛城くんもありだとは思いますが、彼は生徒会入りを希望してますし、性格的にも『グレー』部分は中々受け入れられないでしょう。Bクラスだと神崎くん辺りでしょうかね? まあ、彼については私も詳しく知っているわけではないので確たることは言えませんが……。
誰を引き込むにせよ、そちらに対しては赤点退学での問題は然程ないと思いますが、だからこそクラスの方に思考が飛んだわけですか……。以前、父に対して軽く引っ掛けた際、道連れ退学はありそうでしたしね。
ちなみに、Dクラスの学力は正直どんなものなんです? CP面から素行については何となく想像はつきますし、中間で退学者が一人出たことからも芳しくないのは確かでしょうが……」
「ちょっと待っててくれ」
一声かけ、俺は自室へと戻った。
最初の結果と、点数購入後の結果、その両方をポイントを使って紙で購入してあるのだ。無論、キチンとファイリングしてある。
一応は端末でも撮影してあるのだが、時間が経てば経つほど、量が増えれば増えるほど、結果的には紙の方が見比べやすくなる。付け加えると、端末だと画面が小さくて不便だからでもある。
ついでなので、小テストと一年全員の入試の結果も持ってくる。
「あら? これは入試結果ですか。一刀くんはこんな物も買ってたんですね……。いえまあ、私も自クラスの物は買いましたけども」
俺からファイルを渡された有栖は、そう零して目を通し始めた。
「これは……中々に悲惨な成績ですね。入試でこれって、この学校じゃなかったら入学できなかったんじゃありません? と言うか、よくこの成績で、曲がりなりにも日本政府が運営する名門校を受験しようと思ったもんです。そこだけは素直に感心しますよ、ええ」
取り敢えず入試成績から目を通したらしい有栖は、深い溜め息を吐いたあと、頭を押さえてそう言った。うん、その気持ちは俺にもよく分かる。
「それでも、点数だけで見ると、他クラスに比べて粒は揃っている印象を受けますね。輝彦くんもそうですが、鈴音さんも学年上位に位置していますし。あとは高円寺くんもですね。そこからやや下がって、平田くんや桔梗さん、千秋さんに美雨さんなどの名前が並んでいます。
そして、清隆くんはオール五十点ですか……。これを見ると、最初は実力を出す気がなかった感じですね。全部五十点に揃えておけば平凡だろう、と安易に考えている様子が目に浮かびます。そんな彼の気を翻すことに成功しているのですから、やはり一刀くんは大したものです」
ほうっ、と有栖は息を吐いた。
「グループメンバーの多くが上位に名を連ねている一方で、それ以外も相応ですね。愛里さんと波瑠加さんは平均的ですが、恵さんは平均よりやや下、麻耶さんなんて明らかに平均以下じゃないですか……」
学力のみとはいえ、思ったよりも酷かった自分より古参のメンバーの成績に、有栖は言葉もない様子だ。
「あら? でも小テストだと違ってますね。入試と違って清隆くんも実力を出したようですし、桔梗さんも上位に追い上げてます。麻耶さんなんて、難問の一つを合格するほどになってるじゃありませんか。まあ、それ以外が酷いので点数は振るってませんが、この事実は馬鹿にできません」
なお、他の面子に対する言及はなかった。そもそもが入試よりも簡単な問題が多数を占めるため、小テストで見るべきは難問を合格してるかどうかになる。
「そして中間が……二枚?」
「ああ。一枚目が最初の結果。二枚目は結果が出たあと、愛里の点数を購入したことによる修正が入ってからの結果だ」
「なるほど。……え? これ、一枚目の時点だと、愛里さんは退学になってるじゃないですか!?」
「ま、驚くよな。……基本、クラス全員には事前に過去問という名の『解答』を渡してはいたんだが、愛里はそれを使わなかったみたいなんだ。使ったのは、あくまでも本来の用途――『問題集』としてのみ。結果、解答によるブーストのかかった連中に追い抜かれてしまったんだよ」
「ああ……。そう言われれば納得できます。彼女、妙なところで頑固と言うか、暴走しがちなところがありますからね。それが悪い方に働いたわけですか……」
俺の言葉を受け、有栖は納得したようだった。有栖が同居生活に加わったのこそ最近だが、俺たちとの面識自体はもっと前から持っていたからな。愛里についてもそれは同様だ。
「そして、点数の購入による逆転が起き、平均点も変動。結果として山内くんとやらが退学になったと……。私はこの人のことを知りませんが、彼、何か一刀くんや清隆くんを怒らせることでもしたんですか? そうでもなければ、敢えて退学にまでは追い込まないと思うんですけど?」
「ビンゴ! とだけ言っておくよ。正直、思い返すと今でも腹が立つからな。悪いが、俺の口から説明することはないな」
「そうですか。では、後ほど他の方に訊いてみるとしましょう」
言って、有栖は用紙に集中し始めた。
そうして、しばらく経った後。
「ちなみにですが、中間では過去問以外にどのような対策を?」
訊きたくない。でも訊かなきゃな。そんな様子がありありと分かる表情と声音で、有栖が問いかけてきた。
無論、答えない理由はないので、分かる範囲で正直に答える。
「……なるほど。平田くんの勉強会に参加した面子は除外するとして。
勉強合宿を開き、参加費用は無料にして女子の手料理でもてなし、主に学力底辺の男子には千秋さんと美雨さんを教師役に据え、美雨さんはメイドの恰好までしていたと……。そして、池くんと退学になった山内くんには桔梗さんと鈴音さんが当たったと……。
その上で、過去問によるブーストが掛かって、尚この結果ですか……。一刀くんが頭を悩ませるのも分かりますね。一般的な範囲における正統的な手段は既に実行しているわけですし……」
有栖は再度頭を押さえて、深々と溜息を吐いた。
「……分かりました。私もDクラスの軍師として拝命されたわけですしね。この状況は他人事ではありません。道連れ退学の可能性があり、それでいてその実態が分からない以上は、安易に見捨てても置けませんからね。
まあ、流石に今回の期末がそうだとは思いませんが、今年中にそういった試験がある可能性自体は否定できません。それが必ずしも学力試験である保証もできないわけですが、退学者が出ればペナルティを負うのは間違いないわけですし、それだけでも学力を鍛える意味はあります。
グループの皆さんには対策について私の方から提言しますし、私も身体を張りましょう。一般的な方法が通じないのであれば、一般的ではない方法を取ればいいだけです。
具体的な役割分担や許容範囲などは後で相談するとして、私からは好成績を取った生徒に生下着でもプレゼントしますかね。成績次第では愛液などのオプションを付けるのもありです。――正直言えば嫌ですけどね。
とはいえ、裸を見せるのも嫌なら、口や手でもしたくないとなれば、そのくらいはしなければならないでしょう。少なくとも、スタイルはどうあれ外見の良さには自信がありますし、発情期のお猿さんみたいに性行為に興味津々な方々には効果覿面だと思いますよ」
そして、覚悟を秘めた瞳を浮かべ、そんなことを宣うのであった。
原作批判ってわけじゃないですが、最初の期末でDクラスから誰一人として退学者が出ていないことの方が、状況的にもまずおかしいんですよね。
まあ、それを言ったら、どれだけ必死に齧りついたところで、一日で過去問の内容を頭に詰め込んで中間で好成績取れることもそうなんですが……。
まあ、暗記物だけなら可能性は無くもないとは思いますが、原作では『数学と国語、それに社会は同率の一位、つまり満点が十人以上もいた』と茶柱先生が発言してるんですよね。
マークシート方式ならともかく、基本的には計算式の記入も必要になる数学が含まれている時点で、まず首を傾げざるを得ません。
しかも、上位勢だけならともかく、十人以上って……。
実際に解答見ながらならともかく、一晩の暗記だけだと、平均的な学力の持ち主でも複数科目で満点取るのは難しいと思います。
そんな底力があるんなら、そもそも普段からもっと発揮されていて然るべきでしょうし、それができていないからのDクラスな筈です。
そして、期末に関しては中間のような裏技もありません。それでいて、出題範囲は中間以上に広範です。何せ、一学期に学んだ範囲全部なんですから。
クラス内での学力差も激しい筈ですから、平均点調整なんかもできない筈ですし、そもそもこの時点ではクラス内の学力も正確には把握してません。
当月の冒頭に須藤の暴力問題もありましたし、これで一人も退学者が出ないってのは流石に……。
少なくとも、7/1時点でのデータベースで学力評価基準がEの須藤、E+の池と山内が乗り越えられるとは思えないわけです。
池も協調性があるとか描写されている割に、平均的なC評価しかありませんし。
DクラスにおいてはCでさえそんな評価を受けるのに、じゃあEとかE+はどんだけ酷いんだ? って話になってきます。
実際は三巻の冒頭でサラッと流されているだけなので、須藤が退学寸前だったことしか分かりませんけどね。
そんな疑問があったが故の一刀のやり方であり、今回の有栖の発言ですね。
この時点で原作以上にハッパかけて危機感煽ってますし、そこに有栖の提案が実行されれば、Dクラスの成長速度が原作以上でもおかしくはないと思います。
少なくとも、自分がDクラスの生徒だったなら、成績次第で有栖みたいな美少女の下着がもらえるとなれば普段から必死扱いて勉強するだろうことは間違いありません。
まあ、事前に確約を得ようともするとは思いますが……。
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