しかも、またもや評価理由はないし。
何だろう? 新手の嫌がらせ? 低評価ほど評価理由を求めるのってそんなおかしなことですかね?
何度も言ってるけど、生理的に合わないなら見なきゃいいだけなのに。
低評価だけして筆者の心を折りに来る理由がどこにあるんですかね?
低評価を入れる人は実際に『評価する際のガイドライン』を確認してるんでしょうか?
高評価ならともかく、低評価で理由が書かれないからこそ、書いてる身としては逆に穿った見方をせざるを得ないんですけども。
「わぁ、これまたお盛んなことで……。ねえカズピー、あとで私とも愉しも?
っと、そうじゃなかった。白波さんだっけ? 彼女も落ち着いたから二人もリビングに戻ってきてちょうだい」
真澄の部屋を訪れたのは波瑠加だった。
その言葉を聞くに、どうやら俺たちを迎えに来たらしい。
「望むところだと言わせていただく! まあ、それはそれとして。ありがとう、すぐに行く」
波瑠加に返事をし、軽く消臭した俺たちは、真澄の部屋を出てリビングへと向かった。
「あの、ご迷惑をお掛けしました。神室さんも」
俺たちの姿を目に留めたのだろう。白波さんはそう言ってペコリと頭を下げた。
「私についてはあんまり気にしなくても構わないよ。結局、連れてきただけで他に丸投げしちゃったことに違いはないからね」
「それはそうなのかもしれませんけど、でも、放っておいてくれなかったことを、今は感謝してますから……」
真澄が照れくさそうに言えば、白波さんも言葉を重ねる。
「それで、何があったのかを訊いても構わないのかな? 無論、男の俺に話したくない内容なら、無理には訊かないけど……」
「あ、それは構いません。ただ、私の口から説明すると無駄に長くなっちゃいそうなので、誰か他の方に訊いた方が端的に理解できると思います」
「そうかい?」
白波さんの言葉を受け、俺はリビングを見渡した。
確かに、この場には同居している全員の姿がある。当然、清隆に輝彦の姿もあるので、男相手だからどうこう、というような内容ではないのだろう。
「それじゃ、私から説明するね。
端的に言うと、千尋ちゃんってレズだったみたいなの。ただ、今までは当人にもその自覚は無くて、この学校に入って帆波ちゃんを好きになっちゃったことで、漸く自覚したんだって。
まあ、そうは言ってもマイノリティーなことに違いはないでしょ? その自覚もあるから気持ちを抑え込んでいたわけなんだけど、今回はほら、うちのクラスの池とCクラスの時任くんのトレードが成立したわけじゃない?
学校判断によるクラス移動って言うだけなら、以前にも有栖ちゃんっていう前例があった。だけど、その理由は千尋ちゃんとしても十分に納得できるものだった。
でもほら、今回はその詳細が説明されてないわけでしょ。うちのクラスにだってあの程度だったし、Bクラスに対しては、決定事項の通達、みたいな感じで終わっちゃったみたいなのよ。
結果、確たる理由が分からないからこそ、千尋ちゃんも焦っちゃったみたいでね。気持ちを告げないうちから帆波ちゃんと別クラスに分かれるのを恐れるあまり、告白に踏み切っちゃったそうなの。
その勇気は称賛するけど、結果は玉砕。そういう風には見られない、今後ともいいお友達でいよう、そんなお決まりの言葉でフラれちゃったらしくて。
その場は帆波ちゃんを慮って受け入れたそうなんだけど、やっぱり悲しいことに違いはなくて、そうして落ち込んで泣いているところを真澄ちゃんに見つかって連れてこられたみたい」
桔梗による説明を聞けば、その内容は十分に頷けるものだった。――って言うか、遠因とはいえまた俺が関わってるのかよ!? その事実に、俺は無性に悲しくなった。
いや、果たして遠因なのか? 話を聞くに、池と時任のトレードがなければ、白波さんも告白には踏み切らなかった可能性が……。
そう考えると、むしろ俺が直接の原因ということに……。
やめよう。俺の精神的安寧のためにも、不毛なことを考えるべきじゃない。
「……なるほど。理解も納得もできる話だ。一之瀬さんの行動もおかしくなければ、白波さんの行動もおかしいわけじゃない。――ただ、致命的なまでに二人の優先項目が異なっていただけだ。
それで、白波さんは今後どうするのかな?」
「どう、というのは?」
俺の問いかけに、白波さんは怪訝そうな顔で訊き返す。
「簡単だ。その想いを諦めるのか? ということだよ。
確かに、恋愛ってのは将来的には結ばれて子供を産むことを前提に考えられている。その点で言えば、レズなんてのは非生産の極みであり、マイノリティーであることも否定はできない。一之瀬さんが断ったのも無理はない。
だが、そんなのは所詮一般論だろう? 世の中、レズに需要があるのは確かなんだからな。
だからこそ、本当に互いが互いに本気でぶつかり合ったのなら、もっと深い位置に妥協点を作ることだって不可能じゃない。君が本気なら、もっと強く一之瀬さんに望むことだってできた。一之瀬さんが本気なら、恋愛関係は無理でも、肉体関係を許容することだってできた筈だ。それをしなかった時点で、その場限りの誤魔化しだ。
ここはどこだ? 『高度育成高等学校』だぞ? 次代を担うに足る実力者を輩出するための学校だ。
なら、容易く『一般論』で納得するなよ。一般論を重視するのはいいが、一般論に囚われるな。そんなんじゃあ、他の実力者の餌食になるだけだぞ。
その証明に、俺は一つ、悪魔の取引を君に持ちかけよう。――白波さん、君の処女を俺に差し出し、俺のハーレムに加われ。引き換えに、一之瀬さんも俺のハーレムに加える。その後は、いくらでも一之瀬さんと肉体関係を結べばいい」
まあ、元から一之瀬さんのことは狙っていたんだけどな。……そんな本音を隠しつつ、俺は白波さんへと畳み掛けた。
最初に白波さんへと同意を示すことで、彼女から俺への共感性を得る。
次に、その拠り所を否定をする。理屈がどうあれ、感情がどうあれ、一面の事実であるだけに彼女も否定しきれない。実際、彼女自身がその『拠り所』にそぐわない存在なのだから、否定できる筈もない。
その上で、白波さんと一之瀬さん、双方の『実力不足』、『努力不足』とせせら笑う。この学校が『実力』を評価する学校だからこそ、それもまた否定しきれない。
最後に、トドメとして悪魔の取引を持ちかける。短期間で叩き込まれ、その全てに否定しきれるものがないのだ。である以上、やはり否定しきれる筈がない。否定したところで、所詮は反射的なもの。心の奥底では、自分へのメリットを探してしまう。それが人間という生き物だ。
如何せんBクラスとの接点が少なかったから行動に移すのも難しかったが、その『接点』が向こうからやって来たんだ。この機会を逃す道理はない。セットで白波さんみたいな美少女も付いてくるなら尚更だ。
「な!? し、処女とかハーレムとか、いったい何を言いだすんですか!? 確かに北郷くんの『女好き』は噂で知ってましたけど、冗談にもほどが!」
「冗談なんかじゃないさ。俺は本気だ。本気で一之瀬さんをハーレムに加えたいと思ってるし、君も加えたいと思っている」
「ッ……!? 北郷くんは異常です!」
「異常か……。確かにそうかもしれないな。少なくとも、世間一般の『常識』に当て嵌めるなら、俺は異常なんだろう。――で、それが?」
「な!?」
一度は激昂した白波さんだったが、続く俺の言葉を聞いて息を呑んだ。
それでもどうにか言葉を捻り出したが、俺が真っ向から、自分は異常です、なんて認めるとは思っていなかったのか、白波さんは再度絶句した。
「そもそも、『常識』なんてのは、より広範、より万人に向けたものだぞ。個のそれを追求するなら、どこかで噛み合わない部分が出て来ることなんて道理だろうに。その結果が、今の雁字搦めな世の中だろう?
その時々に合わせてニーズも変わるんだ。法をそう簡単に変えていいとは俺も思わないが、必要とあれば変えることを躊躇ってはいけないだろう。時代にそぐわない内容であれば、時には削除する必要だってあるだろうさ。……柔軟な世の中ってのはそういうものだろう?
だってのに、先人の意思を尊重か何か知らないが、追加、追加、追加のオンパレード。ある意味で息苦しくなるのも当然だな。
だからこそ日本政府は、そんな世の中をどうにかするために、どうにかできる人材を育成するために、この学校を作った筈だ。――なら、そこの生徒が異常であることを恐れるなよ。
第一、馬鹿と天才は人として見るなら同じだが、常人にとっては、理解しきれない、という点でどちらも等しく異常なんだぞ。そこらについてはどう考えてるんだ?」
そんな彼女に、俺は再度畳み掛けた。
俺の言葉の、全てが正しいとは思わないし思えない。それでも、否定しきれない面があるのは事実だ。
「一刀、いい加減に抑えろ。いったい何人にまで増やす気だ。――そもそも、一之瀬は俺も狙ってたんだ。彼女は俺のハーレムに加える」
そこに、清隆が横から口を挿んできた。ばかりか強い視線まで飛ばしてくる。
白波さんは、一瞬だけ救いの主を見るような視線を清隆に寄越したが、続く言葉を聞いてそれは瞬く間に霧散した。
「それはできない相談だな、清隆」
俺もまた、真っ向から視線を返す。
俺と清隆の間で、バチバチと火花が散った――気がした。
それを目の当たりにして、白波さんの困惑は一層強まったらしかった。
「結局のところ、千尋ちゃんがどこまで本気で、どれだけの覚悟があるか? ってことだよね。
一般論を言い訳にして、落ち込んで、涙を流して、それで諦められる程度の想いなら、悪いことは言わないから帆波ちゃんのことは諦めた方が良い。
たとえ言ってることがどれだけ不快で、馬鹿っぽくて、信じ難いことでも、この二人はこれで学年――というよりは学校きっての実力者だから。
この二人が本気で望んで臨む以上、間違いなく帆波ちゃんはハーレム要員に加わることになる。それは断言してもいい。――もっとも、どちらのハーレムメンバーになるかまでは断言できないけどね」
火花を散らす俺たちを余所に、桔梗が白波さんに補足を入れた。……それは白波さんに現実を教えるためであり、現実を受け入れないのを諦めさせるためであり、その上で彼女を奮起させるためだろう。
「……何で、そう断言できるんですか?」
「他ならぬ私たちがそうだからだよ。相手が違ったり、路線が違ったり、それぞれで微妙な違いはあるけどね。ちなみに、断然多いのは一刀くんのハーレムメンバーで、私もその一人」
苦しげに問う白波さんに、桔梗は笑顔で答えた。
「もっと詳しく言えば、心さんは輝彦くんの専任――純粋な恋人同士ですね。
愛里さんは清隆くんのハーレムメンバーです。正確に言うと、純粋な意味での清隆くんのハーレムメンバーは、この場には彼女だけです。
私と千秋さんは二人のハーレムメンバーであり、それと同時に逆ハーレム派です。
つまり、それ以外は全員が一刀くんのハーレムメンバーということです。もちろん、あなたをここに連れてきた真澄さんも例外ではありません。
見て分かる通り、メンバーの人数では清隆くんが明らかに劣勢です。だからこそ、負けじと本気を出すでしょう。
その一方で、一刀くんの手腕は自クラス以外にも伸びています。彼の『女好き』はあなたも知っているでしょう? 一之瀬さんにその手が伸びるのもそう遠いことではないと思いますよ?
言うまでもないでしょうが、基本的に私たちは全員が初体験――セックスを済ませています。例外は、それこそ輝彦くんと心さんだけですね」
更には、有栖までもが笑顔で補足を入れた。
「遅かれ早かれ、帆波ちゃんはどちらかの魔の手に堕ちる。その結果は変わらないってことですか?」
「はい」
笑顔で有栖に断言され、白波さんは俯いた。……が、どうやら落ち込んでいるわけではないらしい。思考を整理しているのか、ブツブツと呟く声が聞こえてくる。おそらくは状況打開を狙ってのことだろう。
その行動は正しい。諦めたらそこで終わりだ。そして、諦めさえしなければ、結末を変えることはできずとも過程を変えることは不可能ではない。
「条件を変えてくれるなら、取引を飲みます。それだけじゃなく、帆波ちゃんを差し出すのに私も協力します」
やがて、顔を上げた白波さんは毅然として条件の変更を求めてきた。……瞬間に理解した。化けた! と。
「へえ、面白いな。この状況で、逆に取引を持ちかけるのか……。いいよ。話を聞こう。――清隆、一時停戦だ。ここは先に白波さんの話を聞く」
「……いいだろう」
現状は明らかに白波さんが不利だ。だからこそ、そんな彼女がどんな手を捻り出したのか、素直に興味がある。
「まず第一に、私が協力するに当たって、お二人が実際に多数とセックスしている場面を見学させてください。
皆さんはお二人のハーレムメンバーであり、セックスも経験済みだと言いますが、それは言葉でしかありません。言葉だけで堕とせると信じられるほど、差し出そうと思えるほど、帆波ちゃんという存在は軽くありません。
だから、私の助力を得たいなら、私もハーレムに加えたいのなら、その証拠を見せてください」
「クックックッ、ハッハッハッ……! 面白い! 実に面白い! まさか、自分の値を吊り上げてきたか! 恐れ入ったよ! その可能性を考えてはいたけど、実際に選ぶとは思わなかった!」
白波さんの言葉を聞いて、俺は思わず笑ってしまった。実際に愉快なんだから仕方がない。
確かに白波さんの言う通りで、俺たちが提示したのは言葉でしかない。白波さんにとって一之瀬さんという存在が重ければ重いほど、そう簡単に鵜呑みにできるわけがない。だがその一方で、最悪を考えれば頭から切り捨てるのは愚の骨頂だ。
その故の妥協点が、実際にヤってるシーンの見学だ。それ次第で俺たちの言葉の説得力が上がりもすれば下がりもする。実際、ハーレムなんてのは『言うは易く、行うは難し』の典型だ。そう簡単に信じられないのも無理はない。
だが、それが実際に可能であるのなら、自然と白波さんの取るべき道は限られる。彼女にとって最悪なのは、俺でも清隆でも、どちらであろうと一之瀬さんがその手に堕ち、自分は何ら恩恵を得られないことだ。端から見ているだけなんて、それこそ我慢ができないだろう。
だから、自分の手で一之瀬さんを差し出す。そうすることで、自分の価値を吊り上げる。俺たちの手に一之瀬さんが堕ちたあとも、自分が一之瀬さんに関わるための大義名分を手に入れる。
どの道、一之瀬さんが俺たちの手に堕ちるなら、自然とその価値観だって変動する。一之瀬さん自身が、白波さんの手で俺たちに差し出されたことを、悲しみ、嘆き、憎む以上に、差し出されたことを喜ぶようになれば、結果的には問題などないのだから。
「では、公平に三対三でいかがでしょう? 自然、私と千秋さんは清隆くんの方に付くことになりますね」
それを受け、有栖が提案をしてきた。まあ、条件に『多数とのセックス』を持ち出されてしまったのだから、この面子的にそうするより他にないだろう。
「必然的に、清隆の方は愛里、千秋、有栖か。……さて、こちらはどうするか?」
などと言いつつも、人選は限られている。とどのつまり、白波さんを引き入れられなければ敗北なのだから。そうなると、自然とアブノーマル組は除外せざるを得ないのだ。……恵をこの面子に組み入れるのは心苦しいものがあるが、被弾著しいこともあって、端から見れば立派にアブノーマル組の一員である。
そうなると、候補は桔梗、美雨、波瑠加、鈴音しかいないのが実情だ。
そして、相手に愛里がいる以上、波瑠加は確定である。インパクトで負けていては、勝負以前の問題だ。現状、愛里の巨乳に対抗できるのは波瑠加しかいないのだ。……まあ、さきほど誘われたことも一因ではあるが。
こうなると、残りがこの面子な時点で、選ぶのは桔梗と鈴音しかあり得ない。何故なら、白波さんがレズビアンだからだ。そんな彼女にアピールするには、レズ行為ほど打ってつけなものはない。
別に桔梗と鈴音はレズというわけではないのだが、この二人は負けず嫌いが上手い具合に噛み合って息が合うのだ。自分が勝つためなら、俺を昂らせるためなら、相手と絡み合うことだって戦術に取り入れる柔軟さを持っている。
「こちらは桔梗、波瑠加、鈴音を選出する」
これにて人選が決まり、白波さんが自室から水着と泊り道具を持ってきたら決行と相成ったのであった。
そんなわけで、未だ拙いながらも千尋が化けました。
彼女が優先するのは、あくまでも帆波と自分です。どちらを優先するのかは状況によって異なります。
それに伴い、必然的にクラスは二の次となりました。
同性に告白するのって、よっぽどじゃないとできないと思うんですよ。
そんなわけで、彼女はレズビアンになりました。原作描写的にも違和感はないと思います。
原作では手紙を出しての告白ですが、本作ではトレードが実行されたことからくる『焦り』が、告白に踏み切った最大の理由となってます。当然、悠長に手紙なんか出してません。
そのため、帆波の返答も考えた末のものではなく、紛うことなき本音の部分が大きいです。
たとえ原作と同じような断り文句であっても、ワンステップを挿んでいないだけ、両者の受けたダメージはより大きなものとなってます。
何せ、原作に比べると、自分を誤魔化せる要素がその分だけ減っているわけですから。
そして、それこそが千尋の化けた要因に繋がっています。
一刀としては、千尋が元々の提案を受けても別に構いませんでしたが、この展開も歓迎しています。
感想・評価お願いします。