※この作品はR-18です。

東京都高度育成高等学校・北郷伝   作:山上真

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帆波の妹の名前が調べても分からなかったので、本作では麻波と設定しています。
こちらの見逃しだったり、後から判明したとしても、名前変更の予定はありません。
その点をご了承お願いします。


北郷伝:45

「私の負けです。約束通り、北郷くんのハーレムに加わりますし、帆波ちゃんを堕とすのにも協力します。その代わり、私にもキチンと帆波ちゃんと愉しませてくださいね? ――あと、できれば他のハーレムメンバーとも。

 もちろん、私も北郷くん――いえ、一刀くんを愉しませられるように精一杯努力しますので」

 

 行為が終わりを迎え、一同が揃ってリビングに戻ってきたあと、白波さんがそんなことを言ってきた。

 まあ、途中から分かり切っていた結果ではあったが、実際に言葉に出されると実感が増すというものだ。

 いい加減にお腹が空いたこともあり、それでいて体力の消耗が激しいこともあり、見学組の作ったパンやおにぎりなど手軽に摘まめる物を食べながらのことである。

 

「ありがとう、白波さん――いや、千尋。素直に嬉しいよ。とはいえ、肝心の方策はこれから決めなきゃいけないんだけど……」

 

 実際、その通りである。そして、そんなものはポンポンと決まるものではない。少なくとも、ある程度の情報は必須となる。

 

「それに関してなんですが、私、明日学校を休もうと思います。引いては、そちらからも誰か……そうですね、桔梗ちゃん辺りにも休んでもらえればと思うんですが?」

 

 だが、どうやら千尋には何かしらの案があるようだった。

 

「ほう? その心は?」

「桔梗ちゃん辺りは知ってると思うんですが、帆波ちゃんって優しいんですよ。それでいて責任感も強いんです。率先して動く行動力もあります。中学時には生徒会長だったらしいので、それが一因だとも思うんですが……。

 ともあれ。この状況で私が学校を休めば、タイミング的に帆波ちゃんが想像することは一つです」

「……なるほど。自分が千尋さんをフッたことが原因だと判断する可能性は高いですね。同タイミングで桔梗さんも休めば、私たちの誘いに乗る可能性も高そうです。いえ、千尋さんの言葉が真実ならば間違いなく乗るでしょう」

「誘い込みは問題なさそうだな」

 

 そうなると、次に考えるべきは実際の堕とし方である。

 セックスをすれば間違いなく堕とせる。その自信はある。だが、基本的に無理矢理というのは、燃えるものがあるのは事実だが、あまり好きなやり方じゃない。過程がどうあれ、彼女が同意した上で事に当たりたいのが本音だ。

 そうは思っても、やはり肝心の情報が足りない。

 

「千尋、もしよければ一之瀬さんのことについてもっと詳しく教えてくれないか? Bクラスの方策などが関わってくる部分については、無理にとは言わないが……」

「いえ、構いませんよ。ある意味で、帆波ちゃんに対する裏切りを決めてしまったからですかね? それらを語ることに特に忌避感もないんです」

 

 そうして、千尋は一之瀬さんとBクラスについて実に色々なことを語ってくれた。

 自主的な『委員長制度』の導入。毎月、一定のPPをクラスメイトから集めて管理していることなど。

 一之瀬さんについては千尋の主観になるが、やはり気になるのは過剰なまでの人の好さだ。生来の善人というのはいるものだが、それを差し引いても些か行き過ぎな気がしてならない。或いは、一之瀬さんもまた何かしらの問題を抱えているのかもしれない。

 

「あと、帆波ちゃんは母子家庭だそうです。お母さんと妹との三人暮らしなんだとか……」

「そうなのか?」

「はい。以前、家族の話題になった時に言ってました。お母さんと妹には迷惑をかけちゃったから、だから色々なものが免除となり卒業特典が魅力だったこの学校に来たんだって……」

「迷惑をかけちゃった……か。何か気になるな。母子家庭であることを鑑みれば、おかしくはないのかもしれないが……」

 

 そこで、何かが引っ掛かった。一之瀬……一之瀬……一之瀬……。

 

「一之瀬……麻波(まなみ)か! ……覚えてないか、恵? 俺たちの入院していた病院に、たびたび母親の見舞いに来ていた子がいただろう?」

「……あーっ! いたいた! 確かにいた! 言われて初めて思い出したよ。よく覚えてたね?」 

「彼女とは何度か話す機会があったんだが、確か母子家庭だと言っていたからな。それが印象に残っていたのかもしれない。……あとは、将来有望な美少女だったからな」

「だと思ったわよ。ま、そういうことなら納得ね」

「そんで、実際に会ったことはないが、その子には姉がいるって話だった。彼女の二つ年上――つまりは俺たちと同い年で、学校では生徒会長を務めている姉が」

 

 俺の言葉に、全員が息を呑んだ。

 

「それって……」

「奇妙な一致だとは思わないか? 

 五十音において、『ほ』の次は『ま』だ。これだけでも繋がりを感じさせるが、使われている漢字にも繋がりがある。帆布の材料には麻があるからな。

 名前だけじゃなく、母子家庭や姉が生徒会長という点でも共通している。

 一つか二つなら偶然で済むかもしれないが、ここまで揃うと、もはや間違いないだろう。俺と恵が入院時に会った女の子――一之瀬麻波は一之瀬さんの妹だ」

「けど、それにどんな意味があるんですか? 妹さんの名前が分かったり、その妹さんと一刀くんが逢っていたところで、この場では役に立たないと思うんですけど……」

 

 千尋の言は尤もだ。今語ったことだけなら、然程意味はない。だが、これから語ることを含めればガラリと変わる。

 

「そうでもない。ある日、麻波が偉く上機嫌な日があってな。理由を聞いてみたら、ヘアクリップを見せてくれたんだ。

 大好きな芸能人が身につけてるのと同じ物らしくてな。普通に買えば一万円以上はするらしいが、お母さんの入院で諦めていたそれを、お姉ちゃんがくれたそうだ。

 妙な話だと思わないか? 母子家庭で、普通に考えればただでさえ余裕がない状態での、唯一の働き手である母親の入院だ。……そんな状況で、一之瀬さんはどうやってそれを手に入れた?

 もちろん、これは穿った見方だ。普段からお小遣いやお年玉を貯めてたとか、可能性はゼロじゃない。だから、俺も敢えて指摘はしなかった。

 だが、もしそれが正規の方法で手に入れた物じゃなかったとしたら? 果たして、一之瀬さんは罪の意識に苛まれずにいられるだろうか? 彼女の行き過ぎた善性は、それに起因するものだと考えるのはおかしなことだろうか?」

 

 俺の言葉に、再び全員が沈黙せざるを得なかった。

 

「非正規の方法とは言っても、色々と可能性はありますけどね。一番分かりやすいのは万引きになるでしょうが、それ以外にもアルバイトや援助交際なども当て嵌まるでしょう。

 アルバイトはある意味では健全と言えますが、当時は中学生であったことを考えますと、年齢を誤魔化したり学校に黙っていたりといった可能性は否定できないでしょう」

 

 まあどれであれ、なかなか一之瀬さんと結び付かないのは確かだ。

 そこで、甲高い音を立てて俺の携帯が鳴った。

 

「学校からのお知らせ? この時間に?」

 

 その音を聞いた鈴音が怪訝そうに呟いた。

 確かに妙だ。何やかんやとやっていたため、既に21時は回っている。普通に考えて、正規の連絡を行うにしては非常識な時間帯と言えるだろう。

 しかも、俺の携帯しか鳴っていない。すなわち、俺個人へ向けたものということだ。学校から一個人へ送る『正規の連絡』とは何ぞや? となるのは仕方がない。

 

「まあ、創部に関する内容だとすれば、対象がカズピーだけなのも、正規の連絡であることにも、納得はいくのだけど……」

 

 それでも、時間的な疑問は残る。

 

「……知恵からだ。件名は『取り急ぎの部活勧誘対象について』……か」

 

 おそらく、改めてデータを洗った結果、ケアが必要だと思われた人物がいたんだろうな。

 

「対象は……おいおい、どんな偶然だよ。知恵のやつ、まさか狙ってやってるんじゃないだろうな?」

 

 送られてきたメールを見て、俺は思わず呟いてしまった。

 そこに載っていたのが一之瀬さんと千尋なのだから、無理もないというものだろう。

 

「知恵って、まさか星之宮先生!? 私たちの担任の!?」

 

 学校からの『正規連絡』と『知恵』という名前を結び付ければ、自分の担任するのも無理はないと言えるだろう。俺の呟きを聞いた千尋が、勢いよく問いかけてきた。

 

「ああ、そうだ。彼女も俺のハーレムの一員だ。――千尋は、俺の創部の件についてはどこまで聞いている?」

「えっと、一刀くんが新しく部活を創設するってことは……。『実力向上探究部』……だっけ? 元々は違う名前で、活動内容ももっと違うもので要望を出していたけど、ストーカー問題の件で立ち消えになってる状態だったって……。

 ただ、理事長を始めとする先生方が、そのまま捨て置くには惜しい、って判断したとかで、元々の活動内容の一部をクローズアップして創部を促したって聞いてる。

 言ってみれば、『理事長肝いり』の部活。それに伴い、入部希望者がいたとしても、基本的に審査は厳しくなるって話だった。

 ただ、初期部員としてならば一刀くんの意向も強く反映されるから、興味があるようなら話を訊きに行くようにって。

 あとは、正式活動後の審査が厳しくなるのは本当だけど、目星のある生徒には学校側から入部を促すこともあるって言ってたかな?」

 

 顎に指を当てて千尋が語った内容は、概ね正しいものだった。表沙汰にできない部分をぼかして説明しようとすれば、そのような内容になるだろう。

 

「そうだな。その内容で概ね正しい。より正確に言うならば、今回の創部には理事長だけでなく、この学校の大元――日本政府の意向も強く反映されている」

 

 既に有栖は確認しているが、良い機会なので、俺は創部届と一緒に渡された『理事長からのメッセージ』をこの場の全員に見せた。ここまで来たら、この場にいる面子は一蓮托生である。今後とも協力を願うとするなら、見せない理由はない。

 

「マジか……。マジか……」

 

 俺たちの中において、未だに一般人目線が強い輝彦は頭を抱えていたが……。

 

「なるほど。成守も大それた手を打ったものだ。だが、確かに効果的で効率的ではある。部長として一刀に白羽の矢が立ったのは、能力やら後ろ盾やら、それら諸々を総合的に判断しての結果だろうな」

「あの、すみません。能力は分かりますけど、後ろ盾っていうのは? 一刀くんって名家の生まれか何かですか?」

「いや、俺は何の変哲もない一般家庭の生まれだよ。ちょっと特殊なところがあるとすれば、実家が剣道場を構えてるってことくらいだな。

 だが、『家』じゃなくて『俺個人』ってことになると話は変わってくる。……ここからはだいぶオカルト寄りの話になるから、信じる信じないの判断は受け取り手に任せる」

 

 俺は千尋の疑問に答えると同時、これから語ることへの前置きを入れた。予め前置きを入れておかないと、俺は単なる『頭のイタい奴』である。

 

「こう言ったらアレですけど、なんか昨今のラノベでよくあるような内容ですね。言ってみれば、今の一刀くんは物語の第二部と言うか続編と言うか、異世界から帰還後の現代生活編を過ごしているわけですか……」

 

 長い話を聞いた後の、千尋の感想がこれであった。

 身も蓋もない言い方ではあるが、千尋の感想には俺も同意せざるを得ない。むしろ、この学校の特殊性からしても、逆にシックリくる言い方である。

 

「そして、うちのクラスの桃香ちゃんを始めとした方々は、まあ厳密にはこれで正しいのか分かりませんけど、一刀くんを追って異世界から渡ってきた人たちであり、その人たちによって作られたのが『三國コーポレーション』であり、将来的に一刀くんはそこのトップに就くことが内定している……と」

「それが本当なのであれば、確かに後ろ盾としては問題が無いわよね。後ろ盾ってだけなら、うちのクラスの高円寺くんだって当て嵌まるでしょうけど、彼に協力を願えるか? って言われたらね……。やり方次第では協力してくれるでしょうけど、カズピー以上に高くつく可能性は大きいわ。

 その点、カズピーの場合は、言ってしまえば、女の子を差し出すだけで協力してくれるんだもの。高円寺くんの助力を期待するよりは、遥かに現実的で効率的でしょう。

 しかも、その全員でないにしろ、『ケアが必要な女子』という言い訳も用意できる。良くも悪くもカズピーの『女好き』は有名だからね。外見良し、学力良し、身体能力良し、オマケに将来的には三國のトップが内定しているときたら、普通に考えて、これほどの男子に言い寄られれば、これまでと比べて劇的な復調を見せた女子がいたとしても、周囲は色恋に絡めて勝手に理解や納得を示してくれるわ」

「付け加えると、オレが一刀に協力的な姿勢を取っているのも、将来的には三國の庇護を期待しているからだ。……オレは政府の手が掛かった、この学校以上に非人道的な施設の出だからな。しかも、カリキュラムの途中で脱走してきた身でもある。そんなのを相手にしては、如何にオレの能力が高かろうと個人ではどうしようもない。

 成守はそんな事情を承知の上でオレをこの学校に受け入れたわけだが、だからこそ、施設に関わる奴らから狙われていることは容易に想像がつく。流石に生命を奪われる事態にまではいかないだろうが、不祥事のでっち上げなんかは普通にありそうだ。

 そして成守自身、それは承知の上であり、防ぎきれるとも思っていないんだろう。だが、諦めてもいない。それ故に、自分が自由に動けるうちに精力的に動いているわけだ。少しでも良い着地点になることを狙ってな」

 

 そう。この学校が清隆を受け入れた時点で、外部から横やりが入る可能性は高まったのだ。件の施設側の立場になってみれば、清隆を取り戻そうと考えても無理はない。

 だがその一方で、その横やりを良く思わない勢力だって存在する。その代表格が三國だろう。

 現在のこの学校には、俺を始め三國の関係者が少なからず在籍している。仮に退学になっても、それが正規の試験の結果であれば受け入れるだろう。しかし、これ見よがしなまでに外部の手が入ったのなら、それは果たして『正規の試験』と言えるのか? その危惧があるうちは、三國も理事長への協力態勢を取る筈だ。 

 肝心要の生徒である俺たちを余所に、この学校を取り巻く状況はだいぶ混迷化していると考えるべきだ。

 

「話を戻そう。……俺の創部にはそれぞれの思惑が絡んでいる。そして、顧問である理事長の目的は、問題を抱えた生徒のケアが第一だ。当然、副顧問となった知恵もそのことは承知している。

 特に、今年の一年生には問題を抱えた生徒が多くてな。恵に麻耶に真澄……重度の対象に限れば人数的には僅かに三人だが、一学期のうちにこれだけ発覚していることは捨て置けない。結果的には事前審査の目を潜り抜けているとなれば尚更だ。

 そんなわけで、知恵たちは新入生の最チェックを掛けている最中でな。自クラスということもあってか、真っ先に引っ掛かった生徒を俺に教えてきたわけだ。そしてその対象が、一之瀬さんと、千尋――君だ」

「私が!?」

「ああ。君の一之瀬さんに対する態度が怪しいことには知恵も気付いていたみたいだ。そこに加え、君をフッたあと、どうやら一之瀬さんは自責の念に駆られて知恵に相談に行ったみたいでな。それによって、知恵は告白の事実を知ったらしい。

 女子が女子に告白するなんてのは、並大抵のことじゃない。どう考えたって、君をレズビアンと結び付けざるを得なかったようだ。

 同性愛者に寛容的になってきているとはいえ、未だ厳しいのが現実だからな。だからこそ、君を部活に所属させることで、せめてバイセクシャルになれば、と考えたみたいだな」

「ああ、バイセクシャル……。そう言われると、納得はできますね。一刀くんと親密な様子を見せておけば、帆波ちゃんと親密な様子を見せても、無駄に勘繰られることはないってことですか……」

 

 俺の話を聞いた千尋は納得したように頷いた。

 

「そして件の一之瀬さんだが、中学三年時に約半年間、理由は定かじゃないが不登校を続けていたらしい。Aクラス相当の能力がある彼女がBクラスに配属されたのはこれが理由とされているが――俺に言わせれば随分と甘い裁定だ。

 だってそうだろう? 彼女は一般生徒じゃない。生徒会長だったんだからな。その時点で、彼女に掛かる責任は一般生徒の比じゃない。行事から何から運営責任を放棄しておいて、Bクラス? 普通に考えてあり得ないだろう。

 結果的に学級崩壊を齎した桔梗がDクラスなのは納得だが、イジメを止めさせるために暴力で学校を支配した平田もDクラス。人付き合いを度外視した鈴音もDクラス。如何に頭が良かろうと、杖を使わずに歩けるようになった時点で有栖もDクラス。悲惨なイジメによって一度は廃人状態になった恵だってDクラス。俺だって、おそらくは不可抗力な長期入院から始まる一件やその原因を特定しきれないからってことでDクラスだ。

 これらと比較して、どうだ? 一之瀬さんがBクラスなのは、逆におかしいと思わないか?

 一般生徒の不登校なら、俺だってギリギリ理解は示したさ。だが、『生徒会長』の肩書がついた時点で、途端にそれは引っ繰り返る。

 何かしら情状酌量の余地があるのだとしても、流石に大きすぎるだろう。それが罷り通るなら、桔梗や平田がBクラスだっておかしくはない。二人にも情状酌量の余地はあるんだからな」

 

 俺の言葉に、全員が黙り込む。それは、否定しきれないが故の静寂だった。こればかりは、千尋も返す言葉がないようである。

 

「問題視されなければ問題にならないとは言っても、生徒会長にあるまじき責任能力の欠如は明らかだ。中学校側がこれを問題視しなかったからと言って、こちらまで問題視しないのは逆に問題だろう。特に『実力至上主義』を掲げる学校としてはな。……そして、そう思ったのは知恵も同じようだ。

 人事考課に担任は関わらず、入学を果たした後に中学時の出来事を持ち出すのも問題ありではあるが、個人のクラス移動がシステムとして認められているのは事実であり、未だ一学期であるのも事実。そういった諸々を踏まえた結果、この段階で気付いて無視することこそを問題だと判断したらしい。

 能力はともかく、約半年間に及ぶ不登校の時点で初期にBクラスとして配属されるに相応しいかも疑問視せざるを得ないのに、そこに『生徒会長』の肩書が付随するなら言語道断と言わざるを得ない。

 大いに責任能力の欠如した行為をしておいて、本人は高校でも生徒会への入会を希望しているようだから尚更だ。ある意味においては『反省していない』と捉えざるを得ない。

 よって、Bクラスへの配属は間違いだったと認め、Dクラスへの配属し直しを理事長に提言するとある。

 提言が認められるにしろ認められないにしろ、一之瀬さんが傷つくだろうことは間違いないので、俺に癒してほしいそうだ」

 

 知恵から送られてきたメッセージを見た俺は、その内容をみんなに伝えたのであった。  




実は本人も意図せぬところで帆波との接点があった一刀と恵です。
名字の一致には気付いても、それだけで断定はできませんからね。もっと裏付けとなる情報がなければ埋没するのも無理はありません。

何事も目論見通りに運ぶとは限らず、状況が二転三転することも珍しくはありません。
一刀の予期せぬところで知恵が動いていたとしても、一刀にそれを知る術はありません。
事後報告で知らされ、色々と前提が崩れてもおかしくはないのです。

再び、原作を読んでの疑問点と、それに対する自分なりの解釈と本作なりの解決策を投入しました。
たとえ万引きが罪として確立されていなくとも、それと『半年間に亘る生徒会長の不登校』は話が別だろう……と。
そりゃあ、中学校側には万引きの連絡がいったでしょうし、それ故の情状酌量を認めたのかもしれませんが、それはあくまでも中学校と被害に遭ったお店の間でのことです。
万引きが表沙汰になってない以上は、高度育成高等学校がそんな事情を知る由はないんですから、もっと『半年間に亘る生徒会長の不登校』を重く捉えるべきだと判断しました。
本文内でも描写した通り、一般生徒と生徒会長とでは責任の重さも違ってくるんですから。
これで帆波がBクラスというのは、『実力至上主義』を掲げる学校の判断としてはお粗末と言わざるを得ません。
まあ人間のすることですから、処理する際に『生徒会長』の項目が目に入らなかったとか、そんな事情があるのだと思われます。
帆波の能力を鑑みた場合、一般生徒の不登校であればBクラスでもおかしくないかな? と思える部分はありますので。

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