※この作品はR-18です。

東京都高度育成高等学校・北郷伝   作:山上真

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おかしくないですか? なんか加速度的に☆1評価が増えていってるんですけど……。
何度も言ってますが、低評価入れるなら理由を書いてほしいものです。
あらすじに注意事項も載せてますし、タグも付いてるんですから、その点については了承している筈でしょうに。

ついでに言えば、『先が楽しみだ』的な意味で高評価をくれる分にはありがたい限りですが、『文体が合わない』的な意味で低評価を付けられてもどうしようもありません。
そんなん、変えようと思って変えられるもんじゃありませんし。
何度も言ってますが、『誤字脱字が酷い』だとかの、投稿者のちょっとした努力で即座に対応できるのにしてないとかならともかく、低評価の理由が多分に感覚的なものならば、わざわざ低評価を入れずにブラウザバックしてください。

ここが投稿サイトであるからには、評価ってのは投稿者への『応援』で然るべきでしょう。
だから、高評価は『期待の表れ』でも構わないわけです。文字通りに『応援してるよ』ってことですから、必ずしもコメントは必要ありません。もちろん、あれば嬉しいですけどね。
反面、低評価は『厳しい意見』です。だってのに、低評価だけして肝心の意見を言わず、お気に入りも登録しないから応援しているわけでもない。
だったら、最初からそんな作品は評価しないでください。具体的な内容が分からないと直しようもありません。こっちがダメージ食らうだけです。

んでもって、新話を投稿する度に1人~2人くらいにお気に入りを外されることがしょっちゅうですが、ならこれも最初からお気に入り登録しないでください。
本作は初投稿日が2025/06/06ですよ? 基本的には連日投稿で、現時点でまだ二ヶ月経っていないんです。
にも拘らず、登校する度にお気に入りを外されるってのは、ほぼ毎日誰かしらが外してるってことです。
二か月足らずで外すような『お気に入り』ってなんですか? そんな頻繁に外すんなら、そもそも『お気に入り』とは言わないでしょう。
やはりこれも、こっちがダメージを食らうだけです。

確かに感想と評価を求めているのはこっちですが、それは投稿する上でモチベーションの維持に繋げたいからです。
こっちはプロでもない素人なんですから、気分よく書きたいって思うのは当然のことだと思います。
評価・感想・メッセージボックスはそのためのツールの筈です。
読者として『読みたくない』、『目にも入れたくない』って言うのなら、こっちとしては悲しいですがブロックすればいいだけなんですから。
本作に限らず、特に低評価を入れたり頻繁にお気に入りを外す方は、もう少し筆者の気持ちを汲んでください。


北郷伝:48

「ようこそ、我が『実力向上探究部』へ。この家が俺たちの部室となる」

 

 土曜日。

 俺は初期部員を連れて部室となる家へやって来ていた。まあ、届け出用紙をまだ提出していないので、実際には部員じゃないわけだが。ただ、部員となることが確定している面子なのは事実である。

 

「ヒュウ♪ 学校からちぃとばかし距離があるのが難点だが、悪くねえじゃねえか」

 

 家の立地や外観を見て、口笛を吹いてからそう言ったのは龍園である。正直、コイツが入部を申し出てきたのは意外だった。

 

「しかし、意外だな龍園。お前は部活なんてタイプじゃなかったと思うが?」

 

 そう思ったのは神崎も同じだったようだ。怪訝そうな眼差しを龍園に向けている。

 

「だろうな。俺もそう思ってるよ。だが、それが軍師殿たちの指示でもある。アイツ等が俺たちのクラスが勝つために必要だと判断し、その理由に俺も同意できたなら、王であろうと従わねえ道理はねえよ。暴君ってのは、結果を出せているから下がついてくるもんだしな。

 ついでに言やあ、俺の勘もこいつを見逃すのは旨くねえってビンビンに叫んでやがるからな」

 

 ニヤついた笑みを浮かべ、龍園は神崎に答えた。この、一般的な『暴君』とは一風かけ離れた行動スタイルが、龍園の怖ろしいところでもある。

 

「しかし、偏り激しくねえか? Aクラスからの参加者は神室と……もう一人は誰だか分からねえが、どっちにしろ坂柳の駒だろ? んで、Bクラスからは神崎と白波。お前らは一之瀬のシンパ。Cクラスからは俺で、Dクラスからは北郷のグループ。……俺がいなきゃ、共同戦線張られてもうちのクラスは気付けなかったじゃねえかよ、おい」

 

 改めてこの場の面子を見廻した龍園は、その事実に深々と溜息を吐いていた。

 龍園の言った通り、初期の面子はこんなものだ。蓮華や桃香、桂花たちは参加しなかった。……誘ったのだが断られたのである。

 蓮華としては当面部活動に入る気はなく、どうしても入るというのなら生徒会の方にするらしい。今更改めてグレーを学ぶ必要はない、と言われてしまえば、俺としても頷かざるを得なかった。

 桃香たちは帆波の抜けた穴を埋めるので現状は手一杯らしい。神崎と千尋が入部を決めたこともあり、繋ぎを取るならそれで十分と判断したようだ。

 桂花たちが参加しなかったのは、蓮華と似たり寄ったりな理由だろう。ヤリ部屋もあるし、部活でまで顔を合わせる必要はないという判断だ。そも、彼女たちの強みは策であるからして、読まれないことを第一に置いたのだと思われる。顔を合わせれば、自然とバレる確率も上がるからな。

 そんなわけで、あまり普段と変わり映えのしない面子である。まあ、創設されたばかりで実績も何もないことを鑑みれば、自然と初期部員が限定的になるのは否めない。いかに『理事長肝いり』と言ったところで、それだけで足を踏み入れるのには覚悟がいるだろう。

 

「はいはーい。おしゃべりはそこまでね? まだ正式に届け出用紙が提出されたわけじゃないから、鍵も私と理事長が持っている分しかないんだから。遅れたら入れなくなるわよ?」

 

 急遽引率として俺に呼び出された知恵が脅しをかける。実際にそうなってしまったら、この炎天下の日差しの下でそれはキツイ。揃って黙り込み、知恵の先導で家へと入る。

 家の中は外より涼しかった。それでも暑いは暑いのだが、大分マシであることは間違いない。

 

「部室として提供されることが確定してからは、基本的に一定温度を保つように自動設定されてるから。それとは別にエアコンもあるから、必要に応じてそっちで温度調節してね」

 

 言って、知恵は壁際に固定されているエアコンのリモコンを動かした。……なお、エアコンとリモコンは部屋ごとに設置されている。

 

「それじゃあ一刀くん。改めて創部届の提出をお願い」

 

 知恵に促され、俺はバッグから用紙を取り出した。既に全員からサインはもらってある。

 

「……はい、確かに確認しました。これにて、今この瞬間から皆さんは『実力向上探究部』の部員として認められました。

 厳密に言うと、美術部に入っていた神室さんと白波さんは、そちらの退部届が提出こそされているもののまだ処理されていないため、そっちの処理が終わってからになるんだけど、まあ誤差みたいなものよね。

 それじゃあこの家の鍵を渡すから、一人ずつ受け取ってね。紛失した場合はPPでの再発行になるから、その点は注意するように」

 

 端末で写真を撮って、それをちょいと操作すれば、それだけで簡易的な処理が終わるのだから、技術の進化というやつには畏れ入る。

 取り敢えず、その言葉を受けて、俺たちは早速荷物を取り出した。

 以前に見学した際に分かったことだが、この家には飲み物も食べ物もないのである。水は流れているため喉を潤すことは可能だが、やはりそれだけだと不満が残る。そんなわけで、皆にも手伝ってもらい、休みを利用して色々と持ってきた次第である。

 

「ふう、腕がパンパンだ。流石に、この炎天下でこの距離をドリンク持ち運ぶのは疲れたな」

「食材も同じようなもんだけどね~。種類と数があるし、スイカなんてドリンクに負けず劣らずじゃん?」

 

 何人が所属することになるかも不明だったためか、キッチンは一般家庭には似つかわしくない仕様となっている。冷蔵庫も大型だ。そこに次から次へと突っ込んでいく。

 なお、支払いは各自のPPである。未だ実績がない以上、部費がないのは仕方ない。むしろ、与えられた設備を鑑みれば十分にお釣りがくる。

 一応、部費用に専用の端末があるのだが、そちらの残高は物の見事にゼロである。

 

「さて、初期部員として認められた皆さんは、後々に加入するかもしれない部員に比べて責任が重くなります。分かりやすく言うと、この部活の行う一部の活動内容について、第三者へ情報を洩らすことを禁止します。……まあ、言葉で説明するより実際に見た方が分かりやすいでしょう」

 

 荷物を入れ終わった頃合いを確認して、知恵が立ち上がり、そう告げた。

 こう言う以上、その目的地は一つしかあり得ない。地下の一角にあるSMルームだ。

 

「格技場に遊戯場まであるのか……。ん? ここだけは鍵がついているのか?」

 

 感想を零しながら歩いていた神崎だったが、SMルームの扉を見て疑問を呈した。

 

「この扉の先が、当部活における最大のグレー部分になります。むしろ、見方によってはブラックと言ってもいいかもしれません。

 ここの扉を開けられる人員は限られており、顧問である理事長と副顧問である私、部長である一刀くんの他は、別途資料における要綱に該当し、それにサインを入れた人物のみとなります。現時点では軽井沢さん、佐藤さん、神室さんが該当しますね。

 一刀くん。一之瀬さんと白波さんはどうだったかな? サインをもらう必要はありそう?」

 

 自分の名前が呼ばれたからだろう。帆波と千尋が首を傾げた。

 

「千尋は入れておいた方が良いと思います。少なくとも、そのままにしておくわけにはいかないでしょう。

 帆波も入れておいた方が良いかと。正義感があり、責任感もあり、行動力もあり、と良いところ揃いに思えますが、それに反比例するように精神的には非常に打たれ弱いです。結果、負の悪循環を起こしており自罰的傾向が強すぎます。これを放置はできないでしょう。平たく言えば、帆波はもっと開き直るべきです」

「あ~、やっぱり該当してたか……。それじゃあ、一之瀬さんと白波さんはあとで別途資料にもサインをちょうだい」

「よく分かりませんが――」

「――分かりました」

 

 知恵の言葉を受けた帆波と千尋は、互いに顔を見合わせたあとで頷いた。

 

「ここの扉のロックは、該当者の端末を用いて開けることができます。……確認してみますか?」

「では、試しに俺の端末で」

 

 神崎が自分の端末を翳すが、エラーとなりロックされたままだ。他の面々も試すが、結果は変わらなかった。

 

「んじゃ、あたしので」

 

 恵が端末を翳すと、認証されロックが解除された。

 その事実に一同は軽く驚き、扉の先の光景を見て絶句した。真っ先に目に入るのが三角木馬を始めとするSMグッズなのだから無理もない。

 一角には、高さ調節が可能で、ところどころにコブの付いた綱渡りもある。

 

「おいおい、随分とイイ趣味をしてんじゃねえか……」

 

 比較的復活の早かった龍園が感想を零す。

 

「星之宮先生、これはいったい……」

 

 次いで、神崎が。

 

「当校のシステム的に、精神的問題を抱えてくる生徒はどうしても出てきます。或いは、入学した時点である種の問題を抱えている生徒もいます。

 この部屋は、それに対するケア目的で用意されました」

「……これがか?」

 

流石に、高校の部活としてはあり得ない光景のためか、さしもの龍園も引き気味に問いかけた。

 

「これが、です。……一人ずつ説明しましょうか。最初に軽井沢さんです」

 

 そうして、知恵は順番にそれぞれの事情を説明していった。

 

「軽井沢が悲惨なイジメの後遺症による倒錯。佐藤が生まれついてのメス犬属性。神室が家庭環境からなる破滅衝動の内包と、それによるマゾヒスト化。

 事情を聞けば理解はできます。……残念ながらイジメはどこの学校でもあるようなものですし、従属することで喜びを覚える人だって一定数はいるでしょう。そして、全ての家庭が円満だとは限りません。

 それらを踏まえれば、あとは度合いの問題です。決して、あり得ない、とは断言できないでしょう。――それが、こうも一ヶ所に、更には同時期にかたまってしまうのは、非常に稀有な例だとは思いますが……」

 

 必死に理解しようとしているのだろう。頭を押さえた神崎が、顔を歪めながらも言葉を紡いだ。

 そう。恵も麻耶も真澄も、その事情を合理的に考えれば、決して珍しくはないのだ。問題なのは、その度合いが強過ぎたり重過ぎたりすることであり、新入生でまとまっていることである。

 

「世の中、綺麗事だけでは回りませんからね。『実力者の輩出』を理念に掲げる当校としては、彼女たちにはどうにかこうにか立ち直ったり折り合いを付けてもらいたいのです。

 単純に見ないふりして放置をするのが最も簡単ではありますが、後々にそれで問題が起こればこちらも叩かれかねない、という即物的な事情もあります。

 まあ、一番なのは理事長が生徒想いなことですけどね。手段の是非を問わず、立ち直ってもらおうとするくらいには」

 

 知恵は、まず学校側としての立場から事情を説明した。

 曲がりなりにも、この学校は名門校なのだ。それでいて高度に情報化されたのが現代社会だ。ただでさえ、瞬く間に情報が拡散しやすい状況にあるのだ。名門校の卒業生が不祥事を起こそうものなら、瞬く間に拡散するだろう。いかに政府が手を尽くそうと、絶対に拡散を防げる保証はない。

 

「一刀くんには、医者が匙を投げた軽井沢さんと坂柳さんを回復させた実績があります。

 その手段が気功という『オカルト』なこともあって、周囲に論理的・理論的な理解を求めるのは不可能に近いですが、結果が証明しているのも事実なんです。実際に軽井沢さんは廃人状態から復活してますし、坂柳さんも杖を使わないでの歩行が可能となりました。

 これを無視するのは、それこそ無能というものです。そのため、一刀くんにケアをお願いしたわけです。

 一刀くん自身、能力が高く、それでいてハーレム志向を隠していないこともあり、周りにたくさんの女の子がいても、その顔触れが違っていても、周りは勝手に理解や納得をしてくれますからね。その点においても渡りに船でした」

 

 次いで、俺の立場に関する説明を。

 

「気功……ですか?」

「はい。一刀くんの気功は、女性限定で快感を齎すのですよ。まあ、その反対に男性相手だと不快感を齎すようですが……。

 私が杖無しで歩けるようになったのは、気の込められた一刀くんの精液を直に飲んだからですね。……病は気から、健全な精神は健在な肉体に宿る、と言うでしょう? 逆に言えば、体内の気が健全なら肉体も健全になる道理です。

 また、精液――精子は子供を作るために必要なものですからね。精がつく、などとも言われますし、気功との親和性も高いようです。分かりやすく言えば、気功と結び付いた時点で、一刀くんの精液は女性限定の薬に早変わりしたわけですね。……その性質上、長期保存できないのが難点ではありますが。

 気功を論理的に証明できない現状では暴論であることに違いありませんが、結果はこの通りです。付加効果により初潮を迎えることもできましたし、私としては万々歳です」

 

 実際に俺の気功による恩恵を受けた有栖が口を開けば、周りにはそれを否定することなどできはしなかった。少なくとも、杖無しには歩行のできなかった有栖が、今では杖無しに歩いているのは事実なのだから。

 

「北郷。すまないが、俺にもその気功というものを試してもらっていいだろうか? 説明を信じないわけではないが、俄かに信じ難いのも事実だからな。実感を得たい」

「俺は構わないが、本当にいいのか? マジで不快らしいぞ? 少なくとも、有栖の主治医はよっぽど不快感を露わにしていた」

 

 神崎がそんなことを言ってきたので、俺も真面目に返した。気持ちは分からないではないが、よっぽどの覚悟が必要だ。

 

「構わない」

「んじゃ、ついでだから俺もやってもらうとするか。……綾小路、幸村、どうせだからお前らも参加しろよ。度胸試しといこうぜ?」

 

 神崎が答えると、龍園も参加を表明してきた。その流れで清隆と輝彦も誘っている。

 

「まあ、構わんが……」

「やれやれ……」

 

 俺との付き合いが深いこともあってか、二人はその誘いを断らなかった。

 そんなわけで、男子四人に気を流すことになったわけだが……。

 

「んじゃ、流すぞ?」

 

 俺の言葉に四者四様の返事が返り、実行した。

 

「ぐおっ!?」

「うぉあ!?」

 

 そうして、清隆と輝彦は叫び声を上げてその場を後退り、思いっ切り不快感を露わにしたわけだが――

 

「別に、そこまで不快ということもなさそうだが……」

「ああ。別に快感ってわけじゃあねえが……」

 

 神崎と龍園は平然とその場に佇んでいた。神崎は清隆と輝彦に怪訝そうな眼差しを向け、龍園は瞑目している。

 そして、清隆と輝彦の狼狽振りを目にした面々は、だからこそ二人に対して驚愕の視線を向けた。主治医の件も知る俺と有栖は尚更だ。

 

「北郷。もうちょいと、俺に気を流せ。何か掴めそうだ」

「……分かった」

 

 断る理由もなければ、興味深いのも事実なので、俺は龍園に促されるままに気を流した。

 

「……なるほどな。こうか!」

 

 そして次の瞬間、龍園の身体から気が迸った。それに伴い、周囲へと衝撃波が奔る。

 マジか!? と驚く間にも身体は勝手に抑えにかかった。しかし完全には抑え込めず、壁に掛けられている鞭やら何やらがバラバラと床に落ちた。人に被害が及んでいないのが何よりだ。

 

「チッ。思ったよりも制御が難しいな。まあ、初めてなんだから無理もねえが……」

 

 言いつつも、龍園の気は瞬く間に安定化していく。

 いったいどうなってる!? 俺は驚愕しつつも思考を巡らせた。

 百歩譲って、龍園が気功を使えるようになったのはいい。そもそもにして、今でこそ『オカルト』として扱われているだけだからな。俺だって使えるし、過去の時代の陰陽術なりが気功だった可能性は否定できない。

 時代の流れの中で使えなくなった人が増えていっただけで、俺の気功が呼び水となって使えるようになる人がいてもおかしくはないだろう。一種の先祖返りと思えばいいだけだ。

 だが、それを差し引いても龍園は異常だ。発現させたばかりの気功をこうも即座に安定化させるなど、普通に考えてあり得ない。

 可能性があるとすれば、龍園によほど気功を扱う才能があるか。或いは俺の気功との親和性が高いかだ。

 

「驚いたな。状況から考えるに、俺の気功が呼び水になったってところか?」

「そう考えるのが妥当だろうよ。お前という気功を使える存在がいるんだから、他にいない道理はねえし、いないと断定することこそ早計だ。――まあ、どうにも俺の気功はお前とはタイプが違うようだがな」

「気功は幅広い万能性を誇る反面、使い手の適性にもかなり左右されるからな。俺とお前の質が違ったところで何の不思議もない」

 

 平たく言えば、気功には大元の属性があり、その中にも更に細分化された属性があり、更に細分化された型がある、ということだ。攻撃型に防御型、強化型に放出型といった具合にな。

 この属性も千差万別であり、俺の知る中で分かりやすい例を挙げると楽進(凪)が代表格だろう。彼女は炎の気弾を放つのを得意としていたから、この時点で彼女が炎の属性を持っていることは明らかだ。ついでに言うと、徒手空拳を得意とする彼女は、肉体強化型であり、放出型であり、攻撃型であることになる。

 気功の親和性というのは、その己の属性で左右されるらしい。五行で例えると、同一属性や相生属性は親和性が高いことになるだろう。

 まあ、あくまでも聞きかじりの知識でしかなく、俺は自分の属性も知らないのだが……。正確に言うと、大元の属性なんてのは知らない人の方が多いらしい。

 同一属性や相生属性であっても相性が悪かったりする相手もいるから、更に大元の属性が影響してるんじゃないか? という考えがあるんだそうだ。……まあ、それを確かめる術も分からないから推論止まりだそうだが。

 医療気功の一大派閥である五斗米道ですらその程度の認識だったんだから、俺が真実なんぞ知る由もない。

 

「となると、龍園と同じく平然としている俺にも気功の適性があるということか?」

 

 状況から、神崎がそう考えるのは当然だった。

 そして、それには俺も同意見である。

 

「試すにしても場所を移そう。咄嗟に抑えはしたが、今しがたの衝撃で部屋に被害が出ているのも事実だからな」

 

 俺の意見に反論は出なかった。

 取り敢えず片付けは後に回し、家の外に出る。暑いが、被害を考慮しないことを第一に置けば外に出るのが一番だ。

 ゾロゾロと全員が俺たちについてくる。龍園が気功を発現したこともあって、皆も興味津々らしい。

 そして結果から言えば、神崎もまた気功の発現に成功したのであった。




話の中で神崎に代弁させてますが、単一的な事情だけなら本作の恵も麻耶も真澄も珍しくはないんですよね。
その度合い、スケールが大きく、それがひとまとまりになっているから厄介なだけで。

また、神崎と龍園を本作における一刀以外の主人公ポジに置いた理由が、本話で明らかにした『気功の使用』です。
せっかくの『恋姫』とのクロスなんですから、キャラ以外の要素もクロスさせてみました。
そもそも、本作の一刀自身が『よう実』世界の出身という扱いなのですから、他に使える、使えるようになった人物が現れてもおかしくはありません。
現代社会作品の常として、一般的には廃れて『オカルト』として扱われているから、実態が広まっていないことにも筋は通ります。
とはいえ、気功の設定に関しては、本作の独自解釈が多分に含まれていますが……。
『恋姫』原作だと、主に戦での戦闘手段としてしか使われていないので仕方ありません。
ただ、五斗米道の存在から、戦闘以外での使用法があるのは間違いありません。あれも戦闘で使用していますが、メインは『医療行為』の筈ですから。
本作の気功に関しては、H×Hの念能力をイメージしてもらえれば分かりやすいと思います。

清隆が気功を使えないのは、元々『よう実』の主人公ということもありますが、清隆まで使用可能にすると手が付けられなくなるからです。
ただ、今話内においては、あくまでも『属性的な親和性が低かったため、呼び水として一刀の気功は不適切だった』という解釈ができるようにもしてあります。
龍園と神崎は、『属性的な親和性が高かったため、一刀の気功が呼び水として機能した』という解釈ですね。

また、神崎と龍園は気功の使用こそ可能になりましたが、それで即座に超強化されるわけではありません。
現時点だとあくまでも使えるようになっただけで、使いこなすには相応の修練が必要になりますからね。

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