※この作品はR-18です。

東京都高度育成高等学校・北郷伝   作:山上真

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北郷伝:53

「さて。以前から伝えていた通り、月曜日を迎えた今日を以て池がCクラスに移籍となり、同時にBクラスから一之瀬が、Cクラスから時任が当クラスへと移籍となった。

 また、既に確認済みだとは思うが、遅延されていたCPも支給されている」

 

 朝のホームルーム。

 教壇の前には茶柱先生が立ち、その横には帆波と時任が立っている。

 また、教室内には更に机が一つ増えている。初期の総人数を超えて現在のDクラスは41人となったためだ。

 経緯としては山内がいなくなって39となり、有栖が来たことにより40へと戻った。そこから池と時任のトレードが決まり、そのままでは人数は変わらないが、帆波まで移ってくることになって+1。計41人である。

 改めて振り返ると、中々に波乱万丈である。一学期でこれ程の変遷は非常に珍しいのではなかろうか。

 

「以前にも伝えたが、一之瀬と時任が移ってきたことにより、当クラスの平均学力は否応なく上昇することとなる。今月末には期末試験があるため、赤点退学になりたくなければ必死になって勉強に取り組むことだ。

 席についてだが、時任は池が使用していた席に、一之瀬は新たに用意された席に座れ。経緯的にも、それが順当だろう。――では、これで朝のホームルームを終了する。残りの時間は好きに使え」

 

 人が増えた割には比較的早くホームルームが終了した。おそらくは、茶柱先生なりの厚意だろう。ありがたく使用させてもらうことにする。

 

「帆波と時任はこれからよろしく頼む。まあ、本意じゃなかろうと今日からはDクラスの一員と割り切ってほしい。

 皆にも改めて伝えるが、学力に自信のない奴ほど今日からは必死扱いて勉強してくれ。さっき茶柱先生も言っていたが、今月末には期末試験があるし、以前以上に学力の層が上がっているのは事実だからな。その分だけ赤点退学の可能性が上がっている。

 前回の中間と同じように、今週末からは俺たちのグループ主催で再度勉強合宿を行う。男子の参加希望者は時任に、女子の参加希望者は帆波に連絡を入れてくれ」

「うん、分かったよ!」

「はあっ!? 何で俺が!?」

 

 俺の言葉に、それぞれ異なった返事を寄越す帆波と時任。返事の内容も含め、当然と言えば当然の反応だ。

 

「すまないが、時任と帆波に拒否権は与えられない。一刻も早くクラスに溶け込むためと思って受け入れてもらう。

 もちろん、強制参加というわけじゃないので、参加するも参加しないも皆に任せる。これに関しては時任と帆波も同様だ。二人に頼むのはあくまでも『集計係』だからな。――だが、参加せずに赤点になったとて、こちらからの助け舟は期待しないでくれ」

「合宿というわけじゃないけど、僕の方でも勉強会を行うつもりだ。北郷くんの方に参加するのが気後れするようなら、こちらに参加してもらっても構わない。ただ、北郷くんたちほどの密度は期待できないから、参加するならその点は了承してほしい。

 あと、こちらの参加人数次第では、北郷くんたちの方に合流させてもらうつもりだ。実際、その方が効率的で効果的であることも間違いはないしね」

 

 俺に続き、平田が口を開いた。実際、平田は前回の中間でも勉強会を開いていたから、再度開いてもおかしくはない。

 だが、その口ぶりからすると今回は危ういと思っているのかもしれない。まあ、過去問という『解答』もなければ、全体的に難度も上がっているのだ。結果的に山内が退学になったことも合わせれば、相当の危機感を抱いていても不思議はないだろう。

 

「ねえ、一刀くん。元Bクラスとしての質問だけど、向こうはどうするの? 向こうを従属させる形での同盟を結んだ以上、Bクラスに教師役を引き受けてもらえれば、こっちの負担も減ってだいぶ助かると思うんだけど?」

 

 そこで、帆波から質問の態を取った提案が持ち上がった。確かに、その内容には一理ある。

 

「それができればありがたいが、合宿への参加は無理だな。俺たちの持つパーティールームだけじゃあ収容スペースが足りない。かといって、このためだけに向こうにパーティールームを買わせるのもな……。現実的なラインだと、平日の朝や放課後、図書館や教室で勉強を見てもらう形になるか……。

 そこに関しては、後で改めてBクラスと話し合うことにする。こっちの都合だけでどうにかできることでもないしな」

「一刀。すまないが、俺は今回、合宿への参加は見送らせてもらう。他のクラスの情報源に対して勉強を見てやらなくてはならないんでな」

 

 Bクラスへの方針が一段落付けば、今度は清隆からの参加拒否である。清隆が参加しないのは痛いが、事情を聞けば無下にもできない。今後、本格的にクラス闘争が始まっていくからには、他クラスの情報源があるとないとでは大きな違いが出る。

 

「尤もな意見ですね。では、清隆くんには申し訳ありませんが、私の伝手に対しても勉強を見てもらってよろしいでしょうか? 清隆くんが合宿から外れるのであれば、私まで外れるのは流石に旨くないでしょうしね」

「あ~、じゃあ私もそっちに参加で。キヨポンのことだから、どうせ愛里も引っ張っていくんでしょ? そこら辺の事情を知ってて、キヨポンが教師役で構わない人はついてけばいいんじゃない? 言ってみれば、開催場所が変わって、生徒の顔触れが変わるだけなんだから」

 

 俺が返事を返す前に、有栖が口を開き、波瑠加がそれに続いた。

 まあ、それが妥当なところではあるか。そうすればルームの収容人数も増えるし、何人かBクラスから受け入れることも可能になるだろう。千尋辺りは、特に帆波から教えてもらいたがりそうだからな。

 同時、そうすることでクラスの目から美紀を隠すことにも繋がる。元より完全に隠せる筈もないが、最小限に済ませられるのであればそれに越したことはない。美紀の影が薄いのは事実だが、それでも美少女であることに違いはないのだ。気付いてしまえば、注目する奴は必ず出てくるだろう。それが増加していけば、美紀の強みが失われてしまう。そうなるのは防がなければならない。

 

「じゃあ、そういうことで。……あと清隆、場合によっては龍園も受け入れてもらうかもしれないから、その点も了承しておいてくれ」

「それは別に構わんが、必要あるのか?」

「分からん。だが、あれでアイツもうちの部員だからな。こんなところで退学されても困る。部長として、一声掛けるだけはしないといけないだろうさ」

 

 ついでだから、愛紗たちに神崎の面倒を見てくれるように頼むか。期末を乗り越えるだけなら今の神崎でも問題ないと思うが、アイツは朝比奈先輩を手中に収めてしまったのだ。である以上、話に聞いた南雲副会長とやらが神崎にちょっかいを出さないとも限らない。南雲副会長は朝比奈先輩のことも口説いていたらしいからな。

 そして南雲副会長の厄介なところは、『大海を知って、尚も吞まれずに挑み続ける蛙』だということだ。『挑戦心旺盛な猿山の大将』と言い換えることもできるだろう。狭い範囲で是とせずに、より広い範囲へと足を踏み出す気概があり、そのための努力も欠かさない生粋の挑戦者(チャレンジャー)。

 同時に、自身に天性の自信を宿す独裁者でもある。自分にも他人にも厳しく、それでいて自身は結果を出し続けているが故に、ノルマを熟せない奴などどうなろうと知ったことじゃない。言ってしまえば桔梗タイプの人間だ。その能力の高さとエゴイスト振りは、遥かに桔梗を凌駕しているが。

 幸か不幸か、神崎はそんな人物に目を付けられる土壌を作ってしまったのだ。必然、早期の実力向上を余儀なくされてしまった状態にある。少なくとも、南雲副会長の審査を乗り越えられるようでないと、容易く退学に追い込まれかねない。

 俺としてもそれをやらせるつもりはないが、哀しいかな、俺と南雲副会長では情報面やら周囲への影響力やらで差があるのは否めないのだ。神崎が別クラスということもあり、対処も容易ではない。

 だからこそ、愛紗たちに頼む。その事実を以て、南雲副会長を牽制する。その分だけ目を付けられるのが早くなるだろうが、言ってしまえば時間の問題でしかない。総合的に考えればベターな方法だろう。

 まあ、アレコレと危険視していることは確かで、実際に会ったことはないし、やり方に思うところがないでもないが、俺は南雲副会長を嫌いにはなれない。言ってしまえば、彼は男性版の華琳と言ってもいい人柄だからだ。だからこそ、何だかんだで愛紗たちも付き合っているのだろう。

 

 ♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢

 

 時間の経過は早いもので、日々はアッサリと過ぎ去っていく。やることが決まっているから尚更ではあるのだろう。

 俺個人は今月末の期末テストも余裕な自信があるが、それは決して『クラスの余裕』とイコールでは結ばれない。だからこそ、毎日が勉強、勉強、また勉強で費やされていく。俺の所属するDクラスは、粒ぞろいな一方で劣等生が多過ぎる。大多数が学力不振なため、期末での退学を防ぐためには勉強するしかないのだ。

 

「性欲を持て余す……」

 

 そして、そんな日々を過ごしていれば、思いの外俺が限界を迎えるのも早かった。中間の時と違うのは、既に俺の生活の中に性行為が浸透しているからだろう。以前に比べると、明らかにヤる機会が増えている。そんな日々が常態化していれば、そりゃあ抑制限界だって下がっていくに決まっている。

 言ってみれば、喫煙者が禁煙を志しても中々止められないようなものだ。

 

「は? おい北郷。お前いまなんつった?」

 

 俺の呟きが耳に入ったのだろう。須藤が問いかけてくる。

 

「来る日も来る日もお前らみたいな野郎どもを相手に付きっきりで勉強を見ていれば、いい加減に性欲だって持て余すわ! ここ最近は朝勃ちの処理以外だとフェラだってしてもらってないんだぞ!」

 

 我慢の限界を迎えた俺は、野郎どもが蔓延するパーティールームの中で力の限りに叫んでいた。

 

「北郷くん、いくら自室の中とはいえ、そういうことを力一杯に叫ぶのはどうかと……」

「じゃあ、しますか? フェラ」

 

 俺の言葉に平田が苦言を呈するのと、有栖が提案してくるのは同時だった。

 結局、平田主催の勉強会が開催されることはなく、こっちに合流していた。以前は平田の方に参加していた女子たちの危機感が高まっていることが要因だ。

 普段の生活態度と実績次第では、俺はクラスメイトでも退学に追いやることを辞さない。……山内を退学に追い込んだ一件で、俺にはそういうイメージが根付いてしまったらしい。

 その一方で、グループメンバーの愛里を救うためには多大なポイントを払ってもいる。ポイントを払わずに救う手段があったにも拘らずだ。

 また、それ以前からも散々と危機管理を促していたことも大きい。

 結果として、厳しいだけじゃなくて慈悲もある、北郷くんに見捨てられるなんてよっぽど、といった結論で女子の意見は一致したらしい。……まあ、それを言ったら男子も同じようなものらしいのだが。

 そんなわけでクラスの女子も合宿に参加したわけだが、それで男子と女子が一緒に勉強するわけでもないのは、やはり男子のデリカシーの無さが如何ともしがたいからだろう。全員が全員ではないし、最近はマシになってきたのも事実だが、初期があまりに酷すぎた。マイナス評価をプラスに持っていくのは、そう簡単なことではないのだ。

 そこに『教師役が少ない』という事情が加われば、男子の勉強を見るのに忌避感のない平田が男子グループに加わるのは必然だった。

 なお男子グループの教師役は、俺と平田の他に有栖と帆波、美雨と千尋が参加している。……千尋は帆波から勉強を教えてもらうことを目的にしているが、それでもDクラスの学力不振相手ならば十分に勉強を見てやることが可能だ。

 それはともかく。

 

「え!? 坂柳さん、今なんて?」

「『じゃあ、しますか? フェラ』……と言いましたが、何か? 

 まあ、ここは密室内ですし、流石に本番してるところを見られるのは私も御免ですが、フェラ程度なら見られるのも許容範囲です。もちろん他言は厳禁ですよ。皆さんが口を噤めば秘密は『秘密』のままであり、バレることがなければ怒られもしません。

 理由としては、私自身も性欲が溜まっていること。一刀くんが相手なら構わないこと。そして最大の理由が、『互いの合意さえあればこういうことも可能になり、実力者であればその可能性も高まる』……というのを、この場の皆さんに見せつけることで発奮を促すためですね。

 正直、総合戦力という点では、やはりDクラスは最低値なんですよ。優秀な将は揃っていますが、それに応えられる兵が不足しています。そして結局のところ、兵の皆さんの地力を上げるのは兵の皆さんに他なりません。いくらこちらが促しても、皆さんが応えてくれなければ意味はないわけです。

 これで私も『Dクラスの軍師』を任せられましたからね。クラスの地力を上げるために必要とあれば、張れる限りは身体を張りますよ。私の場合、歩けるようになったとはいえ、体育祭などでは足を引っ張ってしまうのは間違いありませんからね。まして、私は余所のクラスからの移籍組ですし。偉そうに言うだけではクラスから反感を抱かれてしまうだけです」

「それは……。そう言われると……」

 

 有栖の言葉を聞いた平田は項垂れてしまった。その方法にさえ目をつぶれば、確かに有栖の説明には筋が通っているのだ。

 そして、Dクラスは基本的に劣等生集団だ。他のクラスに追いつき乗り越えるためには、生半な努力で足りる筈がない。

 その一方で、『必要性』だけでは努力できないのが人という生き物でもある。『必要性』以外の+α――平たく言えば『ご褒美』や『報酬』があるから人は頑張れる生き物なのだ。

 逆に言えば、それ次第で人はどこまでも頑張れることを示している。

 

「では、平田くんも納得してくれたところで早速……」

 

 などと言いつつ俺の許へと近寄ってきた有栖は、俺のズボンのチャックを下げ、隙間から俺のジュニアを取り出した。

 

「ちょおおぉぉっと待ったあああぁぁぁ! 有栖ちゃん、一刀くんへの奉仕なら私がするから、有栖ちゃんは皆の勉強を見るのを優先しよっか!?」

 

 それを見て、帆波が焦り気味に寄ってきた。

 

「待った! 帆波ちゃんが舐めるなら私も一緒に舐めるよ!」

 

 更には千尋も。

 これを見れば、周りの野郎共にも俺と彼女たちが『そういう関係』にあると理解するのは容易だろう。

 

「マジか、北郷……。ハーレムつっても、単に女子を侍らせているだけだと思ってたのに、実際には全員とヤっちまってんのかよ……!?」

 

 須藤の慄く声が、思いの外室内に響き渡った。……いや、驚愕の表情を浮かべているのは須藤だけではない。この場にいる男子の全員が、信じられない! と言わんばかりの眼差しを俺たちに送っている。

 

「つーか、北郷、デケエなおい!?」

 

 次いで、俺のジュニアの大きさに対しても。

 

「ああ、言い忘れていました。もちろん、期待報酬だけで皆さんを頑張らせるのもどうかと思いますので、それとは別に即物的な報酬も用意しますよ。今度の期末テストでの成績優秀者へ生下着をプレゼントするくらいであれば、個人的には許容範囲です。成績次第では愛液を付けても構いませんよ?」

「え!? 有栖ちゃん、そこまでやるの!? うぅ~、分かった! 有栖ちゃんがそこまでやるなら、私もそれに倣います! 成績優秀者には私の下着をプレゼントします!」

「あらあら、良かったですね皆さん。帆波さんも身体を張って下さるようですよ?」

『…………ウオオオオォォォォッ!!』

 

 平田を除くこの場の男共から、部屋を揺るがすほどの雄叫びが上がるのであった。

 

「本当に良いんだろうか、これは……」

 

 そして、平田は一人で苦悩していた。

 諦めろ、平田。倫理的に問題があろうと、それで成果が出るのなら、間違いなく『正解』ではあるのだ。

 この日以降、クラスの野郎どもの勉強に向き合う真剣度が劇的に向上するのであった。 




一刀グループのエロに対する敷居が、部分的に低くなっているからこそ可能な手法ではあります。
龍園が暴力で縛るのなら、一刀たちはエロで縛るわけですね。

たかが高校生活のクラス闘争にここまでするのか? 的な意見もありそうですが、一刀たちにとっては『たかが高校生活のクラス闘争』ではありません。
『社会の縮図』、『将来の予行演習』と捉えているからこそ、やりますし、やれます。
効率的に、そして効果的に人を動かすには、モラルやマナーに沿った方法だけだと片手落ちなのは事実ですから。

また、神崎は本人も知らぬところで更なる受難が確定しました。一刀に頼まれた愛紗――と、面白がって参加した楓花によって徹底的に扱かれます。
軍神式ブートキャンプが行われます。対象が神崎一人な分、乗り越えれば劇的に成長します。正確には、成長するのを余儀なくされます。
そして、見兼ねたなずな先輩が神崎を慰めて、更に関係が進展する流れです。
それにより、徐々に神崎のタガも外れていきます。仕方ありませんね。

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