※この作品はR-18です。

東京都高度育成高等学校・北郷伝   作:山上真

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無人島編~
北郷伝:55


「いや、流石に眠いわ……」

 

 豪華客船の中、朝食を食べた俺は思わず零していた。

 今日は午前五時にバスで高度育成高等学校を出発して東京湾に向かい、その後は俺たちを乗せて豪華客船が出発したわけだが、そんなスケジューリングのため睡眠不足は否めない。

 あくまでもバスは午前五時に出発のため、当然ながら俺たちはそれより早く起床する必要がある。だからといって、万人が万人、寝ようと思って即座に眠れるのび太くん体質の筈もない。結局のところ、俺の睡眠時間はいつも以上に短くなってしまった。

 そんな状況で腹が満ちれば、眠気もいや増すというものである。

 

「え~、一刀くん眠っちゃうの? 勿体なくない?」

「俺もそうは思うけどな。眠気には勝てん」

「あ! じゃあじゃあ、ここに行ってみない? パンフに載ってるんだけど、『漢女道』ってお店。なんかマッサージ・リラクゼーション・エステとかを一通り揃えているみたいだよ? ここだったら、一刀くんもゆっくり休めるんじゃない? どうせ休むんなら、部屋よりもこういう施設の方が良いって、絶対!」

 

 その言葉に、俺は意識を一気に覚醒させられることとなった。

 

「ちょっとパンフ見せて!」

 

 そのまま、パンフを奪い取った自覚もないままに視線を寄せる。……そこに記載されていたのは、確かに『漢女道』の文字。そう、『漢女』である。その文字とその響きは、俺に否応なくとある人物を思い起こさせた。

 

「偶然? いや、偶然とも? もし本物だったら会いたくねえなぁ~。でも、会わないわけにもなぁ~」

 

 その恰好を度外視すれば、紛れもなく善人だと言えるし、俺の中ではある意味で『お助けキャラ』と言うか『助言キャラ』的なイメージがある。それを思えば、会わない道理はないのだ。

 

「……ここに行こうか」

 

 悩みに悩んだ末、俺は言葉を絞り出していた。

 

「すっごく行きたくなさそうなんだけど?」

「確証はないけど、知人の可能性が高くてね。心が清らかな乙女の如くに善人であることに間違いはないし、色々と助言をくれたりすることも確かなんだけど……」

『なんだけど?』

「筋骨隆々のオカマで、俺が最後に会った時はピンクのビキニパンツ一丁という恰好だったかな」

『それは……』

 

 俺の言葉に、全員が俺の消極的態度を理解した。

 

「どうします? 他にもエステなどはあるようですし、そちらにしますか?」

「いや、『漢女道』の方で。名前が偶々一致しているだけなら単に俺の考え過ぎで済むし、想像通りなら会っておいた方が良いのは確かだ」

「そうか。では行ってこい」

「俺たちは俺たちで別に行かせてもらうとしよう」

 

 そんな俺を冷たく見送る清隆と輝彦(ルームメイト)。……まあ、分かってたけど。誰が好き好んでオカマに会いにいく男子がいるものか。

 愛里や心を始めとする一部の女子もそれについて行った。

 そんなわけで、残りの女子を引き連れて件の『漢女道』へやって来た俺であるが。

 

「やあ、いらっしゃい。……と、一刀じゃないか!? 久しぶりだな!」

 

 そこで俺たちを出迎えたのは、何と大陸一の天才医師である華佗だった。

 

「華佗!? 何でお前がここに!?」

「いや、俺自身もよく分からないんだがな。気付いたら貂蝉たち共々見知らぬ場所にいて、そこを保護された次第だ。

 まあ、ここがどこであろうと、俺のやることなんて決まっている。我が五斗米道を以て病魔を払い、困っている人たちを助けるだけだ。

 とはいえ、資格だの何だので、表立ってやれることには限りがあるのも実情でな。助けを受けながらコツコツとやっている最中だ。

 ここには貂蝉たちもいるんだが、彼らが受付に立つと何故か客が逃げていくんだよな。そんなわけで、保護者の意向もあって彼ら以外が受付をやっている次第だ」

 

 驚く俺に対し、カンラとした態度で華佗は語った。そして有栖に目を留め――

 

「ん? そちらにいるのは、坂柳有栖さんか?」

「知ってるのか?」

「そりゃあ、彼女に関する資料は俺にも回ってきてたからな。治療に携われるんなら携わりたかったが、やはりここでも件の資格とやらが邪魔をしてな。結局、関与することはできなかった。こっちの領域に入ってくれたら、やりようはあったんだが……。

 しかし、今ではもう心疾患は治っているみたいだな。内部に一刀の気が渦巻いていることから察するに、一刀が治療したのか?」

「ああ。結構強引な手を使ったし、内容的には到底『治療』と言えるもんではなかったけどな」

「そんなことはないさ。結果として治ったのなら、周りがどう言おうとそれは『治療』に他ならない。

 こっちに来て思ったことだが、なんて言うか、やけに体裁に拘る連中が多いんだよな。向こうでもそれはあったが、ある意味では向こう以上だ。それさえなければ、俺ももう少し治療に携わることができるし、病に苦しむ人たちも救われると思うんだが……」

 

 俺の行為を華佗は手放しで認め、その一方で溜息を吐いた。……その気持ちは分からないでもない。そういう部分があるのは確かだ。

 

「そっちは軽井沢恵さんか。君に関する資料ももらっている。

 しかし、実際に自分の目で見れば中々にひどい状況だな。病魔と一刀の気が拮抗している。いや、僅かに一刀の気の方が圧しているか? 一刀の気は結構強力なんだが、それで駆逐できずにいるとなると、元々はどれほど強大な病魔だったのか想像もつかないな……。俺でも万全の状態、かつ金鍼がないと太刀打ちできないだろう」

 

 次は恵を見て。

 病魔に対する華佗の目は確かだ。その華佗がそう言う以上、やはり恵のトラウマは相当に重いのだろう。だが、日頃の成果が出ている確かな証明にもなった。

 

「っと、入り口で話し合ってばかりもいられないな。どうぞ、中に入ってくれ。貂蝉たちも一刀には会いたがっていた」

 

 華佗に促され、俺たちは『漢女道』の中へと入った。

 流石に豪華客船内の施設だけあって雰囲気は良い。十中八九、三國が出資しているのだろう。

 通路を進んでいると、またしても見知った顔に逢った。

 

「あら? 一刀くんじゃないの。久しぶりねぇ~」

「瑞姫(レイチェン)!? 君までいたのか!?」

 

 なんと、驚きの瑞姫である。別名を何太后。

 

「正直、働くのなんて私の趣味じゃないんだけど、働かざる者食べるべからず、って言われたらねぇ~。嫌でも働かざるを得ないわよ。

 かと言って、お姉さまのように動物を育てるのもねぇ~。お肉に需要があるのは分かるけど、丹精込めて動物から育てるのは私の趣味じゃないわ。

 その点、ここでなら『美の探究』にも繋がるし、私でも働けるから助かってるわ。楽しく働けるって最高ね。

 しかし、可愛い子ばかりねぇ~。もしかして、全員一刀くんのお嫁さん? 相変わらずお盛んねぇ~」

 

 ケラケラと笑って瑞姫は俺を揶揄う。

 しかし、傾ぇ……。精肉店や惣菜店を営むんじゃなく、とうとう大元から着手するようになったか……。本人が望んでやっているのか、やらされているのかは分からないけど。

 

「船内の施設には、ここ以外でも三國が手を出しているお店があるわよ。……一刀くんに逢いたかったんでしょうね。中華料理店『悪来』には流琉ちゃんが夏休みを利用してスタッフとして手伝いに来てるから、後で逢いに行ってあげなさいな」

「流琉も来てるのか!? しかしそうか……。それは楽しみだ。彼女の料理を食べるのも久しぶりだよ」

「それじゃあ、女の子たちはこちらの部屋へどうぞ。一刀くんのお嫁さんらしいから、こっちもウンとサービスしちゃうわよ」

 

 色々と新情報を得つつも、とある部屋の前で瑞姫や恵たちと別れ、なおも華佗の先導で通路を進む。

 

「着いたぞ、ここだ」

 

 華佗に促され部屋に入ると――

 

「あ~ら、ご主人様じゃないの!? お久しぶりねぇん! それでは、再会を祝して熱いチッスを!」

「させるか!」

 

 ルパンダイブばりに飛びかかってくる貂蝉を俺は回避した。

 

「も~う、ご主人様ったら相変わらずイ・ケ・ズねぇん! まあ、そういうところもス・テ・キなんだけど!

 とまあ、挨拶はこの辺にしておいて、私からご主人様に話しておきたかったことがあるのよ」

 

 気色悪くクネクネ動いたかと思えば、貂蝉は真面目ぶった顔でそんなことを言ってくる。

 

「ご主人様の認識としては、おそらく『三国志』という外史から元の世界へと戻ってきた、というところだと思うけど……どう?」

「どう? と訊かれてもな。そうとしか答えようがないだろ?」

「そこがまずご主人様の勘違いよ。結論から言えば、ここもまた『外史』なのよ。

 そうね。元々ご主人様がいた世界をAとしましょうか。そこと非常に似通った世界観を持つBという世界。その『AとBが融合したら』、『北郷一刀が外史から帰った後はどうなるのか?』……そんな想念の下に作られた新たな外史。そこがこの世界なのよ。

 大元は後者の方ね。成り立ちが成り立ち故に、世界はその想念に辻褄を合わせている。そして、外史なればこそ、この世界は星ちゃんたちを受け入れることもできている。まあ、元々が歴史に名を遺す英傑揃いということも大きいんでしょうけどね。愛紗ちゃんなんか『軍神』だし。

 華佗ちゃんはそれに巻き込まれちゃった形ね。華佗ちゃんもまた、『医聖』なんて大層な肩書を持っている人物であるのに違いはないわけだし。私や卑弥呼と一緒に行動していたってのもあるんでしょうけども。

 ご主人様には向こうでの経験や体験が色々とフィードバックされているでしょう? それも、外史なればこその特典よ。言わば、次回作に『強くてニューゲーム』状態で突入したわけね」

 

 貂蝉の言は、俺も想像したことがあるものだった。考えても分からないので流していたが、他ならぬ『管理者』の言で証明されてしまった形である。

 華佗の巻き込まれにも納得がいった。大元となる想念があって、そこに乗っかる形で桃香たちもこちらにやって来たわけだが、その結果として、同じく三国志に名を遺す華佗までもが引っ張られる形でこちらにやって来ることになってしまったわけだ。

 或いは、その『医聖』という肩書と貂蝉たちと共に行動していたという事実から、『管理者』として誤認されてしまった可能性もあるだろう。

 

「それで、そのご主人様の特典の中に一際強力なモノがあるのよ」

「強力なモノ?」

「ええ。その名も『英雄因子』。……向こうの世界で、ご主人様は龍を退治したことがあるでしょう? 龍退治はまさしく『英雄』の証明だもの。むしろ、『英雄の中の英雄』と言っても過言ではないくらいにね。

 その恩恵と影響を、否応なくご主人様も受け取っているのよ。龍は無条件に他者に従うを是とせず、むしろ他者を従える側と言ってもいい。従うにしても、その相手は極々限られる。その気質は、自らを仕留めた人物にも適用される。

 そりゃあね。自分を仕留めたほどの実力者が、誰かのいいように使われているなんて、仕留められた側にとっては堪ったもんじゃないわ。……それはご主人様も分かるでしょう?」

 

 その言葉には、俺も同意せざるを得ない。無言のままに頷いた。

 

「結果、今のご主人様は独占欲や支配欲求、支配されることへの反骨心なんかがだいぶ強化された状態にあるのよ。それでも、元々のご主人様の包容力が高すぎるからある程度は緩和されているけど、完全にとはいかないわ。

 その一方で、自らのモノと認めた相手を実際に支配していく――と言えば語弊があるけど、ご主人様に最適化させていくのは間違いないわね」

 

 その言葉にも頷かざるを得ない。

 実際、支配欲求やらの増大にも心当たりはある。相手次第ではあるが、割と鬼畜な真似もしているからな。真澄や知恵に対する仕打ちなど以前の俺からは考えられないし、段々と歯止めが利かなくなってきている自覚もある。……まあ、その一方で相手が喜んでいるのも事実だけど。

 最適化云々についても、分からないではない。共同生活をしているからそのせいだと思ってたが、改めてそう言われるとグループメンバーのエロに対する寛容さなど気になる部分はある。染まるのが早過ぎるのでないか? など。

 また、有栖と初セックスをした時にも、最適化されていると感じたのは確かだ。その時は、予め俺の気功による治療をした影響だと判断したが……。

 

「他にも影響はあるわ。竜殺しの英雄シグルズは、誰よりも賢くなり動物と会話することができるようになった。同じくジークフリートは、退治した竜の返り血を全身に浴びたことで鋼鉄の如く硬くなり、いかなる武器も通用しない不死身の体となった。……まあジークフリートの場合、背中に菩提樹の葉が一枚張り付いていたため、その部分のみ血を浴びることが叶わず、結局はそこが弱点となってしまったわけだけど。

 分かりやすいところを例として挙げたけど、ご主人様も欲求増大の他に、ある意味では『祝福』であり、ある意味では『呪縛』と言える特典を得ているのよん。

 一つは純粋な意味でのポテンシャルとステータスの大幅な強化ね。この外史が外史故に、元からある程度は強化されていたんだけど、龍殺しの影響でそれが大幅に引き上げられたわけ。……これにはご主人様も覚えがあるんじゃない?」

「ああ。目覚めた時点で、分かる筈のない中国語の会話ができるようになっていた。読み書きはともかく、向こうでは専ら日本語で会話してたんで不思議には思っていたんだが……。

 それ以外にも、いくら教師が良かったとはいえ、数ヶ月で数年の遅れを取り戻すどころか、更に数年分の先取りをするなんて、以前の俺では不可能だろう」

 

 貂蝉の問いかけに俺は答えた。疑問の最たるものでもあったから、すぐさま思い浮かべることができた。

 

「そしてもう一つ。こっちが本命ね」

 

 思わせぶりに貂蝉は言う。

 

「それは?」

 

 自然、俺もゴクリと息を呑んで問いかけた。

 

「ご主人様が自覚を持っている状態で真に望むなら、百発百中で相手の女の子を妊娠させることができるのよ。結果、長い目で見れば世界を自らの血で、優性遺伝子で埋め尽くすことも可能となるわ。龍の傲岸さと言うか、不遜さと言うか、誇り高さと言うか、それが表れた能力ね。

 まあ、即物的な面に目を向ければ、相手を妊娠させるかどうかを自分の意思でコントロールできるってわけ。ご主人様が少しでも、孕んでほしくない、と思えば、相手は必ず孕まないわけ。……やったわね、ご主人様! 細かいことを考えず、生の中出しがし放題になるわよ!」

 

 イイ笑顔を浮かべながら、グッと親指を立てて貂蝉が言ってきた。

 

「え? お前の言うことを疑うわけじゃないけど、マジで?」

「マジもマジ。大マジよ。……だって、ただでさえ『種馬』なご主人様のステータス・独占欲・支配欲求が上がっているのよ? 絶倫ぶりもその例に洩れないわけだし、そのうち欲求に負けて手当たり次第にズッコンバッコンヤっちゃう可能性は否定できないでしょ?

 基本、女の子相手には優しいご主人様ではあるけど、認定ラインより下の相手であれば、それが女の子であっても使い捨てにする――してしまう可能性が生まれちゃったからね。

 そのための、ある意味での安全弁の効果もあるわけよ。性奴隷扱いだろうと何だろうと、それがご主人様の役に立っているのであれば、決してご主人様は見捨てないからねん。

 本人の自覚が必要ということは、自覚がない状態だと妊娠させてしまう可能性もゼロじゃないってこと。逆に言えば、自覚さえ持たせてしまえば学生時での妊娠は間違いなく防ぐことができるってことだもの。外史肯定派の私としては、学生妊娠させてご主人様がフェードアウト、なんて展開は望んでいないのよん」

 

 なるほど、と頷かざるを得ない。

 確かに、伝承における『竜殺しの英雄』は、竜を倒したことで何らかの影響を受けている。例に出されたシグルズ然りジークフリート然りだ。

 生物の頂点にも数えられるのが竜であり龍だ。下位の生き物の言葉が分かるようになってもおかしくはないし、同じように頑健になってもおかしくはない。それと同様に、『血族増大』という観点で考えるのであれば、百発百中の妊娠もあり得ないではないだろう。何せ龍だ。それ位ならやってもおかしくはないと思わせる説得力がある。……まあ、無造作に増えるのもそれはそれで困るから、意識的に制限を掛けていたとするなら、安全弁的効果も分からないではない。

 その影響を受けたのだとしたら、俺もまたそうなってもおかしくはないのだろう。何度も言うが、やはり龍だからな。俺なんぞ及びもつかない英雄だって影響を受けるのだから、俺が防げる道理もない。

 また、ここが真に外史だとするのなら、外史の突端である俺のフェードアウトは、確かに貂蝉の望むところではない筈だ。

 参ったな、否定する要素が見付からない。……いやまあ、無理に否定する理由もないのだけど。

 よし、ここは素直に受け入れよう。チリツモでコンドームの出費だってバカにならないんだし、女の子たちが中出しを望んでいるのも事実だし、利点の方が明らかに多い。

 

「付け加えると、能力的にご主人様だけが突出しちゃうと、外史的にもそれはそれで問題もあるから、能力を底上げされている人たちは他にもいるわよん。素の能力やポテンシャルが高かったり、無意識に気功を使ったりねん。完全ランダムだから、誰と言うことはできないけども……」

「あ~、心当たりがあるわ。割と結構俺の周囲に固まってる。同級生の中には俺の気功が呼び水となって気功を発現した奴もいたし……」

 

 続く貂蝉の言葉にも、俺は心当たりがあった。だから素直に返しておく。

 

「あ~ら、そうなのん? やっぱり、少なからず『類とも』形式が適用されているのかしらねん? ……まあ、それはいいわ。

 私からの話はこれでお終いよん。一気に色々と詰め込んじゃったけど、機会がないから中々ねん。

 今後、他に何か伝えたいことができたら、三國の会員制ブログの方に情報を挙げるわねん。桃香ちゃんや蓮華ちゃん辺りから招待コードを受け取って登録して頂戴。招待主のランクが高ければ高いほど閲覧制限も掛かるから、より込み入った話もできるようになるのよん。

 ぶっちゃけると、そちらの学校のルールである『外部連絡の禁止』に抵触するのだけど、バレなければ問題は無いしねん。桃香ちゃんや蓮華ちゃんは御三家の直系だし、御三家ほどじゃなくても白蓮ちゃんだって重要な家柄だから、外部からでも意見を求められることはあるし。言わば『暗黙の了解』が成り立っているのよん」

 

 またもや新情報が出てきた。……三國の会員制ブログ。そんなものもあるのか。

 だがまあ、それもまた道理でもある。無いとは思うが、炎蓮さんと雪蓮が同時にポックリと逝ってしまった日には、必然として指揮を執るのは蓮華となる。

 それを、在学中だからと『学校の規則なので外部連絡は許可できません』とは言えないだろう。それで三國が致命的ダメージを受けた場合、政府も学校も責任を取ることなどできやしないからだ。

 しかし、表立って規則を曲げることはできない。それ故の『超法規的措置』であり『暗黙の了解』となるわけだ。

 そこに俺を混ぜ込んでも、バレなければ問題は無い、ということだ。

 三國の中枢、御三家であるからには、必然的にそのプロテクトも高くなる。そのやり取りの全てを部外者である学校に晒す筈はないし、学校側も求めないだろう。閲覧資格的には何段階か下、バレても構わない範囲のコードで招待している筈だ。

 故にこそ、直系のコードで俺が招待され、情報のやり取りを行ったとしても、学校側にそれがバレることもない。そういう寸法だ。

 

「色々とありがとう、貂蝉。おかげで助かったよ」

「良いってことよん! それじゃあ、学校生活を楽しんでねん!」

 

 貂蝉がグッと親指を立ててきたので、俺もまたグッとサムズアップして応えるのであった。     




漢女+αの登場回にして、一刀に対する説明回です。
これにより、一刀の知識が補完されました。
色々な自覚を促され、それを自覚したことにより、更に一刀が強化されました。
スペックそのものは変わりませんが、活かし方という点で、効果的かつ効率的になっています。簡単に言えば無駄が減りました。
また、自覚したことにより威風を帯び、より周囲に対する影響力なども上がっています。
それでも、影響力が上がったことに対する自覚がないため、完全ではありません。

『一刀の龍退治』は、数ある恋姫作品の中でも萌将伝でしか描かれていませんので、一刀や恋姫たちの記憶からはだいぶ薄れていました。
龍退治をしたことはうっすらと覚えていますが、基本的にはその程度です。
それが重大な影響を齎していたと知って、一刀自身もビックリです。
ただ、改めて説明をされると、それで納得してしまう程のインパクトが龍にはあります。
同時、話を聞くと『影響を受けている』と納得を受ける部分も多かったので、一刀も素直に受け入れました。

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