せっかくだからと言うか、ついでと言うか、言い訳と言うか、誤魔化しと言うか、とにかくそういった諸々の理由から、俺たちは色々と収穫しながら初期地点に戻っていった。
ジャージを利用すれば、暫定的に風呂敷代わりにはなるからな。俺は有栖を背負わなければならないために収穫数は限られるが、余分な荷物の無い星の方には幾分か余裕がある。
キュウリにトウモロコシ、各種果物など、とにかく雑に運んでも潰れることのない代物をチョイスする。トマトは捨てがたかったが、そういった理由から断念せざるを得なかった。
「子龍に北郷……と、坂柳。戻ったか」
初期地点には誰の姿もなかったが、少し離れた木陰から神崎が声を掛けてきた。
「おや、神崎殿ではありませぬか。私たちを待っていらしたので?」
「ああ。お前たちがどこまで行ったかも、どこから戻ってくるのかもこちらには見当が付かなかったんでな。
この炎天下で俺たちも初期地点に居続けるわけにはいかないから木陰の涼しい場所に移動したわけだが、それでお前たちと合流できなくなっては敵わんだろう? そういった理由で、取り敢えず各所に人手を分散して配置していたわけだ。
お前たちが動き出した後は、BクラスとDクラスで合流しているが、行動指針らしい行動指針は決まらないままだ。
と言うのも、AクラスとCクラスがそれぞれ交渉を希望してきてな。お前たちが初手から大多数のスポットを占有して回ったことで、他のクラスは一気に不利となっている。それを思えば無理のないことではあるが、肝心のスポット占有状況自体を留守の俺たちは知らないし、Aクラスで交渉を求めてきたのは仲謀勢力だけだ。
そういう事情もあって、判断を保留にしたままお前たちの戻りを待っていたわけだ」
なるほど。他のクラスが交渉を求めてくるのは想定内だったが、スポットの占有状況自体で有利不利は大きく異なる。どうせならよい良い条件で結びたいのが人情というもの。それを思えば、容易く判断を下すことはできないか……。
そこに関しては俺の落ち度だったな。最低許容条件くらいは伝えてから出立するべきだった。
まあ、反省事項はあるが、それはそれだ。せっかくなので貪らせてもらうとしよう。
「しかし、高円寺からの報告で分かっていたが、結構な収穫可能物があるみたいだな」
「ああ。取り敢えず、雑に運んでも潰れたりしない物を中心にしてチョイスしてきた。言わばスポットの占有特典だ。これも交渉では有利に運ぶだろう」
「確かにな。……寄越してくれ。俺の方で持とう」
神崎が手を差し出してきたので、素直に荷物持ちを任せることにする。
♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢
神崎の先導で辿り着いた先は、スポットの占有中に見付けた川辺だった。確かに、ここであれば『涼しさ』という点では申し分ない。
だが、現状においては然程機能しているようには見受けられなかった。何故かと言えば、単純に人数が多過ぎるからだ。
俺たちDクラスと同盟先のBクラスに加え、CクラスとAクラスの蓮華勢が一堂に揃っているのだ。普通に考えれば飽和していてもおかしくはない。
基本的にはクラス毎で纏まっているようだが、中央部にはクラス関係ない顔触れが揃っていた。清隆、白蓮、蓮華、龍園がいることを思えば、交渉に参加する者たちだろう。
「よお。ようやく戻ってきやがったか、北郷。ったく、随分と待たせてくれるもんだ」
その中から、龍園が舌打ち混じりに声を掛けてきた。
「そいつは悪かったな。だがまあ、これも今回の試験で勝つためだ。仕方ないだろう?」
「そう言われちまったら返す言葉はねえよ。……まあ、それはいい。交渉だ、北郷。
今回の試験、俺たちCクラスはリタイア戦術を取るつもりでいる。前情報通りに夏の海を満喫して、その後は揃ってリタイアし、優雅な船内生活ってな寸法だ。
だがな? 初手からどこかの誰かが海辺のスポットを占有してくれやがったせいで、満喫も何もねえ状態なんだよ。
んなわけで、テントが二つとトイレ二つ、それから50ポイント分までであればそちらの望む物資を提供してやる。その代わり、そっちの占有したスポットの使用許可を寄越せ」
なるほど、と思う。試験での勝利を目指さないのであれば、リタイア戦術も立派な戦法だ。何せこの試験においてはCPが下がることはないのだから。その代わりにCPが上がることもないが、クラス内における龍園の支配力は高まるだろう。
もっとも、それは龍園のセリフを言葉通りに受け取ればの話だ。
龍園は、全員揃って、とも、リーダー当てを狙わない、とも言っていない。ついでに言えば、そっちの占有したスポットの使用許可を寄越せ、ときた。果たして、龍園の言う『そっち』とはどこまでを指すのか? 海のスポットのみか? Dクラスが占有したスポット全てを指すのか? はたまたBクラスが占有したスポットも含めてのことか? そこが定かにはなっていない。
テントが一つ10ポイント、トイレが一つ20ポイントだ。それが二つずつだけでも結構な出費だ。それに加えて、更に50ポイント分も物資を提供してくれるという。普通に考えれば、この事実に心を躍らせない道理はなく、だからこそ残りのポイントも、満喫するために使うのだろう、と考えてしまいがちだ。
龍園の言葉には、所々に心理的な罠が張り巡らされている。
だが、それを差し引いた上でも、提供物資には心惹かれるものがある。
「ふむ……。取り敢えず、トイレ二つとテント二つと引き換えに海の使用許可は出そう。その他の点は、後でもう少し詳しく詰めようじゃないか?」
「……まあ、いいだろう。テントとトイレはここに用意するのでいいのか?」
「いや。万一を想定すると、ここにベースキャンプを構えるのは好ましくないからな。一週間となれば、どうしたって雨を警戒しないわけにはいかない。そんなわけで他の場所に頼む。
まあ、それだと場所の選定に時間が掛かりすぎるから、先に海で遊んでくれて構わないぞ。スポット特典も使ってくれて構わない」
「へいへい、そうかい。――おら、テメエら! 北郷から海とスポット占有特典の使用許可を取り付けてやったぞ! 海で遊びてえ奴は遊びに行け!」
Cクラスの方へと向き直った龍園は、自クラスの生徒に何とも恩着せがましく叫んだ。内容は間違っていないのだが、言葉の使い方で印象が大きく変わるいい例だ。
海のスポットが持つ占有範囲は中々に広いが、広範な海の全てを収めている筈もない。そのため、海で過ごすだけならば俺たちに交渉を持ちかける必要はない。占有エリア外の海を使えばいいだけなのだから。
ただ、スポット占有の有無は大きい。何故ならば、大なり小なりの占有特典が付いてくるからだ。川辺のスポットであれば、占有エリア内における川の使用許可、という具合に。
その中でも、海辺のスポットはある意味で最大手と言えるだろう。いわゆる『海の家』的な特典が付いてくるのだから。木造建築ではあるが屋根付きの寝床が確保できる、最低限の調理設備もある、シャワールームがある、着替え用の小屋がある、トイレがある、浮き輪を始めとした海で遊ぶための道具もあるとなれば、海を満喫するには十分に過ぎるだろう。あとはポイントを使って料理などの不足分を補えばいいだけだ。
占有したときは俺も有栖も驚いた。考えようによっては、学校の前情報――『リゾートで海を満喫』には偽りがなかったことを意味している。
そもそもからして交渉が失敗する可能性もあったので、対価を払っているとはいえ交渉を成功させ、更にはそれら占有特典の使用許可まで引っ張り出した龍園へのクラス内評価は高まるだろう。
同時に、それらをポンと貸し与えた俺の評価も。……反対に、これで俺を侮る奴も出てくるかもしれないが、そうなったらそれはそれ。遠慮なく侮りを利用させてもらうとしよう。
「さて。私たちの番とさせてもらっても構わないか?」
「ああ、構わねえよ。待たせちまったようですまねえな」
「構わんさ。先にDクラスを訪ねていたのはそちらだったからな。である以上、交渉を臨むのもそちらが先で然るべきだろう。
一刀。私たち――正確にはAクラス蓮華勢力がそちらに臨むのは、DクラスとBクラスが占有したスポット内での行動・使用許可だ。
とはいえ、私たちの一存で試験ポイントを使うことはできんのでな。代わりにPPを対価としようと思うがどうだ? 我が勢力は今月から二年生に上がるまでの間、毎月一人当たり1万PPをそちらに提供しようと思うが?」
なるほど、これまた根が真面目な蓮華らしい。
Aクラスの試験ポイントはAクラスの共有財産なので、蓮華の一存では使えないという判断か。同じ理由でリタイア戦術も使えない。
かといって、俺たちのスポット占有作戦により効果的なベースキャンプを確保できるかも分からないのが実情。
その状況で一週間を乗り切ろうと思えば、その手段は非常に限られる。だが、寝床の確保だけを目的にすれば、こちらの許可さえ得られれば容易となる。……そう、洞窟だ。雨風を防ぐに当たり、洞窟は天然の防波堤だ。
しかし、試験ポイントが使えないのであれば、蓮華たちに用意できる対価はPPだけだ。Aクラスなこともあり、今後ずっとならばともかく、二年生に上がるまでの間であれば、然程痛手にはならないという判断だろう。
「一人当たり2万PPだ。その代わり、水やある程度の食料品、仮設トイレ一つをそちらに提供しよう。……これでどうだ? どうせ洞窟での寝泊りを考えているんだろう?」
「お見通しか。今回の試験においては葛城が指揮を執ることになっているが、そちらの初動により、早々に見切りを付けざるを得なくなってしまったのでな。葛城派閥は今も無事なスポットを探し回っていることだろうが、到底期待はできん。ならば、私が優先すべきは私の派閥だ。
良いだろう。寝床となる洞窟だけでなく、水に食料、トイレまで提供されるなら言うことはない。一人当たり2万PPで手を打とう」
交渉は成立した。あとは正式に書面で締結するだけだ。今が八月なので、今月分を含めて八か月分はPPの臨時収入を得られることになる。Dクラスである俺たちにとっては非常にありがたい。
「白蓮、蓮華たちからPPが入ってきたら、そのうち5千PP分をそちらに流す。今回の作戦はそちらの協力あってのことだからな。とはいえ、五分の同盟でない以上、半々で分けるわけにはいかない。その点は理解してくれ」
「ああ、分かった。むしろ、こちらとしては分け前があるだけでも嬉しいよ」
「この試験の間、DクラスとBクラスは基本的に一緒に行動しよう。テントやらトイレやら食材確保の観点から見ても、その方が効率的で効果的だ」
「まあ、道理ではあるな。私たちの有利は、スポット占有の下に成り立っている。しかし、独力でのスポット大量占有は成り立たない。必然的にそちらと協力せざるを得ず、タイミングを合わせるためにも、そちらと行動するのは理に適っているだろう」
この後は、どこにベースキャンプを構えるか、龍園からの提供物資に何を希望するか、などといったことを話し合った。
現在地である川や、少し離れたところにある井戸の辺りも利点はあるが、同じようにデメリットもある。
川だが、飲み水と川魚の確保という点ではかなりの好立地だ。しかしその一方で、テントを構えるには問題ないが、雨が降った際に川が増水し溢れる危険性は否定できない。考えすぎと言われればそれまでだが、試験終了まで一週間もあるのだから、どうしても雨が降る可能性は考えなくてはならない。テントに籠れば雨を防ぐことはできるが、床下浸水してしまっては元も子もないのだ。
井戸の方は、心理的な意味で川以上に飲み水の確保が容易だ。だがその反面、テントを構えるスペースに余裕がない。一クラス分だけでも怪しいのに、二クラス分となると確実に不可能だ。
洞窟は蓮華たちへの提供を決めたので、元より候補には挙がらない。
その結果、滝の近辺にベースキャンプを構えることで決まった。
滝といっても瀑布というわけではないのだから、音もそれほど気にならない。滝下に水が溜まっているため、川や井戸と同様に水の確保が容易であるし、川以上に高低差がシッカリとしている。
俺たちは、ただでさえ無人島という不慣れな環境での生活を余儀なくされるのだ。ストレス低減も踏まえれば、できるだけ慣れた環境に近付ける必要がある。だが、どれだけポイントを使ったところで完全に叶う筈もない。
そういった状況で取捨選択を行っていけば、優先すべきは水と寝床の確保となる。
そんなわけで、滝の近辺にテントや仮設トイレが設置されていった。
♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢
「前以て言っておくと、Cクラスがリタイアした後は、俺たちのグループは海の家に拠点を移させてもらうからそのつもりで。無論、ベースキャンプはここのままだから、皆はこっちで過ごしてくれ」
「……なるほど。スポット占有のためだね?」
交渉が終わり、他クラスと別れたあと。
俺の言葉に対し、僅かに思案した平田が確認のために問いかけてきた。
「ああ。改めて言うまでもないだろうが、俺たちの有利はスポット占有の下に成り立っている。欠かさずの更新は必須だ。朝だろうと昼だろうと晩だろうと深夜だろうとな。加えて言うと、その量が量のため、どうしたってそちらを優先した動きをせざるを得ないんだよ。
この試験では集団生活を余儀なくされるが、その一方で試験のテーマは『自由』だ。点呼に参加すれば問題は無いとも言える。
それとも、無理に俺たちと一緒に生活して、食事から何からこっちのタイミングに合わせるか? 深夜帯に俺と有栖が動くことで寝ているところを起こされるのを是とするか? それができるんなら一緒に生活しても構わないが、普通に考えて無理だろう?
俺たちのグループと、それ以外の生徒での別行動・別生活。それが今回の試験における協力の方法だ。無論、日中の行き来は自由だし、海に遊びに来るのも自由だ。
言ってしまえば、俺のグループは『グループ』だからこそ俺の行動に付き合わせる形になるわけだ。食料確保やら調理やら、色々と補助を受けないことには占有行動もままならないのが事実だしな」
俺の説明に、クラスメイト達は返す言葉がないようだ。
感情的な反発は簡単だが、それでスポット占有の更新ができなくなってしまえば、現在の優位は途端に霧散する。水の使用も、豊富な食材も、全てはスポット占有の下に成立しているのだから。
それが失われてしまえば、その要因がとなった者が戦犯として叩かれるのは必定だろう。
「すまないが、そういうわけでBクラスからも星を始めとした何名かには俺たちのグループに付き合ってもらうことになる。
前提条件である『スポット大量占有』には星の協力も必須なんでな。必然、そちらからも星の補助役を出してもらわなければならない」
「なら――」
「なら、Bクラスからは北郷と同じ部活メイトである俺と白波、子龍との連携という点で伯珪と玄徳が向かおう。それから……姫野、お前も参加してくれ」
リーダーとして口を開こうとした白蓮を遮り、神崎が口を開いた。
遮られることになった白蓮だが、特に不満はない模様だ。神崎の人選と選択理由を考えれば妥当なものだからだろう。
だが、姫野? 誰だろうか?
「はあ、何で私が?」
Bクラスの中から、一人の女生徒が進み出る。どうやら彼女が姫野さんらしい。
姫野さんだが、神崎による突然の指名に激昂するでもなく、ダウナー気味に問い返した。……ダウナー気味ではあるが、中々にビジュアルは良い。クッ、こんな子がBクラスにいたとは!?
「個人的理由だ。『姫野、お前には俺に色々と協力してもらいたい』。
正直、クラス内の女子で俺と馬が合いそうな相手は非常に限られていてな。こういう言い方は我ながらどうかと思うが、感情的な女子というのは苦手なんだ」
神崎の奴、姫野という子に対して気功を使いやがった! しかしなるほど、神崎は気功を声に乗せて指向性を持たせることができるのか。いや、だからこそ朝比奈先輩の一件に繋がったと思えば不思議はないか……。
その内容は非常に漠然としている。しかし、漠然としているからこそ瞬間的な強制力は低いが、その分だけ長く作用するだろう。同時、漠然としているからこそ、受け入れやすい土壌がある。
同一対象への回数制限や重ね掛けについてなど分からない部分も多いが、現時点でここまで使いこなせるようになっていることが素直に驚きだ。軍神ブートキャンプ、恐るべし!
「本当に失礼だね、神崎くん。そりゃ、確かに私はダウナーだけどさ。……まあ、良いよ。分かった。協力してあげる。ただし、内容次第では断らせてもらうからね?」
「ああ、それで構わない。――リーダーである伯珪を連れていってしまう形になるが、正直に言えばいい機会だと思うんだ。どうにも、俺たちのクラスは『協調』を言い訳にしてリーダーに依存しがちな傾向があるからな。一之瀬の時は一之瀬に、そして現在は伯珪に……。
皆も、どことなく心当たりがあるんじゃないか?」
姫野さんの協力を取り付けた神崎は、そのままBクラスの生徒へ向かって言葉を続けた。
それに対し、Bクラスの面々はその多くが顔を俯けた。その態度こそが答えだろう。改めて指摘されることで自覚をした形か。
「一之瀬もそうだが、伯珪も普通に責任感が強いからな。まあ、『苦労人気質』と言い換えてもいいが、正直、このままだと潰れてしまいかねない恐れがある。
だからこそ、いい機会と思って伯珪とクラスを少しでも引き離すことで休ませたい。
たかが一週間。されど一週間だ。ここまで御膳立てされて、その上で伯珪に頼らないと試験を乗り切れないほど能力が低いわけじゃないだろう、Bクラスは?」
上手い言葉運びだ。基本、Aクラスには及ばずともBクラスは上位クラスなのだ。そこに在籍する生徒もそれは同じだ。だからこそ、相応の自尊心も持っていて然り。神崎の言い回しは、それを見事に擽った。
「おっしゃ! そうまで言われちまったら、その挑発に乗るしかねえだろ! 必要以上にリーダーに頼らなくたって、見事に乗り切ってやんよ!」
神崎の言葉に対し、真っ先に応えたのはBクラスの元気印、柴田だった。ガッツポーズを決めてクラスを鼓舞している。
「ああ。頼んだ、柴田」
「任せとけって! ――けど、そっちの方は男子の参加人数が少なくないか? 北郷に綾小路に幸村に、神崎を入れても四人だろ? どうしても勘繰っちまうんだけど、そこについてはどうなんだよ? なあ、神崎」
「御想像にお任せしよう。まあ、男手が少ないからこそ扱き使われるのは間違いないだろうが、だからこそ姫野を誘った次第でもある。これを利用して、少しでも距離を縮めたいのが本音ではあるな」
「な!? なに言ってんだ!? 神崎、このバカ!」
『ヒューヒュー!』
柴田に対する神崎の返答は、微笑を浮かべているからこそ何の照れもなく、ダウナーな姫野さんを激昂させることに繋がり、それによってBクラスの面々は二人を囃し立てるのであった。
原作において、川のスポットエリア内にて川を使用できるのは、川のスポットを占有したクラスのみとされています。
その一方、AクラスとDクラスによるトウモロコシの場面では、そこら辺の説明がありません。
このことから、本作ではスポット占有特典として得られる物資、スポット占有に関係なく得られる物資が存在することにしています。
後者に関しては、スポットエリア外に位置する形ですね。そりゃあ、島としては小さくとも、人にとっては十分に広い島なんですから、所々そういう部分もあるでしょう。
また、好立地のスポットを占有できなかったクラスに対する救済措置でもあります。
ただ後者の場合、占有に関係なく得られるということもあって、発見されれば多数のクラスから狙われやすいという土壌もあります。
海辺のスポット特典である『海の家』は本作の独自設定ですが、学校側の生徒たちに対する事前の謳い文句から用意した次第でもあります。
島を隅々まで探せば、キチンとペンションもある設定です。単に発見できていないだけですね。
色々と騙しはしますが、完全な嘘はついていない、というのが本作における高度育成高等学校のスタンスです。
夏の海を満喫できると言ったら、やり方次第で満喫はできます。
ペンションがあると言ったら、確かにペンションはあるんです。
Cクラスは原作通りのリタイア戦術ですが、ある意味では非常に理に適っています。
どれだけポイントを節約して、スポット占有を繰り広げたところで、リーダー当て次第で一気に無に帰すわけですから。
楽しむだけ楽しんで、あとはリーダー当てに挑戦すれば、プラスかゼロしかありません。
ポイントを残した他クラスに比べれば、非常に気楽に挑戦できます。
ただ、一刀に海辺のスポットを先んじて占有されたことで、過程が少々ズレました。
まあ、ズレはしましたが、誤差の範囲と言えば誤差の範囲です。
次話で補填しますが、一刀たちの行動により、Aクラスは一気に思惑が崩れた形です。その結果、蓮華は自分の勢力で独自行動に移らざるを得ませんでした。
その結果が、PPを対価とした交渉です。
一刀は提示された値段を吊り上げていますが、Bクラスへの対価も考えてのことです。
如何に従属関係とはいえ、星の協力を得てのスポット大量占有なわけですから、協力の対価は払わなければなりません。
それ故に、蓮華の提案は渡りに船でもありました。これであれば、Dクラスには痛手がありませんから。
結果として値段を吊り上げ、その代価に、試験ポイントを自由に使えない蓮華のためにトイレと食料の提供を約束したわけですね。
このトイレも、龍園から提供される物を回せば、やはりDクラスに痛手はありません。
一万で寝床の確保だけと、二万で寝床+食料+トイレであれば、余裕があるなら後者を選ぶでしょう。
対価を寄越さないのであれば拒否の一択ですが、キチンと対価を用意するのであれば、個人かクラスにかはともかく、双方にWinーWinとなる形を目指すのが一刀のスタンスです。
神崎もこの機会を利用して動きました。
なずな、愛紗、楓花との付き合いが増えたことで、二年の事情にも詳しくなっています。それにより、自分の所属するクラスに危機感を抱かざるを得なくなった形です。
神崎にしてみれば、自分たちのクラスがリーダーに依存しているようにしか思えてならなくなりました。
そのための、クラスに対する注意喚起であり、改革行動の第一歩です。
それと並行して、自分のパートナーとして姫野に白羽の矢を立てました。
帆波がクラスからいなくなった現状、一番馬が合いそうなのは白蓮なのですが、彼女は一刀のハーレムメンバーですから除外せざるを得ません。
それ故の消去法ではありますが、そもそもにしてパートナー候補が少ないという事情もあります。
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