※この作品はR-18です。

NTRevenge   作:ナルミャ

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リベンジャー

薄暗い森の中。川のせせらぎ、木々のざわめきの中、聞きなれない音が響き渡る。

 

虫の音ではない。獣の鳴き声とは違った、甲高く、そして雄の本能を刺激するような声だった。

 

「あっあっあっ……ン♡」

 

その声が聞こえてから気づいた、声と共に、何かたたきつけるような音がリズミカルに鳴っているのを。

 

そこに向かって、僕は静かに、ひたすら息を殺して歩を進める。

そっと、そっと。近づくたびに大きくなる鼓動の音すら消して、茂みの向こうに隠された秘密を暴くために、枝を踏み抜き獣が逃げ出さずに気を付けるほどの細心の注意を払って、瞬き一つせず、ひらすら真っすぐに進み続ける。

 

「ああああああ♡♡♡」

 

その姿をこの目で見ることができるようになったと同時、女性の声がひときわ大きく木々の隙間を駆け巡った。

 

「へっへっへ。どうだよ俺のチ○ポはよぉ」

「は、はい。とっても気持ちよかったですぅ」

 

二人の男女が、森の中で一つに繋がっていた。

とろんと崩れた顔からでもわかる。顔の整った、優しそうな女性だった。

それに対して、下卑た笑みを浮かべる、一目ではっきりとわかるほど、女性とは一回りも小柄な男がいた。

 

後ろから男が自分のモノを突き入れながら、女性のしっとりとした大きな尻を乱雑に叩く。

 

「オイ! まだ休む時間じゃねえぞ! こっちはまだまだ体力があり余ってんだ!」

「あ! あん! はい! ごめんなさい!」

 

男が腰を深く突き上げ、女性の腰を浮かせる。

振るう腰の前後に合わせて、女性も体を少しずつ動かしていく。

 

「あ……おねえ……ちゃん」

 

僕の口から、無意識を声が漏れる。

絞り出すような声は、しかして夜の闇にかき消された。

 

僕は彼女のことを姉と呼んだが、血が繋がってはおらず、義理の関係というわけでもない。

ただ、家が隣同士で、小さい頃からずっと一緒にいた関係である。

僕の同年代の誰でもわかるほどの美人な人で、道行く人は皆、彼女をチラッと目で追いかけていた。

 

そのような女性がずっと傍にいたのだから、当然、恋心を抱かないわけがない。

その意味もわからないまま「結婚する!」と言い続けては、彼女には笑って誤魔化されてきた。

 

「あああぁぁぁぁぁ! もっと! もっとほしいです!」

「ようやく素直になったな。お望み通りにしてやるよ!」

 

そんな彼女が、今、他の男に好きなようにされている。

 

しかも、他でもない、僕をいじめている同級生によって。

 

「う、うぅぅぅ……」

 

そんな淫らな、到底受け入れられない光景を見て、僕は、僕は...

 

----------

 

僕の名前は尾音おね徹とおる。今年で○学○年になる。○歳の男です。

 

そして僕の隣にいるのが、根虎ねとら 礼れいさん。今年で○校○年になる、僕の家と隣の家に住んでいるお姉ちゃん。

そして、僕の初恋の人...

 

「徹くん。どうしたのボーっとして」

 

少し屈んで、僕の顔を見るお姉ちゃん。長い髪をかき上げながら僕の様子を伺う。

そして、お姉ちゃんの同学年の間でも大きい方に位置する(と僕の学校では噂されている)その胸が僕の視界に入ってしまう。

そろそろ性というものを理解してきた僕にとっては、なかなかに刺激が強いです。

それも、それを見逃してしまう男性はいないほどの、美しい顔の女性のものであればなおさらです。

 

「いや、なんでもないよ。気にしないで」

 

真っ赤になる前に咄嗟に両腕で顔を隠す。気づかれなかったでしょうか...。

 

今はお姉ちゃんと一緒に登校している最中です。

家が隣だからというのもあるけど、なにより僕がお姉ちゃんと一緒に学校に行きたいから、ちょっと早めに家の前で待って、いつも一緒に学校に行けるようにしています。

 

そして、道行く男性が、いつも隣にいるお姉ちゃんを横目で見る姿を眺めるのも。この登校が楽しみな理由の一つです。

 

誰もがその目に焼き付けたいと思う。そんな存在の近くにいることが唯一許される。そんな優越感、全能感に浸れる場所に立っている。最初はお姉ちゃんが好きだったからという気持ちしかなかったのですが、いつの間にか、この感覚が僕の心の中に入り込んでしまいました。

 

「さ、もうすぐ学校に着くよ。お友達と一緒に勉強がんばってねっ」

「……うん。わかった」

 

思えば、このどす黒い気持ちが入ってきてしまったのは、アイツが僕をいじめてからだった。

 

ざわざわと、クラスメイトの雑談の声が部屋を覆っている中、さらに大きな音が響き渡った。

さっとクラスメイトたちが僕の方を向く。机に向かって突き飛ばされ、あわや大惨事となるところをなんとか受け身を取った僕を。

 

「あひゃひゃ。良い音でたんじゃねえの? 100点!」

「いやいや、今のは倒れ方がよくなかった。もうちょっと点数は下だと思う」

 

みんなが驚いて僕を見る中、一部の集団だけは、僕をあざ笑っていた。

 

ぽっちゃりとした体形の坊主頭のこの男が、今、僕を倒した犯人であり、その集団のリーダーである。

僕を見て笑う奴らの中でも、顔を皺だらけにしながらさらに醜く笑みを浮かべる男がこいつだ。

 

相手は複数人おり、一番憎たらしい奴とは体格でも敵わない。

だから、今の僕には、目の前の人間を睨みつけることしかできなかった。

 

「あーん? なんだよその目は」

 

集団の一人が、僕が睨むのを目ざとく見つけた。

 

----------

 

「うぅ、ずずっ」

 

涙をなんとかこらえ、代わりに垂れる鼻水をすすりながら、僕は家に帰っていた。

お姉ちゃんは時間が合わず、帰りだけは別々になっている。

本当は帰りも一緒にいたいが、こんな恥ずかしい姿を見せなくて済むのなら、ある意味よかったのかもしれない。

 

やつら、格下をいじめるような頭の悪さに対して、変なところでずる賢い。

殴る蹴るは服の下に見えないところに対してのみで、先生が来るのに気付けばすぐに取りやめて、そそくさと自分たちの席に戻っている。

他のクラスメイトは彼らをおそれ、見て見ぬふりをし続けている。

現場を見た人を除き、学校でも誰にも気づかれないのだから、下校中の傍から見た僕の姿は、ただ意味もわからず泣いている子供にしか見えないだろう。

 

あいつらが僕をいじめるようになったのは、僕がお姉ちゃんと一緒に登校しているのを見た時からだった。

小さい子でさえ見とれる女性である。さらに上の年代が、しかも見知った同級生と一緒にいるのをみた時、言葉にならない嫉妬心にさいなまれるだろう。その気持ちは、理解できないまでもない。

 

だからこそ、その座を奪おうと、一部の暴力的な人間が行動を起こした。

運動もろくにできない。線の細い男である。やりやすい相手だからこそ、その日のうちに、僕はいじめの対象になった。

 

それから、かれこれ 1、2 年は経っているが、僕はいまだに音を上げていない。

大好きなお姉ちゃんと一緒にいるために、あの男たちかをお姉ちゃんに近づけさせないために。

 

それでもやはり、痛いものは痛いので、体を震わせながら、僕は家に帰っているのだった。

 

「おっと」

 

悔しさをこらえる顔を誰にも見られないように歩いているせいで、目の前に人がいるのに気付かず、正面からぶつかってしまった。

「ごめんなさい」と謝罪を口にしながら前を見る。

 

「いいよ。ちょっとぶつかっただけだし」

 

「それより、君の方こそ大丈夫?」

 

明るくて、それでいて掴みどころのない人。というのが彼の第一印象でした。

 

「いえ、大丈夫です」

「嘘。なんか隠してる。お兄さんそういうのわかっちゃうよ~」

 

顔をにやけさせながら、さっと隣に移動して肩を組む。おそろしく距離感の近い人でした。

 

「いいからさ。ちょっとそこで話そうよ」

「知らない人には着いていっちゃダメってお母さんが」

「そんな顔で帰ったら心配しちゃうでしょ。だからさ、お願い。先っちょだけ!」

「先っちょって何ですか?」

 

丹精な顔をしていて、全身から自信というものがほとばしっているような感じ。

顎鬚を生やしたら僕もあんな感じになるのかな。と思いながら、まんまと彼の口車に乗せられ、近くの公園に連れていかれていまいました。

 

それから、ボソッと、少しずつ今まであったことを彼に伝えました。

家が隣の美人のお姉ちゃんがいること、それに嫉妬した同級生にいじめられていること。

「うんうん」と、うつむく僕にもわかるように頷きながら、彼は僕の話を最後まで聞いてくれました。

 

「どの時代になっても、そんな人間はいるのね」

「そんなことをして隣を奪っても、お姉ちゃんを悲しませるだけなのに。あいつらはそんなことも考えない」

「オレならそんな思いさせないのに」

「僕の味方してくれるんじゃないんですか?」

 

新しい恋敵を作ってしまうだけだった。そういえば、恋愛において、僕の周りに味方はいないのであった。

 

「ちょっと冗談じゃな~い。勘違いしないでよ~」

 

彼はそう言って僕に抱き着いて、乱暴に僕の頭を撫でまわした。

 

「でもさぁ、そうやっていじけてたら、オレが何もしてなくても、いつか他の誰かに取られちゃうよ」

「そんなことない! 僕はずっとお姉ちゃんと一緒にいるんだ!」

「今は一緒にいないじゃないか。授業が終わって、自由な時間が使えるようになったところからが本番だぜ。一緒に帰って、寄り道しながらデートして、少しずつ関係を深めていくんだよ……」

 

言いながら、彼は段々と自分の世界に入っていく。何を考えているのだろうか、自分で自分を抱きしめながらぶつぶつとよくわからないことを呟き始めた。

「そうして最後にはお互いの手を繋いで――」と聞こえたところで、僕は彼を無視することにした。

 

そんなこと言っても、どうすれば良いんだっていうんだ。

わざわざ家から反対方向の学校まで行く。しかもお姉ちゃんに会うためだけに。

登校の時だけは、行先が途中まで同じだからという口実がある。だけど、帰りは違う。そんな僕を、帰りを見たクラスメイトや、お姉ちゃんの学校にいる人たちが見たらどう思うだろうか。

しかも、クラスメイトのいじめっ子に暴力を振るわれた後に会うのである。怪我は服の下に隠れてはいるが、痛みに耐える僕の顔を見れば、お姉ちゃんは気づいてしまうかもしれない。周りの目以上に、お姉ちゃんにそんな姿を見せられてしまうのは、僕にとってはいじめられる以上の屈辱だった。

 

「あー泣くな泣くな」

「泣いてない」

 

今度はちゃんと彼の目を見る。だけど、涙をこらえるために、ぐっと目を閉じているせいで、彼がどんな顔をしているのかわからない。

それでも、じっと顔を見ていたら、「別にキミのことを否定したいわけじゃないんだ」と言いながら、また僕の頭を撫でた。

 

「好きな女の前ではかっこつけたいんだろ?」

 

彼がどんな表情をしているかわかるほど、ぐっと顔を近づけてきた。

そしてその目は、透き通って、そしてどこか、僕以外の誰かを見ているようだった。

 

「お兄さんもその気持ちわかるぜ。女の前でかっこ悪いとこ見せたくなくて、勝手に自分の殻の中に閉じこもってしまう」

 

「でも、そうやってウジウジしている間に、目の前にいる女が別の誰かに取られてしまう」

 

そう言って彼は僕から目を離し、今度は高く空を見上げました。

 

「男にだって、当然かっこつける時がある。だがな、女にアタック仕掛ける時は、かっこつけちゃダメなんだよ」

「かっこつけたらダメ……」

「ああ。かっこつけて、失敗するとこを見せたくないと思ってしまう。それじゃあ一歩も動けない。それこそわき目を振らず、ガキみたいに何百回もアタックして、何百回も失敗して、それでやっと掴めるんだ。女っていうのは」

 

間をおいて、「それを理解するまでに、時間をかけすぎてしまったけどね」と言って、彼はじっとして、風を浴びていました。

そうして、僕はなんとなくだけど、わかりました。彼が僕に話しかけたのは、きっと、自分の姿を僕に重ねたからです。

恥ずかしがって、言い訳ができる時にだけ行動して、結果、失敗してしまう。そんな時が、こんな自身ありげに見える人にも、あったのでした。

 

「よし、思い立ったが吉日だ。今! 早く! 行動!」

 

そういって、張り手をして僕の背中を押す。

学校の時とは違う、どこか温かみのある押し方でした。

 

その後、僕は急いでお姉ちゃんのいる学校へ走りました。

家に帰る時間は知っており、徒歩の時間を考えると、まだ学校にいるはず。

そうして学校にたどり着き、運良くお姉ちゃんを見つけた時。

 

今一番いてほしくない男が、お姉ちゃんの隣と一緒にどこかへ歩いてた。

 

----------

 

嘘だ! 嘘だ!

心の中で叫びながら、僕は二人の後ろを追いかけていった。

住宅街、商店街を通り抜け、だんだんと人通りの少ないところへと歩いていく。その道中、二人が何かを楽しそうに談笑していたり、アイツが何度かお姉ちゃんに触れて、お姉ちゃんはそれを受け入れている。そんな姿を、僕はただ後ろから眺めていることしかできませんでした。

そうして、暮れの手前に差し掛かったころに、二人は山の森の中に消えていきました。

 

「まずい!」

 

森の中は暗く、二人はとたんに姿を消し、僕は二人を見失ってしまいました。

焦った僕はすぐに森の中に入り、がむしゃらに前に進み続けてました。

結果、僕は二人を見つけられないまま、森の中をさまようことになりました。

 

前もろくに見えず、不気味な音があたりにこだまする。森の中特有の異様な湿気が、僕の焦りと合わさって、不快感が増長していく。早くここから抜け出してしまいたい。そんな考えがよぎるが、しかし、帰り道がどこにあるのかなど、まったく見当がつかなかった。ましてや、今は二人を追いかけている最中である。早く二人の居場所を突き止めなければ。そんな思いが、今の僕を、この不安定な土の上に立たせていた。

 

とにかく、坂を下っていこう。そうすれば人がいるところにたどりつくはずだし、お姉ちゃんがアイツをわざわざ森の深いところに連れていくはずがない。

半ば願望にも近い期待をもって、僕は歩き始めた。

 

こうして、ほとんど何も見えない状態だと、考える量が増えてくる。

なんでお姉ちゃんがアイツと一緒にいたのか、道中何を話していたのか、なんでアイツに体を許しているのか。答えのない疑問がぐるぐると回っていく。

思考が何巡がしたあと、ふと気づいた。そういえば、こうして何かに必死になるのは久しぶりではないかと。

以前は、そう、お姉ちゃんと付き合いたい、彼氏になりたいという気持ちでいっぱいで、必死に告白を繰り返していた。いつも笑って誤魔化されても、何度も、何度も言い続けていた。

アイツらが僕をいじめ始めたのも、そういえば、目の前で「好き」と言っていたからだったと思う。

 

「恥ずかしいな」

 

そうして、いつの間にか心に蓋をして、ただじっとお姉ちゃんの傍にいつづけるだけになってしまっていた。

 

そうだ。あの人の言う通り。

恥ずかしがって、口に出さないことをかっこよさだと思い込んで、そうして、何もアクションを起こさないまま、年月だけ過ぎていった。

お姉ちゃんと付き合える可能性があるとすれば、間違いなく今の僕ではなく、過去のかっこ悪い僕の方だ。

 

早くお姉ちゃんを見つけないと。気持ちを新たに、僕は耳をすませて、気配をさぐることにした。

車の音が聞こえれば、道路に近いはずだし、人の声や歩く音がすれば、声をかけて助けてもらえばいい。

集中していると、ふと、遠くから声がするのに気付いた。

急いでそこに向かって走り出す。だけど、行先は木々で塞がれており、怪我をしないように注意しながら抜けていくしかなった。

 

運がいいことに、それのおかげで、僕は二人に気づかれずに近づくことができた。

とんでもなく大きな不幸の、ほんのささいな幸いだった。

 

----------

 

そして、話は冒頭に戻る。

 

僕の気持ちも知らずに、二人は行為を再開した。

 

ぱちゅ、ぱちゅと音が鳴り、お姉ちゃんの股から水(愛液というらしい)が際限なく垂れる。

いつの間にか夜目に慣れ、薄暗がりの中で、彼女の恍惚とした表情がはっきりと見えた。

 

「ほらほらぁ! 気持ちいいだろ!? もっとしたいだろ!?」

「はいぃ、気持ちいです!」

 

言葉からでも、嫌でも理解させられてしまう、お姉ちゃんはもう、アイツのものになってしまったんだ。

 

「だったらさぁ、もう俺のものになっちゃうことで決定でいいよなぁ!」

「っ! そ、それは……」

 

肯定せず、お姉ちゃんは言い淀んだ。

 

「なんだよ! なんで言わねぇんだよ!」

「あっ、あん! あああああ♡」

 

それに起こったアイツは腰の振りを強め、お姉ちゃんの中に深く突き入れた。

 

もしかして、お姉ちゃんは本当は嫌々やらされているんじゃないか?

 

その考えを即座に否定する。

だって、道中だって楽しそうに話していたし、体を触られるのを嫌がってはいなかった。

本当に嫌だったら、そこで何かしら拒否反応を示すはずだし、そもそも、体を許すことなんてあるはずがない。

 

少なくとも、二人は付き合ってはいないようである。だが、体の関係ではある。

どうすればいいかわからない。

 

本当は嫌がっているのではないか。止めた方がいいのではないか。僕にとって都合のいい考えが浮かぶとともに、それを否定してしまう。

だって、もし行動を起こせば、僕とお姉ちゃんの関係は確実に変わってしまう。それも、可能性として、最悪な方向に。

だから、今、非常に恐ろしい。

 

「どうしたら、どうしたらいいんだっ」

 

声に出しても、誰に届くわけでもない。返ってくるのは、残酷にも彼女の気持ちよさに悶える声だけであった。

そうして悩んでいる間にも、時間は過ぎていく。

 

「愛液こんなに垂らして、中をキュッと締めて、俺のチ○ポ離さないようにキツくしているのは誰だよ!?」

「私です! おま○こに深いとこまで出し入れされて、気持ちよくて、まともに話せなくて、抜かれそうになった時に、無意識におま○こから離れないようにしてるの、私です!」

「そうだよなぁもう忘れられないよなぁ。だからもう諦めて俺のオンナになれよぉ」

「ああああああああああぁぁぁぁぁ……♡♡♡」

 

そうしている間にも、彼女は快楽に身を任せていく。このままだと取り返しのつかないことになる。

 

――女にアタック仕掛ける時は、かっこつけちゃダメなんだよ

 

ふと、ついさっき会ったばかりのお兄さんの言葉を思い出した。

 

----------

 

「今すぐお姉ちゃんから離れろ!」

「あぁん。なんだぁ?」

「その声、徹くん!?」

 

油断している間に、アイツをお姉ちゃんから突き放す。

僕の存在に気づいたお姉ちゃんは、自分の体を咄嗟に隠した。

 

「無理矢理お姉ちゃんを襲いやがって! 許さないぞ!」

「何言ってんだ、これはコイツが望んでやってることだぞ。俺たちはソーシソーアイだぞ」

 

いつもは頭にすぐ血が上るやつなのに、今は不自然はほど冷静だった。その余裕のある立ち居振る舞いに、勘違いしてしまいそうになる。

 

「ふざけるな。自分のものになれってずっと言い続けてたけど、お姉ちゃんはずっと肯定していなかったぞ!」

「徹くん、まさか……」

「ずっと見てたのかよ。キッモ」

 

感情に任せた結果、「あ、終わったな」と、僕の中の冷静な部分がつぶやいた。

でも、走り出したからには、もう止まらない。

何故アイツと一緒にこんなことをしているのか、お姉ちゃんに問いかけた。でも、お姉ちゃんからの答えはなく沈黙が続いた。

それでもいい。大体、予想はついている。

 

「脅されてたんだよね。お姉ちゃん」

「ちげーよ。大体こいつの弱みなんて持ってないぞ」

「僕のことだろ?」

 

押し黙る。やっぱり図星だったみたいだ。

 

「僕へのいじめをやめる代わりに言うことを聞けとか、そんなところだろ?」

「だからどうした? 体はもう俺のモノだ。お前に指図される筋合いはない」

 

「そうだよ徹くん。私のことは良いの。だから、もう、帰って」

 

ずっと黙っていたお姉ちゃんの言葉は、僕を突き放す言葉だった。

それを聞いて、ちょっと悲しくなってしまうし、顔がすごく赤くなってしまったけど、それでも今回ばかりは、お姉ちゃんの言うことは聞けなかった。

 

「いやだ! 僕のせいでこんなことされてるなんて、ましてや、それを見逃して帰れなんて、僕にはできない!」

「なんで、これで徹くんはいじめられなくなるんだよ? これからは安心して学校に行けるよ?」

 

「それは、僕がお姉ちゃんのことが好きだからだあああああああ!!!」

 

ずっと蓋をしていた、体の奥底にある感情がついにあふれた。

 

「好きな女の子が嫌な思いをしていて、それを無視してのうのうと学校にいける、日常を過ごせる男なんていない! 大好きなお姉ちゃんと一緒に、笑って学校に行けなくなる日が来るなんて耐えられない!」

 

お姉ちゃんの頬が赤くなったが、おそらく僕の顔はそれ以上に赤くなっているだろう。

だけど、不思議と嫌な気分は消えていた。

僕はアイツに向き直り、指をさして叫んだ。

 

「お前といたらお姉ちゃんは幸せにならない! いや、そもそもお姉ちゃんは僕が幸せにする。だからお前なんかにお姉ちゃんは渡さない!」

「ほざいてろザコ! 礼は俺のものだ! ずっと俺の性欲処理担当として使い続けるんだよぉ」

 

お互いに宣言して、拳を握って振りかぶる。

当然、暴力を受けるだけだった僕がアイツに勝るはずもなく、僕より先に、アイツの拳が届くのが早かった。

 

 

 

 

だけど、殴られる手前のところで、別の誰かが間に割って入った。

 

「了解いたしました。それでは勝負を始めさせていただきます」

 

----------

 

すんでのところで、お互いの拳を受け止めたのは、知らない女の人だった。

お姉ちゃんに負けず劣らずの、どちらかといえば綺麗寄りの顔をしていた。

 

「だ、誰だよお前は!?」

「私はこれよりこの勝負の審判を務めさせていただきます、相田あいだと申します。」

 

その場にいる全員が、彼女の言っていることの意味がわからなかった。

 

「改めてお伝えさせていただきます。両者は一人の女を取り合うことにし、お互いにそれを了承しました。よって、これより賞品を勝ち取るためのゲームを開始いたします」

「げ、ゲーム……?」

「ルールは簡単です。お互いに賞品である女性と性行為を行い、より気持ちよくさせた方の勝ちとなります」

「えぇ……」

 

珍しくお姉ちゃんがどん引いている。それはそうだろう。二人の男とシて、どっちが気持ちいいか決めろと言われているのだから。

 

「だからそのオンナは俺のモノだって言ってるだろ!? 横からよくわかんねえこと言ってんじゃねえよ!」

「それは承知しております。だからこそ、挑戦者である彼が、あなたから賞品である彼女を奪うのです」

 

そして、いつの間にか目の前に大きなベッドが置かれていた。

 

「彼からの挑戦を、あなたは拳でもって応えた。よって勝負を了承したとみなし、これよりゲームを開始いたします」

「だから勝手なこと言ってんじゃ……」

「おやめなさい」

 

つかみかかろうとしたアイツは、相田さんに手によって難なく殴りとばされた。

 

「これは古くよりこの町で行われてきた伝統的な勝負になります。勝負を受けた以上、後から待ったや止めをかけることは不可能でございます」

 

そう言って、審判は倒れた男をひょいと捕まえて、ベッドに放り投げる。

 

「それではルール説明をさせていただきます。今回はお二方とも初めてのゲームになりますので、スタンダードルールで行わせていただきます」

 

●スタンダードルール

【流れ】

1. 先行、後攻があり、先行から賞品に対して性行為を開始する

2. 性行為の時間は 1 ターン 5 分。先行 1 ターン、後攻 2 ターン、先行 3 ターンとターンが進む

3. 先行のターン中、後攻は先行の性行為の妨害をしてはならない

4. 後攻のターン中、先行は後攻の性行為の妨害をしてはならない

5. プレイヤーはこれを最低 6 ターンは行わなければならない

 

【先行、後攻の決め方】

ゲーム開始の宣言と同時にコンドームを装着し、より早くコンドームを装着できた方が先行となる。

ただし、めくり足りず、途中までしかコンドームを賞着できなかった、コンドームが破れているなどの不備がある場合は、最初からコンドームを装着し直す必要がある。

 

【勝利条件】

賞品をより気持ちよくさせた方の勝利。

 

【勝敗のジャッジ】

勝敗のジャッジは賞品が行う。ただし、ジャッジは 6 ターン目以内に宣言はできない。

 

【禁止事項】

・審判への暴力行為

・賞品への許可されていない暴力行為

・プレイヤー以外の人間のヘルプ、および妨害行為

 

「以上になります」

 

わけもわからないまま、ただ淡々と進行していく。

今度はピンク色の淡いランプが取り付けられていた。光がベッドを照らすその光景があまりにもエッチで、思わず顔を逸らしてしまった。

ベッドの上で伸びているアイツがいなければもっと良かったのに。

 

「なに聞こえないフリをしているのですが、さっさと起きなさい」

 

パシィンと尻を叩かれる音とともに、アイツが起き上がる。

 

「今お渡ししたコンドームを先に装着した者が先行でございます。それでは準備はよろしいですね?」

「コンドームの装着? ってどうすればいいですか」

「……これは失礼いたしました」

 

一度、ルールの整理と一緒に、コンドームの着け方を教えてもらった。

 

「それでは仕切り直して、よろしいですね?」

「わかりました」

「へへっ。いいぜ」

 

「えっえっ。待って、まだ私はなんのことだか――」

「それでは両者、寝取り合ってください」

 

「はじめ!」

 

尾音 徹

s e X

坊主頭

 

----------

 

アイツから先に性行為をすることになってしまった。

 

「へっ、何はともあれ、要はコイツを気持ちよくしたらいいんだろ? だったら簡単だぜ」(先行:坊主頭)

「くそ!」(後攻:徹)

「ちょっとまって私まだよくわかってなお"お"お"お"お"お"お"ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ♡」

 

順番が決まった瞬間、アイツは即座にお姉ちゃんに挿入する。まだ混乱していたお姉ちゃんも、アイツのち○こを突き入れられたらすぐに声を上げて喜んでしまっていた。

 

「イッてしまいましたね」

「行く?」

「絶頂、オーガズムとも言います。性行為やその他性感帯の刺激による快感が一定に達した時に起こるものです。イかせることが、女性を気持ちよくさせたことの指標となります」

「そっか……」

 

つまり、さっき除いていた時も、アイツはお姉ちゃんを気持ちよくしていたということになる。

アイツはずっとお姉ちゃんをイかせてきたが、僕はというと、そういう経験をしたすら、いままで一度もない。まともに勝負をしていれば僕の方が圧倒的に分が悪い。

 

「というか、それを教えることっでダメなんじゃ」

「おや、よく気づきましたね。ですが先ほどのはルールを説明することと相違ありません。前提の知識がなければ、ゲームは成り立ちませんから」

「そっか、ありがとうございます」

「当然のことをしたまでです」

 

相田さんと会話をしているうちに、タイマーが鳴った。アイツは名残惜しそうにお姉ちゃんに抱き着いて押しを押し付けているが、相田さんに引き合がされてしまった。

 

「お姉ちゃん……」

「と、徹くん」

 

そしで僕の番になったが、僕はお姉ちゃんとすぐ行為にはおよばず、息を荒くしながら仰向けに倒れているお姉ちゃんを見た。髪は乱れ、あたりからいやらしい匂いをまとっている。体中が汗だらになっているからだと思うが、それは勝負の間にアイツがお姉ちゃんを攻め立てたからだけではないとわかった。

お姉ちゃんセ○クスできる。そのチャンスがきたことによる興奮以上に、今こうして面と向かったことで、僕の中で初めて、お姉ちゃんに対する怒りがわいてきた。

 

「どうして、どうしてアイツとあんなことしたんだよ!」

「それは、さっきも言ったけど、徹くんを守るために、これ以上いじめられないようにするためにだよっ」

「そんな必要なかった。目をつけられてから今まで、僕はずっっっと耐えてきた。これからも耐えられた。あんなやつら、どうせ学校を出ても碌なとこに行けない。その間に僕は努力して、あいつらよりもっと上のところに立てるはずだったんだ」

 

だから、涙をこらえて耐えることができていた。あと少しで必ず終わりがくると確信していたから。殴られようが蹴られようが、内心アイツらを見下して、心を保って日々をすごせていた。

 

「だから、あれくらいのことなら我慢できて――」

「私は我慢できなかったっ!」

「えっ」

 

その言葉の続きを聞く前に、相田さんが時間を告げた。それを聞いたアイツは僕を押しのけ、すぐさまお姉ちゃんにち○こを突き入れた。

 

「あぁん♡ほんとは、ずっと前から知ってた。あん♡帰る時、たまたま徹くんの姿を見て、離れたところからでも、何かあったんだってわかった……っ♡」

「そうだぜ! いつだった忘れたけど、お前をいじめてるのが俺だって知ったみたいで、やめてやる代わりに何でも言うこと聞けって言ったら、ほんとに何でもしてくれたんだぜぇ!」

「そ、そんなの嘘だ! だって、僕へのいじめはなくなってないんだから!」

「あん♡え、そ、そうなの?」

「ああ、だってやめられるわけないもんなぁ。こいつの姉ちゃん○して、それを思い出しながらいじめたらさぁ、今まで感じたことのなかった気持ちよさがあってさぁ。そんなの体験したら、どっちもやめられねぇよ!」

 

改めて実感した。こいつは救いようのないクズで、こいつがいるとお姉ちゃんが不幸になってしまう。

 

「時間です。交代してください」

 

僕は覚悟を決めて、お姉ちゃんとセ○クスを始めた。

ここから先、初めてのお姉ちゃんとの行為がどんな感覚だったのか、思い出すことはとうとうなかった。

 

「はぁ、はぁ……はっはっ」

「徹くん、無理しないでね」

 

1分も経たない間に、僕は焦りを感じていた。

何故なら、アイツのようにお姉ちゃんが感じていなかったからだ。小さい唇を限界まで広げて、甘えた声を上げることも、甘い香りのする汗を流すことも、僕とつながっているところから、新たに愛液を流すこともなかった。僕とお姉ちゃんの体のぶつかり合う音が、静かに、空しく響いていた。

 

「大丈夫だよ徹くん。まだよく呑み込めてはいないけれど、勝敗を決めるのは私なんだよね。だったら、次の徹くんの番が終わったら、徹くんの勝ちって言ってしまえばいいんだよ」

 

その通りだ。最初に僕が思っていたよりも、この勝負は僕が有利になっている。アイツが口を滑らせてくれたおかげで、お姉ちゃんがアイツに従う理由は消え失せた。

 

「うん。そうだね。……でも、それじゃあダメなんだよ。お姉ちゃん」

 

自分勝手なことだけど、これに関しては、圧倒的に僕の方が不利だけれど。

でも、彼女に惚れた男として、通さないといけないものは理解していた。

 

「僕は、本当の意味でお姉ちゃんに認めてもらう。今、まともにセ○クスできてなくても、お姉ちゃんの心がちょっとだけアイツに傾いていたとしても、今日、この場で、お姉ちゃんを僕の恋人にする」

 

――僕が、アイツからお姉ちゃんを寝取るよ

 

そう言って、僕は今まで以上に深くお姉ちゃんの奥を突いた。

 

「……あっ」

 

わずかにお姉ちゃんが反応する。アイツとの行為を見て気づいた。お姉ちゃんはきっと、奥までち○こを入れた方が喜ぶんだ。

そして、少しずつペースを上げていくことで、その感度は徐々に上がっていく。

 

「うおおおおおおお、好きだ! 好きだ! 好きだぁ!!!」

「おほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 

そして、ついにお姉ちゃんがイった。今までのアイツの快感の分があったからだけど、それでも、なんとかお姉ちゃんを気持ちよくさせることができた。

それと同時に、僕もお姉ちゃんの中でイってしまう。コンドームの中に精液が漏れるのを感じる。

 

「交代です。そして尾音徹は絶頂によりコンドームを消費されたため、次の番までに装着し直してくださいコンドームを装着していない限り性行為はできませんが、時間は経過いたします」

「はぁ、はぁ。わかりました」

 

絶頂に悶えるお姉ちゃんの方を向いて、チラッと横目にアイツの顔を見る。なんとも間抜けな顔をして、僕をじっと見ていた。少ししてハッと我に返ったアイツは、すぐさまお姉ちゃんとの行為におよんだ。

アイツは予想外のことが起きて焦っている。僕はその隙を見逃さず、お姉ちゃんの顔を掴んで、舌を入れながら無理矢理キスをした。なんとなく、こうすれば良いと思って、気づけば行動に移していた。

 

「オイ! 今は俺とのセ○クスだぞ! 邪魔すんな!」

「いいえ、あくまで禁じられているのは性行為。厳密には男性器を女性器に挿入する行為になります。よって、尾音徹のその行動はルール違反はしておりません」

「くそっ、なら、俺は礼とチューしたい。だけどコイツが邪魔をしている。止めさせろ!」

「そうですね。性行為の一貫としてキスを行うのであれば、尾音徹の行為は禁止行為にあたります。というわけで尾音徹。今すぐキスを中止しなさい」

 

相田さんからの命令もあり、僕はキスをやめた。お姉ちゃんの顔は今まで以上に真っ赤に染まり、目は潤んで、心がどこか遠くへ行ってしまったような表情をしていた。セ○クスをしていなくても、僕はお姉ちゃんを気持ちよくさせられたという実感があった。

僕が離れたとたんにアイツはキスを始めた。ときおりこちらを睨んで、何かしでかさないかとけん制しているようだった。お姉ちゃんに触れることが難しくなったが、その警戒は僕にとって都合の良いものだった。アイツが僕に意識を向けることで、セ○クスの集中が切れる。アイツとする時は、いままで響くほどに声を上げていたお姉ちゃんだったが、今はかすかに息を吐く程度まで落ち着いている。

途中からお姉ちゃんに何もすることができなかったが、アイツの邪魔をして、お姉ちゃんとまともにセ○クスできなくすることには成功した。これで僕の勝ちの可能性がぐっと上がった。

 

ついに 6ターン目、僕の番になった。このターンの終了と共に、お姉ちゃんは勝敗のジャッジを決めることができる。前の僕のターンから、アイツの流れを止めることができた。今度、僕の方に流れを持ってくる必要がある。そのためには、今まで以上のことをやらなければならない。

 

僕の真似をアイツがしないように注意しながら、お姉ちゃんの中にち○こを入れる。お姉ちゃんを気持ちよくさせるのを忘れずに、丁寧に、かつ入念に愛液をち○こを包むコンドームに塗り付ける。

 

「お姉ちゃん。ごめん」

「へ? おおほおおおおおおお♡♡♡!?!?!?」

 

お姉ちゃんの緊張が緩んでいる間に、僕のち○こを、さっきまでとは別の穴に突き入れた。お姉ちゃんが気持ちよさに穴が緩ませていたのと、愛液による滑りにより、快感を与えつつ挿入することに成功した。

こっちの穴に入れる性行為もあるということを、僕は知識の中では知っていた。初めてのセ○クスの後すぐに、僕はまた違った初体験をすることになった。

僕の目論見は当たっていた。アイツはお姉ちゃんとのセ○クスに夢中で、こっちの方にはまだ興味が向いていなかったようだ。お姉ちゃんは今までにない感覚に新鮮味を覚えつつ、その快感に身を任せていた。

好機とばかりに、僕は一心不乱に腰を振った。頭の片隅にある冷静さによって、吹き出す愛液を無駄にしないようにコンドームに塗りたくり、お姉ちゃんがさらに気持ちよくなれるように動き続けた。

 

この勝負ももうすぐ終わりを迎える。6ターン目が終わり、お姉ちゃんが勝敗を決められるようになった。さすがのアイツも分が悪いと気づいたのか、すぐにベッドに上がり、僕を押しのけようとする。

その手を振り払い、それを妨害行為とみなした相田さんが僕をお姉ちゃんから引きはがす前に、僕はお姉ちゃんの下にもぐりこみ、僕のち○こが入っていない方の穴を広げながら、アイツに言った。

 

「ほら、こいよ」

 

数舜の間。

アイツは怒り狂い、雄叫びを上げながら、お姉ちゃんとセ○クスを開始した。

そういえば、あんな顔を見るのは初めてだなと思いながら、僕は後ろから、アイツは前からお姉ちゃんを挟み込んで、必死に腰を振り始めた。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」

「おほっ! も、ダメ、息できない♡♡♡どっちも気持ちイイ! というか、気持ちよくないところがない。前も後ろもわからない。快感が下腹部から全体に染み込んで、外に飛び出してくるぅぅぅぅぅ!」

「お姉ちゃん好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ!!!」

 

「……これではターン制にしている意味がありませんね。まあ、とりあず時間は計っておきましょうか」

 

もはやここが野外であるということも完全に忘れて、僕たちはセ○クスした。と言っても、もはや人や獣がするような交尾ですらなく、ただひたすら腰を振り続けて、快感に悶えるだけの行為となっていた。

長かった勝負もついに終わる。もはやよくわからない鳴き声しか発していなかったお姉ちゃんが、ついに言葉を使い始めた。

 

「♡♡♡決めた! 私、あなたの女になります♡♡♡」

 

背中越しに、お姉ちゃんとアイツの目が合っているのが、アイツがにやけているのが見えた。

 

「徹くん♡♡♡あなたの勝ちです。あっあん♡私はあなたの彼女になります♡」

「え」

「ハアアアア???」

 

お姉ちゃんはアイツを押しのけて、僕に顔を近づけて、自分からキスをした。舌を僕の口の中で動かしていく。突然の宣言に呆気にとられた僕は、お姉ちゃんに抱き着かれるがままに、その行為を受け入れるのだった。

 

----------

 

大声を上げて文句を言い続けるアイツを、どこからかやってきた大人の男の人が連れ去っていった。相田さん曰く、ああいう人間は信用ならないので、記憶処理を施すらしい。それがどういうものかはわからないが、とりあえず納得しておくことにした。

 

お姉ちゃんの勝敗の宣言の後、気づけば、僕たちの周りを大人たちが取り囲んでいた。とうとうばれてしまったと焦った僕だったが、全員が僕たちに拍手を送り、勝利を称えていた。

アイツがいなくなって、それでもまだ居座っている彼らを眺めていると、その中に見知った顔がいることに気づいた。

 

「おじさん!?」

「あれ、ランクダウンした? まあいいや。それより改めて、キミの勝利を祝わせてくれ。おめでとう」

「ありがとうございます(でいいのか?)。というか、これは一体なんですか?」

「相田くんが言ってたでしょ。これはこの町に古くから伝わる行事なんだ。そして、その行事の参加者、運営者が僕たちなんだ」

 

この町にずっと受け継がれてきたものではあるが、内容が内容である。この情報化社会であっても、周囲の部外者に気づかれることなく、密かにこの行事を運営していた。これを秘密にしたまま維持するべく、かえって規模を大きくする必要があったようで、町長はもちろん、一部政治家などの地位の高い人間、この町に住む人間など、多くの人がこれに関わることになったらしい。

 

「こんなことにキミたちを巻き込んで済まない。だけど、あの時、オレはキミのことを見過ごせなかった。そして、話を聞いて、無性に嫌な予感がした」

「いえ、おじさんが背中を押してくれたからこそ、手遅れになる前に、お姉ちゃんを助けることができました。僕に前に踏み出す勇気をくれて、ありがとうございます」

 

深々と頭を下げる。まだ服を着直していないので素っ裸のままなのだが、それでも、すぐにでも彼に感謝を伝えたかった。その気持ちを汲み取ってくれたのか、彼は僕の頭を撫でた。

 

「うん。一皮も二皮も剥けたみたいだな。格好はついていないが、前までよりかっこよくなったぞ」

 

そんな僕を見て安心したように笑って、他の人たちとともに、おじさんは僕の前から姿を消した。

 

「そういうことですか。納得がいきました。まさか、あなたが彼と面識があったとは」

 

相田さんはお姉ちゃんの汗などで汚れた体を拭き終わり、驚いた顔で僕に話しかけてきた。

おじさんはどうやら、相田さんと知り合いだったらしい。

 

「知り合いだなんてとんでもない。彼こそが、この町の、この寝取り合いにおける現在のキングです」

「キング……あの人が」

 

実際に聞いたわけではないが、おそらく、僕と同じ境遇だったであろう彼が、まさかこの勝負に勝ち続けてきた人間だとは思わなかった。それが、時間の流れとともに、それだけの地位や自信を得るに至ったのか、興味がわいてしまった。

 

「ああ、そうでした。あなたに話しかけたのには、他に理由があるのでした」

 

そう言って、相田さんはポケットから一枚のカードを取り出して、僕に差しだした。

 

「これは我々のグループに入った証となる会員証でございます。会員証には色々と種類がございますが、例えば私などは、審判の立場としての会員証を所持しております。そして、今回、あなたが得られるのは、あのキングと同じく、寝取り合いのプレイヤーとしての参加資格となります」

 

目の前に突きつけられたカードを見る。これを受け取れば、きっとまた、あの人に会うことができる。いや、なによりも、違う意味で、あの人に近づくことができるのではないだろうか。

ふと、お姉ちゃんの方を見る。きっと、この判断の結果によって、僕だけでなく、お姉ちゃんの今後も大きく変わってくる。お姉ちゃんもこの事件の当事者であり、そして、この寝取り合いの性質上、彼女は今後は賞品として関わっていくことになるだろう。

そのことをお姉ちゃんもわかっているはずだが、ただ、こくんと頷いて、じっと僕の答えを待っていた。

 

「――わかりました。僕は、この寝取り合いに参加します」

「ありがとうございます。それでは改めまして、今後ともよろしくお願いします」

 

「そして最後に、あなたに一つ訂正させていただきたいことがございます」

「え、はい。なんでしょうか」

「先ほどまで、寝取り合いの参加者のことを『プレイヤー』と呼称しておりましたが、あれはあなた方にわかるように単語を変換しただけで、正確な呼び方とは違うのでございます」

「それじゃあ、本当の名前は……」

「寝取り合いと呼ぶように、これらは何かしらの取り合いを行うためのものでございます。そして、基本的には、その賞品は女。そうして、男たちは取られた女を、この寝取り合いでなんとかして取り返す。これはそのような行事なのでございます。そのことから、我々はあなた方のことをこう呼びます」

 

 

 

 

『リベンジャー』

 

 

 

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