【カヨコ編(暫定)】「助けてノノえもん!」から 作:春画屋@二次創作R18
F-45:約10000字
F-RK:約8000字 ←
F-47.5:約5000字
F-RK:約2500字
F-53.5:約5000字
F-55(終):約13000字
アンプから出た迫力のある音が、店内に響き渡る。
「いえ〜い!」
「いや〜。すごいですね、お客さん。ブラック・デス・ポイズンの曲をそこまで弾きこなせる方、初めてですよ」
「え〜? そんなに〜? 私、自分のギターも持ってないんだけど?」
「え? 嘘でしょ?」
「あははっ、だからこうやって見にきてるんじゃ〜ん♪」
「それにしても、カッコいいのいっぱいあるねー」
壁を埋め尽くし、そこら中に立ててあるギターを、小さい体でぴょこぴょこと見て回る。
「デザインで選ぶ方も結構いますよ。初心者の方だと女性は特に、重さとか形とか、弾きやすさで選ぶ方が多いですけど……あの、ギターを持ってないという事は、初心者なんですよね?」
「うーん。借り物っていうか、共用のやつしかないんだよねー」
現在、カヨコが自分用に買ったギターが一つ。便利屋のメンバー共用のエレキギターが一つ。同じく、音楽の基礎の勉強のための共用の小さなキーボードが二つ。その他、練習用のミニアンプ等々。便利屋メンバーによるバンド結成は、社長のアルがやりたがっているものの、せめて今ある楽器でまともに音を出せるまではダメ、とのカヨコからのお達しでいまだスタートせず。そのカヨコも最近は物思いにふけることが多く、楽器をいじっているのはムツキのみである。
そのムツキは器用に指を走らせ、次々にフレーズを奏でていく。
「うーん、やっぱちゃんとしたアンプから音出すのはいいねー♪」
カヨコからブラック・デス・ポイズンのCDを借り、ギターを弾かせてもらい、見よう見まねでカッコいいフレーズ(ムツキ基準)を片っ端から弾いていたところ、ムツキはそれだけは弾きこなせるようになってしまった。ただし、本当にそれ「だけ」しかやっていないので、まともに演奏は出来ない。多分、やればすぐ出来る、というのが周りの見解だが、やっていないので話にならない。そもそもムツキが出来ても、現在他に楽器が出来るのはカヨコしかいない。便利屋のバンド結成までの道のりは遠い。
「またご来店下さい〜」と挨拶するロボット型の店員を背にして、ムツキは店を後にした。
「は〜。カヨコちゃん、最近うわの空で相手してくんないし、つまんないな〜。やっぱ、先生に彼女が出来たからかな?」
先生に「彼女」が出来たと聞いても、相手は案の定アビドスの
——まったく、全部先生のせいだよねー。ん? そうだ。だったら、カヨコちゃんが相手してくれない分、責任を取って先生に相手してもらえばいいんじゃん? これ、いいアイディアかも? くふふっ!
名案を思いついたムツキは、早速スマホを取り出し、モモトークを送った。
『先生〜♡ 可愛いムツキちゃんからのお誘いだよ〜♡ 早く来て♡』
------------------------
「うん。とりあえず、俺が呼び出された理由は分かった。俺に(多分)責任があるのも分かった」
「え〜、なになに、その顔〜? 呼び出したのがカヨコちゃんじゃなくて残念〜?」
「理由は分かったんだが、面と向かって「しょうがないから先生でいいや」とか言うのやめてくれ。ちょっと凹むから」
「えー? 先生、
キヴォトスの外の外、『現実世界』から来た元プレイヤーの「先生」である、このお話の主人公は、割とこの手の話で本気で凹んでいたりする。悲しいことに、メンタルは弱い方だ。そして、今日のムツキはいつもより意地が悪かったりする。
「まあ、ムツキとは最近会ってなかったし、ちょうど良かった。あんまりブラックマーケットに爆弾を見に行って遊んだりしてないしな」
「んー、そうなんだよね〜。先生とはノリが合うんだけど、他はみんなガチめだしー?」
「一緒に行くのがハルカとシロコだから、相対的にムツキが一番まともになるって相当ヤバいよな……。とりあえず、マジで銀行を襲おうとしたら乗っからないで止めてくれ」
ノノミが出した不思議な道具で店舗も元通りになって、収容人数も元通りの柴関ラーメンでは、アビドス、便利屋、ゲヘナ風紀委員会、その他諸々の団体関係者がだべって交流しているため、様々な人脈が出来つつある。ゆえに、爆弾大好き三人組という笑えない組み合わせも出来ている。シャーレの先生としては、最近はトリニティでもそこら中にトラップを仕掛けまくるゲリラ戦の達人少女を相手にしているため、あの三人にそれが加わったらシャレにならん、と恐怖を感じている。
——ていうかあいつ、確かアリウスとトリニティの『和解の象徴』のはずなのに、何であんなに物騒なんだ。出来ればモモフレンズ繋がりで、ノノミやヒフミと仲良くしてくれんか。と、そう思いつつも、まあ仲良くしてくれりゃあ、繋がりが爆弾でもゲリラ戦でも何でもいいけど、などと思うあたり、それはそれである意味平和な思考回路ではある。
「まっ、それはそうと何かして遊ぶか!」
「いえ〜い! 先生、やっぱノリいいね!」
と、そんなわけで、
「歌いすぎて、のどが痛い!」
「あははっ、先生体力なさすぎー。カヨコちゃんなんか、あと三時間はいけるのに〜」
カラオケボックスの一室。既に二人だけで数時間は歌っている。
「何? カヨコとしょっちゅうカラオケ来てんの? 二人で?」
「うん♪ 事務所じゃ音がうるさくて、ギターの練習できないしー。ここ、防音じゃん? 曲も入れたらすぐ聞けるしー?」
「ああ、二人ともギター始めたんだっけ? そういや、楽器の練習でカラオケボックスに行くって話、よく聞くな。それにそういうのじゃなくても、快適だしドリンク飲み放題もつけられるし、頼めば食事も出て来るし」
「あれ? 先生詳しくない? 結構行ってたくち?」
「んー、大昔な。学生ん時はよく行ってたけど」
「学生の時って、キヴォトスに来る前?」
「そそ。『シャーレの先生』が来た『キヴォトスの外』の、さらに外の『現実世界』ってとこ」
「「外の外」って、要するにキヴォトスの外なんじゃないの? それ」
「くそっ! いまだにまともに覚えられてない!」
そんな事を言っても、そこが『現実世界』であろうが何だろうが、『キヴォトスの外の外』が要するに「キヴォトスの外」でもあるのは事実なので、興味を持たれないと説明のしようがない。おまけに、「先生」が居なくても大体のことは都合よく済んでしまう、このエロゲー的な世界観のブルーアーカイブ世界では、『シャーレの先生』の活躍どころもなくなり、そもそも「先生」がどんな存在なのかすらよく分からなくなっている。何にしても、同レベルのノリで遊んでくれるということで、一応愛されてはいるのだが。
「いやー、カヨコちゃん的にはそこ、すっごい重要ポイントらしいんだけど、あんまよく分かんないしー? 先生は先生じゃん?」
「いや、微妙に違う……まあいいや。え? 何、カヨコはそこ重要だって言ってんの?」
——お? 何か、カヨコちゃんの名前に反応してる? やっぱ気になるのかな〜? くふふっ。
これはカラオケより面白いかも? そう思いつつ、ついでにカヨコとの話も聞き出そうとムツキは考えた。「彼女」が出来たとか言っていても、まだカヨコにも脈はあるかも知れない。
「ねーねー、先生ってアルちゃんとエッチした事あるんでしょ?」
「アル? あー、うん、一回だけ……」
「アビドスのバイトちゃんも?」
「セリカ? うん……初めてだけならってことで……一回……」
両方、向こうからガンガン来たとは言え、ちょっと言いづらい。が、ムツキ的に重要なのはそこではなかったりする。
「カヨコちゃんとも?」
「はい……一応……。ごめん、これ何かお説教とかされる流れ?」
「じゃなくてさー、カヨコちゃんとも「一回だけ」?」
「はい……まあ……」
「何で?」
「は?」
「もったいなくない? カヨコちゃん的にはする気満々なのにー」
「あ、やっぱ周りからはそう見えるんだ……」
——カヨコ本人としてはいたって真面目な気持ちでアプローチしてきてたはずなんだが、周りからのイメージが崩れてそうで、何か申し訳ないな……
などと思っても、カヨコからすれば「そう思うんなら、してくれればいいのに」と、申し訳ないと思うポイントがズレている。何にしろ、
「カヨコちゃん、可愛いじゃん? 嫌いなの?」
「カヨコの場合は、嫌いとかそういう事じゃなくてな?」
「えー? 何か違うの〜? かわいそー。カヨコちゃん、いっつも
「何でそんな事まで知ってんの」
何でも何も、カヨコの「今回も先生とエッチ出来なかった」という話から、なし崩し的にムツキとエッチする流れが多いのが原因である。おかげで二人とも、すっかり経験豊富になってしまった。
と、そこでムツキは考えた。
——あれ? そういや先生って、私とカヨコちゃんが
ムツキの「面白そう」は、カヨコの話題から、先生を誘ってからかう方に移った。それに、アルたちから聞いている限りでは、本気で嫌がる子に何かするタイプではないらしい。ついでに、割と簡単に誘惑に負ける方らしい。
「先生、私みたいな可愛い子相手だったら、すぐ流されてしちゃうんじゃないの〜♡」
と言いながら、スカートの裾をつまんで、ぺろっとめくり、生足を見せつけつつも、下着はギリギリ見えないようにして……徐々に上げていき……
「いや、しないから」
「あれ?」
リアクションが薄い。というか、ほぼない。
「遠慮しなくってもさー。ここ、二人っきりだし、ちょっとぐらいなら見せてあげてもいいよー? ほらほら〜♡」
両足を少し左右に開いて、軽くくねらせて色気を見せる。
「そんな事言われてもな」
「あれ?」
ムツキ的にはめいっぱいサービスしてるつもりなのに、やはり特に反応なし。
——おっかしいなあ。カヨコちゃん相手だったら、そろそろ「まあ、いいかな……」みたいな空気になるのに。やっぱ男の人相手って、女の子とは違うもんなのかな。いやいや、でもアルちゃん達とはしたんだし、女の子に興味ないはずないし。きっと内心ではドキドキしてるはずだよね? よし。
ムツキはさらにスカートをたくし上げていく。
「先生ってば、意外と誘惑に強い方ー? それともこの程度じゃ満足出来ないからって、強がってるー?」
「違う違う。ほら、はしたない」
「ちょっ、あっ、えっ、あれっ?」
無造作にムツキの両足をつかんで、閉じさせる。もはや相手にされていないというより、子供みたいな扱いをされている。
——せっ、先生ってば、理性強すぎ!
違う理由で興味を持たれていないという結論は、悲しすぎるので考えないことにする。ムツキは、いけるところまでいくことにした。からかっているだけで、何もするつもりがないのがバレてるのかも知れないし。ていうか、きっとそうだ。
「いや〜ん♡ 先生ってばそんな、足なんかつかんじゃって♡ ご・う・い・ん♡」
そう言いながら片膝を立てて、そろそろ本当にスカートと足の間から下着が見えてしまいそうな体勢を取るが……やはり反応なし。視線がスカートの奥に向いてすらいない。そもそも見たいと思っていないのかも知れない。
——ううっ、でも今日は割とエッチな下着だし、それを見たら先生もその気になるはず……。いや、でも、そこまでするつもりなかったし、見えちゃったら恥ずかしいし……
迷ったが、
「あのな、ムツキ……」
「せんせ、ほら、ほら♡」
片膝を立てた状態から、さらにゆっくり両足を開く。それにつれて、スカートの隙間も大きくなっていく。下着は見えないまでも、生足はほとんど全部見えているはず。——ていうかこれ、下着も見えちゃってる? こ、ここまで足開いちゃったら、もう見えてるかも。やば、恥ずかし……。い、いや、あの平然とした様子じゃ、見えてないはず……。ちょっと確認。
「し、下着見えちゃってるんじゃない? 興奮してるんなら別に隠さなくてもいい——」
「いや、見えてないけど?」
うーん、そっかぁー! 見えてなかったかぁー!
ムツキとしてはだいぶ攻めたつもりなのなのだが、やはり見えていなかったらしい。まだ恥じらいが邪魔をしているのかも。ちょっと安心してるし。でもそれってきっと、見えたら今度こそ先生もその気になるってことだよね……?
じわじわと、さらに足を広げる。それでも、もろに下着が見えてしまったら恥ずかしいので、チラッとしか見えないように気をつけながら……
「あ、見えた。黒」
「ふひぇっ⁉︎」
恥ずかしさのあまり、変な声が出た。
「み、み、見え……」
「黒のレース。ちょっと透けてる感じの」
——やっぱ、バッチリ見られてるー⁉︎ お、男の人に見られるのなんて初めてなのに、しかも、こんな恥ずかしい体勢で……。こ、これ、思った以上に恥ずかしくない……?
ムツキの顔は真っ赤で、表情からも余裕がなくなっている。口に手を当てて、恥ずかしそうにしながら、足を閉じようとする。
「ぅあ……」
そんなムツキに、
「気持ちは分かるけど、そういう大人っぽい下着はムツキにはまだ早いから」
「なっ、何で興奮しないのぉー⁉︎」
思いっきり冷静に放たれた、とどめの言葉だった。ムツキ、敗北。
仕切り直し。
「うー」
「周りがみんな経験済みになって焦るのは分かるけどな? そんなあからさまに無理してまで、何かしようとしなくても」
女の子同士とはいえ、カヨコとあんな事やこんな事までして、一通り経験済み。最近ではもっとエッチなプレイはないかなー、と模索中のムツキだというのに、完全にそういう経験ゼロだと思われている。バカにされてる気がする。確かに、男の人相手には何もないけど。何か優しくされてるし。気を遣われてるし。もういっそ自分も、「初めては、先生がもらって♡」なんて言ってみる? いやいや無理無理、ムツキちゃん、そこまではまだ早いから。早いっていうか、無理だから。無理だけど……! って、
「何か飲み物頼んでいい?」
こうしてムツキが葛藤しているというのに、平然と注文をし始めた。
——こ、ここまで来て、空気を変えられちゃうわけにはいかないもんねっ!
「ムツキも何か頼む?」
「先生、それより、ほら……♡」
「は? え?」
「触って……♡ んっ♡」
出来る限りのメスの顔で、先生の手を自分の胸に押し当てる。厚い生地のゲヘナの制服の上からとはいえ、ムツキの胸の膨らみの柔らかい感触は伝わっているはず。恥ずかしくて死にそうなのだが、ムツキはそれを必死に隠して誘惑する。
「んっ♡ どう、先生? ムツキちゃんの胸、そんなに大きくないけど、気持ちいいでしょ……んっ♡」
「えー。うーん」
——よし、今度こそいける! めちゃくちゃ恥ずかしいけどっ!
無理に手を離そうとする様子もないし、嫌がっている様子もない。よしよし、やっぱり先生も胸を触るのには弱いよね。確か、おっぱいが大好きだとか聞いた気がするし。恥ずかしすぎて胸がドキドキしてるけど——
——って、あれ? 何かこれ、変……?
男の人の手のひらが胸の膨らみに触れたままなのが、だんだん恥ずかしさから興奮へ変わってきた。カヨコの
「あっ……♡ ふっ……♡」
「うーん……」
「んっ♡ そ、そこ……」
軽く触れていただけの手が、胸の膨らみを包み込む。そして優しく揉みしだき始め、沈み込む指の動きが微妙に刺激してくる。
「は……♡ ん……♡」
——やば……何か頭がボーッとしてきて……これ、カヨコちゃんのと違くない……? 指の動き、すっごいいやらしいし、変になっちゃう……。てか、先生、上手すぎない? 気持ち良すぎ……。
「は、はぅ……。もっと……せんせ……ぁ、あふ……♡」
「えっと……」
「あ、ゃん♡ んっ……♡ はぅ……♡」
とろけそうな顔のムツキの胸をしっかりとつかんだ手が、少しだけ激しく揉みしだき始める。思わず、ゃっ♡ んっ♡ と大きな声を出してしまう。
「はぅ……♡ せんせ……」
「ちょっと足開いて」
「う、うん……はうっ♡♡♡」
スカートの中に潜り込んだ手が、さらに下着の中へと侵入し、指が割れ目に触れ、絶妙に刺激してくる。
——ちょっ、あっ、これ、濡れてる……よね? や、やらしい音出ちゃってる……。これ、聞こえちゃってる? はっ……♡ ダメ……そこ……んっ♡
くちゅくちゅと、ムツキの中を指でかき回す音がする。その指が内部に触れるたびに、んっ♡ はんっ♡ ムツキの身体は何度も、ビクンビクンと震える。そして、その動きはどんどん速くなっていき、我慢しようとしても身体中を駆け巡る快感には勝てそうにない————
「んっ♡♡♡ あっ、くっ、んっ♡♡♡ んぁ♡ ゃあっ……♡♡♡ んんっ……♡♡♡♡♡」
身体をひときわ大きく震わせると、ムツキはイッてしまった。一瞬、何かで全身が満たされた後、すーっと抜けていく。
「は、ぁふ……。ふぁ……」
まだ余韻で、身体がしびれたみたいになっている。
「こんな感じでどうだろう」
「ふぇ?」
だらしなく口を開きかけたままのムツキとは対照的に、先生の方はいつも通りの雰囲気だった。
——え? あれ? もしかして私、手だけでイかされちゃった? 先生、自分は全然気持ち良くなってないのに?
「これ以上、する?」
「む、無理無理無理無理っ! もう無理っ!」
「でしょ?」
コクコクとうなずく、ムツキの完全敗北であった。とりあえず、挿入なんて絶対無理なのが分かった。
「で、何か注文する?」
------------------------
それからしばらくして、便利屋の事務所。最近、「先生」——というか、「あの人」のことしか考えていない自分を、ちょっとまずいなとカヨコは感じている。かまってあげないせいで、ムツキも何だか
「——はい。どうしたの、ムツキ。ごめん、楽器屋行こうとしてたんだっけ? 今度、一緒に行くから——」
「カヨコちゃん、やっぱり私、女の子が好きかも」
「は?」
内心で、男がどうとか女がどうとか以前に、あんな上級者にハマったらヤバすぎる、ここで引き返そう、そう心に誓ったムツキであった。
今日もこのブルーアーカイブ世界の世界観は、ほのかなピンク色に透き通っているらしい。
バンドが始まるまでには、ムツキがギターもベースもめちゃくちゃ上手くなってます。