書斎の静寂を破るように窓ガラスが砕け散った。
月光を背に立つ影。長く伸びた髪は左右で白銀と漆黒に分かれ、左右非対称の瞳が闇の中で妖しく輝く。
「アンティリーネ……!」
ラーニャの声が震えた。彼女の手が素早くアメンバッグルに伸びる。
「ラーニャ、あなたは彼の護衛を頼むわ」
「アルファっ」
すると、アルファが剣を抜いた。剣身が月光を反射し、冷たい輝きを放つ。
「私は彼女と話があるの」
その言葉にラーニャは一瞬躊躇したが、すぐに頷いた。
「分かった」
彼女は素早く俺の前に立ち、アメンバッグルを構える。
アンティリーネは無言で戦鎌を掲げた。十字槍と戦鎌が融合したその武器は、彼女の左右で異なる髪色と同じく非対称の形状をしている。
「貴様らに用はない」
彼女の声は氷のように冷たく、闇の中に響いた。
「この男を試しに来た」
アルファが剣を構え直す。
「そうはさせない」
次の瞬間、アンティリーネの姿が闇に溶けた。
「アルファっ!」
ラーニャの叫びが書斎に響く。
「遅いわよ」
しかし、アルファの剣が一閃する音と共に金属がぶつかり合う轟音が室内に響き渡った。
アンティリーネの戦鎌とアルファの剣が火花を散らしながら交差する。
「随分と腕を上げたな」
アンティリーネの唇が歪んだ。
「以前より鋭くなった」
アルファの目が細くなる。
「当然よ。今の私は彼を守る為に強くなったの」
二人の武器が再びぶつかり合い、衝撃波が書斎の家具を吹き飛ばす。
「面白い」
アンティリーネの動きが加速する。戦鎌が弧を描きながらアルファに襲いかかる。
「ならば試してみよう」
アルファもまた応戦する。剣と戦鎌がぶつかり合う度に閃光が走り、書斎は戦場と化した。
「彼は本当に王の素質があるのか?」
アンティリーネの問いにアルファは剣を振るいながら答える。
「それを確かめるのはあなただけではないわ」
二人の武器が再び交差し、衝撃波が窓枠を破壊する。
「面白い」
アンティリーネの唇が笑みを浮かべる。
「ならば見せてもらおう。エルフと人間の架け橋となるべき男の実力とやらを」
彼女の戦鎌が新たな軌跡を描き始める。十字槍の部分が伸び、戦鎌の刃が分裂する。
「行くぞ」
アンティリーネの姿が再び闇に溶けた。
しかしアルファの剣が彼女の軌道を予測し、受け止める。
「あなたの力は変わらない」
アルファの声が凛と響く。
「でも私の想いは変わった」
剣と戦鎌が再びぶつかり合い、閃光が書斎を照らし出す。
「面白い」
アンティリーネの笑みが深まる。
それと共に、戦いを止める。
それを見て、アルファが構える。
「……どういうつもり?」
「あなたの言う王の力によって、強くなれるのならば、私も確かめて貰うわ」