朝の光が窓から差し込み、書斎に置かれた食卓を照らす。焼きたてのパンの香りと温かいスープの湯気が漂う。
「食べられますか?」
ラーニャが銀の盆に乗せた朝食を運んでくる。彼女の手は少し震えていた。昨夜の出来事が脳裏に蘇るのか、視線を逸らしながらも丁寧に料理を並べていく。
「ありがとう」
僕は柔らかいベッドから起き上がる。驚くことに、あれだけ激しい行為の後だというのに、身体はむしろ軽くなっていた。筋肉の疲労感もなく、むしろ全身に力が漲っている。
「回復が早いですね」
白いドレスに着替えたアルファが僕の横に座る。彼女の指先が僕の手首に触れる。
「脈拍も正常範囲内。しかし……」
彼女の目が一瞬鋭くなる。
「昨夜と比べて、あなたの魔力が増加しています」
ラーニャがパンをちぎりながら小声で言う。
「アンティリーネの力と接触したことで……何か起こったのかもしれません」
アルファがスープを一口啜り、静かに語り始めた。
「アンティリーネは確かに去ったけれど、彼女の脅威はまだ続いているわ」
彼女の指が食卓の上で交差する。
「彼女が独裁国家を築く可能性は否定できない」
ラーニャが眉をひそめる。
「エルフの王国が彼女の手に落ちれば……」
「戦争どころの話ではなくなるわね」
アルファの声が低くなる。
「最悪の場合、エルフと人間の全面戦争が勃発するかもしれない」
僕は黙って二人の会話を聞いていたが、徐々に状況が理解できてきた。
「じゃあ、どうすればいいんだ?」
アルファが僕を見つめる。
「あなたが彼女を屈服させるしかないわ」
「僕が?」
アルファは頷く。
「あなたの力は特別よ。他のエルフと触れ合うことで更に強くなる可能性がある」
ラーニャが口を開く。
「その通りです。昨夜のアンティリーネとの……行為の後、あなたの力は明らかに増していました」
アルファが続ける。
「最初の行為と二度目の行為では明らかに違いがあった。肉棒の大きさもそうだけど、何より放出するエネルギーが桁違いだったわ」
その言葉に思わず赤面する。
「そんな……」
「事実よ」
アルファの声には確信があった。
「だからこそ、他のエルフと触れ合い続けなければならないの」
ラーニャがおずおずと口を開く。
「候補者はいます」
アルファが頷く。
「森の奥に住むアウラというエルフ」
ラーニャがナイフを手に持ち、焼きたてのパンを小さく切り分けながら説明を始める。
「アウラは普通のエルフとは少し違うのです」
彼女の声は慎重だった。
「彼女自身の戦闘能力はほとんどありません。でも……」
「でも?」
アルファが問い返す。
「魔獣を使役する力を持っているわ」
アルファの目が細くなる。
「どんな魔獣?」
ラーニャは一瞬躊躇いを見せた後、言葉を選ぶように話した。
「様々な種類です。狼型から鳥型、爬虫類型まで。大きさも様々ですが、共通しているのは……」
彼女は小さな声で続ける。
「彼女の意思に従って行動するという事です」
アルファの指が食卓の縁をゆっくりとなぞる。
「つまり彼女は戦わないが、彼女のペットたちが戦う」
「はい」
ラーニャが頷く。
「アウラ自身は……どんな姿をしているんだ?」
僕の質問にラーニャが少し迷ったような表情を浮かべる。
「まぁ、そのなんていうか」
アルファが代わりに答える。
「・・・見てからお楽しみにね」