※この作品はR-18です。

追放された転移者とエルフの王への道   作:ボルメテウスさん

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エルフの貞操概念

 陽光が血のように紅く染まる夕暮れ。森の奥深くで俺たちは密談していた。

 

「女王の首……必ず取るわ」

 

 アルファの細い指先が地図上の一点を刺す。その目は獲物を狙う猛禽類のように鋭い。

 

「へぇ、いきなり来たと思って、作戦会議だと思ったら、女王かぁ、大きく出たねぇ」

 

 そうしながら、アウラは笑みを浮かべる。

 

「えっと、その、女王様を狙うって、本気ですか」

 

「勿論よ、ダークエルフは既に彼によって墜ちた。ならば、次はエルフの女王よ」

 

 そうしながら、アルファが語る。

 

「その為には、皆の協力が必要不可欠なの」

 

「色々と気になるけど、まず一つだけ」

 

 アウラが挙手する。

 

「エルフの女王様って……」

 

「私と同じくらい……いや、年齢はもうちょっと下ね」

 

 アルファが訂正する。

 

「つまりアウラと俺よりかなり上か」

 

 俺が納得するとアルファは少し嫌そうな顔をした。

 

「なによそれ」

 

「あ、いや」

 

 慌てて取り繕う俺を見てアルファはため息をつく。

 

「まあいいわ。とにかく彼女を倒せば私はこの国のトップになれるわ」

 

「でも、どうやって?」

 

 アウラが当然の疑問を口にする。

 

「簡単よ。私にはあなたたちがいるもの」

 

「へ?」

 

 思わず声を揃える俺とアウラにアルファは不敵に笑う。

 

「あなたたちの力を借りて女王を討つわ」

 

「ちょっ……ちょっと待って下さい! そんな簡単に言われても困りますよ!」

 

 慌てる俺を無視してアルファは続ける。

 

「大丈夫。きっと上手くいくわ」

 

 自信満々な態度に俺とアウラは顔を見合わせるしかなかった。

 

「それで……具体的には何をするつもりなの?」

 

 アウラが訊ねるとアルファはにっこりと微笑んだ。

 

「まずは彼女の支持基盤を崩すことから始めるわ」

 

「支持基盤?」

 

 俺とアウラは同時に首を傾げる。

 

「ええ。今の女王は古い価値観を守ることに固執してる。だから私たちは新しい風を吹き込んであげるのよ」

 

 アルファの言葉に俺はピンと来ない。

 

「そんなになのか?」

 

「……この国には生殖に関する奇妙な慣習がある」

 

 アルファの声が黄昏に溶ける。彼女の指がテーブル上の羊皮紙を撫でた。

 

「エルフの長命を支えるのは『聖誓』という神聖な儀式よ。婚姻を神殿で交わした者たちのみが子孫を授かる権利を持つ」

 

 アウラが不安げに俺を見る。

 

「つまり女王も例外じゃない?」

 

「もちろん」アルファが微笑んだ。

 

「でも彼女は特殊な地位にいる。『聖誓』なしに子を成すことは王族の資格喪失を意味するの」

 

 沈黙が場を満たす。やがてアウラの唇が微かに歪んだ。

 

「面白い話ね……」

 

 その声音に宿る危険な予感に、俺の背筋が凍った。

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