水泳部の「伝統」~”ペナルティー”という名の凌辱事件~ 作:てんぽ塔
これは、20年ほど前に、僕が実際に経験した「事件」の話だ。
〇学1年生の時、僕・
別に水泳がすごく得意で入ったわけではない。僕の入った学校では、なにかの部活に入ることが義務付けられていたから、小学校からの友達の慎二に誘われて、仕方なく、という感じだ。
まあ、泳ぐことはそこそこ好きだったけど、真剣に練習することは考えたこともなかった。
「水泳なんて才能がないから無理だって!」
僕はそう言ったんだけど、慎二は「やってみないとわからないだろ」と笑って、強引に僕を水泳部に連れ込んだ。
最初の練習は地獄だった。プールの往復10回で息が上がってしまい、コーチから「もっと腹筋を使え!」と怒鳴られた。
帰る頃には全身が疲労で鉛のようになった。
それから4か月ほどたって、部活に入って初めての夏休みがきた。
はじめは泳ぎも下手くそだった僕もなんとかプール10往復ぐらいなら、他のメンバーに遅れずについていくことができるようになった。
そんなある日、コーチがみんなを集めていった。
「来月はいよいよ〇〇地区の水泳大会だ。初めて大会に出場する2年生はとくにこれから練習に集中して頑張るように。
知っていると思うが、わが部の“伝統”として、もしこの大会で、上位3位以内に入れなかった場合、出場選手は、大会後に皆の前で“ペナルティー”を受けてもらうからな。わかったか!」
「はい!」
「よし!じゃあ、各自練習開始!」
その日から、2年生は必死で大会に向けた練習を始めた。
その真剣さには、並々ならぬものを感じた。
僕は2年生の異様な真剣さと、コーチが言った“ペナルティー”が気になって、慎二にたずねた。
「ああ、それはなぁ……」
慎二は口ごもり、そしてなんともいえない笑みを浮かべていった。
「実は水泳部の伝統で、その大会で3位以内に入れなかった人は、みんなの前で恥ずかしい罰を受けることになってるんだ」
「えっ?どんな罰?」
「それはな……」慎二は周りを見回してから、小さな声で言った。
「上位に入らなかった人は、大会後の反省会で……水着を脱いで裸になるらしい。また、本当に成績とか、普段の態度が悪い場合は、その場で尻叩きのペナルティーもあるって…」
「ええっ!?」
僕は思わず大きな声を出してしまい、周りの部員たちが振り向いた。
「しっ!声が大きいぞ」
慎二は慌てて僕の口を塞いだ。
「そんな……それって……」
僕は言葉を失った。
僕らの水泳部は、男女混合の部活だ。
……つまり……女子も含めてメンバー全員がその“ペナルティー”の対象ということだろうか。
実は水泳部に入ってから、僕はずっと気になっている女子がいた。
それは2年生の先輩の佐藤奈々さんだ。
水泳部には“佐藤”が3名もいたから、みんなに下の名前で、「奈々先輩」って呼ばれていた。
奈々先輩は、笑顔が明るく、小動物のようなかわいさがあって、男子・女子ともに人気があった。
ただ、本人はとても頑張り屋なのだが、少し体が弱いところもあるのか、たまに部活を休むときもあり、2年生の中では、かなり水泳の技術が伸び悩んでいることは僕にもわかった。
また、たまに休むことも多いせいか、部活のコーチは奈々先輩にきつくあたることもあった。
つい先日も、奈々先輩が体調不良で休んだあと、コーチはまた彼女を問い詰めていた。
「おまえ、昨日は生理がひどいとかで、休むとか言ったけど本当か?俺はきちんと女子メンバーの周期、チェックしているから嘘が通用すると思うなよ」
今だったらかなりの問題発言だと思うが、あの当時はそんなことは“まま”あった。
実は奈々先輩は、母子家庭で、小さな弟たちがいたので、自身の体調不良以外にも弟たちが病気のときなどに、母親が仕事を休めず、かわりに奈々先輩がどうしても学校を休むことがあったようだ。
奈々先輩は周りに心配をかけたくなかったので、部員にも、コーチにもそのことは黙っていた(後日、僕が奈々先輩と仲良くなったとき、このことを教えてくれた)。
しかし、そんな事情を知らないコーチは奈々先輩に対する心証をかなり悪くしていたようだ。
なんにしても、慎二の言葉を聞いてから、僕はすごく心配になってしまった。
もしかして、奈々先輩がみんなの前で“ペナルティー”を受けることになるのではないか……いや、そんな、ばかな……
とにかく、奈々先輩もはじめ、上級生たちの真剣さは尋常ではなかった。特に2年生たちは鬼気迫る勢いでトレーニングに取り組んでいた。
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大会当日、僕たち1年生も補欠として会場に来ていた。奈々先輩は200メートルの自由形だった。
「頑張ってください!」
僕は精一杯の応援を奈々先輩に送った。
「ありがとう!絶対入賞してみせるから!」奈々先輩はそう言って手を振ってくれた。
そして、いよいよ大会が始まった。奈々先輩の種目は午後の部だったので、午前中は他の部員の応援に回った。
午後になり、ついに奈々先輩の出番が来た。彼女は緊張した面持ちでスタート台に立ち、深呼吸をしていた。
「ガンバレ!」
僕は声を張り上げて叫んだ。周りの部員たちも「頑張れ!」と声を合わせていた。
プールサイドの審判長が「ピ、ピーーー!」とホイッスルをならす。奈々先輩がスタート台に上る。
「位置について、よーい……」「パンッ!」
水しぶきを上げて奈々先輩は飛び込んだ。
彼女の泳ぎは確かに上位に入れるほどの速さではなかったが、それでも精一杯の力を出して泳いでいた。
しかし……結果は6位だった。3位以内に入れなかったのだ。
プールから上がった奈々先輩は肩で息をしながら、「やっぱりダメだったか……アハハ」と力なく笑っていた。
大会後、部員全員で宿泊施設に戻った。夕食後、コーチが全員を一部屋に集めて“反省会”が始まった。
なぜか、“反省会”は全員水着でくるように指定されていた(これも“伝統”らしい)。
コーチは、大会に出場した選手の頑張りや活躍を一通り褒め終わると、少し芝居がかった口調でいった。
「さて、残念ながら1名だけ、本大会で3位以内に入れなかった選手がいる」
「奈々は、今回の大会で6位だった。奈々の頑張りは普段からみているが、6位は非常に残念な結果だ。したがって、部の伝統に従い、奈々には“ペナルティー”を受けてもらう」
“ペナルティー”を受けてもらう、というコーチの言葉に、部員たちの間に緊張が走った。
奈々先輩は真っ青な顔で下を向いていた。
「では始めよう、奈々、前に出なさい」
コーチがそう言うと、奈々先輩がゆっくりと立ち上がり、部員のみんなが体育座りでならんでいる前に、立った。
また、奈々先輩の脇には、なぜか3年生の先輩の男子が二人たっている。
その1人がいった。
「奈々さん、お願いします……」
「自分で脱げない場合は、手伝いますが、自分でできますか?」
奈々先輩は震える声で「はい……できます」と答えた。
「え……何をするんですか?」
1年生の女子の一人が不安そうに尋ねると、3年生の先輩が答えた。
「これがうちの水泳部の伝統なんだよ。上位に入れなかった人は……」
言葉を濁しながらも、先輩たちの表情から何か特別な儀式が始まることを察した。
部員全員の前に立った奈々先輩が、小さな声で、しかし、覚悟を決めてみんなの方を向いて、いった。
「じゃあ……始めます……皆さん、よろしくお願いします」
奈々先輩はそう言って、ペコリと頭を下げ、深呼吸をした後、ゆっくりと水着の紐に手をかけた。その手は小さく震えていて、顔は真っ赤に染まっている。
「待ってください!」思わず僕は声を上げていた。部屋中の視線が僕に集まった。
「水戸!?」 慎二も驚いた顔で僕を見た。
「こんなこと……本当に伝統なんですか?こんなの間違ってます!」
コーチが眉をひそめて言った。
「水戸、お前は今年入ったばかりだから知らないだろうが、これは長い間続いてきた伝統なんだ。部員たちはみんな承知している」
奈々先輩は一瞬僕の方を見たが、すぐに視線を落とした。
「でも……こんなのセクハラじゃないですか!」
コーチは僕のことを憎々しい目で、にらみつけた。
部屋の中に重苦しい空気が流れる。
そんな中、奈々先輩は、震えながらも、しかし、はっきりといった。
「大丈夫です。これが部活の伝統なのは、私もわかっています。」
そういうと奈々先輩は意を決したように、水着を脱ぎ始めた。
奈々先輩は震える手で水着の肩紐に指をかけた。周りの空気は凍りつくように冷たかった。水着は彼女のか細い肩から滑り落ち、肌の露出が増えた。白い肌が電灯の下で淡く光った。
「待って……本当にやる必要があるの?」別の2年生が泣きそうな声で尋ねた。
「部の伝統を守るためだ」
コーチは静かに、しかし威圧感のある声で答えた。
奈々先輩はゆっくりと残りの水着を下ろし始めた。部屋の空気が一瞬止まったように感じられた。周りの部員たちは固唾を飲んで見守っている。
そして、奈々先輩は水着を完全に脱ぎ去って、裸になった。
奈々先輩の裸はとてもきれいだった。
電灯の下で全てあらわとなった白い肌が光る。
奈々先輩は、耳まで真っ赤にして、恥じらい、震える手で必死に胸とあそこを隠している。
その姿に、申し訳ないが、僕はすごく興奮した。そして本当にきれいだ、と思った。
奈々先輩はコーチの方を向いて、目に涙を浮かべながら、不安げに尋ねた。
「コーチ、もうこれでいいですか?」
しかし、コーチは首を振った。「まだだ」
(つづく)
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