※この作品はR-18です。

甘くて、こわい君だった   作:Marks_Lee

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maybe 9話

朝の光がカーテンの隙間から柔らかく差し込む。

まだ眠気の残るまぶたをゆっくりと開けると、見慣れない天井が視界に入った。

だが、それ以上に意識を引いたのは、部屋に漂う湊の匂いだった。コーヒーと柔軟剤が混ざり合った、落ち着いた香り。

 

薄く張ったシーツの下、身体には何も纏っていない。

昨夜の記憶が静かに、しかし確かな熱をもって甦ってくる。

 

唇を重ね、肌を絡め合い、湊に触れられた感触が全身をまとう。

胸の奥に溢れた想いと、身体を満たす熱。

それらが混ざり合って、いつの間にか涙がにじんでいた。

 

そっと布団から抜け出し、白いシャツを羽織ってリビングへ向かう。

湊はコーヒーメーカーの前に立ち、カップに熱い液体を注いでいた。

湯気がゆらゆらと揺れている。

 

「……おはよう、早川」

 

彼の声はいつもより少しだけ柔らかく、まっすぐに心へ届いた。

あやねは小さく頷き、マグカップを受け取る。

 

「よく眠れた?」

 

「はい……すごく」

 

朝の静かな時間がふたりを包み、昨夜の熱は言葉にせずとも共有されていた。

 

◇◇◇

 

廊下を歩くあやねの視界の隅に、ふと湊の姿が入った。

彼は別の女性社員と笑いながら話している。

 

穏やかなその表情は、いつもの優しい彼そのものだった。

だが、あやねの胸はざわついた。

 

——こんなふうに話す彼を見るのは初めてだ。

 

笑顔が眩しくて、でもどこか、胸を締めつける。

彼の言葉に女性が笑い返すたびに、知らなかった嫉妬が胸に広がった。

 

「私だけの湊さんじゃない……」

 

そう思った瞬間、感情がぐるぐると渦巻いた。

これまで感じたことのない、焦りと戸惑い。

 

早川は、急いでスマホを取り出した。

震える指でメッセージを打つ。

 

「給湯室、今ひとりです。来てくれませんか?」

胸の中のざわつきをどうにかしたくて、たまらなくて。

 

◇◇◇

 

廊下のざわめきが遠くに聞こえる。

オフィスビルの一角にある給湯室は、薄暗くひっそりとしていた。

誰もいないはずのその空間に、あやねの心臓が高鳴る。

 

スマホの画面を何度も見返す。

「給湯室、今ひとりです。来てくれませんか?」

自分で送ったそのメッセージが、胸の奥に熱い波紋を広げる。

 

数分後、静かな足音とともに扉が開いた。

湊が現れ、無言で入り口の鍵を閉める。

互いの視線がほんの一瞬ぶつかる。

 

「どうした、早川?」

 

声は低く、優しく、そして少しだけ緊張を孕んでいた。

あやねは声を震わせながら小さく答える。

 

「さっき、あなたが他の女性と話しているのを見て……胸がざわついてしまって」

 

言葉はつたなかったけれど、そこにある感情は本物だった。

湊は一歩近づき、静かにあやねの肩に手を置く。

 

「そっか……」

 

壁に押しつけられるように、身体が密着する。

唇がふっと触れて、吐息が重なる。

 

「声は我慢できるか?」

 

囁かれた言葉に、あやねは震えながらも頷いた。

スカートの裾がゆっくりと指でつままれ、持ち上げられる。

 

滑り込んだ指先は、ショーツ越しに濡れた肌を確かめる。

「くちゅ、くちゅ……」

濡れた音が静かな給湯室に小さく響く。

 

あやねは声を押し殺し、震える膝を支えながら身体を委ねた。

指がゆっくりと、だが確実に敏感な部分を撫で、深く入り込む。

 

「まだ……我慢できるか?」

 

「……あ、ああ……」

 

水音に合わせて吐息が漏れ、身体の熱がじわりと広がる。

湊の指は焦らすように動きながら、あやねの反応を探っていた。

 

膝がガクガクと震え、身体が火照ってくる。

声をあげそうになるのを必死に堪えながら、胸の奥は熱く波打っていた。

 

「もう……すごく濡れてる……」

 

「わかってる……だから、もう少しだけ待ってて」

 

指がさらに深く、繊細に愛撫を続ける。

快感の波が次第に大きくなり、あやねは身を震わせながらも必死に耐えた。

 

「い、いきそう……」

 

「まだだ。声は出すな」

 

一瞬の沈黙。

次の瞬間、指が強く動き、くちゅっ、と濡れた音が高まる。

 

あやねの身体は震え、膝が崩れそうになる。

目の前が霞み、全身を駆け抜ける快感の波に抗えなかった。

 

湊は静かに手を離し、乱れたスカートを整える。

あやねの頬に軽くキスを落とし、声もかけずにそっと給湯室の扉を開けて去っていった。

 

残されたあやねは、足元のふらつきを必死で抑えながら、秘密を胸にしまい込んだ。

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