※この作品はR-18です。

甘くて、こわい君だった   作:Marks_Lee

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その後 3

半年が経った。

あの日、心をぶつけ合い、名前を呼び、涙とため息とともに心を開いたあの夜から、もう半年。

 

早川――あやねは、湊と一緒に暮らしていた。

 

部屋には生活の匂いが満ちている。

洗いかけのマグカップ、洗濯済みの靴下、玄関に並ぶふたつの靴。

決して完璧ではないけれど、どこか愛おしい日常が、そこにはあった。

 

その日、ふたりは午前中にささやかな掃除を済ませ、午後はリビングで並んで紅茶を飲んでいた。

 

「……なあ、今日さ、ちょっといいホテル行かない?」

 

何気ない湊の提案に、あやねは紅茶のカップを置いた。

 

「ホテル?」

 

「うん。たまには……ちゃんとしたところで、ふたりの時間、過ごしたいっていうか」

 

「ふふ……急にどうしたの?」

 

「……なんとなく、思い出しただけ。最初の頃のこと」

「こっそり会って、手つなぐだけでドキドキして……バレないようにキスしてさ」

 

その言葉に、あやねはふっと目を細めた。

懐かしさが胸に沁みる。

 

「……行こっか。そのホテル」

 

湊は少し驚いたように眉を上げ、すぐにうれしそうに笑った。

 

「じゃあ、支度して。俺、先に準備してる」

 

「了解」

 

◇◇◇

 

ふたりで向かったのは、市内の繁華街から少し離れた、静かなエリアにあるホテルだった。

白を基調としたモダンな外観に、品のあるインテリア。

まるで日常から切り離されたような、柔らかな時間が流れている。

 

「……すごい、思ってたより全然いいホテルだね」

 

「ちょっと頑張った」

 

「なんかさ、今日くらい、ちゃんと向き合いたかったんだ」

 

部屋に入り、湊がコートを脱ぐと、あやねも後ろから抱きつくように寄り添う。

ふたりだけの空間――それだけで、心がほどけていく。

 

ベッドの上に座り、ゆっくりとキスを交わす。

互いの温度を確かめ合うように、時間をかけて、ゆっくりと唇を重ねていく。

 

シャワーを浴び、タオルで髪を拭くあやねの姿を見て、湊はベッド脇にあるポーチに手を伸ばした。

だが、その手を――あやねがそっと、止める。

 

「……今日は、いらない」

 

その一言に、湊の手が止まった。

振り返ると、あやねは真っ直ぐな眼差しで彼を見つめていた。

 

「生で……したいの」

 

静かな声だったが、その響きには迷いがなかった。

 

湊の喉が音を立てて鳴る。

息を整えるように短く目を閉じ、数秒後、彼は優しく問いかけた。

 

「……本当に、いいの?」

 

あやねは小さく頷く。

そして、唇の端に少しだけいたずらっぽい笑みを浮かべる。

 

「ちゃんと繋がりたいの。あなたの全部で」

 

その言葉が、湊の中に灯をともす。

 

「……あやね」

 

その名を呼びながら、彼は静かに、けれど確かに唇を重ねた。

 

温かなキスから始まり、徐々に深く、湿度を帯びていく。

あやねの身体は湊の手に委ねるように緩み、ワンピースのファスナーが音を立てて降りていく。

 

白い下着の上から、乳房の柔らかさが浮かび上がる。

湊がゆっくりとブラのカップをずらすと、突起が寒さと緊張で固くなっていた。

 

「……もう、こんなに感じてる」

 

湊が舌先で乳首をつつき、指先で反対側をやさしく転がすと、あやねは甘い吐息を漏らす。

 

「ん……やだ、そこ……弱いの、知ってるくせに……」

 

「だから、もっと気持ちよくしたいんだよ」

 

湊は乳房に顔を埋めながら、手をゆっくりとあやねの脚へと滑らせた。

ショーツの上から触れると、すでにそこはしっとりと湿っていた。

 

「もう、濡れてる……」

 

「……あなたのせいでしょ」

 

あやねはそう呟きながら、照れたように視線を逸らす。

 

湊はそのショーツをゆっくりと脱がせると、花芯をそっと撫でた。

指先が割れ目をなぞり、ぬるりと粘膜が反応する。

 

「んっ……く、あっ……」

 

ぴくぴくと反応する肉の奥に、湊の指が沈んでいく。

指の根元まで受け入れた彼女の内壁が、キュッと吸いつくように締め付けた。

 

「すごい……もう、我慢できない……」

 

湊はベッドの上に彼女を押し倒し、自身の下着を脱ぎ去る。

怒張した陰茎が、熱を持って跳ねた。

 

あやねが目を見開く。

 

「……あ、ちょっと……今日、大きくない?」

 

「そう?」

「嬉しいけど、入るかな……?」

 

「入れてみて……」

そう言って、あやねは脚を開き、湊を迎え入れた。

 

生の熱が、むき出しのまま、ずぶずぶとあやねの中へ押し込まれていく。

 

「っ……! んぁっ……!」

 

「中……すごい……キツい……でも、気持ちいい……」

 

ぬるぬると絡み合う内壁の感触が、湊の理性を奪う。

ゆっくりと腰を引き、また沈める。

浅く、深く、じわじわと彼女を責めるように突き上げると、あやねは何度も背を弓なりにした。

 

「はぁっ、だ、め……そんなにしたら、声……っ」

 

「声、もっと聞かせて。誰にも聞かれない。ここには、俺たちだけしかいない」

 

湊の動きは次第に速さと重さを増し、パンッ、パンッ、と肉がぶつかる音が部屋に響く。

 

「ねぇ……また、名前で……呼んで……」

 

その言葉に、湊はあやねの耳元で囁いた。

 

「……あやね……の中、すごく気持ちいい……」

 

「……っ! あ、あ……ぁぁ……!」

 

ぐちゅぐちゅといやらしい音とともに、湊の動きが荒くなる。

あやねの脚が湊の腰に絡みつき、吐息と呻きが交差する。

 

そして――

 

「あやね……っ、もう……出そう……」

 

「……うん、きて……私の中に……!」

 

最後の突き上げとともに、湊は大きく震え、あやねの奥へと熱を吐き出した。

 

「……っ……あ……あぁ……」

あやねは目尻に涙を浮かべ、湊の名を繰り返しながらそのまま絶頂へと導かれていく。

 

ふたりはしばらく何も言わず、ただお互いの汗と吐息を感じ合っていた。

 

その後――

 

湊が「……なんか、ごめん。名前、呼んだの」と照れたように呟くと、あやねはくすりと笑って言った。

 

「ううん、うれしかった……ちゃんと、聞こえてたよ」

 

甘く、ぬくもりを帯びた時間。

もうどこにも、嘘も壁も、残っていない。

 

◇◇◇

 

窓越しに差し込む朝の光が、白いシーツの上に優しく影を落としていた。

カーテンの隙間からこぼれる陽射しは、ゆっくりとベッドのふたりを包み込んでいく。

 

「……ん、朝……か」

 

湊がまぶたをゆっくりと開けると、隣にはまだ眠そうな顔のあやねがいた。

長い髪が枕に広がり、肩に落ちたシーツから覗く素肌に、昨夜の熱がふっと蘇る。

 

「おはよう……」

湊が囁くと、あやねは目を細めながらも、穏やかに微笑んだ。

 

「……おはよう。なんか……まだ夢の中にいるみたい」

 

「俺も。……あんなに深く繋がったの、初めてだった気がする」

 

あやねは軽く頷き、シーツの中で湊の手を探して指を絡める。

その指先が、何よりも素直な気持ちを伝えていた。

 

「名前……呼んでくれて、ありがとう」

 

「……ああ。でも、ちょっと照れた」

 

「ふふ……かわいかったよ?」

 

小さな笑い声が、朝の空気を揺らす。

 

二人はしばらく言葉を交わさず、ただそのぬくもりを確かめるように寄り添った。

 

やがて湊が、そっと髪を撫でながら言う。

 

「今日は、ゆっくり朝ごはん食べて、帰ったら洗濯して……鍋でもしようか」

 

「いいね。温かいやつ、食べたい」

 

「その前に……朝食、行く?」

 

「……うん。でもその前に……キスして」

 

あやねが目を閉じると、湊は微笑み、優しく唇を重ねた。

 

ぬくもりの残るベッドの上で、未来への一歩がまた静かに踏み出されていく。

 

ホテルのレストランはまだ人も少なく、静かな空気が漂っていた。

窓際の席でふたりは、カップに注がれた温かい紅茶と、軽めのブレックファストを前に向かい合う。

 

スクランブルエッグ、香ばしいクロワッサン、フルーツヨーグルト。

どれも派手ではないが、どこか丁寧に仕立てられていて、まるで昨夜のふたりの時間をそのまま映したようだった。

 

「なんか、こういう朝っていいね」

あやねがカップを持ちながら微笑む。

 

「うん。こうやって、ただのんびりできるのも、幸せって感じする」

 

湊は口元を緩めながらも、どこか考え込むようにあやねの指先を見つめた。

テーブルの上で並んだ細く白い指。湯気にかすかに揺れるネイルの先が、微かに紅茶の香りを拾っていた。

 

◇◇◇

 

チェックアウトを済ませ、ふたりは朝の街を歩く。

澄んだ空気に包まれながら、並んで歩く足取りは自然と揃っていた。

 

「……なあ、あやね」

 

「ん?」

 

「……左手の薬指って、サイズいくつ?」

 

一瞬、あやねの足が止まりかけた。

けれど、湊の顔を見て、すぐに頬を少し赤くして笑った。

 

「……なに、それ。いきなり」

 

「いや、たとえば、だよ。たとえば」

 

「ふふ、たとえば、ね。……確か、9号だったと思うけど。覚えてない?」

 

「……うん、今、ちゃんと覚えた」

 

「……ほんと?」

 

あやねが問いかけると、湊はそっと手を伸ばし、歩きながら彼女の手を握った。

 

「ほんと。……大事な数字だし」

 

それ以上の言葉はなくても、指先に伝わる温度が、答えになっていた。

 

小さな手の中に、大きな未来がそっと包まれている。

そんな気がした、穏やかな朝だった。

 

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