※この作品はR-18です。

甘くて、こわい君だった   作:Marks_Lee

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true 9話

 夕暮れが近づき、街のカフェには柔らかなオレンジ色の光が差し込んでいた。

 紬はいつも通り、小さな窓際の席へと歩み寄る。そこにはすでに湊が座っていて、仕事帰りの疲れがにじむ表情で静かに待っていた。

 

 紬が扉を開けると、湊は顔を上げて軽く微笑む。

 

「来てくれてありがとう」

 

 照れくさそうに紬も微笑み返し、隣の席に腰を下ろした。

 言葉は少なくとも、確かに距離が縮まっているのを感じる。

 

 湊がそっと口を開く。

 

「昨日のこと、どう思ってる?」

 

 紬は顔を少し赤らめて、小さな声で答えた。

 

「変じゃなかったよ。……嬉しかった」

 

 その言葉に湊はほっとして、少しだけ目を細める。

 二人の間に流れる時間は、まだぎこちないけれど、どこか優しくて温かかった。

 

 ◇◇◇

 

 カフェを出て、ふたりは静かな街並みの中を歩き始めた。

 薄暗くなりかけた空に、街灯の灯りがぽつぽつと灯っている。

 

「……ねえ、湊の部屋に寄ってもいい?」

 

 紬が照れたように言葉を漏らす。

 

 湊は少し驚いたけれど、すぐに柔らかな笑みを浮かべて頷いた。

 

「もちろんだよ」

 

 紬の歩調に合わせてゆっくりと歩く。

 会話は少なく、足音と風の音だけが二人を包む。

 

(言葉にしづらい気持ちが胸の奥でうずく)

 

(でも、あなたの隣にいるだけで、少しずつ怖さが溶けていく)

 

 そんな思いが交錯しながら、ふたりは静かに距離を縮めていった。

 

 ◇◇◇

 

 湊の部屋に入ると、柔らかな照明が静かに空間を包み込んでいた。

 湊はすぐにキッチンへ向かい、静かにお茶を淹れる。

 

 紬はソファに腰掛けたまま、どこか落ち着かない様子で指先をもじもじさせている。

 やがて、ふと身体を湊に寄せる。

 

「どうした?」と湊が声をかけると、紬は小さく息をついて、そっと湊の胸に顔をうずめた。

 

「……黙って、抱きしめてほしいの」

 

 温もりに包まれ、紬の肩が小さく震えるのが感じられた。

 紬の小さな吐息に、湊はゆっくりと腕を回し、その背中を優しく撫でた。

 

「ちゃんとしなきゃって思うほど、うまくいかなくなるんだ」

 

 吐露された言葉に、湊は静かに応える。

 

「ちゃんとしなくていい。君はそのままでいい」

 

 その言葉を聞いて、紬はゆっくりと顔を上げ、小さく微笑んだ。

 

 ◇◇◇

 

 ベッドに並び、ふたりはじっと見つめ合った。

 紬の瞳は少し揺れていて、緊張と期待が混じっている。

 

 ゆっくりと、紬がそっと唇を重ねた。

 軽く触れるだけのキスは、じわりと温かさを帯びていく。

 

 湊も息を合わせるように、焦らず優しく応えた。

 

 キスの間、湊の手が紬の首筋にそっと触れた。

 指先はなめらかに肩を伝い、背中へと流れていく。

 

 紬は小さく息を吐き、少しだけ身体を湊に預けた。

 そのぬくもりに、安心感が広がるのを感じていた。

 

 湊はさらに手を進め、胸元に触れる。

 柔らかな肌の感触に指先を優しく滑らせ、紬の反応を確かめる。

 

 紬は目を閉じ、かすかに震える身体をゆだねる。

 

 互いの目をしっかりと見つめながら、ゆっくりと紬のシャツのボタンに指をかける。

 指先が震えそうになりながらも、一つ一つ丁寧に外していく。

 

 シャツの布地が滑り落ち、紬の肩と腕がやわらかく露わになる。

 紬はほんの少し息を呑み、目を細めた。

 

 湊もシャツの裾をつまみ、ゆっくりと脱ぎ始める。

 肌が触れ合う瞬間の熱さが、ふたりの胸に静かな波紋を広げていく。

 

 裸の身体がゆっくりと触れ合い始める。

 湊の手が紬の背中をそっと撫で、細かな毛穴の震えまで感じ取った。

 

 紬は目を閉じ、身体の奥にまで染み渡る熱を感じながら、そっと息を整える。

 

 湊の指がゆるやかに紬の腰へ回り、そっと引き寄せた。

 

 湊がゆっくりと腰を引き寄せ、身体の位置を調整する。

 紬の瞳を見つめながら、優しい声で問いかけた。

 

「大丈夫?」

 

 紬は小さく頷き、弱々しくもはっきりと答えた。

 

「うん……したい」

 

 その言葉に湊は安心し、ゆっくりと挿入を始める。

 最初の感触に二人とも息を飲み、静かな緊張が走った。

 

 挿入は丁寧に、ゆっくりとした動きで始まった。

 湊は紬の表情を注意深く見つめ、痛みや違和感がないかを確かめる。

 

 紬の呼吸が徐々に深くなり、胸の上下運動が互いのリズムと重なっていく。

 二人の呼吸が静かに同期し、心臓の鼓動が耳元で響き合う。

 

 湊は「大丈夫?」と優しく声をかける。

 紬は小さく「うん」と返し、少しずつ身体を任せるように動きを合わせていった。

 

 動きは徐々にリズムを刻み始めた。

 湊の動きに合わせて、紬の身体も揺れ動く。

 

 吐息が絡まり合い、部屋には静かな熱気が満ちていく。

 湊は紬の微細な反応を見逃さず、動きを柔らかく変えながらも情熱を込める。

 

 互いの声が重なり、緊張と快感が入り混じる瞬間を共有した。

 湊は常に紬のペースを尊重し、心身の状態を丁寧に気遣いながら動きを深めていった。

 

 快感の波が徐々に高まり、紬の身体が弛緩し始める。

 湊は強く抱きしめながら、全身でその瞬間を感じ取った。

 

 紬の吐息が途切れ途切れになり、声にならない震えが身体を包む。

 名前を呼び合うように囁き合い、二人の繋がりが深まっていく。

 

 その頂点で、紬の身体が小さく震え、全ての緊張が解ける。

 湊もまた、力を抜き、彼女とひとつになった温もりを胸に刻んだ。

 

 行為を終え、湊は紬をそっと背中から包み込んだ。

 柔らかな吐息とともに、ふたりの体温がゆっくりと溶け合っていく。

 

 紬は静かに目を閉じ、安心したように小さく囁いた。

 

 「これって、甘えていい時間だよね?」

 

 湊は微笑みを浮かべながら、力強く答えた。

 

 「もちろん」

 

 静かな夜に包まれたまま、ふたりはゆっくりと呼吸を合わせ、寄り添いながら眠りについた。

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