ちょっと過去にさかのぼってみた。
2月、外はまだ寒さが残る季節。プリントを握りしめて、あたしは一軒の家の前に立っていた。
クラスメイトの佐倉ノブテルの家。ため息をつきながら、心の中でつぶやく。
「ここで最後、だな」
ピンポーンとおもむろにチャイムを押す。インターホンから、少し怯えたような声が聞こえてきた。
「どなたです?」
「クラスメイトの佐藤です。プリント届けに来ました。あと、ノブテル君の様子も確認に」
ガチャリとドアが開く。
出てきたのはノブテルの母親。あたしの姿を見て、彼女の目が少し怯えたように細くなる。
そりゃそうよ、あたしの外見は完全に黒ギャルだもの。日焼けした肌、金髪のロングヘア、派手なメイクにミニスカート。学校じゃ目立つ存在だ。
「ノブテルは部屋にいます……ただ」
母親が言い終わる前に、あたしは靴を脱いで上がり込んだ。
「お邪魔しまーす」
トントントンと階段を上がる。いかにもな部屋の前に立つ。
ドアノブに手をかけ、声を上げる。
「ノブテル~~、居るんだろ。佐藤だゼ。ここを開けろ」
横で母親のか細い声が聞こえた。
「ノブテルちゃん、お友達よ」
中から返事がした。
「うるせぇ、俺に関わるな!」
なんか、むかっ腹が立ったわ。ドカッとドアに蹴りをくれてやる。
「開けろつってんだろっ!」
カチャリと中の鍵が鳴り、ドアが開いた。部屋とノブテルが見える。
おーおー、いかにもな部屋だな。散らかった本やゲームのポスター、暗い照明。
ノブテル自身も、ひょろっとした体型にぼさぼさの髪、眼鏡をかけた典型的なオタク君。
「入るぞ」
あたしは部屋に入ると、後ろ手で鍵を締めた。
オドオドしているノブテルに、プリントを突き出す。
「これ」
「……あんがと」
奴の声は小さくて震えてる。
「でな、様子見て来てくれって言われてんだ。あぁ、きったねェ部屋だな。少しは掃除しろよ」
「……余計なお世話だ」
ふん、生意気な口をききやがる。
あたしはベッドにドサッと座った。埃臭いマットレスが体を沈める。
脚を組むとパンツが見えそうだ。ふふん、見えるように組んだ。
「なぁ」
「なに?」
「セックスしたくね?」
「え?」
奴の顔が赤くなる。
「お前で最後なんだ」
あたしは手帳をポケットから取り出して見ながら、ぺろりと舌なめずりした。
クラスメイトの男子たちの名前がずらりと並んでる。
橘、松下、竹上、梅本……、すべてに「済」のマークが刻まれている。
「これで、クラスの男子はコンプリートだ」
「……そのために来たの?」
「悪い?」
「あー、あー……」
ノブテルは戸惑ってるけど、目が逸らせない。
あたしの脚に、ミニスカートから覗く太ももに、視線が絡みつく。
「さっさと済ますぞ。とりあえず勃たせたる」
あたしは立ち上がって、ノブテルのズボンとパンツをズルッと一気に下ろした。
情けないナニがポロンとこぼれる。
小さくて縮こまってるけど、男の匂いがふんわり漂う。
「佐藤さん……、え、えぇ~~~」
奴の声が上ずる。
あたしはおもむろに膝をついて、ナニをパクッと咥えた。
温かくて柔らかい感触が口の中に広がる。
チュパチュパと舌を絡めて、ゆっくりと舐め上げる。
ジュルジュルと音を立てて吸い込み、ぺろぺろと先端を転がす。
あたしのテクで、ノブテルのナニはたちまちビンビンにおっきくなった。
血管が浮き出て、熱く脈打つ。
ふん、これなら使えるわ。
あたしは立ち上がって、パンツを下ろす。
黒いレースのショーツが滑り落ち、ヌルヌルのマンコが露わになる。
あたしの秘部はすでに熱を持って、トロトロの蜜が滴り落ちる。
「よし、挿入れていいぞ」
ノブテルは「あぁ、あぁ」と近づいてきた。
クチュリと奴の先端があたしの入り口に添えられる。
「佐藤さん……」
「おぉ、つっこめつっこめ」
ノブテルがズブリと一気に入ってきた。
熱い肉棒があたしの奥を突き刺す。
狭い部屋に、グチュグチュと湿った音が響く。
「佐藤、気持ちいい……」
「そうだろそうだろ、あたしのマンコは一級品だ」
奴は必死に腰を振る。
パンパンと肌がぶつかり合うリズム。
あたしの胸がゆさゆさと揺れ、息がハァハァと荒くなる。
ノブテルの息づかいが耳元で熱い。
あたしの壁が彼をギュッと締めつけ、快楽がビリビリと波のように広がる。
汗ばんだ肌がヌルヌルと触れ合い、ベッドがギシギシときしむ。
「射精るっ」
すぐにノブテルは果てた。
ドピュドピュと熱い液体があたしの奥に注ぎ込まれる。
これこれ、この注がれる瞬間がたまんねぇ。
満足感と征服感が混じり合う。
あたしは手帳にサラサラと「ノブテル 済」と書きつける。
ノブテルは満足そうな、不思議そうな顔をしていた。
「大谷や清原ともヤったの?」
「あぁん、あいつらは除外だ。リア充に興味はねぇ。あたしは初物喰いが好きなんだ」
「楽しい?」
その言葉にむかっ腹は立たなかった。もう何度も聞いたセリフだかんな。
「これは、あたしの反抗だ」
「誰に?」
「誰に、なんだろうな。先公なのか、クソな社会なのか……」
見えない自由がほしくて、見えない銃を撃ちまくる……ってな。
「ノブテル」
「……はい」
「お前も溜め込んでんだろ。なにかにぶつけてみたらどうなんだ?」
「……」
「まぁ、いいや。とりあえず、あたしの目的は達成。じゃ、帰るわ」
部屋を出る際、呼び止められた。
「佐藤」
「あぁん?」
「とりあえず、もう少し生きてみる」
あたしは手のひらをひらひらさせて返事にかえた。
卒業後、ノブテルは通信制の学校に編入したことを伝え聞いた。
あの時のセックスが、奴に何か変化を与えたのかな。
あたしの体が、熱く絡みついた記憶が、残ってるのかも。
・・・
それから数年後。今のあたしは「リエ」だ。
ソープランド「横槍」に来て四年目の嬢。
ベッドの上で、マニアクンとの一戦が終わったばかり。
シーツがぐちゃぐちゃに乱れ、あたしの体は汗と体液でべっとり。
マニアクンの熱い射精がまだ私の奥でトロトロと残ってる。
私は天井を見つめて、少し考え事をしてたみたいだ。
「リエちゃん」
マニアクンが隣で体を起こし、あたしの肩にそっと手を置く。
「おぉ」
彼の声が優しい。
「どうかしたの?」
マニアクンが心配そうな顔をしている。
あたしの髪を撫でてくる手が、温かい。
「あぁ、自由ってままならねぇな」
あたしはつぶやく。ベッドの上で、シーツの感触が肌に絡みつく。
マニアクンの視線が熱い。
あたしの体は今も、男を誘うように輝いてる。
あの頃の佐藤のまま、反抗を続けているのか、それとも新しい何かを見つけたのか。
ベッドの中で、あたしの指が彼の胸に触れる。ねっとりとした余韻が、再び快楽を呼び起こす。
自由は、こんな場所でさえ、絡みつくように甘い。