FINAL FANTSY X ~脈導の聖女~ 作:彼処舐ノ助嗅過
時は流れた。
スピラ各地での混乱の中、リュックはアルベド族を、キマリはロンゾ族をまとめ、反脈導教を率いてゲリラ的な活動を続けているワッカたちを支援していたが、それもすぐに鎮圧された。
仲間たちのたどった道は、そのほとんどが悲劇的なもので、 そしてそれはジッジの予言通りだった。
捕らえられたキマリはジッジとユウナの洗脳を受けて、脈導教の番人となった。
リュックとパインは、かつてユウナをたぶらかした異端の魔女として公開裁判に掛けられその後行方不明となったが、娼館に売られていた。
最後まで抵抗を続けていたワッカとルールーだったが、ルールーもまたジッジの手に堕ち、彼女はジッジの愛人となった。
「うわあああっ! うわあああああんっ!! ルー! リュー! ひやぁあああ!!」
ワッカは、目の前でジッジに抱かれるルールーの姿を見せられて、完全に心が壊れてしまった。
そして、ユウナも——
「みゃああぁぁあっ!♡ んぁっ!♡ ジッジさまっ!♡♡ ああぁっ!!♡」
彼女はもう、かつての清らかな巫女ではない。
脈導の法悦に身を委ね、自らもまた人々を導く存在となった。
「ふふっ……。ユウナ様、本当に無様な姿ですねぇ♡ あれほど崇高なお心が嘘みたいですよ♡」
ジッジは恍惚とした表情で、傍らのユウナを見遣る。
その股間から伸びる肉茎を根元まで咥え込み、何度も何度も絶頂を迎えている彼女の顔には理性のかけらも残っていなかった。
そしてそれから……。
ユウナは人々の前に立っていた。
「皆さん……この子が、私と脈導師様の間に授かった“神の子”です。この子は、きっと、スピラを救ってくれるでしょう……」
その姿は、かつて人々に希望を与えた「召喚士ユウナ」とは異なり、今や“神の母”として神聖な光に包まれていた。
「ユウナ、さすがだな。民衆はお前のその言葉を待っていたのだ。神の誕生をな」
ジッジは、群衆の熱狂から戻ったユウナを抱き寄せ、その髪を優しく撫でた。
「ふふ……私はただ、あなたに褒めてもらいたいだけ。……あの子の未来が楽しみだなぁ」
脈導師の胸に顔を預けるユウナ。その表情は、すでに“母”としての強さと、“妻”としての甘さを併せ持っていた。
「……ねぇ、あなた。神の子を産んだからって……次の子を産んじゃダメってことはないよね?」
頬を赤らめ、上目遣いに脈導師を見つめるユウナ。その可憐さに、ジッジは鼻の下を伸ばしながら囁いた。
「もちろんだとも。さあ、ユウナ。愛しき妻よ。——終わることなき交脈の儀を、始めようではないか」
ユウナが寝室へと消えた後、残されたジッジは一人、堪えきれない激情に笑いを漏らす。
「くぅぅうぅ!! この私の夢が! 願いが! ついに叶ったぞ!! ユウナも! 神の子も! スピラさえも! ワシのモノじゃああああ!! い~っひっひっひっひっひ~!!」
——それは、歪み切った勝者の笑い。
愛と信仰の果てに生まれた、呪われた「神の物語」の幕開けだった。
「――我らはもはや、罪の贖いを祈るだけの民ではありません。過去に怯えず、未来を創る力を……私たちの手に、持ちましょう!」
広場に湧き上がる歓声と拍手。
祈り子たちが光を灯し、彼女の姿はまるで“女神”のようだった。
民は知らない。
その女神が、夜にはどれほど柔らかく、どれほど甘えた声を出すかなど。
壇上の陰、玉座に座るジッジは、静かに眼を細める。
「…美しい。完璧だ。だが、彼らが崇める聖女は、夜には私のものとして震えている。彼らの象徴は、私の腕の中で、すべてを脱ぎ捨てる。ああ、なんと――優越だろう」
民の目が光を注ぐその女は、既に己のもの。
そのギャップが、征服者の心を濃密に満たす。
演説を終えた後、神殿内の私室――
ユウナは重ねた衣をほどき、膝の上に身を乗せてくる。
演説の凜々しさなど微塵も感じさせず、頬をジッジの首に埋めた。
「……ねえ、ジッジ様……わたし、うまくできてた? みんな、ちゃんと、信じてくれてた……?」
「……ああ。完璧だったよ。お前は、皆の希望だ」
「よかったぁ……あなたに褒めてもらえるのが、一番嬉しい……ねえ、もっと、撫でて……?」
かつての高潔さの面影は、もうここにはない。
そこにいるのは、愛に酔い、庇護に甘える従属の象徴。
「……この落差。この二つの顔を与えたのが自分であるという事実。彼女の“全部”を知り、持ち、支配しているというこの悦び……なんと……甘美な罪だろうか」
月の光が差す夜、ジッジはひとり、古いスフィアを再生する。
「わたしは、ユウナ……召喚士です。命を懸けてでも、スピラを救いたい。それが、わたしの……願いだから」
硬く結ばれた唇。揺らがぬ瞳。
その姿は、かつて万人が“理想”と呼んだ女だった。
だが、今は――
「……ふふ。まるで別人だ。あの頃の誇り高き聖女が、今は私の胸で甘く喘ぐ……」
「ティーダ。お前はこんな顔を見たことがあったか?お前には手の届かなかったその愛を、私は手のひらで転がしている」
「このギャップこそ、私の勝利だ」
嗜虐的な笑みを浮かべ、再び映像を巻き戻す。もう一度、何度でも、彼女の“過去の表情”を見るために。
そしてその度に――今、自分の元で囁く甘い声と重ね、悦びに身を震わせる。
興奮が抑えきれなくなったジッジはいつものように、ユウナの部屋へと向かう。
「ぬふぅ! ユウナよ、抱かせておくれ……!!」
扉を開け、そのままの勢いでベッドに飛び込むジッジ。ユウナは頬を赤くして、両手を広げる。
「はい♡ ジッジ様♡ いっぱい、愛して……♡」
その夜も二人は互いを求め合い、快感に溺れ続けた。
「はあ、はあ……最高だ……ユウナよ……」
もう、この“女神”は自分だけのもの。
その事実は、何度確認しても興奮を煽るのだった。
──白く広がる部屋。香の匂いが微かに揺れている。
「こんなの、間違ってる……そう、私は……。
ティーダが、ルールーが、ワッカが見たら……きっと悲しむ……」
胸の奥が冷たく痺れる。
でも、脈導師の手が触れるたびに、その冷たさはとろけるように消えていった。
「…それなのに……どうして、こんなに……身体が、反応して……っ」
私は、汚れていくのだろうか。
いいえ、もうとっくに。
──キミの笑顔が遠く霞んで見えた。
ふたりで見たあの海。笑いあった声。
「……キミは、どうして助けに来てくれないの……?」
「あんなに約束したのに……っ、いつも“守る”って言ってたのに……!」
声は虚空に吸い込まれ、何も返ってこない。
代わりに、ジッジが耳元で囁く。
「──忘れてしまえば、楽になれますよ」
「違う…っ、私は、みんなのために……私はっ……!!」
でも――
もう、「みんなの顔」が思い出せなかった。
「私、何のために戦っていたんだろう……?」
──淡い光の中、膝をついた私に彼は手を差し伸べた。
「君がいるだけで、世界は救われる」
「愛されていい。愛してもらっていい。自分を責める必要は、もうない」
その言葉に、心がとろけた。
私は、ずっと許されることを望んでいたのかもしれない。
あの日から、世界のすべてを背負い続けていたのだから。
「……ありがとう、ございます……ジッジさま……」
ティーダ、ごめんね。
でも、私はもう、泣かなくていいの。
──背中に触れる手、優しく揺らされる腰、囁かれる赦しの言葉。
「……あっ……ああ……こんなに……苦しくないの、はじめて……」
「私は、もうひとりじゃない……愛されてる……この命に、意味があるの……」
呼吸は浅く、脈は速く。
けれど、それがただの快楽だけではないと、私は感じていた。
むしろ、「神の役目」を果たしている充足。世界に与えられた定め。
「これが……救い、なんだね……」
“誰かのために”ではなく、“誰かに必要とされている”ことで自分を保つ。
それが今の私。
──神殿の最奥、ユウナは柔らかな衣に包まれ、慈母のような顔で微笑んでいた。
「あの頃の私は、ずっと『みんなの笑顔のために』って言ってたけど……きっと、本当は……『私が笑いたかった』だけなのかもしれないね」
仲間たちのことを考えると、胸が痛む。
でもその痛みすら、ジッジの声に包まれれば、甘く優しく蕩けていく。
「ジッジさま、ユウナはあなたを一生愛しています」
そう言って微笑んだその顔に、かつての凛とした光はもうなかった。
代わりにあったのは、慈悲と恍惚が溶け合った、聖母のような“壊れた”笑顔。
「今はね、しあわせ……なの。とっても、ね」
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