※この作品はR-18です。

FINAL FANTSY X ~脈導の聖女~   作:彼処舐ノ助嗅過

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9.脈導師ジッジ

「ユウナ…」

「ティーダ…」

名前を呼び合い、そっと触れ合いそうになる唇。

心が重なり合おうとした、そのとき──

 

 

「私の時とはえらい違い……酷いですねぇ」

低く湿った声に、ふたりの動きが凍りつく。

目を見開き、そちらを向いたユウナとティーダの視線の先には──

死したはずの脈導師が、闇の帳をまとってそこに立っていた。

 

「な、なんで……」

泉の水が波紋を広げる。ユウナは呆然と呟いた。

「今さらですか? これまでも数々の奇跡をお見せしたはずですがねぇ」

口元を吊り上げ、まるで復活を楽しむかのように笑う脈導師。

その身体には傷跡すらなく、逆に禍々しい力を纏っている。

 

ティーダはユウナの前に立ち、剣を抜き放った。

「もう一度斬られたくなきゃ、ここから出てけ!」

怒りに震える声。そして鋭い眼差しが、全てを守ると語っている。

「諦めなさい少年」

脈導師は両腕を広げ、まるで説教を始めるような口ぶりで言う。

「ユウナ様は私の伴侶となり、我が子を産むのですよ。そう、それこそがスピラを導く“真なる奇跡”なのです。ホッホッホッ!」

 

「黙れっ!!」

ティーダの声が森に響き、足元の泉にまで波紋を走らせる。

「ユウナは、お前なんかに絶対に渡さない!」

ユウナも静かにドレスチェンジを行い、銃を構える。

今やその目には、涙ではなく覚悟の光が宿っている。

「あなたは、私が間違っていたと気づかせてくれた相手。だからこそ……今度こそ、本当に終わらせる!」

 

脈導師の笑みが歪む。

「ならば見せてみなさい。真に愛とやらが、奇跡を超えるというのなら!」

 

森が、泉が、再び戦いの気配に包まれていく──

だが今回は、決して誰も迷わない。

彼らは信じ合っている。愛の力で、過去も運命も乗り越えようと。

ティーダとユウナ、ふたりの戦いが、再び始まろうとしていた。

 

 

ユウナとティーダの連携攻撃は、まるで踊るように美しかった。

ティーダの電光石火の剣撃が風を裂き、ユウナはドレスチェンジを駆使して回復と攻撃、支援を同時に行う。

「はあっ!」

ティーダの剣が脈導師の肩をかすめる。

ユウナはタイムマジックでティーダを加速させながら、聖属性の魔法を詠唱する。

 

だが──

「どうしました? ちょっと本気を出しただけなのですが?」

脈導師は笑みを浮かべ、地を滑るような異様な速度でティーダの剣を躱し、ユウナの魔法すらもかわす。

まるで別人のように、隙がなかった。

「こいつ……まるで幽霊みたいだ!」

ティーダが歯を食いしばる。

 

そのとき──

「よっと!」

「うりゃーっ!」

背後からボールと爆弾が同時に飛び、脈導師に直撃する!

ワッカの属性ボールが火花を散らし、リュックの仕込んだ雷属性の爆弾が炸裂した。

 

「ちっ……お仲間ですか。いいでしょう、まとめて相手にするまで、です」

脈導師がそちらを向こうとした瞬間──

 

「キマリ、通さない」

蒼き獣のような気迫で、キマリが一気に踏み込み、槍で脈導師の腹を貫いた。

「ぐっ……ロンゾ族。脈導は、あなた方を救うのですよ?」

その言葉に、キマリの目が鋭く光る。

「キマリ、自分たちの道、自分で選ぶ」

脈導師が槍を引き抜き、後退した次の瞬間。

 

「終わりよ」

ルールーの声とともに、雷鳴が轟く。

巨大なサンダガが頭上から脈導師に直撃し、周囲の木々が風でなぎ倒された。

「ふん、この程度で……。なっ!?」

よろめいた脈導師の背後を取っていたティーダが一閃、二閃、三閃と斬りつける!

「今だ! ユウナ、異界送りだ!!」

ワッカの声が響く。

「うん!」

 

ユウナは祈るように目を閉じ、ゆっくりと立ち上がる。

衣装は、かつての巡礼の旅で着ていた祈り子装束──召喚士ユウナの姿に変わる。

「この魂を……還します……」

静かな声とともに、ユウナの踊るような動きが始まる。

光の粒が舞い、脈導師の肉体から煙のように幻光が立ち上る。

 

「やめなさい……これは……これは神の導き……!」

脈導師の声が歪み、苦悶に満ちていく。

「違う……これは、あなたが恐れてきたもの……“真の想い”に触れた、あなただけが、拒絶したもの」

ユウナの祈りは、まるで命そのもののように温かく、そして静かに──

脈導師の姿を光の粒へと還していく。

 

しかし……

 

その光の中、脈導師の口元だけが、不気味に微笑んでいた。

「終わりでは、ありませんよ……ユウナ様……」

光が晴れるとそこに、彼の姿は無かった。

 

 

「終わった……。これで脈導師は」

ティーダが肩の力を抜いて、ふぅ、と息をつく。

ユウナも、膝から崩れるように地面にへたり込む。

「みんな、ありがとう……」

かすかな声が、森に溶ける。

「まだあいつの信者たちのことが残ってるけど、これでひと段落、だな」

ワッカもようやく気を緩め、額の汗をぬぐう。

だがその時。

「待って! 嫌な気配がするわ!」

ルールーの鋭い声が空気を裂いた。

 

次の瞬間、マカラーニャの森の上空が黒く渦巻き、雷鳴のような音とともに、禍々しい黒い光が天から地を貫いた。

そこから──現れたのは、紛れもなく、無傷のままの脈導師だった。

「さすがはルールー殿。優れた洞察力ですなぁ」

脈導師は優雅に手を広げ、森を見渡すと、ルールーに視線を向けた。

「それにしても……ふむぅ。あなたもまた、非常に優れた“資質”をお持ちだ。ユウナ様と共に、この私とどうですかな? 女神になれるのはユウナ様のみですが、あなたもまた、脈導の大いなる器になれるやもしれません」

 

その言葉に──ルールーの眉がぴくりと動く。

彼女はゆっくりと、そして冷ややかに口を開いた。

「……お断りよ。あいにく私は、あなたのような下劣な者と関わる趣味はないの」

「ユウナも渡さないわ。あなたに触れさせもしない」

脈導師の目が細くなり、笑みが深まる。

「そうですか……ゆるりとお考えください。いずれにせよ、ユウナ様は私のモノになるのですからねぇ……ふふふ」

 

「はあ!? なにぬかしてやがる!」

ワッカが前に出ると、脈導師を指差して怒鳴った。

「ルーに何言ってんだ、このクソ坊主!! ぶっ飛ばされたいのか!」

「まあまあ、嫉妬ですかな? ですが、あなた方の“家族ごっこ”など──」

 

バチィッ!!

ルールーから放たれた雷が、地面に落ちる。

「二度と“家族”を汚す言葉を口にしないことね。次は頭を焼き切るわ」

脈導師は、楽しげに舌を鳴らした。

「恐ろしい女性だ。だが、それもまた……良きものですなぁ」

 

しかし、ユウナたちの心を支配していたのは怒り以上に──「なぜ彼は死なないのか」という、底知れぬ疑問だった。

「私がなぜ不死なのか? お教えしましょうか?」

脈導師はゆっくりと手を広げる。

「……ですが、聞かない方がよい。きっと、絶望してしまいますからねぇ」

「……あんた、いったい何者なんだ」

ティーダが剣を構える。

 

「私は“人”でした。ですが、脈導に選ばれたことで……新たな“存在”となったのです」

脈導師の足元から、黒く光る根のようなものが森の地を這い始める。

「命の根──“幻脈”に触れた者は、死を超える。肉体が朽ちようとも、私の“意志”は世界に刻まれているのです」

「“幻脈”……?」

ルールーが息をのむ。

「その名は忘れられた古の理。生命の裏に走る、脈動する幻光の河。私はそれと融合した。“死”など、もはや意味をなさぬのです」

「……それが脈導の正体なの?」

ユウナが震える声で問う。

「ええ、ユウナ様。あなたも、いずれそのすべてを知ることになるでしょう。……私の中で、生まれ変わったあとに、ね」

 

脈導師の瞳が、禍々しい光を放つ。

そして森全体が、黒い脈動に包まれていく──!

「みんな、準備して!」

ユウナが立ち上がり、ドレスチェンジの準備を始める。

「今度こそ……終わらせる!」

次なる戦いの幕が、再び上がろうとしていた──!

 

 

「ここが私とあなたの始まりの場所。我らの子を宿す新たな聖地となるのです」

脈導師の狂った言葉が響いたとき、ユウナの身体が震えた。

「やめて……! そんなこと……絶対に、させない!」

怒りとも悲しみともつかない声。

それは記憶の底から沸き上がる、かけがえのない想いに支えられた抵抗だった。

ユウナの視線が泉に落ちる。透き通る水面が、かつての記憶を映し出すように揺れる。

言葉の代わりに、重ねた唇。

その夜、2人は一つになった。死に向かう運命の中で、せめて今だけは、永遠を信じた。

 

「この場所は……」

ティーダが呟く。

「オレたちが……本当に一緒だった、大切な場所だ。……ユウナの全部が、ここにあったんだ」

彼の拳が震える。歯を食いしばって、脈導師を睨みつけた。

「お前がそんな風に汚していい場所じゃねえ……!」

「汚す? ふふ……」

脈導師は狂気の笑みを深めた。

 

「違いますよ、ティーダ殿。私はただ、この地に“本当の意味での永遠”を刻もうとしているのです。あの時あなたが与えた一夜の夢よりも、遥かに濃密で、確かな“命”をね」

「……っ!」

ティーダが叫ぶより早く、ユウナが歩み出た。

 

「やめてっ!! それ以上、私の記憶に土足で踏み込まないで……!」

目には涙が滲むが、声は強い。

あの時よりも、ずっと強い。彼女は一人ではなかった。

「あなたの言う“脈導”なんて……“交わり”なんて……愛じゃない。ただの支配、ただの自己満足……! そんなものに、私を使わないで!」

 

脈導師はその言葉に目を細め、まるで陶酔したかのように首を傾ける。

「……ああ、やはり素晴らしい。強い……強いですねぇ、ユウナ様。私の女神に相応しい。あなたの“否定”すら……愛しくてたまりませんよ……」

「黙れっ!!」

ワッカが叫び、ボールを放つが、脈導師の纏う謎のエネルギーが全てを弾き返す。

「クソッ……なんて防御力だ……」

「まるで、異界そのものが奴を守っているみたいだ……」

キマリも槍を構えながら唸る。

 

「ふふ……まさにその通りです。私の身体は、もはや人間ではない。異界の法則と“交わった”存在──神に近い、いや、神以上の存在となりつつあるのですよ……」

ルールーが睨みつけながら呟く。

「まさか、ユウナとの交脈儀式で、完全な存在になろうとしている……?」

「正解です、ルールー殿! あなたのような聡明な方となら、共に新世界を築けるのに、実に惜しい……!」

「気持ち悪いのよ……! あなたが何を見てるのかは知らない。でも私たちは、あなたを“存在させてはならないもの”として、ここで終わらせる!」

ルールーの掌に、雷が集まっていく。

ティーダも、ユウナも、かつての記憶を胸に、再び構えを取った。

「……ここは渡さない。この“記憶”だけは、絶対に汚させない!」

 

 

激しい攻防が続く中、脈導師は一切のダメージを受けず、むしろ陶酔するように笑っていた。

ルールーの魔法も、キマリの猛攻も、ティーダの連撃さえも、まるで空気に触れたように無力だった。

「くっ……オレたちの攻撃、全部効かねえ……っ!」

ティーダが息を切らしながら、地に膝をつく。

「ユウナ……下がれ……!」

キマリがユウナの前に立つも、その足も震えている。

「……みんなの、MPが……もう、尽きそう……」

ルールーの声もかすれていた。

ユウナは、仲間たちの消耗に、胸が張り裂けそうだった。

今にも崩れそうなティーダを、必死に支える。

「……お願い、もう少しだけ、持ちこたえて……! リュックが、カモメ団が、増援を……!」

 

──その瞬間だった。

「ふふ……お仲間とは、彼らのことですかな?」

そう言って脈導師が懐からスフィアを取り出し、空中に放つと、虚空に大きな映像が浮かび上がった。

「な……に……?」

映し出されたのは、檻に閉じ込められたアニキ、パイン、バラライたちカモメ団。

苦悶の表情で拘束されているビサイド村の人々、ワッカとルールーの幼い子供。

ロンゾの村では、キマリの同胞たちが鎖に繋がれ、屈辱に耐えていた。

 

「う……そ……っ……!」

リュックが崩れ落ちる。

「お前……っ、いつの間に……!」

「ふふふ……ルチルやエルマが私と一緒でないことに気付きませんでしたか? 私はこの“瞬間”を、何年も前から計画していましたからねぇ……。あなた方の大切な者たちも、すでに私の“脈”の中。逃げ場など、どこにもないのですよ。」

 

映像の中で、脅されながら“神の子”を讃える群衆の姿が映る。

彼らは笑顔でこう叫んでいた。

「ユウナ様と脈導師の間に、“神の御子”が誕生することを我らは願う──!」

「我らの希望、我らの救世主!」

「偽りの平和を打ち倒し、新たな秩序を!」

 

──民衆の声援、祈り、願い。

だがその全てが、ユウナの“破壊”を肯定するものでしかなかった。

「違う……これは……違う……! 私はそんなこと、望んでない……!」

ユウナの膝が崩れ落ちる。

 

「やめろッッッ!!!」

ティーダの怒号が響いた。

彼は最後の力を振り絞り、剣を構えたまま脈導師に向かって突っ込む。

「オレたちの大切なモノ……全部奪って……! それでも“愛”だって言えるのかよ!!」

 

「愛とは、奪い、縛り、染めるもの。自由とは、選択肢の錯覚です。……ユウナ様の“真の自由”を保証できるのは、私ただ一人。彼女に残された“選択”など、最初から……存在しない」

──ティーダの剣が、脈導師の結界に弾かれ、折れる。

「──ッ!!」

吹き飛ばされるティーダ。ユウナが駆け寄るが、もう彼は起き上がれない。

 

「ご覧なさいユウナ様……。あなたの“大切”も、“想い出”も、私が全て“上書き”して差し上げましょう──」

脈導師の手が、ユウナに伸びる。

ユウナはその場に立ち尽くし、目を閉じた。

(終わりなんて……いや。私は……)

 

「無意味です。ユウナ様の全てはすでに私の掌。残されているのは、“交脈の完成”と、“神の降誕”のみ」

ユウナの瞳に映る、膨れ上がる絶望。

──マカラーニャの泉は、再び“新たな運命のはじまり”となる。

 

 

マカラーニャの泉は沈黙していた。

力尽きた仲間たちは、地脈と一体化したような不気味な蔦に縛られ、まるで“見せしめ”のように並べられていた。

光も音も抑圧され、まるで死を待つかのような空気の中──脈導師の声だけが、不気味に響き渡る。

「……さぁ、よい子たちはおやすみの時間ですぞ……」

ひとつひとつ、指を振るだけで、仲間たちは動きも言葉も封じられる。

「ぐっ……! なに……これ……身体が……」

リュックの身体がビクリと跳ね、完全に動きを止める。

「クソッ、動け……オレの身体……動けぇぇ……ッ!」

ティーダも歯を食いしばって抗うが、地面に縫い付けられたかのように、ピクリとも動かない。

「我らが“脈”は繋がれました。あとは、ユウナ様との交脈にて、世界は“再誕”を迎える──」

 

「私たちの子を……ッ! 絶対に、許さないッ!!」

叫んだのは、ルールーだった。

母の顔を浮かべながら、目を潤ませて睨みつける。

脈導師は、愉快そうに笑った。

「おやおや。では、私から“ささやかな意趣返し”を差し上げましょう。あなたの得意な魔法で、ね」

指を鳴らすと、ルールーの身体を痛みだけが鋭い雷撃が包んだ。

「──っ!!」

魔法的には大したダメージではない。だが、その電撃は肉体を貫く痛みだけを“濃縮”して伝える魔術だった。

ルールーは声も出せず、歯を食いしばって地に伏した。

「あなたの子をどうするかは、私の思うままです。今は大人しくしていることですねぇ。それとも、あなたも私と新しい子を作りますか? ほら、“脈動”を宿した、選ばれし子を……ククク……グフフフフ……!」

──その嗜虐的な声に、全員の表情が強張った。

 

「やめろぉぉぉッ!!」

ティーダが絶叫した。

その目は血走り、怒りと悔しさが混ざり合っていた。

「……まだ動くとは、大した精神力です。ですがもうよいでしょう」

脈導師はゆっくりと、ティーダの元へと歩み寄り、彼の頭を、音を立てて、足で踏みつけた。

 

「やめてッ!!」

ユウナの絶叫が泉に響いた。

「ユウナ様ぁ……この男が、よほど大事なようですねぇ? しかし……所詮は、数年の付き合いに過ぎません。我らはこれより、何十年、何百年……いや、永遠に、共に在るのです。私はすでに寿命を超えた存在。──ユウナ様が私と交われば、あなたもまた、“永遠”を得るのですよ」

 

──ティーダの心が、徐々に崩れていく。

(オレが……何のために……ここまで……)

(守りたかったんだ……笑っててほしかったんだ……)

(それなのに……なにも……できなかった……)

──脳裏に浮かぶ、かつての笑顔。ビサイドの陽光。旅路の記憶。指切り。祈り子の眠る場所。

すべてが遠ざかっていく。

 

その時、空に“満月”が昇り始める。

「……さぁ、交脈の儀は、今宵!あとわずかにして、我らの婚礼。そして……“聖なる交わり”のとき──」

 

映像スフィアが空に投影される。

人々の祈り、狂信、笑顔。

「脈導師様とユウナ様の結婚を!」

「世界を救う聖なる交わりを!」

「神の子の誕生をッ!」

──あまりに大きすぎる期待。ねじれた祝福。

それらすべてが、ユウナを“神の器”としてしか見ていない。

 

「やめて……やめてっ……やめてぇえええええええええええ!!」

ユウナは耳を塞ぎ、その場に崩れ落ちる。

うずくまり、嗚咽を漏らす彼女の肩に、脈導師は優しく手を添えた。

 

「……もう、抗わなくていいのですよ。

あなたはもう、一人ではありません。全てを私に預けて……楽になりなさい……」

その声は甘く、温かく、

けれどもどこまでも冷たく、腐っていた。

 

──誰も、もう立ち上がれない。

希望の声は、届かない。

そして、月は完全に昇る。

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