※この作品はR-18です。

現代×ダンジョン×メガテン   作:ニンカタ

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白石恵の過去回。


第15話

 

 話をしよう。白石恵にはかつて友が居た。大人しく、運動が苦手な彼女とは違い、男の子のように、無邪気に山を駆け回るエネルギーに満ちた女の子が居た。

 名前は森山あかり。髪は短く切り。動きまわる事を重視したTシャツと、ズボンばかり履いていたのを白石は覚えている。

 よく怪我をして、体のあちこちに絆創膏が貼られてもいたな。白石恵に取っては苦くも大切な思い出である。

 

「メグ! みてみて、カブトムシ!」

「うわっ。採ってきたの、あかりちゃん?」

「メグに見せてあげようと思って!」

 

 家が近くて、同い年のあかりちゃんとは恵も小さな頃から縁があった。自分とは正反対の性格をしてたからこそ。2人は互いに相手の事をもっと知りたいと、自然に仲を深めたのも必然と言える。

 あかりが日中は外を駆け回り、其処で手に入れた戦利品と、今日はこうして遊んだと恵の家まで向かい。あかりのお父さんかお母さんが迎えに来るまで、2人で話し合うのが日課だった。

 恵からは無邪気で活発なあかりは憧れの存在だったし。逆にあかりからは、自分に無い知識を優しく教えてくれる恵を嬉しく思っていた。

 偶に喧嘩をする事もあったけれど、それでも2人の絆が断ち切れる事は無かったのだ。

 このまま2人で、大きくなっても仲良くいようね。そんな想いは変わらないし、変わるとも思わなかった。

 

「うぅ、頭痛い……」

「あかりちゃん、大丈夫?」

「多分風邪だって……メグ、移したらごめんね?」

「マスクしてるから平気だよ!」

 

 最初はあかりが熱は無いのに、気持ち悪い、頭が痛いと自分の両親へと相談した事から始まる。季節は寒くなってきた時期。未だに薄着だから風邪でも引いたのだろうと、それから何日か学校を休む事になる。

 小学校の帰り、プリントと看病の為に恵はあかりの家まで上がり。毎日のように時間さえあればあかりの部屋を訪れていた。

 横になった状態で毛布を被り、横になりながら話すあかりと、恵は話していた。しっかり手洗いうがいをしないからだよと、あかりに注意をする時もあったが。今回は風邪を引いたとあり、次からは気を付けると殊勝な態度をあかりは見せた。

 

「はぁはぁ……メグ……?」

「あかりちゃん。苦しそうだけど、大丈夫……?」

「へ、平気……うぷっ……!?」

「──おばさん! あかりちゃんが!!」

 

 1週間、2週間を過ぎてもあかりの風邪は治る兆しを見せなかった。寧ろ悪化すらしている。嘔吐を繰り返す日。意識が朦朧としている日。医者には勿論見せたが、風邪薬も他の対処法もまるで効果が無かったのだ。

 

「………あ…メグ……?」

「あかり…ちゃん、なの……?」

 

 理由が分からない。感染するかも分からない。何時からかあかりと会う事は恵の両親に禁じられ。あかりの両親もそれが良いと、恵を家に上げる事は無くなった。直ぐ後に、あかりは病院に連れて行かれ、そのまま入院生活を送る事になる。

 季節が変わり、年が明ける月になって。久し振りに恵はあかりと病室で会ったのだ。

 生気の無い瞳。ガリガリに痩せた骨のような体。記憶の中のあかりちゃんとはかけ離れていて。暫く、恵は現実を受け止める事が出来なかった。

 

「……メグ…には……見られたく……」

「いい! 無理して喋らなくてもいいから……! あかりちゃん!」

「メ……グ……」

 

 細く弱々しい腕を恵に伸ばす。急いでその腕を両手で握りしめると。懇願するように恵はもう喋らなくていい。喋るだけでも辛そうなあかりを見たくなかった。その想いを込めて強く彼女手を握り締めた。

 

「し……しにたく…ないよ……メグ、たす…けて……」

「……あかりちゃん! あかりちゃん!! ごめん、ごめんね……!」

 

 堪えていた涙が溢れるのを感じた。あかりが弱々しくも必死に絞り出した言葉を。自分は何一つ叶えてあげられはしないのだ。無力感。自分自身に抱く激しい憤り。何より気の利いた事を一つも返せない今の自分が憎かった。

 蓄えた知識は、こんな時に何の役にも立たない。

 

「──あ、あの! あかりちゃ…いや、森山あかりさんは助かりますよね!?」

「……」

 

 面談が終わり。あかりの病室前で呆然と立ち尽くしていた恵の前に、壮齢の白衣の男性が現れる。あかりの病室に入った医師を。退出後に呼び止め、祈りにも似た問いかけを恵はする。

 言葉は無かった。しかし少しだけ見せた申し訳なさそうな表情が、聡い恵には何を意味するかを悟らせてしまったのだ。

 

 程なくして、森山あかりの命は尽きた。

 これは今更な話だが、森山あかりが体調を崩し始めた時期に。森山家の近くに中規模のダンジョンが出現した。

 小規模でも少しの瘴気のような代物は外の世界へと流れて行く。中規模ならば更に多くだ。

 しかしこの瘴気が流れて来ても、大体は平気な人間が多い。あっても少し気分が悪くなる程度。

 森山あかりは、珍しくも瘴気に対する耐性が著しく低い体質だった。ダンジョンが現れて、まだ法も研究も進んでいなかった時代。既存の知識だけで対応をした医師達を決して責める事は出来ない。

 この時は皆等しく、無知であっただけなのだから。

 

 『瘴気過敏症候群(しょうきかびんしょうこうぐん)』。後にそう命名される病。発見された時には遅すぎたと。成長した恵は、その病について書かれた論文を見た後、泣き崩れた。謝罪の言葉を亡き友に呟きながら。

 

 

 これが白石恵のルーツ。無知で無力だった自分とは変わる為に。亡きあかりのような人間を増やさないように。そして何よりも、人の命を救う為に。白石恵は医師を目指した。

 昔以上に勉学に励み、医学の道へと向かう為邁進し続けた。時に折れそうになっても、未だに悲しみから癒えない生活を送るあかりの両親の事を聞くと。自ずと心と体に力が入っていった。

 

 医学部に進んでからの数年。其処から研修として2年間

 白石恵が医師として歩めるようになったのは20代後半からであった。これでも順調に進めている方。

 

「白石。前にも言ったが、ダンジョンが現れてから医学はまだ発展途上なんだ」

「……はい。分かっています」

「諦めろとは言わない。だがこういった事には慣れておけ」

「ありがとうございます……」

 

 しかし。備えた知識も完全ではない。既存の病ならば先達も対処出来る。だがことダンジョンに関連したと思われる病には、一歩二歩、後追いであるのが今の現状だ。

 救えなかった命も救えた命もあったが、比率で言うとダンジョン病に関連した患者が多い傾向にある。単純にこの症状にはこの対応というマニュアルが少ないのが原因か。

 

「限りある知識と環境でどうにかするしかないんだ。お前も医大で学んだなら分かってると思うが」

「……」

 

 先達として、何年も先に経験を積んできた彼の言う事は最もだ。救えなかった命よりも救えた命で心を保つ。それが医師として、必要な心構え。例え優秀な成績を残しても、それは大前提なだけであった。

 

(ふう……)

 

 学生時代に。ダンジョン病に関する資料が著しく少ないのは気に掛かっていた。その嫌な予感が今、こうして突き付けられている。数が少ないダンジョン病については全て記憶している。しかしそれで対処出来るのはほんの僅かな患者だけ。

 理想と現実の狭間で、白石恵は悩んでいた。

 

 

 

 

「患者は?」

「自宅にて急に痙攣発作を起こしたらしい。今は意識不明、直ぐに検査を行う」

 

 名前は田井中美雪。自宅リビングにて家事をしていた際、急に倒れて発作を起こしたとの事。連絡は幼い娘から。主人への連絡も済んである。

 

「チッ、D案件か?」

 

 検査の結果。腫瘍も持病も無し。何日か前から体調が悪い時もあったが、それも自然な範囲内。必ずしもそうとは限らないが、D案件、つまりはダンジョン関連の病かと資料を漁るがヒットは無し。

 

「容体は安定したが意識が戻らん。はっきり言って手の施しようが無い」

「……そうですか」

 

 下された診断は原因不明の意識障害としか書けない。原因が分からない今、再び目覚める事を祈って対症療法で凌ぐしかない。

 もう、何度目だ。悔しさと無力を感じながら白石はまた見ているだけ。これでは昔と変わらない。恐らくこのままでは、この患者も…。

 

「──あ、あの!」

「ん? 確かあなたは……」

『──森山あかりさんは助かりますよね!?』

「──お、お母さんは、助かりますか!」

 

「───」

 

 同じくらいの歳だろうか。縋るような瞳で、母の状態への不安をその幼い体に抑えて。あの時の自分のように、願うような気持ちで問いかけたのだろう。

 

「……ええ、勿論。必ずあなたのお母さんは助かります」

「ほ、本当に!?」

「はい。任せてください」

 

 迷いはもう無い。そうだ、私は医者になる為に此処まで来たのではない。あの時の自分に、こんな言葉を掛けられるようになりたかっただけなんだ。ならばもう、立ち止まる理由はなかった。

 

「……正気か?よりによって……」

「今までお世話になりました」

「……これでもお前には期待してたんだ。それを裏切るとしてもか?」

「覚悟の上です。申し訳ありません」

 

 木村健人(きむらけんと)。研修医だった頃からお世話になった彼へと挨拶を告げて。退職願と共に恵は古巣の病院を後にした。その胸には静かな決意が宿る。決してもう忘れない決意が。

 

 

 

 

「回復のメカニズムは……治癒の促進? それとも別の法則が適応されてる……?」

 

 探索者になってからは、始めに目覚めた回復の異能への考察、検証を主に行っていた。実証検証にパーティを組むくらいで。能力の把握を優先していた。蓄えた金銭もある。当面はそれで大丈夫だった。

 

「はぁ、はぁ……座学ばかりだったから、キツイ……!」

 

 1番大変だったのは体力の不足と筋肉痛。異能に関しては手応えを感じるが。それ以外は中々良い成果が出ない。

 

「邪魔だ!」

「ご、ごめんなさい!?」

 

 戦闘では足を引っ張る機会が多い。となると心ない言葉を掛けられる時も多かったが。それでも白石恵はめげずに探索者としての活動を続けた。

 

「え、もう終わったんですか?」

「はい。もう動かしても大丈夫ですよ」

「うわっ!? 傷跡も治ってる! 凄いですよこれ!」

 

 1年が経つ頃には回復の異能は熟練の域にまで達する。早く痕跡無く回復魔法を扱う。此処から探索者としては駄目駄目だが、回復の異能者としては頼れると噂になり始める。

 

「──そうですか。なら良かったです」

 

 医師を辞職し。探索者として過ごした期間。その中で白石は一つの仮説を考えた。フォルマ。探索者には当たり前に遭遇するアイテムの一つだが、探索者の中にはフォルマに触ると少しアレルギー反応を出す人間が居た。

 他にもこのような人間は居るのかと、独自に調査を行った所。何人かはフォルマに関連した症例が見つかった。

 まだ仮説の段階だが、フォルマに触れない。遠ざければ症状が発症しないのは共通。

 伝として残っていた木村への仮説段階のレポートを送り、出来れば試して欲しい旨も添えて連絡を送る。

 

「驚いたよ。少しづつだが快復方向に向かっている」

 

 フォルマは金銭での取引がされる。研究をしようにも、大量の資材としてフォルマを集めると多額の費用が掛かるのだ。それに症状が出る人間も少ない事からも、田井中美雪はかなり特殊な体質。近くにフォルマがあるだけで此処まで体調が悪くなるのは、症状が出る人間の中でも稀だろう。

 

「まだ続けるのか?」

「続けます。少しでも私の活動の意味があるなら、必ず」

「……患者では運ばれて来るなよ」

 

 こうして、白石恵は医師を目指し。その過程で探索者へとその道を変えたのだ。そして今、小規模ダンジョンと初級探索者達のデータを粗方取り終え。上を目指したいと思うようになったのだ。

 

 

 

 

【白石恵のアイテム投擲!……ヒット! 弱点により二倍! ダウン!】

【神崎翠の霞切り!……ヒット!】

【ノズチをたおした!】

「こ、今度は当たりました……はぁはぁ……」

 

 あなたが白石の銃撃を見て思った事は、根本に銃への恐怖や嫌悪がある事。攻擊手段として持っていはいるが、そもそも武器を持つ事自体がストレスなのかもしれない。

 当たり前のように悪魔へと武器を向けてはいるが、それが苦手な人も居る筈なのだ。

 とすると。銃は持たせない方が良い。ストレスが掛かるくらいならば支援と回復に徹させる。一応攻擊手段として、ストーン系の属性魔法アイテムを渡して。攻擊手段として扱わせたが…

 

「これなら、抵抗はあまり無いですね」

 

 魔法と言うイメージが湧きにくい現象だからか。刃物や銃撃のような生々しさを感じないのだろう。銃撃の時には強張っていた表情も、今は疲れがあるだけの普通の表情だ。

 

『常に傍に居てください。守るんで』←クリック。

『アイテム係……カツオ……?』

 

「わ、分かりました! でも…少し、休憩を……お願いします」

「丁度いいし、昼休憩にする?」

 

 あなたの前には神崎。横には白石。これが3人での陣形になるか。問題は白石の装備と体力になる。装備は防御を意識したのか。少し動くには重そうな防具だ。防具寄りではあっても、神崎のように軽装の防具が合っているだろう。

 体力は申し訳無いがとても少ない。本格的にランニング等をさせて、体力を付けさせるしか無い。

 ……なのである程度手加減はお願いしますね?

 

「死ななければ良いホ?」

 

 イヤホンを付けて、小声のボソボソ声で教官に言葉を告げる。ランニングと簡単なトレーニングをお願いします。と頼みはしたが、大丈夫だろうか…。

 

「冗談だホ。あの貧弱衛生兵に合わせたメニューを考えてやるホ」

 

 冗談に聞こえなかったんですが…。まあ、神崎さん用にも合わせたメニューは作成して貰ったし。評判も神崎さんからは悪くない。直接見て触れば。もっとギリギリまで追い詰められるメニューは考えられるらしいが。渡したメニューでも充分だろう。

 

「動きやすいでしょ? 彼の指示」

「そうですね。此処までとは思いませんでした。意外と動けたんですね、私って」

「……まあ。そうだね」

「今の間は何でしょうか?」

 

 神崎は手作りの弁当。白石はコンビニで買うおにぎりを持参して。トークを交えながら話している。少しようすを見てきたと、実はデモニホ教官との会話を済ませてきたあなたは。しれっと後から参加する。

 神崎に触発されて手作りの弁当を作ったが、色々と焦げたり火の通りが甘い。

 

「不味い」

「手作りなだけ偉いですよ。私なんて買い食いばかりですし」

 

 優しさと厳しさを同時に味わった気がした。分けられた神崎さんとの食材の差が。あなたとのレベルの違いを感じさせてくれた。

 

「そうですね。迷惑で無いならお願いしたいくらいです」

 

 食事中。早くはあるが今日の手応え。このパーティの居心地はどうかと聞いておく。途中感じたように、かなり白石さんも乗り気なのか。伺うようにあなたへと視線を送る。

 

「戦闘の合間に、思い付いた事を書いたりもしますが良いでしょうか……?」

 

 条件、という程ではないが。白石さんの本質は研究者寄りだ。戦いダンジョンの奥を目指す自分達とは違い。フィールドワークの感覚に近いのだろう。

 

「勿論、中規模ダンジョンには潜りたいです」

「なら、特に問題無いよ。少しくらいなら休憩も兼ねられるし」

 

 其処まで切羽詰めて悪魔を倒す必要性は今の所無し。極限下の戦闘訓練は、仲魔達とのダンジョンアタックで経験を積める。探索者パーティとしての譲歩は充分するつもりだ。

 

「では、宜しくお願いします。改めて白石恵です。役割は回復、補助で良いんですよね?」

「後は出来ればアイテム役かな」

「投げる練習もしなきゃですね」

 

『よろしく白石さん!』←クリック。

『よろしく恵さん!』

 

「はい。よろしくです」

 

【探索者 白石恵が仲間になった!】

【白石恵をパーティ画面から選択出来るようになりました】




防具は次に更新するからその時に。戦う事に根本的に向いてないので、戦闘アイテムを使うくらいしか攻擊手段はありません。その代わり回復と補助が使える仲間です。

白石恵 レベル15

使用スキル

ディアラマ 回復 味方のダメージを中回復。
メディラマ 回復 味方全体のダメージを中回復。
メパトラ  回復 味方全体の状態異常を回復。
リカーム  回復 味方単体の戦闘不能状態を回復。半分のHPで復活させる。
病魔予防  特殊 味方全体に一度だけ状態異常を防ぐ状態を付与。
タルカジャ 補助 味方単体の攻擊力を一段階上げる。
ラクカジャ 補助 味方単体の防御力を一段階上げる。
スクカジャ 補助 味方単体の命中・回避率を一段階上げる。

弱点看破(モンスター)自動 高確率で相手の弱点を見抜く。探索者経験と知識による産物。モンスター観察を多くこなした白石特有のスキル。
回復の心得 自動 自身の回復効果を増加させる。
治す者   自動 自身の回復スキルのMPを半減する。※病魔予防も半減可能。
救い手は誰よりも早く 自動 回復行動に限り、自身の速を倍にする。
友への誓い 自動 精神に関する状態異常に耐性を得る。日に一度だけ、HPが0になった時HPを1残す。

大体スキル構成はこんな感じ。書いてないけどポズムディとかも扱えるよ。回復メインで覚えて、偶に補助系を覚える。回復に特化したスキルになります。ステータスは知力が高いが、体と力は低め。
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